保健福祉の現場から

感じるままに

感染症危機管理

2014年07月12日 | Weblog
NHK「エボラ出血熱 死者500人超える」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140712/t10015963561000.html)。<以下引用>
<西アフリカの3つの国で感染が拡大しているエボラ出血熱について、WHO=世界保健機関は11日、死者が500人を超えたことを明らかにし、さらなる感染の拡大が懸念されています。西アフリカのギニアでことし3月に流行が始まったエボラ出血熱について、WHOの報道官が11日、スイスのジュネーブで記者会見し、感染した人や感染が疑われる患者がこれまでに888人に上り、このうち539人の死亡が確認されたことを明らかにしました。また、ギニアでは新たに感染が確認されるケースは減っている一方で、隣国のリベリアやシエラレオネでは患者が急増しているとしていて、さらなる感染の拡大が懸念されています。このうちシエラレオネでは、国際的なNGO「国境なき医師団」の医師らが、患者が集中する東部のカイラフンに治療拠点を設置し、この2週間ですでに70人を超える患者の治療を行っていて、患者の増加に伴いベッド数を2倍に増やしたということです。さらに国境なき医師団は、住民に対して患者への接触を控えるとともに、症状が現れた場合には速やかに診察を受けるよう呼びかけています。治療に当たっているスタッフの1人は「より多くの専門家や医療スタッフが必要だ」と述べ、感染の拡大を防ぐために国際社会からのさらなる支援を訴えています。>

WHO「Global Alert and Response」(http://www.who.int/csr/don/archive/year/2014/en/)では、Ebola virus diseaseの更新が続いており、国際化社会では要警戒である。平成18年7月の総務省勧告(http://www.soumu.go.jp/kanku/okinawa/pdf/060905_02.pdf)で、第一種感染症指定医療機関の整備が進んでいないことが問題視されていたが、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2014/03/dl/140313-01_01.pdf)p75に感染症指定医療機関の指定状況が出ており、p74では平成25年4月1日現在、第一種感染症指定医療機関は12県で未指定、p76では「これまでの一類感染症等予防・診断・治療研修事業への参加は31都道府県」に留まっている。感染症法(http://www.ron.gr.jp/law/law/kansensy.htm)第十九条一項、第二十条一項に基づく対応ができないわけではないが、未指定の自治体では、実際にエボラ患者(疑い)が発生した場合は、どうするか、確認が必要であろう。仮に、Ebola haemorrhagic feverで国内発生が疑われた場合の初動対応はどうなるのであろうか。厚生科学審議会感染症部会資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000047119.html)の「感染症対策の見直しについて(たたき台)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000047113.pdf)p2では「知事(緊急時は厚労大臣)による検体等の提出要請(全ての感染症が対象)及び検体等の採取措置(迅速な危機管理体制の構築が必要な感染症が対象)を創設。検体等の採取措置に係る手続を整備。」「知事が採取した検体等について、知事による検査、検査基準の策定、厚労大臣の知事に対する提出の求め等を規定。」とあるが、保健所と衛生研究所の充実が不可欠と感じる。
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精神医療の遅れ

2014年07月12日 | Weblog
キャリアブレイン「精神医療、脱施設化で遅れ- OECD報告書」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/43254.html)。<以下引用>
<2011年末時点の日本の精神病床数は人口10万人当たり269床で、OECD(経済協力開発機構)諸国の平均68床と比べて約4倍だったことが、OECDが取りまとめたメンタルヘルスに関する報告書で明らかになった。報告書は、「日本の精神医療は、患者を病院から地域へ移行させる“脱施設化”の点で他国より遅れている」と指摘している。報告書によると、日本の人口当たりの精神病床数は、依然としてOECD諸国の中で最も多く、2番目に多いベルギーより10万人当たり94床多かった。ただ、1993年からは減少傾向にあるという。OECDの担当者は、「精神病床をさらに減らすためには地域医療の充実が不可欠」としている。報告書は、うつ病や不安神経症といった軽・中等度の精神疾患にも言及。日本は地域で軽・中等度の精神疾患を総合的に診る体制が不十分だとし、▽地域医療を担うすべての医療者の精神医療分野での能力向上▽心理療法を中心とした、エビデンスに基づく治療プログラムの作成―を検討すべきだと強調した。また、OECD諸国の多くは、精神医療の資源が不足していると指摘。各国は精神医療の改善に向けた取り組みを一層強化する必要があるとした。>

「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000almx.html#shingi141270)の7月1日の会議資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000050139.html)には目を通しておきたい。「精神医療について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031076.pdf)、「長期入院精神障害者をめぐる現状」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000042347.pdf)を社会全体が認識する必要があるように感じる。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000031076.pdf)p11「在院期間は1年以上が約20万人、うち5年以上が約11万人」は変えていかなければならない。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000046397.pdf)p4「精神病床に1年以上入院している患者の51.8%が高齢者」、p5「1年以上精神病床に入院している75歳以上の精神疾患患者の47.3%が認知症」も認識する必要がある。障害保健福祉関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/)の平成26年3月7日資料(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/dl/20140307_01_05.pdf)p26~「退院後生活環境相談員の選任」、p30~「地域援助事業者の紹介」、p33~「医療保護入院者退院支援委員会」など、改正精神保健福祉法が施行されて3ヵ月経過したが、どういう状況であろうか。特に、p33~「医療保護入院者退院支援委員会」は、地域支援事業者のほか、保健所・市町村等の参加はどうなっているであろうか。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000036ff1-att/2r98520000036fkg.pdf)での精神疾患についてPDCAがどこまで進むかも一つのカギになり、この際、「精神医療のレセプト分析」と「精神保健福祉資料;630調査データ分析」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/vision/data.html)のセット分析も重要である。とにかく、「長期入院精神障害者の地域移行」は精神医療対策だけでは進まない。圏域レベルで、医療計画・地域医療ビジョンと障害福祉計画、さらには介護保険事業計画、地域福祉計画と合わせた取り組みが不可欠と感じる。
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