保健福祉の現場から

感じるままに

子宮頸がんワクチンと高次脳機能障害

2014年09月05日 | Weblog
朝日新聞「子宮頸がんワクチン、副作用患者は脳障害か 原因は不明」(http://www.asahi.com/articles/ASG931TRXG93UTIL001.html)。<以下引用>
<子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に長期的に痛みなどの症状を訴える事例が相次いでいる問題で、女性患者32人の髄液を調べたところ、脳に障害が起きている可能性があると、国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター副院長の高橋幸利医師が4日、金沢市で開かれた日本神経免疫学会学術集会で発表した。これまでに痛みなどの原因は明らかになっていない。高橋医師は、ワクチンとの因果関係は不明としたうえで、本来なら細菌やウイルスの侵入を防ぐ免疫に異常が生じ、自らの脳の機能に様々な障害を引き起こしている可能性を指摘した。北海道立子ども総合医療・療育センターとの共同研究結果として発表した。髄液を調べたのは、昨秋以降に両施設で検査・治療を受けた15~20歳の32人。接種して数カ月~1年以上たってから、痛みのほかに「視野が狭まる」「引き算ができない」「自分の名前や母親がわからない」「強い不安や恐怖感」といった多様な症状を訴える。32人の髄液と、接種をしていない10~40代女性の髄液を比較。32人からは、炎症などを起こす様々な免疫活性物質や、白血球からつくられる複数の抗体が、高い数値で検出されたという。>

医事新報8月23日号「HPVワクチン、改めて十分な医学的検証を」で、「昨年末以降、若年性の線維筋痛症を思わせる患者が外来で増えたことを受け、日本線維筋痛症学会が3機関で調査を行ったところ、わずか2ヵ月で25名の患者が「若年性線維筋痛症」として治療を受けていたことが分かった。同疾患の若年層有病率は約4.8%とされることから、問診の結果、過半がHPVワクチンの副反応によるものと判明した。また重篤な副反応の多くは、ワクチン接種から8.5ヵ月後以降に発症する傾向があることも明らかになっており、接種後の30日間しか実施していない副反応検討部会の調査を「十分」ということはできないだろう。同学会理事長の西岡久寿樹氏は副反応による症状について、「線維筋痛症の広範囲性疼痛以外にも「高次脳機能障害」を示唆する症状が全体の70%で認められる“新しい病気”と捉えている」という。」とある。子宮頸がんワクチンと線維筋痛症については、既に、「全身の痛みは線維筋痛症 子宮頸がんワクチン副作用か」(http://www.asahi.com/articles/ASG4D5STLG4DUTIL019.html)、「西岡氏「厚労省のミス」、子宮頸がんワクチン被害でシンポ」(http://vpoint.jp/feature/cervical_cancer/23190.html)で報じられるとともに、難病治療研究振興財団の緊急提言「子宮頸がんワクチンについて考える」(http://jmrf-nanbyou.org/pdf/news_vol2_1.pdf)が出ている。今後、厚労省は「副作用に対する適切な治療が受けられる協力医療機関」を全国で整備する方針であるが、予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008f2q.html#shingi127715)や医薬品等安全対策部会安全対策調査会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008fcs.html#shingi127869)において、日本神経免疫学会(http://www.neuroimmunology.jp/)のほか、日本線維筋痛症学会(http://jcfi.jp/)や日本高次脳機能障害学会(http://www.higherbrain.gr.jp/)との密接な連携が期待される。そういえば、「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会における審議参加の取扱い等について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000044757.html)に関して、薬害オンブズパースン会議「厚生労働省の審議会の利益相反管理ルールの見直しを求める要望書 -HPVワクチンに関する審議会委員の利益相反を踏まえて-」(http://www.yakugai.gr.jp/topics/topic.php?id=863)が出ていたが、どうなったであろうか。
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レビー小体型認知症

2014年09月05日 | Weblog
キャリアブレイン「アリセプトのレビー小体型認知症の適応追加- 第一部会」(http://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=43707)。<以下一部引用>
<エーザイのアルツハイマー型認知症治療薬「アリセプト」(一般名ドネペジル塩酸塩)は、レビー小体型認知症の症状の進行抑制の適応追加が了承された。現在、国内外にはレビー小体型認知症に対して承認された医薬品は存在しないが、認知症疾患ガイドラインでは、レビー小体型認知症の薬物治療の第一選択薬とされており、臨床現場では、適応外使用が行われている実態がある。今回の適応は、アリセプト錠3mg・5mg・10mg、アリセプトD錠3mg・5mg・10mgのほか、アリセプト細粒0.5%、アリセプト内服ゼリー3mg・5mg・10mg、アリセプトドライシロップ1%が対象となる。>

厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000052532.pdf)p14で示されているように、第6期介護保険事業計画では、地域包括ケアシステム構築のための重点取組事項として、認知症施策;認知症初期集中支援チーム、認知症地域支援推進員(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000035rce.html)が打ち出されるが、医療・介護・福祉施設従事者、行政関係者は、認知症の基礎、アセスメント、支援チームの具体的取り組み等についてどれほど理解しているであろうか。医師会等による研修のほか、認知症のシリーズでの解説(http://www.caretomo.com/carezine/article/19/130/)、「認知症初期集中支援チーム」テキスト(http://vexon-intnl.com/dasc/h25text.pdf)、認知症初期集中支援チーム員研修資料(http://dasc.jp/)(http://dasc.jp/wp-content/uploads/2014/05/c3dff154bb1efd88c140ccc28a66d035.pdf)(http://dasc.jp/wp-content/uploads/2014/05/6f0f6c627d0dab6b66d88dcca7183aa7.pdf)等のネット資料を活用したい。さて、今年度、全国各地の自治体で実施されている日常生活圏域ニーズ調査(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)をみれば、認知リスクを有する高齢者がいかに多いか把握でき、資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000047999.pdf)p3にある認知症ピラミッドが実感されるであろう。しかし、各市町村において、生活機能評価やニーズ調査を通じて、認知リスク低下高齢者の実態が把握されても、初期段階で適切な診断・治療と対応にどれほど結びついているであろうか。警察庁「平成25年中における行方不明者の状況」(http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/H25yukuehumeisha.pdf)p3の原因・動機別で、認知症による行方不明者10,322人(対前年+715)とあったように、ある程度進行して表面化しているのが実態であろう。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000046397.pdf)p5「1年以上精神病床に入院している75歳以上の精神疾患患者の47.3%が認知症」とあり、そもそも精神病床が施設の代用になっている状況にある。資料(http://dasc.jp/wp-content/uploads/2014/05/6f0f6c627d0dab6b66d88dcca7183aa7.pdf)p29では、認知症疾患を主傷病名とする入院患者の病床別割合で平成23年には精神病床が69%とあるように、認知症対策は精神医療改革(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaisei_seisin/index.html)とセットで推進されなければならない。この点について、これまであまり強調されてこなかったように感じる。また、支援ガイドである「認知症ケアパス」(http://www.zaikei.or.jp/index.html)は、市町村単位で作成とは限らず、圏域単位(市町村単位ではない)で整備されている「認知症疾患医療センター」との連携も重要である。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000036ff1-att/2r98520000036fkg.pdf)での精神疾患は、認知症に関して、①認知症の進行予防、②専門医療機関へのアクセス、③地域生活維持、④BPSDや身体疾患等が悪化した場合に分け、それぞれの目標、医療機関に求められる事項等を作成する(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_a-3.pdf)ことになっている。すなわち、①市町村域を超えた広域的連携、②精神医療改革との連動、③医療計画(精神疾患)との連動の観点から、認知症対策においても、市町村と保健所の連携・協働がもっと強調される必要があるように感じる。
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