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news commentary

乱暴狼藉国会議員がいっぱい

2017-06-23 00:07:56 | Weblog

 秘書を殴ったと週刊誌に報道された豊田真由子衆議院議員が、暴行の事実を認めて6月22日、自民党を離党した。

 ちょっと、筋が違う。自民党員を辞めることはない。国会議員の方を辞めるべき事件なのだ。

 国会議員は特別職の国家公務員であるという考え方が一般的である。憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」としている。なぐった豊田議員は特別職の国家公務員であり、殴られた方の秘書(当時)も政策秘書という特別職の国家公務員である。

 議員秘書は国家から給与が出る公設秘書と議員が給与を支払う私設秘書からなる。公設秘書は特別職の国家公務員である。

 『週刊新潮』の記事を引用したNHKニュースによると、殴られてけがをした秘書は公設秘書のうち「政策秘書」とよばれる秘書だった。政策秘書になるには国家試験に合格しなければならない。司法試験、公認会計士試験、国家公務員採用Ⅰ種試験若しくは外務公務員採用Ⅰ種試験に合格している者あるいは博士の学位を授与されている者は、国家試験を免除され、選考採用審査を受けることができる。

 専門的な知識で議員をサポートするのが役目の、ちょっと格式の高い秘書である。その政策秘書が議員の運転手役をつとめていた。その政策秘書兼運転手が車運転中に、後部座席にいた豊田議員が背後から殴った。いやどうも、運転妨害というか、危ないことである。

 そうした専門職の政策秘書を国家から与えられながらも、政策秘書を政策立案面で使いこなすことができず、議員の草履とりのような仕事をさせ、草履とりのように扱っていた。この事件をこうした視点から判断すれば、特別職の国家公務員が特別職の国家公務員を殴った事件の当事者である豊田議員は、その不明を恥じて辞職するのが当然である。

 この件についての自民党の河村建夫衆院議員(元官房長官)のコメントがふるっている。「あれはたまたま彼女が女性だから、あんな男の代議士なんかいっぱいいる。あんなもんじゃすまない」(朝日新聞電子版、6月22日)と述べた。河村氏はすぐフェイスブックで、発言を取り消したが、はしなくも、国会は暴力常習議員でいっぱいであることを告白した。

 (2017.6.22 花崎泰雄)

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笑止千万

2017-06-03 14:29:53 | Weblog

「沖縄密約事件」あるいは「外務省密約事件」が起きた1972年、日本国首相・安倍晋三氏と内閣官房長官・菅義偉氏は、ともにまだ学生だった。

ちょっと因縁話めくが、外務省の秘密文書を暴露された当時の佐藤栄作(安倍晋三氏の大叔父)政権は、秘密文書のコピーを持ちだした外務事務官・蓮見喜久子氏と、コピーを受け取った毎日新聞記者・西山太吉記者が「情を通じていた」とネガティブ・キャンペーンを始めた。

これが功を奏して世間は「密約」問題よりも「密通」問題の方に多大な関心を寄せた。この事件は裁判に持ち込まれ、蓮見・西山両氏とも執行猶予付き有罪の判決を受けた。ちなみに「ペンタゴン・ペーパーズ」をニューヨーク・タイムズ紙に渡したダニエル・エルズバーグ氏は裁判で無罪を勝ち取った。

日本の最高裁判所の判決要旨は、男の新聞記者が秘密文書を入手する目的で女の公務員と肉体関係を持ち、公務員が新聞記者の依頼を拒み難い心理状態に陥ったことに乗じて秘密文書を持ち出させた、とした。肉体関係を持つことにより男が女を言いなりにできるとする考え方は、当時の最高裁判事たちの知的レベルをよく示している。事務官が男で新聞記者が女だったとしたら、こういう風な判決要旨になっただろうか? 

こうして、うやむやのうちに闇の中に残された秘密文書は、後になって米国で機密指定が解けて公開された文書の中から見つかった。当時の外務省アメリカ(北米局の前身)局長・吉野文六氏も日本側に同じ秘密文書があったことを証言した。

今回、加計学園獣医学部新設に関連して、「官邸の最高レベルが言っている」と記された文書があることを文部科学省の前事務次官・前川喜平氏が公にした。さっそく、前川氏がひところ新宿歌舞伎町の出会い系バーに通っていたとするネガティブ・キャンペーンが始まった。どこかで誰かが1972年の柳の下のドジョウを目論んでいる。

さすがに首相は「歌舞伎町の出会い系バー」のことは口にしなかったが、代わりに、ラジオ番組の収録で次のように言った。

「次官なら大臣と一緒に私のところに(確認に)来ればいい。内閣府との議論で、なぜ(計画に)反対しなかったのか不思議でしょうがない」(6月2日付朝日新聞朝刊)

首相はことさらに不思議がって見せたのだが、どっこい、日本国で世間を渡るための常識からすれば、少しも不思議な事ではない。

「外務省は1日、韓国・釜山の森本康敬総領事(60)を退任させ、後任に道上尚史ドバイ総領事(58)をあてる人事を発表した。同日付。森本氏は16年6月に着任したばかり。総領事の任期は通常2~3年間で、約1年での交代は異例だ。政府は釜山の日本総領事館前に慰安婦を象徴する「少女像」が設置されたことへの対抗措置として、長嶺安政・駐韓大使とともに森本氏を1月から4月まで一時帰国させていた。複数の政府関係者によると、森本氏は帰国中、私的な会食の場で安倍政権の対応を批判したこともあり、首相官邸が問題視していたという」(6月1日付朝日新聞夕刊)

役人も辛いのである。外務省密約文書の存在について、吉野文六氏はアメリカ局長時代にはその存在を否定していた。存在を認めたのは私人となってからである。

安倍首相は加計学園理事長が友人だからではなく、加計学園の理事長がたまたま友人だった、というふうな言い方をしている。加計学園理事長・加計孝太郎氏は首相の「腹心の友」だそうだ。腹心の友は「刎頚の友」と似たようなものだろう。では、言い換えてみよう。

「加計学園理事長が刎頚の友だからではなく、加計学園の理事長がたまたま刎頚の友だった」

今から半世紀ほど前、エロ路線を展開していた新東宝という映画会社があった。そこのワンマン社長が、自社所属の女優との関係について

「女優を妾にしたのではなく、妾を女優にしたのだ」

といって、世間を賑せたことがあった。

歴史はファルスを繰り返すが、日本ではファイルは失せたままだ。

 (2017.6.3 花崎泰雄)

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