NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と超低電圧デバイス技術研究組合は、新しいトランジスタ構造を用いた集積回路(ロジック)を開発、IT機器の消費電力1/10に道を開く、0.37V(従来の1/3)の超低電圧での動作を実証した。
同時に、従来の電荷保持型ではなく、超低電圧でのデータ記憶を可能とする抵抗変化型不揮発デバイス(メモリ)を開発した。
これにより、消費電力が1桁以上小さなLSIが実現でき、電池1本でも長期間動作できる機器や、電池を持たない環境発電を活用した機器などへの応用の道が開ける。
これまで、LSIの高性能化・低電力化は、微細化によって実現してきた。しかし、LSIの微細化は、トランジスタ等の特性ばらつきや漏れ(リーク)電流の増大といった本質的な課題に直面しており、微細化のみでの低電力化は難しくなってきている。
そこで同事業では、LSIの消費電力低減に最も効果的な手段として、動作電圧0.4V以下を実現する集積回路(ロジック)や不揮発デバイス(メモリ)の開発を実施している。
今回の成果は、次の通り。
< 超低電圧動作の新型トランジスタ>
①薄膜BOX-SOI (SOTB) を用いた2MビットSRAMの超低電(0.37V)動作を実証
<超低電圧動作の抵抗変化型不揮発デバイス>
②再構成(論理の組み換え)可能な低電圧動作LSIの超小型化に成功
③1次メモリ向け、微細化可能で高集積化を実現できるスピン注入型MRAMを開発
④混載メモリの大容量化を実現できる4値/セルのスピン注入型MRAMを開発
⑤データセンター向けSSDへの適用を目指した相変化デバイスの低電力動作を実証
今後は、各要素技術の集積化及び信頼性に関する検証を進めることで、それぞれのデバイスの特徴を活かした、実用化を目指す実証開発を進め、これにより、消費電力が1桁以上小さなLSIの実現、そのLSIを使った電池1本でも長期間動作できる機器や、電池を持たない環境発電を活用した機器などの実現に繋いでいく予定。