140615.sun.
半年ぶりに歌舞伎座へ。夜の部は3本。
「蘭平物狂」「素襖落」「名月八幡祭」。
今月は三代目尾上左近君の初舞台。
松緑丈の長男で、あの早逝した
辰之助丈(大好きだった~)の孫!
三之助時代の松緑丈は、他の2人に比べて華はなかったけれど、
実力はピカイチ。
彼の8歳の息子が、立派な若武者として大見得を切り、
堂々と物申すではないの。
可愛らしいやら、頼もしいやら、
間の取り方の上手なことといったら!
滑舌もよろしい!
ずっとオペラグラスで追いかけちゃったわ。
お歴々ずらり揃っての口上の後に、
おチビさんの甲高い声で
「ヨロシクオネガイモウシアゲマス!」
いいですねえ。
左近君用の若草色の幕には
若駒と松葉があしらわれて若々しく、
期待のほどが見られるというもの。
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あの、スタスタ歩きが忘れられない(笑)
紫の上・菊之助丈だって、いまや一児のパパ。
今回は父菊五郎丈の妻役として
成熟した美しさで存在感を見せていたし、
ああ時代は移ってるんだな~としみじみ実感。
しかしなんといっても
「蘭平物狂」の後半の30分にも及ぶ大立ち廻りのシーンは圧巻。
花四天(はなよてん)の動きのアクロバティックな機敏さの一方で、
抑えた様式美、集団の美の見事なこと。
身を乗り出すほどにうっとりです。
急に行くことになったわけだったが、
私の贔屓のこの2人が出演されていたというのも嬉しかったことのひとつ。
左團次丈はもともとダミ声だけれど、
声が通っていなかったよう?で心配。
歌六丈は、やっぱりいなせでステキ。
「名月八幡祭」での真っ赤な還暦衣裳もチャーミング。
そして、さすが幸四郎丈ここにあり。
狂言を元にした「素襖落」での酔態、
「名月八幡祭」では実直な田舎の商人の様から、
芸者美代吉に裏切られてからの失望、そして狂乱まで、
本水を使った演出とあいまって、最後まで目が離せません。
芸者美代吉、手練れた演技の芝雀丈、
信二郎時代からの変わらぬ爽やかさに色気も加わった錦之助丈の情夫三次と、
見応えのある5時間でした。
こうなると、昼の部の仁左衛門丈の「お祭り」も見たくなる。
もう20年前もだったか、
やはり病気を克服して立った舞台で演じたのがこれ。
あの時、舞台と客席が一体となった感動は
いまでも覚えている。
これだけでも一幕見で行ってこようかしらん。
あ、左近君のことだけ書こうと思ったのに、
結局、長々と綴ってしまいました。
このところご無沙汰してたけれど、やっぱり歌舞伎は面白い。
幕間のビーフヘレカツサンド、美味でした。