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●科学技術ニュース●東京大学、大阪大学とNICT、何の匂いと思って嗅ぐかによって一次嗅覚野の脳活動が変化することを解明

2024-05-10 09:58:49 |    生物・医学
 東京大学大学院農学生命科学研究科の岡本雅子准教授、東原和成教授、大阪大学大学院生命機能研究科の西本伸志教授、情報通信研究機構(NICT:エヌアイシーティー)未来ICT研究所脳情報通信融合研究センターの黄田育宏副室長らの研究グループは、超高磁場のfMRIを用いた検証を行い、同じ匂いを嗅いでも、異なる言葉ラベルを与えられると、匂いの感じ方、および一次嗅覚野の脳活動が変化することを明らかにした。

 匂いの感じ方は、鼻腔に取り込まれた匂い物質の種類だけで決まるわけではなく、言葉ラベルなどにより、その匂いを何の匂いと思って嗅ぐかが変わると、変わることが知られている。

 一方で、言葉ラベルが脳内での匂いの情報処理にどのような影響を与えるのかについては十分に解明されていなかった。

 匂いの脳内情報伝達経路の中でも上流に位置する一次嗅覚野に言葉ラベルの影響があったことは、ヒトにおける匂いの脳内情報処理機構を包括的に理解するための足がかりとなることが期待される。

 また、産業応用の面においては、今回用いられた脳活動から匂いの微細な違いを読み出す技術が、香料のもたらす印象を予測する技術へとつながることが期待される。

 同じ匂いに異なる思い込みを与えるために、1つの匂いに対して、その匂いの名前として違和感のない2つの言葉ラベルをそれぞれ同時に呈示した。

 同じ匂いに異なる言葉ラベルが与えられた際の主観評定、および一次嗅覚野の脳活動を比較した。

 これらの成果によって、ヒトの匂いの脳内情報処理の一端が明らかになった。

 匂いの脳内情報伝達経路の中でも上流に位置する一次嗅覚野に言葉ラベルの影響があったことは、ヒトにおける匂いの脳内情報処理機構、ひいてはヒトがどのように世界を認識するのかを包括的に理解するための足がかりとなることが期待される。

 また、産業応用の面においては、今回用いられた脳活動から匂いの微細な違いを読み出す技術が、香料のもたらす印象を予測する技術への足がかりになることが期待される。<情報通信研究機構(NICT)>
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