蔵っ子日記

これは中堅(?)蔵人の日々を綴った素朴な日記です。
だんだん「蔵っ子」と言えない歳になってきたか?でもよろしくね。

今年も…、何とか…、仕舞祝。

2009年02月26日 22時18分39秒 | 日本酒
蔵入りより107日目。
昨日のことですが、無事、今年の仕込が終了致しました。甑倒しです。
そしてその夜は、社員も参加で仕舞祝を致しました。(しかし飲み量はほどほどに)

今年もいろいろありましたなぁ。

意気込みは今までで最高!で蔵入りしましたが、酒造計画がなかなかまとまらなかったり、12月の店(販売)の忙しい時期に、蔵も最高に忙しい状態になってしまったり、もろみの経過に???がいっぱいだったり、新しいことをいろいろ試してみたり…。

体を動かしながらも考えることが多かった今年。やりがい、面白み、余裕、酒造りの技術の向上、造り手不足、もろもろ理想の将来像…。今年、なにか一歩が踏み出せたのだろうか?1年が経つのは早い。今一度、考えを整理する時間を作らなければ…。

ともかくまだ3月いっぱいまでは上槽(しぼり)が続きます。

そして搾ったら貯蔵です。火入(加熱処理)です。瓶詰めです。販売です。イベントです。東京です。その前に並行して蔵の片付けです。まだ私の泊りこみは続く…。

(写真)最後のお米が蒸しあがったところ。

いよいよ大詰め!

2009年02月23日 22時17分17秒 | 日本酒
今日も仕込がありました。うちの中では人気商品の「純米吟醸 改良雄町60%」のもろみです。 例年最後の方に仕込むのですが…、いよいよ、残りは1本!

蔵の大きさを考える時に、大体「清酒製造数量」を使います。何リットル造ったのか?実際には何キロリットル、という単位になります。私たちの蔵と、大手蔵では、ケタが違いますが…。(百倍以上!?)

また仕込本数は製造期間の参考になります。多ければ(一般的に)仕込期間が長いです。しかし、大きくても1本、小さくても1本。白米を1800㎏使っても、180㎏使っても同じ1本。手間(工程)は同じなので、出来るだけ大きい仕込みにして出来る酒の量を増やすのが今までですが、最近は「良いものを少量」的な考え方も必要となってきています。飲み手の方も、量で呑むのか、質で呑むのか…、変わってきましたね。

とにかくも、今年自分たちの出来る精一杯の計画もあと1本。本数、酵母の種類、お米の種類、造り方 等、いろんなチャレンジの結果がまた楽しみです。みなさんに良い報告が出来ますように。

(写真)留仕込みの水麹(みずこうじ)立て。
  前日仕込んだ仲仕込のもろみと、留仕込み分の水、麹を事前に混ぜておく作業のこと。
  このあとに蒸米が入ってきます。

粕汁はやっぱり蔵元のもんでしょ。

2009年02月21日 20時46分00秒 | event
しばらく記事をアップできず申し訳ありませんでした。
蔵入りして103日目…。いよいよ最後の直線、ラストスパートです!
本日は、最後の「もと卸し」がありました。もと屋として頑張ってきて、なんだか感慨深い…、今年も色々な苦労があったなあ…。

しかしその話よりも面白い話があったのでこちらをご紹介♪(あっさり)

本日、出雲市新庁舎オープン記念「出雲鍋料理フェスティバル」が開催されました。
現出雲市役所の敷地(&屋内)を使用し、鍋&汁のオンパレード!
参加者募集、ということでしたので、思わず旭日酒造として「粕汁」を出店して、
みなさまに食して頂くことに致しました♪(写真)

12時からの開催でしたが、私が蔵でお昼を食べて様子を見に行ってみたところ大入満員。そして我が旭日酒造ブースは…、人少ないな…、と思ったら、開始20分足らずで品切れ終了だったそうで…すごい!

この日はおかっつあんが腕をふるい、自ら立ち、従業員の方にも手伝ってもらって出店したわけですが、思った以上に好評ですごく良かったと思います。美味しい「粕汁」を皆さんに知ってもらうために、是非、こういう場を作らねば、と常日頃思っていた私にとっては、大変良い企画でした。蔵もまだ終了していませんし、準備は大変だったと思いますが、本当にお疲れ様でした…。(あら、おかっつあんが写真が写って無い!しまった…)

P.S まだ「酒粕」ありますので是非、お家でお試しあれ~




暖かくて「あばかん」!

2009年02月15日 21時39分51秒 | 日本酒
蔵入りから97日目。ここに来てこの暖かさは何なんだ…
もと場室温15度!11月の蔵入り直後並ですな。

蔵っ子の出雲弁講座。こんなときは、「ぬくうて、あばかんの~」と言います。

温うて(ぬくうて)は分かりますが、「あばかん」は何でしょう?

ヒント:その他の例文として、

「米が手にさばってあばかん」
「イカがたくさん採れてあばかん」
「泡がしたってけー、ぬるぬるがとれんでー、あばかん」

と、こういう感じで使います。分かりやすいですね。

今日は、酒母卸しがありました。またひとつ酒母完成です(写真)
酒母ものこりわずか、もと屋としての仕事もラストスパートです!
明日からは寒くなるそうな、天気予報は雪ダルマです。どうなることやら。

P.S 午後は蔵見学含むお客様が数組。京都、大阪他より、感謝、感謝♪

(回答)
「あばかん」の意 … たいへんだ、かなわん、たまらん、処理に困る 等です。


蔵人的 「あると思います!」

2009年02月13日 21時12分43秒 | 日本酒
今日は春一番?。とにかく暖かい日でした。蔵内気温は13~14℃。そりゃないぜ~、と思いつつも、もう春か…?

さて、他愛もない話ですが、蔵人生活をしていると思わずそうなる、ということを思いつくままに挙げてみました。エ○タの神様とかに出演してたお笑い芸人:天津○村風に「あると思います!」でまとめてみました(個人的に好きだったので…)

1.気温が10℃を越えると、ちょっと憂鬱になる…。
2.消毒というと、すぐ熱湯に入れたがる…。
3.臭いが気になると、思わず「○○臭」と名づけてしまう…。
4.発酵食品に仲間意識を感じる…。
5.上槽(しぼり)すると、気持ちが穏やかになる…。
6.さっき朝食を食べたばかりなのに、蒸し上がりのお米を見ると、味わって確認してしまう…。
7.方言の使いまわしが同年代のレベルを超える…。

「あると思います!」


つまらんことを…疲れがたまってきたなあ…早く寝よう。







祝!原田杜氏 島根県卓越技能者表彰!

2009年02月12日 20時41分07秒 | Weblog
今日はすばらしい日でした!

旭日酒造に勤めること四十数年、長年の努力と技術が評価され、原田杜氏が島根県の卓越技能者として県知事表彰を受けました!(祝!)

表彰式典は松江市であり、忙しくて私は同行することが出来ませんでしたが、卓越技能者とは、いわゆる職人の鑑。「技」を身につけることの大変さを、そばにいて色々な瞬間に感じます。技術だけでなく、人間的にも蔵人をまとめ、最大の成果を上げる。優秀な人間だけが酒造りをしているわけでない、得意もあれば不得意もある、世代間の考え方の差もある、蔵人たちの様々な特徴をうまく活かし、一緒に生活しながらやっていくこと、口では言えない苦労も多かったと思います。本当に感謝し、祝福したいと思います。

今年もいろんな課題を経験と直感、技術で乗り越え、良い酒が出来上がっています。私たちもその強さ、良さを伝え、一人でも多くの方に「十旭日」を呑んで頂けるように努力しなければ…、バチがあたりますね。

今晩は祝晩酌が少し多めで…いい気持ちなので、さっさと仕事じまい…。

(写真)島根県酒造組合より(杜氏は向かって右から四番目)。ありがとうございました。




「天地人」見てますか~

2009年02月09日 20時41分55秒 | 日本酒
昨日は日曜日。蔵での生活中、唯一と言っていい欠かさず見てるテレビ番組。NHK大河ドラマである。皆さん見てますか? 前回の「篤姫」もかなりハマリましたが、今回の「天地人」も今のところ◎ですね。そろそろ大河ドラマが面白く感じる年齢なのだろうか?

「天地人」…この言葉は聞いた事はありましたが、意味はあやふや。このドラマの原作者の説明によれば、「天の時、地の利、人の和の三つが整った時に物事はうまくいく」とのこと、なるほど。自分たちのような小さな地酒蔵はまさにそれか!

新しい顔の酒への挑戦、世代の交代や、会社の仕組みを変えるタイミング(天)、出雲という土地、歴史、出雲杜氏の酒造技術の特徴を活かす事(地)、そして蔵人・社員・お客様との(和)を大切にすること、確かにこれらを大事にし、努力すればうまくいくような予感がします。特に個人的には「和」を大事に、酒造りその他頑張って行きたいですね。まだまだ足りないところばかりですが。

ということで、「天地人」 おすすめですよ。

大吟醸は綺麗だな

2009年02月08日 21時14分53秒 | 日本酒
蔵入り後90日目。いよいよ今月で仕込みも終了します。いよいよか・・・。
2月は逃げる、で、これまたあっという間なんだろうな・・・。

さて先日、上槽続きで大変だとはいいましたが、この時期、大吟醸の上槽もありました。準備万端整えて、手間をかけて、じっくり、大切に搾ります。疲れる~なんて言ってられません。そしてこの黄金色のお酒を見た時には、やっぱりいいなあ~と思うわけです(写真)。疲労感も少し回復。

よく古酒なんかが、あえて茶色の色を見せるために透明の瓶に入って販売されてたりします。見た目、ウィスキーみたいな感じ。普通、透明の瓶は、酒が紫外線の影響を受けやすく着色の恐れがあるので使用しないのですが、あ・え・て、この大吟醸(純米大吟醸)などのハイクラスのお酒を瓶詰めして売ってみてはどうなのだろう? 黄金色は高級そうで美味しそうな色だと思うけどなあ・・・、だめかなあ・・・。(すぐまた色が変わるのかな?)

上槽続きでハードスケジュール!

2009年02月05日 23時23分47秒 | 日本酒
2月になりましたね。というか、もう5日ですね、早い…。
蔵の仕事はというと、上槽(しぼり)が佳境!連続しております!

仕込計画を立てるときに、だいたいもろみ期間を20日から35日くらいの幅(余裕)を持って立てます。つまり「仕込1号は留仕込み後20日で上槽。仕込2号は純米酒なので仕込後30日で上槽…」という具合。あくまで予想ですが。

そして仕込みの順番どおりに搾ることになるのが普通(&理想)ですが、麹・酒母の出来、原料米の特徴、気温、その他の要素でそのとおりにいかない事があります。まさに今そんな感じで、計画立案時には予想していなかった各々のもろみの進み具合で、連続して搾っております。その中には最高級「大吟醸」などもあったりして、精神的にもハードでした…。

ということで、コンビニにお菓子を買いに行き、ストレス解消。
もうひとふんばりで乗り切ったら、焼肉でも食べに行きたいなあ…、なんて。

(写真)大吟醸「槽しぼり」の図。「袋吊り」もしてますよ、もちろん。