とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

映画評『ファースト・マン』

2019-02-11 16:22:33 | 映画
 事実が淡々と描かれ、登場人物は多くを語らない。しかし心の中の葛藤は観客に直接伝わってくる。いい映画であった。

 アポロ11号で人類で初めて月面に降り立ったニール・アームストロング船長を描く映画である。娘の死や会社での不遇などを乗り越えてNASAの試験に合格する。そこではつらい訓練が待ち受けているが、それを乗り越えていく。一方ではソ連が宇宙開発に先んじていることに焦りを感じる。そして自身が乗っている宇宙船が事故に見舞われ、また仲間が事故で死ぬ。妻は不安を感じるようになり、世間はアポロ計画に反対するようになる。映画の観客は精神が分裂しそうになるような危機を主人公に感じるが、主人公はじっとこらえて自分の道を突き進む。この精神力に感動する。

 私は月着陸の映像を小学校の時に見た。次の年に大阪万博があり、「月の石」が展示され日本人の注目を集めていた。人類の成功物語として当たり前のように受け止めていたあの出来事の裏には、こんなに人間的なドラマがあったのだ。

 人間のいとおしいほどの「愚かさ」とそれだからこその偉大さを見つめさせられた。
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