ある土木技術者の雑記帳

日頃感じたメモ、新聞投稿。"野にして粗だが卑ではない"生き方を目指す・・んなこと言っても結構難しいと感ずる今日この頃

参議院選挙ー公明党の離反ー

2007-08-01 13:40:38 | 政治
 今回七月二十九日の参議院選挙は、自民党の惨敗である。このことは必ずしも民主党の大勝という評価をしてはいけないのだが、結果だけを見るとそうなっている。民主党と公明党はキャッチフレーズに似ている文言を使っている。民主党が「生活第一」、公明党は「生活政党」で、庶民の「生活」こそ守りますというスタンスである。
 しかし、公明党は与党自民党との協力関係にあるために、経済優先でその余禄を格差是正に回しますよと云う。これは言い換えれば経済優先で「成果(利益)を企業が手にし税を得るのが先で、儲かったらその分け前をやる」、「無いもんはやれない」の考えである。これが自民党の云い草だから仕方ない。もちろん「小さな政府」なんだから、政府自民党の考えで大判振る舞いができるはずもないが。
 今回の選挙の得票率と得票数は、民主党39.5%(2300万票超)、自民党28.1%、公明党13.2%(800万票割込み)である。共産党は得票率7.5%、社民党は4.5%で退潮傾向に大きな変化はなかった。参院選初挑戦の国民新党と新党日本は、それぞれ2.2%、3.0%だった。
 前回の参院選挙の結果などと比較すると大敗したのは自民党以上に、公明党である。閣僚のほとんどを輩出し与党筆頭である自民党だけに注目がいくが、公明党の敗退もひどいものだった。自民党が原因を作る失言問題、社保庁問題、選挙制度も災いし自党内の問題ではないとはいいつつも、結果として公明党は大敗した。
 同じ生活優先政党と云っても、公明党が信頼を勝ちうるのは難しいのが、公明党自身で選挙前からわかっていた(のではないかと思う)。自民党の人気が高い時はいいが、この状態で公明党は「悪代官の手下の岡っ引き」のように国民には映るに違いない。そして、選挙前から、本来なら公明党を推す選挙民がこんな考えに陥っていたのではないか。
 そして、さらに創造をたくましくすれば、公明党の母体である創価学会は意図して公明党に票を入れないような操作をしたのではないか。票を入れないどころか、民主党に振り向けておいたのではないか。これをすれば友党(自民党)が沈没してしまうが、それがシナリオだったかも知れない。何年かの後の政局を見据え、「もう公明党の集票力なんか衰えた」と自民党に見せ、自民党を絶望の淵にまで追い込み、公明党としては「すいませんが、もうお役に立てません」と思わせ、退く口実を作る。
 そして、ある時期の重要な選挙、もちろん間違いなく次回の衆議院選挙では、生活政党として公明党と民主党の主張はたいへんに近い、として一応の大義名分を造り、ここぞとばかりに民主党路線に公明党も乗り換える。そして、この日まで爪を隠しつつ、その爪を研いでいた公明党はここで一気に衰えを見せないかっての集票マシン振りを発揮する。これが成功すれば、民主党と公明党だけで与党を形成できる。これが自民党の大敗第二幕である。
 この時点では、自民党、社民党、共産党、国民新党、新党日本で集まっても何もできない。何より売れ残った野菜のようで、国民は振り向かない。何より、この個性あふれる面々で連立は無理だろう。
 今回の選挙は選挙区が大都市以外は一人区、二人区がほとんどで、第三の政党を不要としている現実がある。だから公明党は自民党との協力関係で二政党制に突入しても万全と思っていた。しかし、自民党のボロがたくさん出て、完全にいいところはなかった。特にお家芸の選挙で自分達は候補者を出せず、協力だけをさせられる。それも効果薄であった。自公勢力が勝っても閣僚席を一個もらうだけの待遇である。これでも自分達の主張が通ればいいが、現在の安倍路線では無理だ。生活者の視点にたって「減税します」と云わない。なにしろ、国民が安倍に魅力を感じないどころか反発を抱く始末である。
 じゃあ公明党としてはどうするか。簡単に言えば、体よく逃げるに限る。「いずれ沈む泥船」に最後まで乗っている馬鹿はいない。船長(自民党)だけが乗っていればいい」となる。そして、その話は早ければ早いほどいい。公明党や創価学会幹部はこの体制に移すべく、早速にこの選挙を利用することを考えたのではないか。
 公明党と創価学会、加えてこれらの関連企業で集票をしているのだから極めて閉じられた組織であるために、このグループ毎、ほか(民主党)に行っても十分機能するのである。選挙に強いという利点を持つこの政党を、どこも歓迎こそすれ拒まないだろう。
 わが国が二大政党制に脱皮しようとすると、どうしてもこの公明党という存在が気になる。この確固たる組織は巨大な宗教法人を背景にしている特徴を持ち単なる政党ではない。つまり、自民党か民主党のどちらかに付くしかない。過去の新自由クラブや新党さきがけ、新進党、自由党のように、公明党が内部分裂し、自民、民主が各政治家を収容するようにはいかないのである。
 こんなことは公明党ご自身が、小泉政権と一緒になると決めたときから、ずっと考えていたろう。小泉時代は、小泉さんご自身は創価学会が大嫌いであっても、友党としての丁重な扱いを公明党にしていた。でも、安倍さんになって、公明党はどう考えたか。公明党にとっては、与党から出て野党第二党になる覚悟がないのならば、自民党、民主党のいずれかを選び、連立内閣内に留まりたい。そう考えると、スムースな形で民主党と連立するには、どうすべきか。私のシナリオは無理は無いと思う。
 仮にも厳粛なる国政選挙をこういった斜に構えた考えで見てはいけないのかもしれない。しかし、公明党の立場で考え、この生き残りを考えた時に、私のこの仮説は決して無理があるとは思えない。さすがにここまでの計画となると、一両日に判明するものではないが、ここ三年以内程度で現実化するような気がする。