ペーパードリーム

夢見る頃はとうに過ぎ去り、幸せの記憶だけが掌に残る。
見果てぬ夢を追ってどこまで彷徨えるだろう。

失われていく祭祀 イザイホウ

2015-02-10 17:28:01 | 美を巡る
昨夜のTV「池上彰の伝えたいこと」で紹介されていた、祭祀の島・久高島。
ひと月前に見た映画のこと、アップするの忘れてました。

150107.wed.

上映20分前に行ったのに、
50人目の私から補助椅子になってしまった・・・(⌒-⌒; )
補助椅子入れてもプラス数人で会場満席だったので、ギリギリセーフ(^^;;
渋谷アップリンクで上映中の映「イザイホウ」を見に行ったお話です。





イザイホウとは、神の島として今も敬われている沖縄の久高島で、
12年に一度の午年にだけ行われる30歳から41歳の、
島で生まれ、島に生きる女が神になる神事だそうで。
映画が撮られたのが1966年。次に行われた1978年のイザイホウが最後の祭祀。
この映像に出てくる女性達のほとんどが、もうこの世にいない。
彼女達と共に、消え去ってしまった儀式です。

粗いモノクロの映像に、島の自然が映し出される。
女性達の白い装束の行列が迫ってくる。
神と認められる時の神妙な表情。
いつの間にか耳に残る繰り返す祈りの声。
砂浜を踏みしめる素足。
弾けるようなカチャーシーの手の動き。
耳元で揺れるイザイ花の紙片。
すべてが強い残像となる。

男達は海へ漁に出て、一定時期は帰ってこない。
女達は島で畑を耕し、子どもを育てる。
やがて女は神となり、島と男を守る。
厳しい生活の中で、信仰を拠り所にするための儀式だったのか。
12年に一度のこの大祭の他に、年に27の祭祀が、
ノロと呼ばれる女性の最高神職者を中心に行われてきた。
太古から連綿と続く、神と人とが行き来するこの島の宇宙が、
後継者不足から崩れていく様を見届けねばならないのは
なんとも不思議な切ない気持ち。
もちろん時代の変化に対応して、かたちを変えて続いていくのは
何ものも同じなのですけれどね。

島に通い、この映像を撮り続けた野村岳也氏の仕事には敬服します。
比嘉康雄氏も十余年にわたり祭祀を見続けて
『日本人の魂の原郷 沖縄久高島』をまとめている。
読み応え十分。



当時のリアルがビンビンに迫ってくる、
ちょっと身震いするような時間でした。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
(◎-◎;) (アルキメデス)
2015-02-10 20:32:26
素晴らしい解説。
ビンビン伝わってきました。
無くなっていった文化を思うとき、私たちの都市生活をどうしても見つめてしまいます。
精神性のなんと稀薄なことか・・・。

良い映画を見ましたね
ドキュメンタリーはいいなあ。
(≧∇≦) (kikkoro)
2015-02-11 03:21:13
アルキメデスさま
素晴らしいドキュメンタリーでした。
そうです。精神性です。
我欲ではなく、この世界に生まれてきて何をすべきか。
当たり前のように神と交信していた地域が
つい30数年前まであったということに愕然とします。
15年くらい前、奄美大島に行って、
神事が行われるという山に登った時に、
「つい数日前に沖縄本島からウタキ(ノロ)の
一団が来て祈っていったよ」と聞かされて、
不思議な気分になったことを思い出します。

この映画が見られたのは、
映画の上映告知の小さな新聞記事を
たまたま見つけた時に、友人の映画監督が
沖縄の北窯のドキュメンタリーを撮っていて、
彼女がブログにイザイホウのことを
書いていた時期が一致したという
私にはよくある (^^;; シンクロニシティからでした。

密かにブームになっているようですから、
調べたら、どこかで見られるかも?

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