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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 112 かぐや姫の物語

2014-01-06 20:44:32 | 映画観賞・感想

 う~ん、なかなか深い映画だった…。映画のキャッチコピー「姫の犯した罪と罰」とは?そのことにこだわりながら高畑勲監督が私たちに提示したものとは?  今回の映画観賞は「利休にたずねよ」か「かぐや姫の物語」にしようか、迷ったがネットのユーザーレビューで評判が良かった「かぐや姫の物語」にしたのだが正解だったようです。

          
 
 昨日1月5日(日)、JR札幌駅に所用があったので、それと併せてシネマフロンティアで正月の話題作の一つ「かぐや姫の物語」を観ることにした。私が新作を観るのは混雑するシネマフロンティアを避けほとんどがユナイテッドシネマなのですが、昨日は正月明けということもあってかシネマフロンティアはそれほどでもなかったのが幸いでした。

 私がまず感じたのは、淡くて美しい画面だった。宮崎アニメのような鮮やかさはないが、淡い色彩の水墨画のような描線で描かれたかぐや姫たちがスクリーンの中で躍動する。そのかぐや姫たちの背景に描かれている自然がなんとも優しく、癒される。解説によると、高畑監督はアニメーターではなく、画を描いたのは天才アニメーターと称される田辺修であり、ジプリの絵職人といわれる男鹿和雄ということだ。

          

 そして強く印象に残ったのが、エンドロールと共に流れる主題歌「命の記憶」である。この歌は二階堂和美が作詞・作曲・歌を担当したそうだが、そのやさしい歌声は映画の余韻を楽しむのにふさわしい声音で私はもちろんのこと一緒に観た人たちの多くが歌が終わるまで立ち上がらなかったほどでした。

               

 さらにもう一つ、亡くなった地井武男さんがかぐや姫の翁の声役で出演していたことだ。多くのアニメの場合、アニメーションが先に出来上がり、それに声を入れていくアフレコが一般的らしいが、本作品の場合は先に声を録音するプレスコという手法を採ったために生前の地井さんの声を録音することができ、地井さんにとっての遺作ともなったそうです。

 さて、「かぐや姫の犯した罪と罰」とは?
 正解はどこにも語られていないのですが、ある方の解釈によると月で暮らしていたかぐや姫が、地球への思いを馳せたことが月では罪となり、その罰として地球に送られ人として生きることを強要されたということのようです。地球へ送られたということは、かぐや姫にとってはある意味で願ったり叶ったりだったのですが…。小さなころかぐや姫は豊かな自然の中で土に触れ、虫に触れ、動物に触れ、風を感じ、食べ物の旨さを感じ、人として生きる喜びを感じていくとして豊かに育ちます。しかし、成長するにつれ自由が奪われ、思いのまま生きることが難しくなってきます。それはある意味、私たち人間にとって共通のことなのかもしれません。(ストーリーはまだまだ続くのですが、続きはぜひ映画館で!)

 高畑勲監督は映画の企画書の中で次のように語っています。
 「それはとりもなおさず、地球に生を受けたにもかわらず、その生を輝かすことができないでいる私たち自身の物語でもありうるのではないか。地球を体験した月の人であるかぐや姫が、命あふれる地球の豊かさや、わたしたち人間の愛憎、善良さと愚かさを照らし出してくれないはずはない」

 高畑監督は映画「かぐや姫の物語」を通して地球賛歌を謳おうとしたようである。
 そして「生を輝かすことができないでいる私たち」を叱咤激励したかったのだと私は受け止めた。



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