ある土木技術者の雑記帳

日頃感じたメモ、新聞投稿。"野にして粗だが卑ではない"生き方を目指す・・んなこと言っても結構難しいと感ずる今日この頃

「宋姉妹」を読む

2008-01-02 10:57:58 | 読書
 角川文庫「宋姉妹」(NHK伊藤・著)を読む。中国の激動の時代に、財閥の三姉妹として生きた三人の女を描いた。おもしろかった。その3人はそれぞれに違った生き方を余儀なくされる。大財閥夫人となった長女宋靄齢。宋財閥以上の孔子を祖とする孔財閥に嫁ぐ。二女宋慶齢は革命家・孫文と結婚し、孫文の後継者である蒋介石が国民党を我が物にした後は、国民党と分かれ、独自の中国革命を目指す。そこに、中国共産党が近づく。結 . . . 本文を読む

「落日燃ゆ」を読む

2007-06-06 00:23:35 | 読書
 三月に亡くなった城山三郎の代表作「落日燃ゆ」を読む。主人公は戦中に首相、外相三回を務めた気骨の外交官・広田弘毅。中国大陸の戦線拡大を食い止めることに尽力したたが、この時の外交交渉を邪魔された陸軍大将、中将など六人とともに東京裁判で刑死した。  主人公の人間としての責任感、潔さがにじむ。裁判で無罪を主張し始めれば、自分に責任はないことになってしまう。政治体制の事情があったにしろ、首相を務めた政治家 . . . 本文を読む

閔妃の生涯

2007-03-11 09:21:18 | 読書
 角田房子著「閔妃暗殺ー朝鮮王朝末期の国母」(新潮社、1988年)を読む。閔妃(ミンビ)は李朝最後の王妃で、明治二十八年に当時の日本公使の首謀によって暗殺された人物である。明治二十七年の日清戦争の翌年である。王妃が他国のそれも公使によって殺されるという事態は現在では考えられない。この場面は後半も相当遅く本の厚さでいうと最後の5ミリくらいに登場する。  当時の朝鮮王朝(李朝)は全く政府として体をなし . . . 本文を読む

武田家の凋落-「武田勝頼」を読む

2007-02-24 11:13:53 | 読書
 新田次郎の「武田信玄」に続き、「武田勝頼」(二巻)を読みはじめた。信玄の跡目は唯一の男子嫡子である勝頼以外にはいない。その状況でも武田家に混乱が起きる。この混乱の間隙に錐をもみこむように織田・徳川連合軍が攻めてきて、結局は武田は滅びる。  軍事に民政に天才的な才能を示した総帥・武田信玄も自分の領土の行く末までは見通すことが出来なかった。勝頼への継承がうまくできなかったのは、家臣団内に御親類衆とこ . . . 本文を読む

澤地久枝著「わたしが生きた『昭和』」を読む

2007-01-08 13:55:24 | 読書
 澤地久枝(さわち ひさえ)氏は、昭和五年生まれで、今年七十六歳になるはずだ。澤地さんは終戦を満州で迎えている。(当時の日本政府が言う「満州帝国」である)  終戦時には十四歳だったそうだ。この多感な時期に戦争の動乱に巻き込まれて、貧困・飢餓・恐怖・欺瞞・偽善を目の前にし、同時にこれらが自分の一家にのしかかるさまは、ここでは言い尽くせない。昭和(いや戦後)という時代が如何に過酷なことを多くの国民に強 . . . 本文を読む