田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

垣間見たアメリカ 9

2012-06-12 21:45:28 | 海外の旅

 6泊7日という短い日程でアメリカの観光ポイントを駆け抜けてきた。それはまさに広大なアメリカの一端を垣間見たに過ぎない。そのようなわずかな体験でアメリカを云々評するのはおこがましい。それでも私なりの感慨は残った。今回の旅を記憶に留めるために旅の記録と共に、垣間見たアメリカを綴ってみたい。  

アクシデント発生!! 

 予定していた飛行機が着陸先(トロント空港)の悪天候のため飛ばないらしい…。
 えーっ、じゃこれからの予定はどうなるの?
 不安は募えども私たちに成す術はなく、添乗員に任せるほかなかった…。

 ここまでのツアーは順調すぎるほどに順調で、天候にも恵まれていた。
 ツアーはいよいよ最後の観光ポイント「ナイアガラ瀑布」観光のため、フェニックス空港からシンシナティ空港を経由してトロント空港に向かうことになっていた。
 シンシナティ空港で飛行機を乗り継いだのだが、その飛行機が一向に飛び立とうとしない。機長からの説明では、機器の不具合を調整しているとのことだった。飛行機内で1時間以上が経過したときも飛行機を降りるよう案内があった。
 そして知らされたのが「トロント空港が悪天候のために欠航する」との連絡だった。
 えーっ!理由が変わったの?と思ったが、よくあることなのかもしれない。機器の整備に時間がかかっていたところ、天候が急変するということも…。

 さあ一大事!ここから添乗員の活躍が始まった。
 私たちのツアーに付き添ってくれた添乗員はうら若き女性だったが、添乗員暦12年の経験を持つ方だった。(経験12年ではではうら若きではないか?しかし彼女は十分に若かった…) とても聡明な感じがするうえ機知に富み、英語力も素晴らしく交渉力も抜群に見える才色兼備の女性だった。
 私たちは彼女に全てを委ねて事態が好転することを祈った。

          
 ※ デルタ航空が用意してくれたホテルは世界2,800カ所にホテルを展開しているというMarriott Cincinnati Airportという第一級のホテルだった。

 彼女はこの非常事態を受け、次の三案を考え、その可能性を探るため同時進行で交渉を開始した。その三つの案とは…
 《第一案》バスをチャーターして深夜走り続け(約10時間)ナイアガラを目ざす。(この場合はナイアガラでの行動は当初予定通りに行える)
 《第二案》航空会社の提供するホテルに宿泊した上で、翌朝できるだけ早い別の航空会社の便でトロントを目ざす。(この場合はナイアガラでの予定を変更しなければならない)
 《第三案》契約しているデルタ航空の便を利用すると翌日夜のナイアガラ入りとなる。(この場合はナイアガラ観光をあきらめなければならない)

          
          ※ 皮肉にも今回の旅行で5泊した中では最も高級のホテルだった。

 《第一案》の実現を第一に考えながら交渉を進めるとのことだった。
交渉といっても多岐に渡るようだった。地元バス会社、デルタ航空、航空他社、日本の本社、等々とのやり取りをこなしながら実現性を探っているようだった。
 私たちは交渉を遠くから見つめるしかなかったのだが、彼女はデルタ航空のカウンターに張り付いたままひと時の休みもなく交渉しているようだった。

          
          ※ Marriott Cincinnati Airportのエントランスです。

 結局第一案は運転手の手配がつかず断念せざるをえず、第二案での交渉に絞ったようだ。
 今回の旅はデルタ航空だけを利用する契約で経費のコストダウンを図っていたものと思われるが、翌朝早い便がデルタ航空にはないため他社の便を使うという難しい交渉になったようだ。
 交渉が遅々として進まない。空港内に佇む私たちにイライラが募るころだったが、「垣間見たアメリカ 3」で記したように関西のおかん連がピンチを救ってくれた。
 深夜0時を過ぎていただろうか、第二案での見通しがついたとの添乗員からの連絡で、私たちは空港近くにデルタ航空が用意してくれたホテルに急遽宿泊することになった。
 結局この日眠りについたのは午前2時を廻っていた。

 第二案の見通しがついたということは別の航空会社の便に乗り換えるということだ。後から判明したことだが、そのためにシンシナティから直接トロントへは飛ばず、一度シンシナティからシカゴに飛んで、シカゴからAmerican Air Wayに乗り換えてトロントを目ざすルートとなった。
 この変更の手続きは大変だったようだ。予約便のキャンセル、そして新たな便へのリザーブのためにコンピューターへの打ち込みと、添乗員の彼女は私たちが休んでいる間も一睡もせずに作業に没頭したとのことだった。

 さて、このアクシデントによってどのような影響があったかというと…。
 ナイアガラの滝を船に乗って間近に見ることが時間的に不可能になったこと。ナイアガラでの半日の自由行動の予定がなくなってしまったこと。この二つがキャンセルになったことは大変残念なことだが、ナイアガラの滝そのものはなんとか見ることができることでホッとした。

 このアクシデントによるデルタ航空、阪急旅行社の私たちへの償いは…。
 デルタ航空がホテルの提供、翌日の朝・昼食のバウチャーチケット(24ドル分?)、それに何にでも使用できるフリーバウチャー(25ドル)が提供された。
 阪急旅行社からはナイアガラの船代、オプショナルツアーの代金の返金はもちろんだが、反対に全員をオプショナルツアーに招待してくれたこと、帰宅してから心付けが送金されてくることが知らされた。

 これだけアクシデントがありながら私たちは非常に冷静だった。
 それは天候という自然現象に対して諦観せざるを得ないという大人の対応だったと思う。
 さらには何度も言うが関西のおかん連のどこまでも明るい振る舞いが私たちの気持ちを落ち込ませなかったこと。
 そして最も特筆すべきは添乗員の機敏で適切な対応が「この人に任せよう」という雰囲気を醸し出してくれたことだろう。
 旅行中にはさまざまなアクシデントの発生が予想される。こうしたアクシデントという危機に対してどのように対応するかこそが最も問われる添乗員の資質なのでは、と思い知らされた今回の出来事だった。
          
 あ~、それにしても最小限の被害で切り抜けることができてホッとした。
 そして思いもしなかった(これこそ想定外?)旅の思い出を創ることができた。