蔵っ子日記

これは中堅(?)蔵人の日々を綴った素朴な日記です。
だんだん「蔵っ子」と言えない歳になってきたか?でもよろしくね。

蔵のお買い物

2009年01月31日 22時37分31秒 | 日本酒
今日で1月も終り。蔵入り後、11月、12月、1月と3ヶ月が過ぎました。早いものです。仕込本数を見れば、残り数えるほどになりましたが、まだまだ上槽(しぼり)が残っています。しかもこれからは大吟醸やら純米吟醸やら、良いものが目白押し。手間もかけたいし、気が抜けませぬ…。

さて、蔵仕事をしていると買い物に行く必要が出てきます。近隣の店の勝手が分かっているので、だいたい私が担当。「蔵っ子君、今度××買って来て~」とこういう感じ。
うちの蔵は街中にあるので特別時間はかかりません。車で10分も走れば、ホームセンター、ドラッグストア、コンビニ、スーパーが何店もあります。嗚呼なんと素晴らしい!

よく購入するもの。

①PPロープ ②絶縁テープ ③布テープ ④電池 ⑤電球 ⑥タワシ ➆絆創膏 ⑧釘(ステンレス製) ⑨針金(ステンレス) そして ⑩お菓子

まあ結んだり、貼ったり、打ったり、つないだり、交換したりってことで。
しかしなんだかんだでお菓子が一番多いけど…。


酒母の面(つら)を見ませう③ 「湧き付き休み」

2009年01月30日 21時27分00秒 | 日本酒
今日は雨。いつもより暖かい。

大相撲関連のニュースですが、島根県から十両が出ました!(祝)
新十両「隠岐の海」! 隠岐の島は祝賀ムード。我々蔵人も喜んでおります。
詳しくはこちら→「隠岐の島町ホームページ」

さて、今日ももうひとつ酒母の話をしてみようと思います。
「湧き付き」から2~3日後には、酵母はものすごく元気に活動し始めます。この時期には品温も上げて、酵母の働きをサポート。見る見るうちに泡が立ち、香りが立ち、世話しているこちらも勢いづきます(写真)。こういう状態の時は、人為的に温めたりしなくても、酵母たちの熱で温度もあがります。酵母たちの、増殖・発酵が盛んに行われているわけですね。このときの元気のよさが、酒母の良し悪しの目安になり、後々のもろみの発酵経過にも影響してきます。

さあ次の面(つら)はどんな感じなのやら?

酒母の面(つら)を見よう② 「湧き付き」

2009年01月27日 20時00分07秒 | 日本酒
朝青龍が勝ちましたね。やはり蔵生活に大相撲は欠かせません。ある意味盛り上がった今場所でした。(視聴率も良かったようで)

さて、前回の日記に引き続き、酒母の話。
写真では分かりにくいかもしれませんが、これが「湧き付き(わきつき)」と言います。「膨れ」から1~2日後の出来事です。簡単に言うと、湧いてます。じ~っと見ていると、ぶつぶつ音がしますし、小さな泡がプクっと浮いてきます。理由は分かりませんが、見てるとなんとなく気持ちいいです。そして味は…、甘~い、うま~い♪ 私は個人的にこのころの味が一番好きです。一言で言うと優しい乳酸菌飲料ですかね。

ここから酵母たちは元気になり増殖し、温度はぐぐぐ~っと上がってきます。泡も、もこもこもこもこっと立ち上がってきます。ある意味、酒母の青年期、変化は激しいです。続きはまた③で。

酒母の面(つら)を見る① 「膨れ」

2009年01月24日 21時31分57秒 | 日本酒
昨晩から冷え込むとの天気予報。見事に当たった出雲です。
朝の気温は6℃。外は粉雪。水道も一部凍結。こりゃ参ったね。
この週末はどうやら寒そうだ。

さて、酒母仕込みも順調。今日はひとつ専門的なお話。
速醸酒母の経過をご説明します。

写真は「膨れ(ふくれ)」という状態です。
仕込んでから5~6日後に出てきますが、なんとなく表面が膨らみ、亀裂(筋)が入ります。櫂を入れると、ブブブ…とガスが抜ける音がします。いい感じだな~と思います。

そうこうしているうちに6~7日後に「湧き付き(わきつき)」という状態になります。見た目、泡が立ち、湧いている状態になるのです。成分も進みます。

一日一日のこういう変化を見ていると飽きません。味も変わりますし、うまくいっていると本当に面白いです。続きはまたいずれ。

酵母は生き物2

2009年01月21日 20時13分38秒 | 日本酒
蔵入り後72日目。疲れの溜まる頃ではありますが、怪我・事故のないように気を付けねば。たまたま酒造計画上、少し余裕を設けられたのて、蔵人も順次お休みを取ってます。

さて、酒母仕込みも、あと残り少なくなりました。本仕込が連続するということは、つまり、酒母仕込が連続するということです。つまり、酒母の麹米を洗ったらスタートで、もう途中止めというわけにはいきません。反対に酒母仕込みの間隔を空ければ、本仕込みに余裕が出来ます。体力とも相談の上(?)計画は立てなくてはいけませんね。

写真も酵母です。前の日記とは格好が違ってますが、これは「きょうかい酵母」と呼ばれる日本醸造協会から買う酵母です。長年の研究の成果により、この中に清酒向きの純粋且つ安全、安心、高品質な酵母が冷蔵保存されています。それぞれ酒の味、香り、もろみの経過など違うものです。この酵母が違えば、また違った顔の酒が出来るわけです。名前が7号、9号、14号、601号、1001号とか…。お酒の裏張りに書いてある場合もあります。こだわりすぎも大変ですが、どうぞ注目してみてくださいね。



出雲大社に行って来ました

2009年01月18日 21時59分11秒 | 日本酒
(↑おみやげクッキーの名前ではありません)

昨日の話ですが、とある用事で出雲大社に行ってまいりました。久しぶりに晴れ♪
蔵から出雲大社までは車で20分程度。実に近いところにあります。
詳しい知識はないのですが、その昔、文献に日本一大きな建造物として名前が残っていたとか、天皇家との血縁があるとか、とにかく全国的にも有名な偉大な大社(おおやしろ)であることは間違いありません。そこに車で簡単に行けるなんて、ある意味幸せですね。

私はここで生まれ育ったものではないので、特にまたそのすごさを感じるわけですが、建物のみならずバックの大きな山、非常に神秘性を感じますし、また参道の立派な松にも(写真:奥に小さく見えるのは本殿)、歴史、自然の重みを感じます。新しく作れない、財産ですね。

そして神様にはお酒(御神酒)が付きもの。民衆が呑めなくても、太古の昔からここでは神様に酒を奉納していたのでしょうね。自分たちがこの現代でまた酒を造ることができるのはいろいろなもののおかげ。地酒蔵として絶やしてはいけないし、感謝しないといけませんね。ふとそういうことを思いつつ、今日は特別に夜中・早朝作業があるぞ!頑張らねば~。

島根ふるさとフェア2009 in 広島 開催!

2009年01月13日 20時54分56秒 | event
昨日は嬉しいニュースがありました。
故郷の広島皆実高校が高校サッカーで全国優勝です!おめでとうございます!
別に私はOBでもなし、サッカー部でもなし、縁者もなし、ですが、それでもうれしいものです。さぞ広島は盛り上がっていることでしょう。

さて、偶然か、そんな広島でイベントです。島根県にとっては、けっこう大掛かりなものです…それは…。

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島根ふるさとフェア2009 in 広島
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 日時:平成21年1月17日(土)・18日(日) 10:00~17:00
 会場:広島県立総合体育館 他

 詳しくはこちら> TSS 島根ふるさとフェア 告知ページ(アクセス等も)  

島根県全体が一丸となって取り組むこの企画。ステージイベントも数多くありますし、出店数も多数。いろんな企画が目白押しです。もちろん、島根名物、しじみに出雲そば、ぶどう、新米、そして「地酒」!、食べるものもいっぱい出ます。是非、おなかをすかせてお出かけ下さい。ついつい予算の1.5倍はお買い物しちゃうかも?

おっと、宣伝を忘れていましたが、「十旭日」はしぼりたて生酒をご用意。やや甘めの仕上がり、新酒ならではの香り、味わいがいいですね。にごり酒もご用意。甘くないにごり、微炭酸を感じる活きているお酒です。この時期ならでは!もちろん試飲もできますよ♪ 是非どうぞ。(蔵っ子夫婦は残念ながら出張できません。とほほ)



何も見えね~!

2009年01月12日 20時41分35秒 | 日本酒
みなさんは3連休の最後の日?でしょうか。うちも今日は店がお休みなので、配達、瓶詰め等のバタバタがない。どことなく寂しいですが仕事がはかどる、ってこともあります。電話のかからない休日に出て、デスクの残務整理をするみたいな感じ?

さて、今日は寒かった!この冬一番でしょうね。酒母室の朝の室温、4.5℃。寒いというより、なんとなく痛い…。酵母たちも大変なことでしょう(予想)。

こういう日の「蒸し」は、蒸気がすぐに水滴に変わり、そこらじゅうが湿り、天井からはポタポタと雫が垂れます。そして視界は…。すぐそこに人がいても分からないくらいの状態(写真)。まさに「何も見えね~!」という感じでした。(「何も言えね~」競泳:北島さん風に。去年のネタだな、古!)

このくらい寒い方が管理しやすいもろみもあります。進み具合によるわけですね。冷却に入っているもろみにはグッド!12℃くらいで保ちたいもろみには寒すぎる~。さて明日は?

P.S この部屋の暖房(ストーブ)では、十分暖まらない…、よってこの辺で、おやすみなさい…。


久しぶりに来た!大雪。

2009年01月10日 20時53分14秒 | 日本酒
来ましたね、久しぶりの大荒れの天気。
昨晩から荒れてましたが、雷ゴロゴロ、そして強風、あられ。うちの蔵も見事な「歴史的建造物」なので、いたるところでミシミシと音が。寝ながら「こりゃ、倒れるかも、何か吹き飛ぶかも」と本気で思ってました(でも寝てました)

そして朝から、ずーーーと雪。まあ飽きもせず、という感じですが、(一応)屋内の仕事ですから、どうこうはありません。寒いくらいです。むしろ、酒造りには最適の環境でしたね。

写真は蔵の北側です。蔵のある場所は街(商店街)の真ん中。もっとみんなが心地よくお買い物、散策等できるように、少しづつですが街並みの整備も始まっております。うちの蔵もペンキ塗り替えたり、シャッター替えたり、できる限り努力を…。見栄えも少しよくなりましたので、また皆さんご覧になってくださいね。

ちなみに隣(蔵の西側:写真右)は、市の計画?で芝生付き公園(題して「中町公園」)となりました。春になったら若いですが桜が咲きます。花見酒だな、うん。

酵母は生き物。

2009年01月08日 20時52分38秒 | 日本酒
蔵入りより59日目。今日のお昼休みのN○Kをごらんになりましたか?酒蔵が出ていたそうですよ~(私は見ていない)。仕込真っ最中!ということで、見た蔵人曰く「ほ~」「ふーん」「そーくるか」と、実に細かいところまでチェック!蔵によってやり方は違うので、ついつい気になる。あとで話が弾みました。

さて、今日も酒母仕込がありました。写真左は「酵母」です。しかもこれは「培養酵母」です。簡単に言うと、数も多いし元気になってて「仕込いつでもO.Kだぜ」と言っている酵母たちです。

すこし黄色がかっていて、にごりのようなものが沈殿しています。この沈殿こそが酵母の集合体なのです。恐ろしく小さなものですが、集まると目に「にごり」として見えるわけですね。

そして生き物なので長い間は持ちません。生きのいいうちにさっさと使用して、酒造りに活躍してもらうわけです。こういう酵母を添加せずに、室内に漂っている酵母で酒を造る方法もあります(酵母無添加)。ロマンは感じますが、思ったように清酒向きの酵母が降りて来るのかどうか…。しっかり経験を積んで、いつかやってみたいですね。「JA(じゅうじあさひ)酵母」か~、どんな性格なんだろう。(すでに名前付けてる…)