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news commentary

世界は笑う

2018-09-26 23:08:40 | Weblog

 トランプ米大統領が9月25日(現地時間)ニューヨーク市で開かれている国連総会で演説した。

冒頭、トランプ政権は発足2年もたたないうちに米国のどの政権よりも多くの業績を成し遂げたと、トランプ氏が国連総会とトランプ支持集会を取り違えたような発言をした。そのとき、世界中から総会に出席していた代表たちが笑い出した。

トランプ氏は思いがけない反応に、演説のプロンプターから目を離し、アドリブで「本当です」と言った。これが会場のさらなる笑いを誘った。「そういう反応は予想していなかった。まあかまいませんけれど」と、トランプ氏も気まずそうな笑いを浮かべた。

国連総会での場内の失笑は異例のことで、故カダフィ氏の支離滅裂な演説の時も笑った人はいなかった、と『ニューヨーク・マガジン』が書いた。

日本から総会に行った安倍さんも会場にいて、お付き合いで笑ったのかな?

 (2018.9.25  花崎泰雄)

 

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トランプ批判と国家機密

2018-09-09 17:10:04 | Weblog

「ブレジネフは阿呆だ」とモスクワの赤の広場でウォッカのボトルを持った男が叫んだ。すぐさま男は警察に逮捕された。「国家元首侮辱罪か?」。男が訪ねた。いや、と警察が言った。「おれは秘密警察だ。お前の言ったことは国家機密漏洩罪になる」。旧ソ連時代にはこんな政治風刺小話が街にいっぱいあふれていた。

2018年9月8日の朝日新聞夕刊によると、トランプ政権幹部が匿名で大統領批判をした文章が『ニューヨーク・タイムズ』のオピニオンのページ掲載されたことをとがめて、トランプ大統領が「国家安全保障の問題」だとして、筆者を特定するための調査を司法長官に指示する考えを示した。

 以下、朝日新聞記事の引用。

「トランプ氏は6日の米モンタナ州の集会で、政権幹部の寄稿を『国家反逆罪だ』と批判した。さらに7日、大統領専用機「エアフォースワン」の機中で記者団に、『私はジェフ(セッションズ司法長官)に、この記事はだれが筆者なのか調査するべきだと言うつもりだ。私はこれは本当に国家安全保障上の問題だと思う』と強調。また、『彼(匿名の政権幹部)は、セキュリティークリアランス(秘密取扱者適格性確認)を得て、中国やロシア、北朝鮮などに関するハイレベルの国家安全保障の会議に参加している。彼にこうした会議には出て欲しくない』と語った。ただし、米メディアによると、寄稿の内容には国家安全保障上の機密情報は含まれていないため、司法省が現実に調査を開始するのは困難との見方が強い。一方、ニューヨーク・タイムズは7日、『我々は合衆国憲法修正第1条(言論の自由)がすべての米国市民を守っていることを、司法省は理解していると確信している』との声明を発表した」

トランプ大統領が“国家安全保障の問題”としたのは、「私はトランプ政権内部の抵抗勢力の1人だ――トランプ大統領の下で仕事はしているが、心を同じくする同僚と私は大統領の愚かしい政策や性癖を阻もうと誓っている」との見出しが付けられている9月5日付の寄稿である。

「トランプ大統領はこれまでの現代アメリカ大統領が直面したことのない試練と向き合っている。特別検察官の存在が大きくなっているからではないし、トランプ氏の指導力をめぐってアメリカ社会が割れているからでもなく、共和党が下院選挙で、大統領の失脚を狙う民主党に負ける可能性があるからでもない。大統領がよくわかっていないディレンマは、トランプ政権内部の上級幹部の多くが、大統領の政策と政治的性向を妨害しようと額に汗して働いていることだ」

「問題の根っこには大統領の道徳意識の欠如がある。トランプ氏と一緒に仕事をする誰もが、トランプ氏の政策決定には知性ではっきりと認識できる大事な原則が見当たらない、と感じている」

寄稿文のトランプ批判は手厳しい。トランプ氏は共和党の大統領だが、保守党がながらく大切にしてきた自由な精神、自由な市場、自由な人民という理想に何らの親近感も持っていない。重要な政策の変更が目まぐるしく変わる。外交面ではロシアのプーチン氏や北朝鮮のキム・ジョンウン氏のような専制政治家や独裁者に好感を持っている。反対にこれまで考え方を共有してきた同盟国をなおざりにしている、などと続く。具体的な問題点の多くはすでにトランプ大統領がフェイクニュースと悪態の対象にしたメディアが報じて来たものだ。

トランプ政権の幹部が政権内部で反トランプ政策に汗を流しているため、アメリカ合衆国の行政がトランプ大統領と反トランプ幹部に分断され、二重路線になっていることだ(The result is a two-track presidency.)と匿名の寄稿者は書いている。

アメリカ合衆国に二重権力状況が近づいている。国家安全保障の機微に触れる衝撃的な情報といえる。

             (2018.9.9 花崎泰雄)

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