ひょうきちの疑問

新聞・テレビ報道はおかしい。
2020年のアメリカ大統領選以後はムチャクチャ

アメリカのグローバリズムと、アラブのナショナリズム

2015-11-19 07:26:20 | 国際・外交(日米関係)

アメリカはいま世界各地のナショナリズムを破壊して、徹底的にナショナリズム国家を悪者に仕立て上げようとしている。
ここ20年間でまず狙われたのは中東地域である。
中東地域のナショナリズムを破壊して、石油利権を取り上げようとした。

アメリカの政策は、冷戦終結後、一国覇権主義からグローバリズムへと変化した。
一国覇権主義とは、世界各地で起こる反米のナショナリズムを叩き潰すことである。
アメリカのルールに従えということである。
それがグローバリズムへと変形する。
言ってみれば、グローバリズムとはアメリカの一国覇権主義の変形である。

すると今度はグローバリズムを広めるために、アメリカは各地で紛争を起こすようになった。
紛争の火種をアメリカ自ら作り出すようになった。
2001年の9.11事件はその最たるものだ。
あれは完全なアメリカの自作自演である。
1991年のイラクとの湾岸戦争を含め、2001年のアフガン攻撃、2003年のイラク戦争、これらはすべてアメリカが自ら巻き起こしたものである。

グローバリズムとはアメリカのルールに世界中を従わせることである。
そのために必要なのは、軍事金融石油である。

オバマはこのことに積極的でないが、アメリカには金融界と結んだ軍産複合体がある。
軍事力で勝り、世界の基軸通貨のドルを守り、石油をドル建てで決済する。
このことだけでアメリカは食っていこうとしている。
アメリカの製造業は壊滅している。

軍事と金融と石油で食っていこうとするアメリカにとって、それをはばもうとする各国のナショナリズムは邪魔ものである。
真っ先に狙われたのが石油を産出する中東諸国である。

中東諸国はイスラム教である。
このイスラム教はアメリカの法体系とは違ったルールで動いている。
1979年のイラン革命以後、このことはますます鮮明になった。
最近ではエルドアン政権下のトルコまでイスラム色を強めている。

イスラム教はスンニ派シーア派という二つの宗派に分かれ対立している。
イスラム諸国は、アラブ民族ペルシャ民族(イラン)トルコ民族に分かれ、それぞれ対立を深めている。
それぞれの国がイスラムの教えと民族意識を持ちナショナリズムを持っている。
それがアメリカにとっては邪魔なのだ。

イスラム圏での大きな対立はスンニ派のサウジアラビアシーア派のイランの対立である。
イスラム圏ではスンニ派が大勢力、シーア派は少数勢力である。
アメリカはまず大勢力であるスンニ派のサウジアラビアを味方に引き入れた。
アルカイダの首領であったオサマ・ビンラディンはこのサウジアラビアの大富豪の一族であった。
アメリカはこのオサマ・ビンラディンをソ連のアフガン侵攻の際に利用した後、極悪人に仕立て上げ、使い捨てた。
そしてイラク戦争を仕掛け、濡れ衣を着せてフセインを殺した。
「イスラム国」はこのフセインの流れから出てくる。
イスラム国はフセイン政権がそうであったようにスンニ派である。
同じスンニ派のサウジアラビアがこのイスラム国を陰で応援しているという話もある。
そのことをアメリカも後押ししているという噂もある。

内乱状態にあるシリアのアサド政権はシーア派である。
これに対しシリアに勢力を拡大しているイスラム国はスンニ派である。
これは一見、スンニ派とシーア派の対立に見えるが、反米でシーア派のイランと、親米でスンニ派のサウジとの対立にも見える。
つまり後ろで糸を引いているアメリカの影がちらつく
イランは同じシーア派のシリアのアサド政権を支援しているが、アメリカはシリアを人権抑圧国家としてつぶしにかかっている
ただしこれはオバマ自身の動きではない。
金融界と結んだアメリカの軍産複合体の動きである。

2011年から起こったアラブ世界の暴動を「アラブの春」と呼んだが、それは春ではなく混乱をもたらしただけであった
今イスラム世界で起こっていることも、この混乱がますます拡大していることを示している。

アメリカはこのアラブの混乱の後の軍事的大掃除を狙っているのではないか。
そのために徹底してアラブのナショナリズムを悪人に仕立て、つぶそうとしているのではないか。
しかしもとはといえば、この紛争はアメリカのグローバリズムから起こったことである。

『窮鼠、猫を噛む』、アメリカはこの手で相手を追い詰める。
このことは我々日本人が一番よく知っている。