能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
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『融』の見どころ その2

2016-02-21 11:53:00 | 能はこうなの、と明生風に能の紹介
旅僧(ワキ)と汐汲み老人(前シテ)の立っている六条河原の院跡は、昔左大臣源融が風雅贅沢をした屋敷跡です。
陸奥の塩竃の景色を広大な庭に模作し、難波から海水を運ばせ塩を焼き、それを見て楽しんでいましたが、融の死後はその子、源昇(みなもとのぼる)が宇多天皇に献上し、その後相続・管理する人もなく廃墟となってしまいました。



この汐汲み老人、実は源融の霊の仮の姿です。老人の目に廃墟がどのように写ったのでしょうか?
藤原基経に皇位継承を遮られ、仕方なく諦め、融の目が向いた先は・・・、それは日本一の美景を造営し楽しむこと。



ご鑑賞いただく皆様には『融』秋の景色はモノトーンで、『白田村』の春模様はカラーで想像してご覧いただけるとよろしいかと思います。

文責 粟谷明生
写真 三光尉 粟谷家蔵 撮影 粟谷明生

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