田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

前田森林公園「初秋の自然観察会」

2022-09-14 12:04:35 | 環境 & 自然 & 観察会

 相も変らぬネイチャーガイドの石田さんの名ガイドに率いられて初秋の前田森林公園のあちこちを歩き回った。今回のテーマは「種まき準備中」ということで、木々たちはそれぞれに実を付け、子孫繁栄のための準備をしている様を観察して歩いた。

   

 時間がやや経ってしまった。9月11日(日)午前、前田森林公園において「初秋の観察会」が開催され参加した。前田森林公園の観察会が魅力的に思えるのは、何といってもガイドの石田さんの存在である。森林内の植物について非常に博識な上に、ユーモアがあるためにファンも多いようだ。この日も40名近くの参加者があったのではないか。それでも石田さんは声量もある方なので多少離れていてもよくお話が聞こえるのがありがたい。

   

 この日はテーマに沿って、公園内の木々たちが花の季節を終えて、実を付けたところを観察して歩いた。かなり多くの木々を紹介してくれたのだが、その整理に時間が取られてしまった。間違いのない確実なものだけ、写真と共にレポートしたい。

◆カエデ 

  石田さんはカエデの種子を「ヘリコプターの羽」と称していたが、種が木から離れる時の様子が羽がクルクルと回って落ちる様子からそのように表現しているようだ。  

  

  

  ※ カエデの葉のところから鳥が羽を広げたように実が付いています。熟すと葉から離れてヘリコプターの羽根のようクルクルと回りながら飛んでいき、そこで芽を出す仕組みだそうです。

◆オオイタドリ

 虎杖は「いたどり」と書くそうですが、北海道には「虎杖浜」という集落があるが、イタドリがたくさん生えていたところから地名なったのではとの説明だった。ちなみにイチドリは若葉を揉んでつけると血が止まって、痛みを和らげることから「痛取」と書くこともあるという。

  

  ※ オオイタドリは堤防や路傍に背丈高く繁茂している草(雑草?)ですね。

    

◆カンボク

 カンボクは「肝木」とも表記されるが、それは枝葉を煎じた液が止血効果があることからそのように表記されるということだ。

  

  

◆ドイツトウヒ

 別名ヨーロッパトウヒとも呼ばれる木であるが、クリスマスツリーによく使われる木だという。鳩時計の重りはドイツトウヒの種子を模したといわれているそうだ。

  

  

  ※ 写真中央に鳩時計の重りのような種子が見えます。  

◆アズキナシ(ハカリメノキ)

 アズキナシは、果実が小さくアズキ(小豆)ほどの大きさであること、表面にナシのような白色の皮目があるところからそう命名されたそうだ。

 なお、別名のハカリノメノキは、若い枝に目盛りのような皮目があることからそう呼ぶ場合もあるという。   

  

  

◆ボケ

 ガイドの石田氏は「私の木です」と言った後で、木の名前を「ボケ」と紹介して参加者を笑わせた。ボケの実は瓜の形に似ていることから木になる瓜で「木瓜」とも表記されるそうだ。

  

  

◆ヨーロッパクロマツ

 石田氏はヨーロッパクロマツの球果(マツボックリ)をリスが食べ尽くしたものを示してくれた。あの固い球果を噛み砕くリスの歯の強健さに改めて驚いた。 

  

   

  ※ 写真上のようなマツボックリが、リスによって下のように齧られてその中の実を食べているそうです。    

◆アキグミ

 アキグミの実は小さな赤い実であるが、ほかのグミの果実が楕円形なのに対し、アキグミは球形に近い形をしている。食べることはできるが、タンニンを多く含むために強い渋みがあるということだったので試食することはあきらめた。  

  

  

◆キササゲ

 キササゲの果実は非常に目立った。長さ30cmもの細長い実が束になって枝からぶら下がっているので非常に目立った。石田氏によるとその実の中にびっしりと種が詰まっているそうだ。それが時期が来ると殻が弾け一斉に飛び出すそうだ。

  

  

◆イヌリンゴ

 別名「ヒメリンゴ」とも呼ばれるイヌリンゴであるが、公園内では枝が折れんばかりにイヌリンゴが鈴なりに垂れ下がっていた。酸味が強くて人間の食用には適さないが、野生生物たちにとっては格好の食用になっているそうだ。

  

  ※ たわわに実ったイヌリンゴの果実によって枝が垂れ下がっています。

  

◆トチノキ

 一見、クリの実ではと見紛いそうだが、殻がクリと違っていた。トチノキの実は昔、山村などでは栃餅など貴重な食用になっていたようだが、灰汁抜きが大変なために現在は敬遠されているという。トチノキの周りにはたくさんの実が転がっていた。

 なお、トチノキの葉は「掌状複葉」と称して、一枚の葉に深い切れ込みがあり人の掌(てのひら)のように見えることからそう呼ばれているそうだ。そして “複葉”とは言え、実は一枚の葉だそうだ。

  

◆ヒトヨタケ

 林の中に白い妖精(?)のような形をしたキノコが伸びていた。食用に適しているそうだが、名前どおり食に適するのは「一夜(ひとよ)」だけだそうだ。

  

◆プラタナス

 街路樹でよく見かけるプラタナス(スズカケノキ)だが、実が写真のように球状であることは知らなかった。近くの街路樹で観察してみたいと思うが、プラタナスの木が大きく育つのに、実の方は直径3~4cmほどなので果たして見つけることができるかどうか?

  

◆ノブドウ

 ノブドウはヤマブドウとは別種だということだ。実は白色や青色、紫色になるが、調べると白色が本来の色で、青色や紫色は虫が寄生している寄生果らしい。

  

  

◆アロニア

 ベリーなどの一種で、最近は栽培されている方も多いという。黒色に熟した実は生食にはあまり適さず、加工するのが一般的と言われている。

    

◆クルミ

 クルミの実はよく見かけるが木から落ちた時には緑色の外皮に包まれているが、やがて外皮がはがれると濃い渋茶色の固いクルミの実が現われる。あの固いクルミをリスたちは器用に傷つけ中身を食しているという。

  

   

◆スモモ

 私など小さい頃は、夏から秋にかけてよく食した果実であるが、最近の子どもたちはそんなこともないのだろう。スモモの木の周りにはたくさんの落下した果実が散乱していた。

  

  

◆シラカバ

 シラカバは花粉のことが良く報道されたりするが、実の方も大量の実(種子)を木から垂れ下げていて、実が熟してくると中の種が風と共に散乱するという。実際に足元にはシラカバの種が大量に散乱していた。

  

  

  

  ※ シラカバの種子か路上に降り積もるように落ちていました。

◆ツタ

 他の木に寄生して繁殖するツタの木(蔓性)だが、大きな葉の陰に小さな球状の種を作っていた。まだ時期尚早らしく種は緑色だった。

  

  

 以上、とてもたくさんの木や植物の果実や種子の紹介をいただいた。生物たちがさまざまな方法で子孫の繁栄・存続の方法(仕組み)を持っていることを改めて教えられた。今回のレポでは省略するがガイドの石田氏は観察会の途中で、植物(木)たちが「種子散布」の方法にさまざまな方法を用いていることを説いてくれた。すでに知識としては知ってはいたが、改めて植物(木)たちの逞しさを教えられた観察会だった。

 前田森林公園の観察会、興味深く、面白いです !

※ 番外編です。公園内には栽培種であるモモの木が一本だけ植わっており、モモが実を付けていました。石田さんによると公園で植付はしていないという。何かの偶然で生育したようです。

  

  

  

  ※ 立派に実を付けていますね。鳥たちには絶好の餌となるでしょう。