保健福祉の現場から

感じるままに

二次医療圏ごとの医療計画の推進体制

2013年08月02日 | Weblog
「社会保障制度改革国民会議」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/)のとりまとめ案(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai19/gijisidai.html)には目を通しておきたい。医療介護分野(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai19/siryou1-2.pdf)では、p6の「病床機能報告制度の導入と地域医療ビジョンの策定」は「次期医療計画の策定時期である平成30 年度を待たず速やかに策定し、直ちに実行に移していくことが望ましい。」とされた。全国知事会の「医療機能分化等に関する医療法改正案について」意見(http://www.nga.gr.jp/news/2013/post-1007.html)(http://www.nga.gr.jp/news/h25%2C6%2C20saiaga.pdf)では、「平成27年度からの地域医療ビジョン作成ありきは拙速」とされていたが、時期が注目である。また、「都道府県の役割強化と国民健康保険の保険者の都道府県移行」は「次期医療計画の策定前に実現すべき」とされており、併せて注目される。P8の「医療と介護の連携と地域包括ケアシステムというネットワークの構築」では「医療・介護サービスの提供者間、提供者と行政間などさまざまな関係者間で生じる連携を誰がどのようにマネージしていくかということが重要となる。」とされている。以前の国民会議資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai15/siryou2-2.pdf)p4では「地域包括ケア計画は、市町村が主体となって、地域の⾼齢化ピーク時までの計画を策定し、介護だけでなく、在宅医療、住まい、⽣活⽀援、予防を位置づけるべき。」「市町村が中⼼となって、地域で医療と介護を⼀体的に提供できる体制の整備を図るべき。」とされ、厚労省医政局通知(http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/saiseikikin/dl/130304_03.pdf)による「在宅医療推進事業」では、「市町村が主体となって、地域医師会等と連携しながら、取り組む」とされたが、今回はp8「市町村等の行政」としている点に注目したい。医療介護分野(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai19/siryou1-2.pdf)p9では「都道府県が策定する地域医療ビジョンや医療計画は、市町村が策定する地域包括ケア計画を踏まえた内容にすべきであるなど、医療提供体制の改革と介護サービスの提供体制の改革が一体的・整合的に進むようにすべきである。いずれにせよ、地域包括ケアシステムの確立は医療・介護サービスの一体改革によって実現するという認識が基本となる。こうした観点に立てば、将来的には、介護保険事業計画と医療計画とが、市町村と都道府県が共同して策定する一体的な「地域医療・包括ケア計画」とも言い得るほどに連携の密度を高めていくべきである。」とある。介護保険事業計画を推進する市町村と二次医療圏医療計画を推進する保健所との連携・協働が不可欠といえる。医療介護分野(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai19/siryou1-2.pdf)p12の「改革の推進体制の整備」では、「まず取り組むべきは、各2 次医療圏における将来の性別、年齢階級別の人口構成や有病率等のデータを基に各地域における医療ニーズを予測し、各地域の医療提供体制がそれに合致しているかを検証した上で、地域事情に応じた先行きの医療・介護サービス提供体制のモデル像を描いていくこと」とあり、2次医療圏での地域医療ビジョンや医療計画が意識されている。なお、「実情に合っていないと評されることもある現今の2 次医療圏の見直しそのものも期待される」とある。二次医療圏は今年4月1日現在で344箇所であるが、二次医療圏の状況について具体的資料(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_a-2.pdf)が出ているように、格差が大きい。昨年の医政局長通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_keikaku.pdf)p6では、「人口規模が20万人未満であり、且つ、二次医療圏内の病院の療養病床及び一般病床の推計流入入院患者割合が20%未満、推計流出入院患者割合が20%以上となっている既設の二次医療圏については、入院に係る医療を提供する一体の区域として成り立っていないと考えられるため、設定の見直しについて検討することが必要である。」とされた。25年度からの医療計画では3県で医療圏見直し(宮城3医療圏減、徳島3医療圏減、栃木1医療圏増)がされた(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000036ff1-att/2r98520000036flo.pdf)が、まずは、適正な二次医療圏の設定が不可欠と感じる。また、厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000036ff1-att/2r98520000036fkg.pdf)p10に示すように、二次医療圏ごとの医療計画の推進体制に関して、事務局としての保健所の存在がクロ-ズアップされなければならないであろう。
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小児がん統計

2013年08月02日 | Weblog
産経新聞「小児がん、3年で8902人 国立がん研究センター初の集計 白血病が最多」(http://sankei.jp.msn.com/life/news/130801/bdy13080122330001-n1.htm)。<以下引用>
<全国のがん診療連携拠点病院で平成21~23年に小児がんと診断された20歳未満の子供が、8902人(男児4796人、女児4106人)いたことが1日、国立がん研究センター(東京都中央区)の集計で分かった。同センターは、がんの種類別、患者の都道府県別の集計も公表。全国の小児がんの実態が分かるのは初めてで、「各自治体のがん対策に役立ててほしい」としている。小児がんの患者数はこれまで、学会などが年間2500~3千人と推計してきた。同センターは、全国のがん診療連携拠点病院の患者登録制度に基づき3年分を集計。登録制度の対象とならない病院に通う患者は含まれないが、小児がん患者の多くは専門的ながん治療が提供できる拠点病院に集まりやすいため、「かなり実数に近いと考えている」(同センター)という。小児がんの種類別では、2454人(27・6%)ともっとも多かったのが白血病。続いて脳腫瘍が2025人(22・8%)で、この2種で小児がんの半数を占めた。都道府県別では、人口の多い自治体で患者も多かったが、病院の所在地別では、東京や福岡などに患者が集中する傾向がみられた。約7割が小児科医と専門医がいる大学病院を受診していた。また、センターは成人を含む全国のがん患者の約7割を診察する395病院の23年のデータも発表。男性は前立腺がん、女性は乳がんで増加が大きかった。>

国立がん研究センターが「がん診療連携拠点病院 院内がん登録 2011年全国集計報告」(http://www.ncc.go.jp/jp/information/press_release_20130801.html)を出している。今回は、拠点病院以外のがん診療施設(155施設)も別途集計されている。がん診療は、がん診療連携拠点病院とは限らないため、「がん登録の法制化」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000003527t-att/2r985200000352di.pdf)が期待される。ところで、小児がん統計については、小児慢性特定疾患治療研究事業(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken05/index.html)(http://www.nch.go.jp/policy/shoumann.htm)による「小児がんの診療件数」があることも認識したい。平成22年度には小児の悪性新生物で、全国12,609人が登録されている(http://www.nch.go.jp/policy/shoumann22/01-akusei22/h2201.htm)。1月12日(土)21時~のNHKスペシャル「シリーズ東日本大震災 空白の初期被ばく」(http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0112/)で報道されたように、我が国は大規模集団の低線量被ばくを経験し、その影響が懸念されている。この際、既存データの継続的情報公開徹底が必要であろう。
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望まない妊娠

2013年08月02日 | Weblog
7月25日に出た「子ども虐待による死亡事例等の検証結果(第9次報告の概要)及び児童虐待相談対応件数等」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000037b58.html)について、概要だけではなく、「社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」報告書(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv37/index_9.html)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/dv37/dl/9-2.pdf)に目を通しておきたい。p157に出ているように、0日・0か月児事例では「望まない妊娠」該当が70%を占める。児童虐待防止対策(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv-jinshin/)は、妊娠前や妊娠中からの対応が重要であることを認識する必要がある。
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特定健診受診率、国保加入率を考慮

2013年08月02日 | Weblog
厚生労働省資料(http://www.mhlw.go.jp/topics/2013/02/dl/tp0215-12-04p.pdf)p16では、平成23年3月の加入者数は、協会けんぽ3,484.5万人、組合健保2,322.6万人、国民健康保険3,645.2万人である。市町村国保の特定健診結果で、血糖コントロールの悪い方が非常に多いことに驚く。しかし、健診受診率、国保加入率を考慮すれば、実際にはとんでもないほど多いことを認識したい。今年5月、日本糖尿病学会が「熊本宣言2013 ―あなたとあなたの大切な人のために Keep your A1c below 7%―」(http://www.jds.or.jp/modules/important/index.php?page=article&storyid=42)を出しているが、合併症予防のための目標であるHbA1c7.0未満の達成には、糖尿病非専門医が主力となる必要がある。そして、あわせて、血圧・脂質コントロール、非喫煙を徹底すれば、合併症は減らせるであろう。「糖尿病網膜症による失明者は年間3,000人以上(新規失明者の約18%)、糖尿病腎症による新規透析導入者は年間16,000人以上(新規透析導入の約44%)、糖尿病足病変による下肢切断者が年間3,000人以上(全切断患者の40~45%)」(http://www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_6B756D616D6F746F323031332E706466)の改善は、まさにかかりつけ医にかかっており、医療連携、保健医療連携、医療福祉連携によって、かかりつけ医をバックアップしなければならない。無論、患者本人が中心である。糖尿病連携手帳(http://www.nittokyo.or.jp/pdf/goods/renkei_techou001.pdf)(http://www.nittokyo.or.jp/ryouyougoods_handbook.html)は、個人参加型であることがポイントと感じる。
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がん検診難民、検診相当診療、保険者によるがん検診

2013年08月02日 | Weblog
キャリアブレイン「がん検診で医師会との連携強化を」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/40548.html)。<以下引用>
<厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」は31日、がん検診受診率を向上させるための意見書の取りまとめに向けた議論を続けた。この中で、個別検診の精度管理を推進する必要性を確認し、意見書には、地区医師会との連携を強化すべきことなどを盛り込むことにした。また、意見書では、がん検診の精度管理には都道府県の支援が必要との見解も明記する。同検討会では、がん検診の提供体制として、集団検診と個別検診がある中で、近年増加している個別検診の精度管理の重要性が増していると強調。一方で、個別検診の精密検査受診率の低迷など精度管理が遅れており、その背景には、市区町村と地区医師会が円滑に連携できていないことがあると指摘している。前回会合で、斎藤博委員(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター検診研究部長)は、個別検診を実施している市区町村のうち、医師会と精度管理で協力している割合は半数に満たないとし、さらに医師会と精密検査の結果を把握しているのは、約2割にとどまっていると報告している。■精度管理向上には、都道府県の支援必要 意見書では、がん検診の精度管理を進めるため、都道府県の生活習慣病検診等管理指導協議会の役割の重要性も打ち出すことになる。がん検診の実施主体である市区町村が、精度管理の技術・体制的指標やプロセス指標を測定した上で、精度向上に向けた具体的な取り組みを行うだけでなく、都道府県が市区町村の指標の達成状況をチェックし、適切に指導したりすることが必要だと強調する。>

7月31日の「がん検診のあり方に関する検討会資料」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000013886.html)には目を通しておきたい。資料(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=147898&name=0000013890.pdf)では、p35の「がん検診難民」、p38の「検診相当診療」、p43の「保険者によるがん検診提供」が注目される。市町村が行うがん検診については、地域保健・健康増進事業報告(http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001030884)で把握されているが、そもそも「検診相当診療」「保険者によるがん検診」は正確に実態把握されてはいないであろう。中間報告書案(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=147921&name=0000013912.pdf)p4「必要に応じて検診機関の精度管理状況を公開すること等により、個々の検診機関の精度管理を向上させるための取組も重要である。」、p8「国全体で受診率の向上を目指していくにあたっては、保険者や事業者が実施するがん検診も併せて推進するとともに、それらの受診状況等を把握していくことが必要である」とあるが、どうなるであろうか。中間報告書案(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=147921&name=0000013912.pdf)p10「今後は具体的な取組として、可能な地域から市区町村・都道府県と被用者保険の保険者や事業者との情報共有を開始」について、全国健康保険協会資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/dai8/kyoukaikenpo2.pdf)p5によると、いくつかの県において、特定健診、がん検診の受診促進や中小企業に対する健康づくり支援事業の連携、特定健診結果等のデータ共有と分析など、保健事業の連携、協働に関する基本協定が締結されている。こうした取り組みが普遍化しなければならない。
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