ある土木技術者の雑記帳

日頃感じたメモ、新聞投稿。"野にして粗だが卑ではない"生き方を目指す・・んなこと言っても結構難しいと感ずる今日この頃

「二〇歳」迎えた上越新幹線

2002-11-17 22:14:17 | 社会・事件
 上越新幹線開業二〇周年になるという。昭和五十七年(一九八二年)の六月に東北新幹線(大宮・盛岡間)が、この年の十一月には上越新幹線(大宮・新潟間)が開業した。  私は当時、建設会社の二年目の社員として、新幹線最後の工区である上尾工区にいた。開業までの工程を守るために工法を急速施工仕様にして、会社も国鉄も大変だったが、新入社員同然の私にも辛いことが多かった。  現場では巨大なクレーンが林立して、新幹 . . . 本文を読む

掌編小説「鋼(はがね)の箱」

2002-11-16 22:19:08 | 掌編小説
「おーい、アレの報告書まだかな?」と上司の声がかかった。三ヶ月前の発掘で見つけた大きな鉄の箱のことを言っている。 「なにしろ情報省のコンピュータに無いんですから、憶測で書くわけにもいかないし」  発掘から三ヶ月もたってもモノが弾薬や武器ではないから、多くの国民の興味は薄れている。約四〇〇年前の何かに使った遺物に違いないのだが、それ以上は不明である。 「昔の、ただの倉庫じゃないのか?」 「私は作業所 . . . 本文を読む

掌編小説「銃」

2002-11-06 22:11:29 | 掌編小説
 私が佐伯のおじさんの葬式に出たのは父親の代理としてだった。おじさんは猟銃を抱えて一年の半分を暮らすという、変人に見られていた。  隣組は皆集まったが、親戚がいないため、おじさんの昔を語る者はいない。火葬場まで皆も来ていた。市営の火葬場にはどんよりして、冷たい風が吹きつけている。待合室の戸は風で叩かれ続けている。  中に一人おじさんを治療していた医者という方がいた。辻本さんというその老人は若い私に . . . 本文を読む