ペーパードリーム

夢見る頃はとうに過ぎ去り、幸せの記憶だけが掌に残る。
見果てぬ夢を追ってどこまで彷徨えるだろう。

島村洋二郎展~2年前よりさらに奇なる運命が…

2018-06-13 04:49:13 | 美を巡る
180609.sat.

島村洋二郎という画家がいる。
大正5年、神楽坂生まれ。
37才、家族とも離れ、極貧のうちに早逝したが、
日本のゴッホとも言われる絵描きだ。

最初の妻が飯田の女性で彼も飯田に住んでいたこともあるという関係から、
2年前の生誕100年の記念展覧会の際に詳しく知ることになったのだが、
そのさらに30年前、洋二郎の姪直子さんが偶然、伯父の絵を装画とした本を見つけ、
伯父の痕跡を探し始めたことから、今回の展覧会にもつながっているという不思議。
2年前と違うのは、幼くしてアメリカ人の養子となって渡米、
行方知れずになっていた洋二郎と二度目の妻君子との間の子・鉄氏が見つかったこと!
直子さんも探していたその従兄弟に会えたこと!
しかも、あの「ファミリーヒストリー」という番組を通じて。
半年ほど前に放映を見た時は、
その奇妙な縁(えにし)に思わず涙ぐんでしまったほどです。

今回、御茶ノ水のギャラリー884には、
その鉄氏が描いたという絵も飾られていたが、玄人はだしも甚だしい。
それこそが、画家洋二郎の息子であるまごうことなき証。


この絵が鉄氏作の自画像!絵を習ったことはないという。

半世紀も前に離れ離れになっていた母君子も
アメリカの隣の州に住んでいることがわかった。
が、鉄氏が会いに行って間もなく、今年の2月に君子さんは亡くなったという。
なんとも言い難い運命というか必然の邂逅のドミノ倒しとでもいうか、、、。
こういうことってあるんだなあ、と
他人事ながら見守ってきた直子さんと伯父である画家とその周りの人びと。

肖像画を中心とした今回の展示は、
強く激しいタッチの中に、対象への画家の深い思いを見る。
最初の妻幸との間の子、林冬二さん(近頃亡くなられたとのこと)が
4歳で描いたという花の絵も展示されていて、
計らずも父子3人展となっているのでした。
ほんと、事実は小説よりも奇なり、です。


旧制飯田中学で数学を教えていた北澤武氏の肖像。北澤氏の教え子だという弁護士のH氏も、飯田高校の大先輩です。

うっかり長居してしまい、急いで根津の歌会へ急ぐ道で、
これまたギャラリーへ向かう途中の直子さんにバッタリ会えたのも、
この日(6/9)の神様からのプレゼントだったのかな。


 直子さん編集の詩画集(2016)

 詩と挿し絵にも哀愁が漂います(詩画集より)

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