能は夢幻能と現在能に分けられ、夢幻能は死者、亡霊が旅僧や旅人の夢の中に現れ、前世での執心を愚痴り救済を求める。
現在能はその時に生きていた人々が登場して物語る作りとなっている。
今週の日曜日、喜多流自主公演で勤める『蟻通』は現在能である。
能のお話には、愚痴り救済を求めることが意外と多く『蟻通』のシテ(老人の宮人)も然りだ。
夜の雨の中、傘をさして松明を振りながら登場すると、蟻通神社が真っ . . . 本文を読む
蟻通神社の由来は、能『蟻通』に直接は関係ないが、ちょっと面白いのでご紹介いたします。
昔ある帝が、若い人ばかりを大切にして40歳に達した者を殺してしまった。恐れた年寄り連中は遠国に隠れてしまい、都には然るべき人は居なくなってしまった。
帝の寵愛を受けていた中将某には70歳に近い両親が居たが、遠い所に住まわせては一日に一度会えないと悲しみ、こっそり家の中に土を掘って部屋を作り住まわせた。
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能『蟻通』ご覧になる前に、あらすじをご紹介します。
紀貫之が和歌の道を究めようと、紀伊の国の玉津島明神に参詣途中、突然日が暮れて大雨が降り出し、乗っていた馬が倒れ伏てしまいます。
貫之が途方に暮れていると、暗闇の中から傘をさし松明(たいまつ)を持った宮人の老人が現れ、貫之が難渋している事を訴えると、老人は蟻通明神の神域に下馬せずに通ろうとした
ため神の怒りに触れ咎められたのだと語り、和歌を詠ん . . . 本文を読む
『粟谷明生の能楽教室』
第2回 新春特別企画
~仕舞鑑賞と特別体験講座~
第1部 鑑賞講座
素謡『翁』シテ粟谷明生 千歳 佐藤 陽
仕舞『高砂』
粟谷明生の素謡『翁』をお聴きいただき『高砂』『経政』『羽衣』『藤戸』『岩船』の五番の仕舞を解説して舞います。
第2部 参加型体験講座
能楽の表現(型)は非常に簡素ですが印象的です。
参加者の皆様にその表現を体験していただきます。
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「女房と畳は新しい方が良い」
これは男性本位の封建時代の「ことわざ」で、今こんな事を大きな声で言ったら女性陣の反撃を喰らうから堂々と言わない方が良い、とは先輩の弁。
能(猿楽)も観阿弥と世阿弥の親子が活躍する以前から演じられていた古い作品もある。
観阿弥や世阿弥、それ以降の人たちが手がけた作品に、私は古風さを感じない。
それどころか現代にも通じる作品構成と演出だと、感心している。
能は世界に . . . 本文を読む