岡井隆先生の歌集『人生の視える場所』所収の一首。
詞書:最後に〈わが死後に無花果を食ふ男ゐて〉というのは彼の嫉妬だろうか。
顔の上までかかむりて眠るべし後世といふ驢馬(ろば)のいななき/岡井隆
詞書に引かれた俳句作品は、下村槐太という大阪で活躍した俳人の一句らしい。
参照記事:
〈下村槐太の俳句〉。
https://note.com/oho_kisui/n/n6b9db2b4a1f6?sub_rt=share_pw
岡井先生の上の一首は、〈創作なんていうやさぐれ稼業の我らは布団を顔の上まで被って眠っちまおうぜ。後世の批評家が声高にいくらこき下ろしてきたって、所詮そんなものは驢馬のいななきさ。〉ぐらいに解釈出来そうだ。詞書にある通り、下村槐太さんの一句に触発されて生まれた一首なのかもしれない。岡井先生らしい、詞書と作品本文とのギャップや、独特の発想の掴みが面白い。
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