131016.wed.
ようこそ! ギュスターヴ・カイユボット様。
印象派の中でもさほど知られていない人物ですが、
彼がいなかったらモネもルノワールも
あれほど活躍できたかどうか。
15年ほど前に『まんが印象派の画家たち』という本を企画編集した時からの
カイユボットファンの私としては、もう待ちに待った展覧会なのです。
マネ、ドガの流れをくむ古典主義の色を感じる
カイユボットは、印象派の中でもやや異色。(ここが私好み)
画家というよりは蒐集家としての顔の方が強いようですが、彼も画家です。
パリ市民や労働者達を描いて、
19世紀後半、大改造により近代都市化するパリの街の光と影を映し出しました。
モネやルノワールが主に女性を描いたのに対して、
男性をモデルにかなりリアルな描写をしていること、
写真的な俯瞰構図や遠近法などもカイユボットの特徴です。
カメラマンだった弟マルシャルの写真、
当館所蔵の印象派の画家達の作品とを組み合わせるなど複合的に工夫された展示。
『ピアノを弾く若い男』と同じエラール社のグランドピアノを置き、
床に描かれたパリ市街図の上に立って、タッチパネルで当時のエピソードに触れるなど
サービスと遊び心も満点。
マルモッタン美術館で見た「パリの通り、雨」を
再び京橋で見られるなんて~ 感激!(≧∇≦)
シカゴ美術館の同名の大作に比べるとラフでサイズも小さいですが、
これも好きな作品のひとつです。
晩年(彼は45歳で死去していますが)、点描技法に挑戦したり、
装飾的な植物画を描いてたりしていたことは知らなかったので
これまた感動。
音声ガイドで聞いた館長、島田紀夫先生のお声が懐かしくて、
思わずお呼びだてしてしまいました。
「懐かしいねえ、あの頃。ラファエリとか知られていない画家の
人物事典や相関図を作ったんでしたね」
「今回、カイユボットの絵を集めるのも苦労したんですよ」
なんて立ち話でしたけどお話を伺って、
しばし当時を振り返りました。
この日は大型台風26号が接近中。
おかげで?観覧者もさほど多くなく、ゆっくり鑑賞できてよかったです。
年内まで、あと何回かは観にいく予定。
まだまだ知名度の低いカイユボットですが、
彼もまた重要な印象派展の画家の一人。
どうぞブリジストン美術館へ見に行ってくださいませ。