ペーパードリーム

夢見る頃はとうに過ぎ去り、幸せの記憶だけが掌に残る。
見果てぬ夢を追ってどこまで彷徨えるだろう。

秋の夜長の駆け足美術鑑賞

2013-09-30 00:52:37 | 美を巡る
130928.sat.





昼からの病院訪問ボランティアの
運営委員会が予想外に長引いて、
上野に着いたのは19時。
2週間限定、東博・秋の特別公開へダッシュ!
目玉は、酒井抱一「夏秋草図屏風」。
この作品との対面は何度目かだが、
秋の夜に見る贅沢を味わいたくて。





と、その前に、
華麗なる料紙の「久能寺経」やら
精巧な水滴の展示に目を奪われたけど。

宗達を模写した光琳「風神雷神図屏風」の
裏に描かれていたという抱一の夏秋草図。
右隻の青い水の流れに白百合、女郎花の裏には雷神、
左隻の藤袴、葛、蔦紅葉の裏には風神がいた。
厚さ数センチの屏風の裏表を挟んで
100年の時が存在する不思議は奇跡か、
あるいは必然か。
立ち位置によって色を変える鈍色の銀箔に
吸い込まれそうな錯覚を起こします。



次の部屋の「四季花鳥図巻 下巻」の
端正な筆致と色彩にさらにうっとり。
さすが、私の愛する鈴木其一様の師匠です。

東洋館では、ギメ美術館交換品の
五代~北宋時代の菩薩を描いた
美しい幡が3点。青緑の幡に見入る。
ああ、もう時間切れ~。
で、大好きなエジプトの聖魚オクシリンコスに
さよならして、上野を後にする。
もう少しゆっくり見たかった~。


美蘭さんの眼差し

2013-09-27 05:55:38 | 美を巡る
130919.thu.
ルーブル展に続いて福田美蘭展へ。
予想以上に面白かった!



グラフィックデザイナー福田繁雄氏の娘、
という認識くらいしかなかったのだが、
なんという才能に満ちたアーティストか。
まず、都美館の地下のフロアを埋め尽くす作品の数。
本当に一人で描いたの? と思わせる多彩な技法。
そして、奔放なトリックアート。

レンブラントの背景にある曲線がドラえもんの手だったり、
もはやブッシュが聞く耳持つのはキリストだけ?という指摘だったり、
あのセザンヌの絵に、大胆にも正しい添削をしてみたり(笑える~)
土足で絵画を踏ませてくれたり、
あふれるアイディアと風刺とサービス精神に脱帽です。





福田美蘭というアーティストの
日本への、西洋への、現実への、
さらに今日を生きる眼差しを十分に体感できるはず。

29日までですが、お時間ありましたら
オススメ!
頼もしい同世代です。

地中海をめぐる四千年の旅

2013-09-24 12:37:14 | 美を巡る
130919.thu.

〜地中海をめぐる四千年の旅へ〜
東京都美術館のルーブル美術館展へ。



紀元前からギリシャ・ローマ時代、
中世の十字軍による東西交流、
18世紀英国のおぼちゃまのグランドツアーや
近世芸術家の憧れ、地中海旅行による
オリエント文明の紹介まで、なるほど
地中海文明の流れがよくわかる。
今、悲しい紛争のさなかにあるシリアも
エジプトを中心とするアラブ諸国も、
こんなにも素晴らしい文化を
かつては花開かせていたのに・・・。
全く別物という見方しかできない
悲しい現実。

それはさておき、
ギリシャ・ローマ時代のおおらかで
自由な表現は実に好みです。
現代に通じるだけでなく、
時代を超えて感性を刺激してくれる美の数々。
ユニークな調度品にモダンな装身具も。
同行したS嬢と、あれこれ
批評し合いながら歩く楽しいひととき。

本場のルーブル美術館には
5回は行っているはず。でも、
当然ながら全部見ているとは言い難い。
だから、こんなふうにテーマを絞って
日本に来てくれると、ほんと嬉しいわ。

この秋も興味深い展覧会が目白押し。
楽しみです。
個人的には「カイユボット」展が
待ち遠しい!



焼きまんじゅう、再び!

2013-09-22 16:15:13 | 美味いただく
140922.sun.

帰京途中、 道の駅おのこで、
上州名物・焼きまんじゅうを発見!
辛子マヨネーズ味をいただきました。




蒸したおまんじゅうに串を刺して焼き、
甘辛い味噌だれをつけた群馬の郷土食。

2年前、高崎で初めて食べました。
絶対に食べたことないから、と
地元の権師匠が連れて行ってくれたの。
あの時は、前の晩に新潟でかなり飲んで、
珍しく二日酔い状態。
鉄の胃袋を持つさすがの私も、
群馬県人のソウルフードを
1個(1串じゃあないですよ)しか
食べられなかった苦い思い出が (^^;;

今日は美味しくいただきました。

道の駅周辺はすっかり秋!





3連休の中日、関越道、混んでます。
練馬出口も・・・~_~;




お月見三昧

2013-09-21 00:53:17 | 歌を詠む
130920.fri.

<叢雲のヴェールを透かし地球まで光届ける十六夜の月>

<山の端に赤き十六夜居座りて温泉街に秋風吹かす>

夕べ、上野の望月。


今宵、草津の十六夜。

贅沢なお月見です。

10年ほど前の秋だったか、
当時小1だった姪と電話で話しながら、
彼女が驚いたこと。
「えっ! 長野のおばあちゃんと、
東京のきゅうちゃんと、
今、横浜であたしが見てるお月様は
おんなじなの? ほんと?」
ふふふ、可愛かったなあ。

<同じ月眺めて嬉し秋の風>


深海のちから

2013-09-21 00:48:45 | 美を巡る
130906.fri.-2


金曜日の上野の美博は
20時まで開いているのでありがたい。
ついで、ついではタイミングが大事。
和様の書から気持ちを切り替えて
深海の生物の世界へ。



深海の変な生き物好きな私には
たまらない企画展です。
いきなり深海探査船の実物がお出迎え。
うわあ、これに乗って海の底まで
行ってみたーい!
話題のダイオウイカのレプリカは
天井で踊り、
しなびた剥製が横たわる向かいでは、
マッコウクジラが逆立ちしています。




金属バットすらペチャンコになるほどの
重圧の世界。
地球生命の起源であり、
有機物の温床である熱水噴出孔には
見たこともない白い生物がうようよ。
ぞくぞくします。すごいよ、深海。

伝統のちから

2013-09-20 15:33:22 | 美を巡る
130018.wed.

第60回日本伝統工芸展が始まった。
初日の日本橋三越のフロアは大賑わい。



伝統工芸には、脈々と受け継がれる
揺るぎない本質と、
現代の生活に即した用の美が求められる。
森口華弘、羽田登喜男、平良敏子に城間栄順ら
染色の世界では有名すぎるお歴々の作品が
間近で見られる嬉しさ。
陶磁器、金工、木工など、
素人には及びもつかない
細工の見事さをゆっくり拝見する
いいチャンスです。
若い作家かなと思うと人間国宝級の方だったり、
その逆もあったりで、興味は尽きない。

職人の手が生み出す正直なカタチを前に、
いつしか呼吸が整っているフシギな時間です、