ひょうきちの疑問

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2020年のアメリカ大統領選以後はムチャクチャ

円安、ドル高、人民元切り上げ

2010-04-04 10:03:10 | 国際金融

毎日新聞 2010年4月4日 東京朝刊 よりhttp://mainichi.jp/select/biz/news/20100404ddm008020073000c.html

■経済ナビ:人民元切り上げ 再開観測強まる 米国、為替操作認定の先送りも

 中国が人民元の対ドル相場切り上げを再開するとの観測が強まっている。
胡錦濤国家主席が12、13日にワシントンで開かれる核安全保障サミットへの出席を決めるなど、米中関係の修復に向けた動きが進展、
人民元切り上げについても「合意があるのでは」との見方が浮上しているためだ。
だが中国側は「米国の圧力に屈した」と見られることも避けたい考えで、実施時期は慎重に探るとみられる。

 「中国がそれ(切り上げ)を国益と判断することを強く確信している」。
ガイトナー米財務長官は2日、テレビ番組で中国が切り上げに動くとの見通しを強調。
さらに「中国が迅速に動く可能性を最大化する」と述べ、
「為替操作国」に中国を認定するかの判断を先送りする可能性を示唆した。

 米紙ニューヨーク・タイムズも胡主席の訪米時期と認定期限(15日)が重なっていることから、
中国問題専門家の「両国の間に何らかの合意があるはずだ」との、認定に否定的な見方を紹介した。

 米国内で人民元切り上げへの圧力が強まったきっかけは、オバマ米大統領が1月に打ち出した「輸出倍増計画」。
それまで、中国批判を控えてきた大統領が
「世界経済の不均衡是正のためには、市場実勢に基づいた人民元相場の形成が不可欠」
と強い調子で切り上げを要求。
その後、米上院で民主、共和両党の議員団が、中国を対象とした制裁法案を発表するなど、米議会の対中強硬論は激しさを増すことになった。

 だが、外交、経済とも「中国抜きでは世界がまとまらない」(世界銀行幹部)のが現実。
事態沈静化のため、ガイトナー長官は「中国政府は為替制度の柔軟化が必要と認識しており、事実上、公約している」と繰り返してきた。

 一方、中国側も輸出依存型経済から脱していないだけに、米国での対中強硬論の台頭は避けたいのが本音だ。

 中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は3月6日、人民元相場について
「金融危機下で特殊な相場形成メカニズムを採用しているが、遅かれ早かれ(危機対応の政策を平常時に戻す)『出口戦略』の問題が出てくる」
と、切り上げ再開を示唆した。

 中国政府も今年2月、国内の労働集約型産業を対象に、人民元相場の切り上げの影響を調査。
4月下旬に結果を公表する予定だ。
事実上の切り上げ準備といえ、
「米国内の対中強硬論を抑えることで、中国を切り上げに踏み切らせる」とのガイトナー戦略は大詰めの段階に入った。

 ◇日本企業には「両刃の剣」

 人民元に対する日本の対応は、米国以上に配慮が目立つ。
3日午前、温家宝首相との会談に臨んだ菅直人副総理兼財務相は「賢明な判断を期待する」と促すと同時に、
「(08年の金融危機後)中国が為替を安定させたことが、混乱を収めることに役立った」と持ち上げた。

 日本が切り上げを強硬に求めない背景には、日米の対中貿易収支の大きな違いがある。
米国の対中貿易赤字(1月)が200億ドル(約1兆8900億円)に達するのに対し、日本は200億円程度(2月)で、「日中間で大きな貿易上の問題があるわけではない」(菅氏)。

 さらに、内需が低迷する中、日本企業の多くが中国を成長市場ととらえて進出しているほか、
ホンダや「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングのように輸出拠点を構える企業も多い。

 専門家は
「日本企業にとって人民元の上昇はメリット・デメリット両面ある。安定しているのが望ましい」
(日本貿易振興機構の真家陽一・中国北アジア課長)と指摘する。
【坂井隆之、北京・浦松丈二、ワシントン斉藤信宏】

 ◇景気過熱でジレンマ 中国、変動幅拡大案が浮上

 人民元切り上げに対し、市場では「持続的な成長を続ける上で望ましい」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)との見方が多い。
人民元の対ドル相場を固定するため、元売り介入を続ければ、金余りで景気が過熱しかねないためだ。
バブル経済に突入する恐れもあり、菅直人副総理兼財務相も3日の温家宝首相との会談で「元(相場)の問題と過剰流動性(金余り)は関連がある」と警告した。

 中国は05年7月、人民元切り上げに踏み切り、対ドル相場は08年夏までに約2割上昇。
だが、金融危機で切り上げは中断し、元相場を本来の力より下げる元売り介入を加速させた。
その結果、2月の消費者物価上昇率は前年同月比2・7%まで上昇するなど、金余りによるインフレ懸念が強まっている。

 景気過熱やインフレは防ぎたいが、人民元の急な切り上げは輸出企業の競争力をそぎ、保有する米国債の価値も下げるため「中国はジレンマに陥っている」(みずほ総研の細川美穂子氏)。

 そこで、人民元の対ドル変動幅を拡大させる案が中国政府内で浮上している。
中国人民銀行は人民元相場を、前日の取引実績などから算出する「基準値」の上下0・5%の範囲で変動させている。
変動幅を広げて緩やかに上昇させれば、国内産業の打撃を小さくしながら、米国からの圧力をかわす効果も期待される。
同時に「中国は米国に屈した」と見られないようにするため、ガイトナー長官の促す「迅速な動き」を避け、切り上げ時期を先延ばしする可能性もある。【清水憲司】

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 ■ことば

 ◇為替操作国

 米財務省が半年ごと(4月と10月)に出す為替政策報告書で、不当な為替操作をして貿易などに影響を与えている国を認定、公表する。
認定されれば、対米輸出品に対して特別関税がかかるなどの制裁を受けることがある。
80年代に韓国などが認定された。
09年10月の報告書は、中国人民元について「変動幅が硬直的であり、過小評価されている」と指摘したが、認定は見送った。

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毎日新聞 2010年3月25日 東京朝刊 より
http://mainichi.jp/select/biz/kansoku/news/20100325ddm008070125000c.html


■人民元の切り上げ=東京大教授・伊藤隆敏

 前回は、中国の不動産市場がバブルの様相を呈していると書いた。
バブルに踊る市場を鎮めるには、安易な借り入れができないよう、金融を引き締めることが重要だ。
銀行の不動産融資の総量規制、借り手の自己資金比率の引き上げなどさまざまな方法がある。
しかし、バブルへの警告として一番効果があるのが金利の引き上げである。

 値上がり期待だけで不動産を購入する人たち(投機者)にとっては、他の人も投機者である限り、投機を続けることが合理的だ。

 売買価格が、賃料比や、平均的な購入者の年収比でどんどん高くなってくると、次第に売り抜ける時機を考え始める。
しかし、他の投機者が購入を続けているうちは、バブルの踊りを止めない。
中央銀行による金利引き上げは、皆にバブルの終わりが近いと分からせるシグナルだ。

 ところが、中国は、通貨を対ドルで固定しているので、米国より高い金利を付けることは、資本流入をさらに促し、より多くの流動性が国内に供給されることになり、バブルが止まらない。

 バブルを止めるためには金利上昇と同時に、人民元の切り上げが必要になる。
巨額の貿易収支黒字を出している中国にとっては、輸出産業の過熱状態をさます意味でも重要であり、輸入消費財を安くすることで、消費者の生活水準も向上する。

 良いことずくめの人民元の切り上げに中国当局は強く抵抗している。
米当局が切り上げを勧めれば勧めるほど、中国当局は外圧に屈しない、と反発する。
そして米財務省による半年に1回の「為替操作国」認定の期日(4月15日)が迫ってきた。
金融危機の後遺症に苦しむ米国内では、今度こそ中国を為替操作国に認定せよ、という世論が高まっている。

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【私のコメント】

ドル高のなかでの人民元の切り上げ。
これは中国にとってかなりの打撃になるだろう。

ドル安、人民元安が続くとするおおかたの見方を大きくくつがえすものだ。

2010年は、1ドル=85円あたりまで円高が進むとする見方が多かったが、
現在、1ドル=95円近くまで円安が進んでいることを考えるとこれはかなり日本にとっては有利な状況である。

アメリカは再度日本への急接近を図っているようにも見える。
普天間の米軍基地移設を、日本国内にとどめ置くことへの見返りなのか。

アメリカは、日本が中国に接近することを極力怖れているように見える。

アメリカは経済的には、トヨタ叩きで日本を叩き、次には人民元切り上げで中国を叩くつもりなのか。


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