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君が代の春とはなりにけり

2007-02-27 23:30:33 | Weblog
3月、4月は「春の憂鬱」である。とくに教員には。

最高裁は2007年2月27日、「君が代」の伴奏を命じた校長の職務命令は合憲であると判断した。5人の裁判官中4人がこの意見で、反対意見は1人だけだった。

「君が代」を “The Reign of Our Emperor” と外務省が訳して海外でばら撒き、あわてて回収したことがあった。君が代の中身は、“God save our gracious Queen, Long live our noble Queen, God save the Queen: Send her victorious, Happy and glorious, Long to reign over us; God save the Queen.”という英国国歌と大同小異だ。頌歌である。

文部省が外国の学校で国歌がどのように扱われているか調べたことがある。その文書によると、”God save the Queen”の英国では、「入学や卒業の機会にも演奏されない」。La Marseillaiseのフランスでは、そもそも「入学式、卒業式がなく、斉唱されない」。では、ドイツ、「入学式や卒業式のような機会にも通常演奏されない」。イタリア共和国、「通常、演奏される機会はない」。カナダ、「学校の判断にまかされている」。アメリカ、「各郡教育委員会や各学校に扱いを委ねている例が多い」。文部省が調べた事例中、学校での国歌演奏にこだわっている国は、中華人民共和国(教育部の内部規定で月曜朝の斉唱が義務付けられている)、韓国(入学式、卒業式等の学校行事において斉唱されている)だった。

「君が代」が国歌で、「日の丸」が国旗であると法律で定めたのは1999年のことである。以来、東京都を中心に、「君が代」を拒否した教員の処分が続いている。たとえば、朝日新聞によると、「卒業式や入学式で君が代を起立して斉唱しなかったなどとして懲戒処分を受けた東京都立学校の教職員173人が、都に処分の取り消しと1人あたり55万円の賠償を求める訴訟を(2007年2月)9日、東京地裁に起こした。国旗国歌を巡り、処分の取り消しを求める訴訟としては全国でも最大規模となる」そうである。

教員をいびったところで教育がよくなるわけでもなかろう。いじめである。裁判所まで政府と一緒になって、弱い者いじめをあおることはあるまい。

「君が代」を歌うことで日本を「美しい国」にしたいのであれば、まず魁より始めよ。国会で天皇を招いて開く開会式で「君が代」を歌ってみるがよい。NHK交響楽団と国立音大合唱隊をバックに、議員一同で「君が代」をやってみるがよい。裁判所では訴訟開始と判決言い渡しのとき、廷内の―もちろん裁判官一同もひっくるめて―全員が起立し、「君が代」を斉唱してみるがよい。

それで政治家の不正がなくなり、裁判官の誤審が防げるか、試してみるがよい。

(花崎泰雄 2007.2.27)
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まだ余裕の37パーセント

2007-02-20 20:30:25 | Weblog
「内閣不支持率逆転40%」と、2007年2月20日付朝日新聞が1面トップでうれしそうに書いていた。同紙の2月中旬の世論調査では、安倍内閣の発足後初めて、支持率37%不支持率40%と、支持よりも不支持が上回ったそうである。

1月末のFNN調査では不支持40%、支持39%。2月初旬の共同調査でも不支持44%、支持40%だった。発足以来、妻と手を取り合って外遊の飛行機に乗って見せる以外、これといったエンターテインメントがなかった(「産む機械」という別口のネガティブな騒動はあった)ため、安倍内閣の人気が落ちているのだろう。

内閣支持率の標準的な傾向として、内閣発足直後がご祝儀相場でもっとも高くなる。その後徐々に(首相によっては急激に)下がる右肩さがりのグラフになるのが典型的ケースだ。日本の内閣の場合、首相によっては在任中の何度かの内閣支持率の平均値をとると、不支持が支持を上回るケースもまれではない。

その筋では、内閣支持率が30%を切るようになると、そろそろ危ないといわれてきた。朝日新聞も社説で「もはや赤信号に近い」と危機をあおっている。

さらに、閣議で首相が現れても、起立もしないで私語を交わしている閣僚がいる、と自民党幹事長に暴露された。それが新聞で報道されてしまった。かつて、議会によって罷免されたインドネシアの第3代大統領、アブドゥルラフマン・ワヒド氏が議会で議員に向かって「君らは幼稚園児なみ」と暴言をはき、議会からひどくうらまれたことがあった。安倍内閣の閣僚も似たような園児なみと、与党の幹事長に言われてしまったのである。

しかし、内閣が退陣するころには、支持率が1ケタ台に落ちている場合がよくある。逆の言い方をすれば、支持率1ケタまではガンバレる、ということだ。37%はまだ余裕の数字だ。

朝日新聞の安倍内閣支持率調査では、内閣発足時の2006年9月が支持63%で2007年2月が37%だから5ヵ月で26ポイント落ちたことになる。もしこのままの調子で支持率低下が続いても、1ケタ台に達するまでには、まだ28ポイント、5ヵ月強の余裕がなお残されている。

参院選の前に首相を入れ替えて、新人ご祝儀人気で選挙を乗り切るのか、ここは安倍氏と一蓮托生、踏ん張ってみるのか。対抗政党の民主党も人気を落としているだけに、なかなか判断の難しいところだ。麻生氏をはじめ、次を虎視眈々とねらう人々は何と考えているのかな。

(花崎泰雄 2007.2.20)
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