サード・コンサート フィルハーモニック -5-
セカンド・コンサートはオルガンの演奏。ホールの響きを確かめる上で重要であると思うのだがあまり興味がないためスキップ。オルガン・プレイヤーは3名。
パワー・ビックス
キャサリン・クローチァ
ヴァージル・フォックス
ということで、同日夜のサード・コンサートはこんな感じ。
1962年9月24日(月) 8:30P.M.
ベートーヴェン/交響曲第3番エロイカ
バーバー/ピアノ協奏曲(世界初演)
シュトラウス/ティル
ピアノ、ジョン・ブラウニング
エーリッヒ・ラインスドルフ指揮
ボストン交響楽団
前半にエロイカをもってきたやる気度満点の演奏。
この目立たないが厳格なウィーン生まれの指揮者の祝祭的な感覚を味わうのもたまにはいいだろう。腰より下はほとんど動かすことなく上半身のしぐさのみでの指揮姿。ユニークである。3曲のプログラムビルディングはあまりバランスの良いものではないが、今日だから許せる。
2曲目のバーバー。バーバーといえばあのアダージョだが、こうやってあらためて彼の曲を聴くと、彼の作品をすべて聴いてみたくなる。ピアノの腕も大変なものらしいからこのコンツェルトも間違いないだろう。ただ頻繁に繰り返されるかどうかはわからない。アメリカから生まれる音楽はある意味、全てが現代音楽であるから我々はその浮き沈みのまさに怒涛の真ん中にいる。
ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら、を最後にもってくるあたりフルトヴェングラーをほうふつとさせる。大曲、メイン・イヴェントの曲が終ったあとの整理体操。なんとなくわかる。やるほうも聴くほうも、頭の中を空っぽにして演奏を聴きたくなることもあるのだ。
それにしてもボストンの音はしっとりとしていて、細い糸が隙間なく束ねられているような濡れた音でシックなサウンド。いい感じだ。
(続く)