Hanews-はにゅうす

ウィーン歌曲歌手、「はにうたかこ」の毎日のちょっとしたことを書いています

感動のフィナーレでした!

2006年09月10日 00時40分20秒 | Weblog
朝6時半に起床。(歌だとありえない)9時前に会場入り。楽屋も開いてないのに、みなメイクに入っている。私はのんびりおにぎり食べて・・・
9時の楽屋入りでメイクを始める。10時メイク終了。ロビーで発声練習。そして11時半、本格的な写真撮影。ひとりひとりポーズして撮ってもらった。王子とのリフト写真もあったりする。

そして12時半に場当たり。そのままリハーサル。今回は影アナウンスもやってるので、そのままマイクの前に。「第3幕開演です。」としゃべったらそのまま舞台へ。というあわただしい進行で、リハーサルはリフトが飛べなかった。タイミングが悪くて、ぜんぜんだめ。(朝からタイミングよくてうまくいってたのになぁ)

そしてそのままあわただしく本番。
舞台はみなさん調子もよく、いい感じで進んでいく。「ああ、本番いい感じだなぁ」と頭の中で、本当に言葉で思った。

なのに!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

第3幕が開き、私が椅子に座っている。継母さんが「明日は結婚式ね~」とシンデレラに寝返って、私にウェディングベールをあわせている。そしてお姉さん帰宅。ダンスの練習に行ってた帰りという設定。はに~のシンデレラがそのまま「4羽の白鳥」に巻き込まれる。踊りだしてすぐお客さんから拍手がでた。うれしかった。その時!左のふくらはぎがブチッと鈍い音を出して切れた。(と思った)でも白鳥は止まらない。なんとかして最後まで踊らないと、そしてお客さんにばれないようにしないと…
それだけを思って、あとの芝居も少し自分で変えながらなんとか舞台袖にひっこんだ。と同時に倒れた。「足がブチッと切れました。歩けない!」なんで?できすぎじゃん!そんなドラマみたいな!
目の前真っ暗。「リフトができない。どうしよう。」「もしかしたら後半出られない。」って。

抱きかかえてくれる王子。本当に青春ドラマみたいだった。一生懸命足をさすってくれる。みんなの心配そうな顔。そして抱えられて楽屋へ。

お手伝いにきてくださっていた他のバレエの先生が、足を見てくださり、マッサージ。肉離れじゃなくって、たぶんちょっとしたこむら返りみたいなものだと思うと。でも痛い。まっすぐ立てない。普通に歩けない。こんなんでどうやってリフト?歩く事だってできないのに!

時間は刻一刻とせまってくる。まだ衣装も変えていない。靴も脱いだまま。汗は止まらない。あわてて準備をして舞台袖にスタンバイ。できない、出られないは考えたくなかった。ここで私が出なかったら、舞台おしまいだもん。
とにかくいつものおまじない「できる。とべる。大丈夫。私はシンデレラだから!」

出番が来て、王子が舞台中央に板付き。私は袖から。その時、舞台の真ん中にいる王子の元へ、喜びいっぱいで向かうシンデレラだけでいようと思って、最初の一歩を踏み出した。「痛い!」でも歩く。笑顔で。なんとしてでもたどり着かないといけないのだから。

そして歌。歌詞に「だいじょうぶ、きっと。あなたならかなうわ。」というのがある。自分で考えた歌詞だけど、歌いながら泣きそうになった。そして言い聞かせた。「だいじょうぶ。絶対にできる。」

王子が迎えにきてくれ、二人だけのシーン。一番ロマンティックでなければいけない。そしてリフト。何も考えなかった。ただ、王子がなんとかしてくれると思って気持ちでたよった。「普段は自分でなんとかしようとしていたけど、かえってそれがよかったのかもしれない。」(と、じゅんなさん談)
リフトの瞬間、会場からどよめきと拍手。(よく持ち上げたという王子への賞賛?)今までの中でもうまく行った方にはいると思う。ワルツも、早いステップもなんとか足の痛いのを隠して、最後まで踊り、歌いきった。

今まで歌のコンサートではほとんど泣いたことがない。(泣いてもちょろっとだけ)だって、仕事だからうまくいってあたりまえみたいになっている。でも、じゅんなさんが、舞台がはねたあと、歩けない私のほうへ来てくれたときは本気で泣きました。短期間だったけど、今まで稽古の苦労と、いろいろな問題や、そして本番での事故。すべてを乗り越えて舞台に支障をきたすことなく、やり終えた感動で涙がとまりませんでした。

すべてにおいて、感動のフィナーレでした。
すごい筋書きを神様は用意しておいてくれました。肉離れがなければ素直に飛べなくてリフトを失敗していたかもしれません。影アナと、すでに筋肉疲労を起こしていたので、気持ちも集中できなかったかもしれません。

もちろん、アナウンス時に身体が冷える対策をしなかった、バレエ素人の私が悪いんです。時間がなくて準備運動もいつものようにできなかった私が悪いんです。

昨日、「なんでもいいから飛ばせて!」と書いたのが一番悪かったのかも…

たくさんの方に来ていただきました。プレゼントもありがとう。
すでに「感動しました。」「あんなに白鳥がぴたっとそろっているとは思いませんでした。」「思わずリフトで拍手しました。」「一番いい笑顔だった。」「ステキでした。」「シンデレラにしか見えなかった。」などなど、うれしい感想もらいました。本当にありがとうございました!

本当に楽しい1ヶ月でした。そして私の中に「今これが夢かなうのなら、他になにができるだろう?」という新しい夢や意欲が出てきたのが一番うれしいです。
きっかけを下さったバレエの先生や、じゅんなさんに、そして最後までサポートしてくれた王子とそのご家族、先生方、保護者の皆さん、そして急な怪我に対応してくださったあづみんさん、みなさんに感謝します。ありがとうございました。

人生のとてもステキな思い出ができました。(すぐに記憶がなくなる私ですが、これはいつもまでも鮮明に残っていて欲しいと思います。)


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おめでとう! (MIHOKO)
2006-09-10 01:28:06
はに~ちゃんお疲れ様、そしておめでとう!



いや~、文章読んでるだけでも舞台を見てるような錯覚にとらわれたわ。

本当にドラマかバレエマンガみたいな展開!でも最後まで踊りきったのは立派!



あ~、本当に見たかった。。。
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だから・・・・ (あづみん)
2006-09-10 07:51:04
そやねん!

ものすごく口に出すのも恥ずかしいくらい「青春」というものが本当にくるのが舞台。



だから私はこの仕事が辞められない。



良い舞台をありがとうございました。



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Unknown (王子(だった人))
2006-09-10 09:10:00
はに~さん,足大丈夫ですか?痛みはだいぶ引きましたか?



昨日は,本当にありがとうございました。

リフト,僕はいままでで一番だと思うよ。

しっくりした感じがしました。

じゅんなさんの言う通り,「けがの功名」。



たったの一ヶ月でしたが,内容の濃いものでした。

本当に有り難うございました。

まずは足を治してから,盛大な打ち上げですな!

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じーんとしました (まつうら)
2006-09-10 09:47:54
客席からみてる分には怪我はわからなかったので、純粋に笑って・・リフトのあとはじーんとしてました。

笑顔、ステキでしたよ。

「また舞台やりたいなぁ・・」ってぼーっと考えながら帰りました。

終わった時の感動はたまらないですよね。

足、大事にしてくださいね。

P.S.シュークリーム、迷惑じゃなかったですか?はに~さんにはシュークリームだーーってお店に行ったら3つしかなかったんです。

分けるには少ないし、ひとりでは多いし。しかも、アクシデントがあったなら、ゆっくり食べれなかったんじゃないかなぁと思って。

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舞台ってすてき♪ (じゅんな)
2006-09-10 18:40:22
お疲れ様~



はに~が足痛めた~と聞いたときは、なぜ今・・・あと少しなのに最後までお願いと祈る気持ちで袖から、王子とはに~のリフト成功したのを見たときは、もう涙・涙でした~感動!!

短期間しかない中で稽古集中してがんばった成果だよね~。

しばらくは、ゆっくり足を休ませてあげてね。回復したら又一緒におどろう~
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みなさんありがとう! (はに~)
2006-09-10 22:45:15
>MIHOKO

本当にドラマだったの。それも全く予期してなかったドラマ。で、最後うまくいったのもドラマなの。これがあるから人生ってすごい!自分で感動してしまいました。こういう仕事や環境で本当に幸せです。かみしめてます。



>あづみんさん

ありがとうございました。私の今までにやったオペラは比べ物になりません。そしてPでやった演劇よりも今回のバレエは青春でした!

それが今できるのがうれしいです。



>王子様

過去形にしないでくださいよ~。私にとってはいつまでもステキな王子でいてください。

(別に私は王子にとってステキなシンデレラでなくていいので・・・)

打ち上げ楽しみにしています!



>まつうらさん

シュークリーム!実は命の恩人。

朝からおにぎりしか食べてなくて、この私が時間がなくてお昼のお弁当食べそこねた。

そのまま本番まで行ってしまって、途中、影アナウンスをカミだした。こりゃやばい!血糖値がさがって集中力がまったくない。

そこで、一瞬のスキをねらって楽屋へ帰り、シュークリームの箱を破り開け、ほおばり、中のクリームをちゅ~~~~~って吸い込んだ。わずか2秒ほどの燃料補給でしたが、あれがなかったら足を痛めたとき、もっと弱気になってたと思います。ありがとう!



>じゅんなさん

私も「なぜ?」って思った。

でも負けたくなかったし、やめたくなかったし、すごく痛いけど動くのが不思議でした。

これが舞台の魔力でしょうか?やめられませんね。ぜひまたご一緒してください!!!

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すごい!! (いさやん)
2006-09-12 12:49:58
9日 大分に行く予定が キャンセルになり みんなと一緒にピッコロへ。先生が出てくる寸前まで いえ 出てきて 意地悪な姉達に 倒されても ほら やっぱり 笑いをとるためにではるンや。と思っていたのです。が・・いえいえ お見それいたしました!本格的なバレー やるやん!すごーい!瀕死の白鳥 わお そろってる!思わず拍手拍手!ブラボー 短い期間に よくまあ ここまで・・でも ビッコひいて 袖に入ったときは びっくり。とにかくすごい!最後までちゃんと おどっテル!最後のリフトは みんな 手を合わせてあがってくれ!お祈り状態。あがった!!幸せの歌まであって 大感動!みんな うるうるしながら 見てました。ちゃんと シンデレラになってる。いい舞台を 見せてもらいました。夢を ありがとう。はにゅうすをみると いろいろ あったようですが さすが プロ!凄いのひとことしかありません。笑いをとる なんて すみません。とんでもない。プロ根性 しかと 見せてもらいました。

足 一日も早いご回復をお祈りいたします。
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>いさやん (はに~)
2006-09-12 23:11:38
ありがとうございます。私も最初はお笑い担当だと思っていたんですが、だんだん欲が出てきてあんなふうになりました。

足はだいぶんましになりました。次回お目にかかるときは普通に歩いていると思います。

本当に舞台っていろいろな魔力があるんだなぁって思います。そしてそういう空間にいられる自分が本当にうれしいここ2~3日です。

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お疲れさまでした! (およよ)
2006-09-13 00:29:03
はに~さん、ブログのお招きありがとうございます!

そして、遅くなりましたが、

先日のバレエ発表会では大変お疲れさまでした。

はに~さんの演技と歌ととても良かったです。

また機会あれば観てみたいな~って思いました。

そして、お怪我の方、当日は気が付かなかったのですが、肉離れ起こされていたとは・・・

お大事にしてくださいね。
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>およよさま (はに~)
2006-09-13 01:10:07
コメントありがとうございます。そしてわざわざ来ていただいてありがとうございました。楽しんでいただけたようで幸いです。



足はブログをお読みいただいたとおり、自分の不注意からなので自業自得なんですが、それでも、その足の代償を払ってもいいくらい、充実した舞台になりました。今回の舞台は、舞台人の端っこにいるものとしても、そして一人の人間としても大きな意義を見つけることができました。



こういう機会があれば、またチャレンジしてみたいと思います。



どうぞブログの方はお気兼ねなくいつでも読んで楽しんでください。





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