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news commentary

密約あった

2010-03-10 23:18:58 | Weblog
むかし会社勤めをしていたころ、「ちょっとお見せしたいものがある」と、外務省の某セクションから電話をもらったことがあった。

外務省へ行くと、そのころ私が担当していたイギリスのウェールズ地方でのプロジェクトについて批判的な報道をしているウェールズの地元紙の切抜きの電送コピーを見せてくれた。外務省のご親切には感謝しつつも、その新聞切り抜きのコピーに「取扱注意」のハンコが押されているのを見てびっくりした。

そんな体質のお役所が自民党の歴代政権幹部ともども隠蔽してきた60年の日米安保条約改定と72年の沖縄返還に関わる日米密約がとうとう明るみにだされた。アメリカではすでに情報公開されており、それは日本だけでいわゆる公然の秘密になっていたので、いまさら驚くほどの内容ではない。驚くのは情報公開法に先立って、外務省幹部が重要な機密文書が公開されないように処分していたことだ。

ところで、日米密約に関する外務省の調査と有識者委員会の検証結果を報じた3月10日の新聞によると、日本政府は核兵器を搭載したアメリカの軍艦の寄港や通過を黙認し、日本国民に対してはアメリカから事前協議がない以上、核兵器搭載艦船の寄港はないのである、と嘘をついてきたそうだ。

佐藤栄作は「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を1967年の施政方針演説に盛り込んだが、佐藤はニクソンとの間で沖縄返還後の核再持ち込みについて合意していた。

その佐藤栄作は1974年にノーベル平和賞をもらっている。ノーベル委員会の授賞の理由の一部には非核三原則に対する評価も入っている。ノーベル賞のサイトは、

As head of government, Sato frequently recalled that the anti-war provision in the Constitution must serve as a basis for the country's policy. He emphasised three principles upon which his government would base itself as far as nuclear arms were concerned:

"Never to produce arms of this nature, never to own them, and never to introduce them into Japan."

The Japanese people have supported this peace policy laid down by Sato, reacting very forcefully to any indication that developments might proceed in another direction. From time to time it has been said that the Japanese people have developed an allergy against nuclear arms. An allergy of this kind is a healthy sign, and other countries might well learn a lesson from this.

と説明している。

ノーベル委員会もまんまと騙されたわけだ。しかしながら、ノーベル平和賞はどちらかといえば平和とはあまり関係のないきわどい動きをしてきた政治家に与えられることが多い「話題賞」だ。委員会もそれを承知のうえだから「そうだったの、なら、賞を返して」といまさら言い出すことはないだろう。

  秘め事は隠しおおせぬものと知れあたり著けく匂うすかし屁  閑散人

(2010.3.10 花崎泰雄)

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