名古屋大学の研究チームは、超高速な流体制御技術を用いて、細胞を高速かつ高生存率で分取する世界最高性能の細胞分取技術の開発に成功した。
同研究チームは、マイクロ流体チップを用いて、わずか16マイクロ秒(1マイクロ秒は100万分の1秒)で、超高速に流体を切り替えることで、大きな細胞を高速かつ高生存率で分取することに成功した。
藻類細胞としてミドリムシおよび動物細胞として胃がん細胞を対象とした分取実験では、成功率、純度、生存率のすべてにおいて、9割以上の世界最高レベルの分取性能を実現し、従来のトレードオフを打破する細胞分取技術の開発に成功した。
同研究で開発したオンチップセルソーターは、従来技術では難しかった比較的大きな細胞を高速かつ高生存率で分取することを可能とする。これにより、細胞の特性解析に貢献するのみならず、細胞集団の中から循環腫瘍細胞などの希少な細胞や、優れた特性を持つ細胞を発見・分取に強く貢献できると考えられる。
これらの技術は、癌の早期診断、高効率バイオ燃料を用いた新規エネルギー開発への応用が強く期待される。
また、顕微鏡を用いた流体中の細胞イメージング技術に適応ができるため、従来技術では難しかった複雑な画像情報を用いた次世代の高速細胞分取システムの開発など大きな飛躍が期待できる。