ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

医師の集約化、地域連携、および次世代の育成

2006年02月23日 | 地域周産期医療

いくら気合を入れて頑張ったとしても、1人の人間にできることには大きな限界があります。また、1人でいくら優れた医療を実践していたとしても、高齢になれば必ず引退しなければなりません。周産期医療の地域連携および次世代を育成してゆく確固としたシステムの構築に成功すれば、1人1人の医師がやがて高齢となって次々に引退していったとしも、そのシステムは、次世代に引き継がれて将来発展してゆく可能性があると思います。

例えば、年間分娩件数二百件程度の公立病院産婦人科で、一人医長として孤軍奮闘して頑張り続けるのは、24時間365日、常に緊張を強いられるとんでもない激務ですが、安全な医療は実施できませんし、そこで何年頑張って働いていたとしても、一人前の医師としてのちゃんとした技量を磨くだけの十分な指導も受けられないし、十分な臨床経験を積むことも難しい(症例数が少なすぎる)気もします。また、その一人の医師が過労で燃え尽きてしまったら、その瞬間にその地域の周産期医療は終焉を迎えることになってしまいます。一人医長で無理して頑張り続けるのは、医療の質も低下しますし、長い目で見れば、決して地域住民のためにもならないと思います。

やはり、医師を集約化して、最低でも十人程度の産婦人科医が所属する施設で、最低でも年間分娩件数二千件程度を扱い、経験豊富な医師達が経験の浅い医師達を教育しながら十分な経験を積ませてゆくというような教育システムが絶対に必要だと思います。今後はそういうマンパワーおよび教育システムのしっかり整った病院にしか若者は集まって来ないだろうし、病院としても生き残ってゆけないと思います。