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news commentary

あれから間もなく1年

2014-06-27 16:36:27 | Weblog


自民党政権の言いたい放題、やりたい放題を羊の群れのようにおとなしく眺めている永田町のセンセー方です。

昨年夏の麻生太郎氏の「ヒトラーの手口」講演を、新聞のアーカイブから引用再録しておきましょう。彼の言うとおりに事態が進展し、誰も止めようとしなかった。その記念です。

         *

ドイツはヒトラーは、民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラー出てきたんですよ。ヒトラーはいかにも軍事力で(政権を)とったように思われる。全然違いますよ。ヒトラーは、選挙で選ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。間違わないでください。

そして、彼はワイマール憲法という、当時ヨーロッパでもっとも進んだ憲法下にあって、ヒトラーが出てきた。常に、憲法はよくても、そういうことはありうるということですよ。ここはよくよく頭に入れておかないといけないところであって、私どもは、憲法はきちんと改正すべきだとずっと言い続けていますが、その上で、どう運営していくかは、かかって皆さん方が投票する議員の行動であったり、その人たちがもっている見識であったり、矜持(きょうじ)であったり、そうしたものが最終的に決めていく。

私どもは、周りに置かれている状況は、極めて厳しい状況になっていると認識していますから、それなりに予算で対応しておりますし、事実、若い人の意識は、今回の世論調査でも、20代、30代の方が、極めて前向き。一番足りないのは50代、60代。ここに一番多いけど。ここが一番問題なんです。私らから言ったら。なんとなくいい思いをした世代。バブルの時代でいい思いをした世代が、ところが、今の20代、30代は、バブルでいい思いなんて一つもしていないですから。記憶あるときから就職難。記憶のあるときから不況ですよ。

この人たちの方が、よほどしゃべっていて現実的。50代、60代、一番頼りないと思う。しゃべっていて。おれたちの世代になると、戦前、戦後の不況を知っているから、結構しゃべる。しかし、そうじゃない。

しつこく言いますけど、そういった意味で、憲法改正は静かに、みんなでもう一度考えてください。どこが問題なのか。きちっと、書いて、おれたちは(自民党憲法改正草案を)作ったよ。べちゃべちゃ、べちゃべちゃ、いろんな意見を何十時間もかけて、作り上げた。そういった思いが、我々にある。

そのときに喧々諤々(けんけんがくがく)、やりあった。30人いようと、40人いようと、極めて静かに対応してきた。自民党の部会で怒鳴りあいもなく。『ちょっと待ってください、違うんじゃないですか』と言うと、『そうか』と。偉い人が『ちょっと待て』と。『しかし、君ね』と、偉かったというべきか、元大臣が、30代の若い当選2回ぐらいの若い国会議員に、『そうか、そういう考え方もあるんだな』ということを聞けるところが、自民党のすごいところだなと。何回か参加してそう思いました。

ぜひ、そういう中で作られた。ぜひ、今回の憲法の話も、私どもは狂騒の中、わーっとなったときの中でやってほしくない。

靖国神社の話にしても、静かに参拝すべきなんですよ。騒ぎにするのがおかしいんだって。静かに、お国のために命を投げ出してくれた人に対して、敬意と感謝の念を払わない方がおかしい。静かに、きちっとお参りすればいい。

何も、戦争に負けた日だけ行くことはない。いろんな日がある。大祭の日だってある。8月15日だけに限っていくから、また話が込み入る。日露戦争に勝った日でも行けって。といったおかげで、えらい物議をかもしたこともありますが。

僕は4月28日、昭和27年、その日から、今日は日本が独立した日だからと、靖国神社に連れて行かれた。それが、初めて靖国神社に参拝した記憶です。それから今日まで、毎年1回、必ず行っていますが、わーわー騒ぎになったのは、いつからですか。

「昔は静かに行っておられました。各総理も行っておられた。いつから騒ぎにした。マスコミですよ。いつのときからか、騒ぎになった。騒がれたら、中国も騒がざるをえない。韓国も騒ぎますよ。だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。

わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。ぜひ、そういった意味で、僕は民主主義を否定するつもりはまったくありませんが、しかし、私どもは重ねて言いますが、喧噪のなかで決めてほしくない。
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どう決着をつける?

2014-06-20 22:49:48 | Weblog

国会議員であれ東京都議会議員であれ、彼らのすべてが、その政治的見識、専門分野での知識・経験、正義感、倫理観、思いやり・人間性などなどを評価されて選ばれているわけではない。むしろ、相当数の議員たちは、それら以外の理由で議会に送り込まれている。

そうでなければ、国会にあれほど多くの世襲議員がゴロゴロしているわけがないではないか。都議会の本会議でセクハラ発言をするわけがなく、セクハラ発言を聴いて議席で笑っているわけがないではないか。議員の中には単に選挙区の世話役・顔役であることによって議席を確保している無知蒙昧な輩もすくなくないだろう。

東京都議会本会議場で一般質問をしている議員に対して、品性下劣なセクハラ発言を投げつけ、そのことがメディアによって世間に知れ渡ると、今度はしっかり口を閉じて、知らぬ顔の半兵衛を決め込んでいる議員がいる。

今、誰がセクハラ発言をしたか、週刊誌などが調べ回っているところだろう。近くの議席に座っていた議員は、どの議員が何を言ったかしっかり聞いている。議員同士のかばいあいができなくなれば、セクハラ非正規発言者の特定はさほど難しくないだろう。

それでも、発言者を議員たちがかばって秘匿する場合もあるだろう。

しかし、問題が問題だけに、セクハラ発言をした議員が特定できなかったからという理由で、問題の決着をつけないまま放置するわけにはいかないだろう。東京都議会全体の名誉に関わる。誰かがセクハラ発言の被害者と有権者に対して謝罪と反省の言葉を示さなければならない。

地方自治法はその第104条で「普通地方公共団体の議会の議長は、議場の秩序を保持し、議事を整理し、議会の事務を統理し、議会を代表する」としているので、セクハラ発言者の特定ができなかった場合、議会を代表して不祥事に対する反省を表明することが望まれる。

<補足> 都議会のセクハラ発言議員は、メディアの取材に対しては「私ではない」と繰り返していたそうだ。だが、自民党本部からも批判が出て、5日後の6月23日になって、わたしが言ったと、侮辱発言を認めた。該当の議員は所属していた都議会の自民党会派を去って一人で会派を結成した。会派の名前がふるっていて――「都議会再生」。自民党のトカゲの尻尾切り。都議なら切りやすかったことだろう。この議員を都議会がどう扱うか、この議員に同調して不規則発言をした他の議員を特定するかどうか、まだ問題は残っている。(2014.6.24)

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関釜フェリーの航路

2014-06-16 16:54:02 | Weblog


「避難する日本人を載せた米艦を自衛隊が守る」という想定が、解釈改憲による集団的自衛権の是認の材料に使われているが、6月16日の朝日新聞朝刊に「朝鮮半島の有事で現地から日本の民間人らを米軍が避難させる計画は日米間で一度議論されたものの、最終的に米側に断られた経緯がある」という記事が載っていた。そんな経緯があったのか。

米軍の救出・保護作戦では①米国籍②永住許可証を持つ人③英国民④日本人を含むその他の人々、の優先順位になるという。こちらの方は聞いたことがある。

だとすれば、在韓日本籍の人々を日本に運ぶ手段として、米艦は本筋の話ではない。

関釜フェリーのルートは200キロほどなので、日本沿岸で運航しているフェリーをかき集めて、政府がチャーターして避難の人を運ぶ方がてっとりばやい。

朝鮮有事はかつての朝鮮戦争の時のように、北朝鮮が軍事境界線を突破して韓国に攻め込んで来ることを想定しているのだろう。

核兵器は抑止力や交渉力のための非実戦的兵器である。さらに、もしも北朝鮮がいったん核兵器を使ってしまえば、彼らの国家と金王朝支配が消えて無くなることを、北朝鮮もよく知っている。したがって、開戦は通常兵器を使って軍事境界線付近で始まる。

開戦に先立って北朝鮮は軍事境界線付近に兵力を集結させるので、この動きは監視衛星やさまざまなルートの情報でつかめる。日本政府の情報収集能力が健全で対処の動きが敏速であれば、有事勃発までに時間的余裕が生じ、半島南部からの民間船を利用した避難が可能になる。

朝鮮半島有事の際は日本―半島南部の海上ルートは最重要なシーレーンとなる。マラッカ海峡なみにさまざまな船が航行する。したがって、集団的自衛権の論議を持ち出すまでもなく、この航路は軍事的に防衛される。

(2014.6.16 花崎泰雄)
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何のこっちゃ

2014-06-05 15:14:35 | Weblog


日本国憲法第9条は次の通りである。

第9条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

戦争放棄の規定は日本国憲法だけでなく、近隣では韓国の憲法が「侵略的戦争を否認」し、フィリピンの憲法が「国家政策の遂行手段としての戦争を放棄」している。

したがって、「戦争の放棄」宣言をもって、日本が平和国家であるという理屈は根拠不十分である。日本国憲法の核心は9条第2項の「陸海空軍等の戦力不保持と交戦権の否認」だが、これは、自衛のための武装は戦力ではなく、自衛のために戦う権利と交戦権はおのずと異なるものだという理屈と、くわえて米国からの要請をきっかけに生まれた自衛隊の動かしがたい存在によって、とっくの昔に絵空事となった。数ある憲法の条文中、これほどまでにコケにされたものはあるまい。

極東の日本も韓国も、ともに米国の核抑止力のお世話になっている。その核の傘を保証しているのが日米安全保障条約と米韓相互防衛条約である。

日米安保条約は次のように規定している。

第5条 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。

一方、米韓相互防衛条約は、

第3条  各締約国は、現在それぞれの行政的管理の下にある領域又はいずれか一方の締約国が他方の締約国の行政的管理の下に適法に置かれることになつたものと今後認める領域における、いずれかの締約国に対する太平洋地域における武力攻撃が自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する

と定めている。

双方とも似たような構成になっているが、米韓相互防衛条約では「太平洋地域における武力攻撃」とあるところが、日米安保条約では「日本国の施政の下にある領域」と地理的範囲が異なっている。同時に、米韓相互防衛条約では「自国の憲法上の手続に従って共通の危険に対処する」(in accordance with its constitutional processes)、日米安保条約では「自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処する」(in accordance with its constitutional provisions and processes)となっている点も異なる。

「太平洋地域における武力攻撃」は「日本国の施政の下にある領域」に対する武力攻撃より広範囲だが、日本国の周辺事態法には、

第1条  この法律は、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「周辺事態」という。)に対応して我が国が実施する措置、その実施の手続その他の必要な事項を定め、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的とする

と書かれている。

防衛省の見解では、

「周辺事態」とは、日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合をいいます。これは地理的概念ではなく、事態の性質に着目した概念で、特定の事態がこれに該当するか否かは事態の態様、規模等を総合的に勘案して日米両国が各々主体的に判断するものです。従って、「周辺事態」が発生し得る地域を地理的に一概に画することはできません

ということなので、場合によっては、米韓相互防衛条約の「太平洋地域」より地理的に広範囲にわたることもありうる。

「自国の憲法上の手続に従って」と、「自国の憲法上の規定及び手続に従って」の言い回しの違いが、米韓相互防衛と日米安保の残る相違点になる。日米安保条約がいう「憲法上の規定」とは、集団的自衛権の行使を許してこなかった従来の政府の9条解釈のことである。

もし「9条は集団的自衛権を禁じるものではない」という新解釈を採用することになれば、日米安全保障条約(Treaty of Mutual Cooperation and Security between Japan and the United States of America)は、米韓相互防衛条約(Mutual Defense Treaty Between the United States and the Republic of Korea)と同質の相互防衛条約 "Mutual Defense Treaty Between the United States and Japan" になる。

と同時に、自民党の改憲案、

9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。
2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない

という内容が、憲法改正手続きを経ないで、実現されることになる。

(2014.6.5 花崎泰雄)


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