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news commentary

反則、インチキ、八百長、談合……

2007-10-17 22:59:19 | Weblog
伊勢の赤福のインチキがばれて「伊勢の赤恥」になった。金髪染めのプロボクサーが反則でライセンス停止の処分をうけて、金髪頭を丸めて青坊主になった。世の中、色々だ。

ついでにいえば、ついこの間のNHKの夜のニュースの首相ぶら下がり会見で、内閣総理大臣に金髪ボクサーの反則について感想を求めたメディアがあった。福田康夫も閑だったのか、あるは低姿勢戦術の一環だったのかよく分からないが、「そんなことオレに聞くことか」などとは言わず、丁寧な返答をしていた。ぶら下がり会見がましなインタビューになった例をテレビで見た事がない。とはいえ、ボクシングの反則行為についての感想が一国の首相にわざわざ尋ねるにあたいすることか?

スポーツに反則、インチキ、八百長、談合はつきものだ。最近の例では女子陸上のオリンピック金メダル選手をはじめとする、さまざまなスポーツでのドーピング疑惑がある。なぜ勝敗を争うスポーツでインチキが多いかというと、それは一種の「公平さを求める行為」だという説がある。

みんながインチキをやっている(ようだ)。したがって、公平の原則から、私が不利にならないように、私もインチキをやらねばならない、ということなのだそうだ。これは、どこか、冷戦中の米ソ核軍備競争に似ている。双方がミサイルギャップをとなえ、核とミサイルの備蓄に励んだおかげで、米ソ双方に使えもしない核兵器が山と詰まれることになった。

最近のアメリカでは、はこうしたスポーツのインチキの動機解明に経済学者が興味を示しているそうである。その草分けが、シカゴ大学のスティーヴン・レヴィットで、日本の国技の相撲の星取を分析してみせた(スティーヴン・レヴィット『ヤバい経済学』東洋経済新報社、2006年)。

レヴィットが相撲専門誌20年分ほどを集めて星取表を分析した結果によると、千秋楽で7勝7敗になった力士が、すでに勝ち越しを決めている8勝6敗の力士と相撲をとった場合、7勝7敗の力士の勝率は79.6%の高率だった。レヴィットの集計によると、相撲の八百長報道があった後の本場所では、7勝7敗で千秋楽を迎えた力士の、8勝6敗の力士に対する勝率は50%であったという。レヴィットはそこに日本の相撲界のある種の相互扶助的なつながりをみてとっている。

競り合いが激しくなれば、渦中の人々は生き残りのためにますます反則、インチキ、八百長、談合などに頼ることになるのだろう。

いや、スポーツ界の話ではなく、日本国の国会論戦の観戦心得です。

(2007.10.17 花崎泰雄)



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