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●斉加尚代監督『教育と愛国』…JCJ賞《選考委員から「ジャーナリストが決意を固めて取り組めばこれだけの作品ができることを示した」》

2022年11月01日 00時00分42秒 | Weblog

[↑ 誰がメディアを殺すのか 毎日放送ディレクター・斉加尚代さん (朝日新聞、2022年5月19日)]


 (20221019[])
教育と愛国』…《教科書採択に「政治家がタッチしてはいけない…」…政治家はタッチしないのが当たり前なのだ》を理解できないアベ様でした。

   『●斉加尚代監督『教育と愛国』:《教育への政治支配が続けば、日本の
     学校は…政府プロパガンダを信じ込ませる場に堕す》(前川喜平さん)
   『●『教育と愛国』《危うさに気づいた…。監督で毎日放送の斉加尚代さんは、
         ゆがむ教育現場のリアルを伝え「教科書は誰のものか」を問う》
   『●《地元テレビはヒレ伏しヨイショの連続》…一方、ある記者は
     《「こんな状態でも、ひるんじゃダメよ」――。橋下市長より大人だ》った
   『●『教育と愛国』《教科書は誰のものか》…「そんなふうに、教科書
     検定だけではなく学校の現場に、有形無形の圧力が押し寄せている」
   『●『教育と愛国』…《教科書採択に「政治家がタッチしてはいけない…」
     …政治家はタッチしないのが当たり前なのだ》を理解できないアベ様

 斉加尚代監督『教育と愛国』――― 前川喜平さん《『教育と愛国』(斉加尚代監督)の試写を見た。従軍慰安婦、集団自決、強制連行を巡る教科書検定などへの政治的圧力、教育右傾化をえぐり出したドキュメンタリー》《教育への政治支配が進めば、日本の学校はロシアや中国のように政府プロパガンダを信じ込ませる場に堕すだろう》。また、《「主戦場」を見た人には「教育と愛国」を見ることもおすすめします》とも。(映画「主戦場」の監督が訴えられていた裁判、二審も勝訴しています。当たり前です。)

   『●映画『主戦場』で、〝否定派〟の論客の皆さん《杉田水脈衆院議員や
     ケント・ギルバート氏…藤岡信勝氏、テキサス親父…櫻井よしこ氏》は…

 お維・橋下徹初代大阪「ト」知事と戦った記者…【橋下氏、女性記者を“罵倒”つるし上げ!君が代条例の波紋】。斉加尚代MBS記者と、《地元テレビはヒレ伏しヨイショの連続》《ハシズム》で当時絶好調の橋本徹元大阪「ト」知事・当時大阪市長とのやり取りが秀逸。

   『●対橋下元〝ト〟知事、どうすべきか?

 さて、毎日放送のニュース映像【MBS製作の映画『教育と愛国』がJCJ賞の「大賞」に 日本ジャーナリスト会議が選定(2022年9月24日)】(https://www.youtube.com/watch?v=0kDgITP2-1Y)によると、《MBSが今年に製作したドキュメンタリー映画『教育と愛国』が、優れたジャーナリズム活動を表彰する「JCJ賞」の大賞に選ばれ、9月24日、贈賞式が行われました。JCJ賞は、毎年、映像や活字などすべてのジャーナリズム活動の中から作品数点をJCJ=日本ジャーナリスト会議が選定し、表彰しています。今年の大賞に選ばれたのは、MBS製作のドキュメンタリー映画『教育と愛国』で、東京で行われた贈賞式では、選考委員から「ジャーナリストが決意を固めて取り組めばこれだけの作品ができることを示したと受賞理由が述べられました。監督のMBS斉加尚代ディレクターは受賞後のスピーチで、「この映画はスタッフに支えられ、そして多くの観客に育てていただきました」と話しました。『教育と愛国』は京都や宝塚で上映されています》。


【MBS製作の映画『教育と愛国』がJCJ賞の「大賞」に 日本ジャーナリスト会議が選定(2022年9月24日)】
https://www.youtube.com/watch?v=0kDgITP2-1Y

 日本ジャーナリスト会議 (JCJ) のWPの記事【【65回JCJ賞決まる】JCJ大賞 映画「教育と愛国」 JCJ賞4点 特別賞1点 24日(土)午後1時から東京・全水道会館で贈賞式】(http://jcj-daily.seesaa.net/article/491247573.html)によると、《日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、1958年以来、年間の優れたジャーナリズム活動・作品を選定して、「JCJ賞」を贈り、顕彰してきました。今年で65回を迎えました。8月31日の選考会議において、次の6点を受賞作と決定いたしました》。
 さらに、《大阪の教育現場で長く取材してきた斉加尚代ディレクターが、2017年にMBSで放送した作品に追加取材をして再構成したドキュメンタリー映画。小学校の道徳教科書で「パン屋」が「和菓子屋」に書き換えられる。滑稽な書き換えだが、斉加は沖縄戦での集団自決について「軍の強制」が削除された問題とつながると感じた。ほとんどの出版社から取材を断られながら、「新しい歴史教科書をつくる会」を支持する立場の伊藤隆・東大名誉教授のインタビューを実現。「歴史に学ぶ必要はないという、歴史学者としてはあるまじき発言に衝撃を受ける。教育への政治介入が強まる中で、教科書から史実が消える。5月の公開から2か月で、2万7千人が映画館に足を運んだ。教育への危機感が広がっている》。

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http://jcj-daily.seesaa.net/article/491247573.html

2022年09月05日
【65回JCJ賞決まる】JCJ大賞 映画「教育と愛国」 JCJ賞4点 特別賞1点 24日(土)午後1時から東京・全水道会館で贈賞式

日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、1958年以来、年間の優れたジャーナリズム活動・作品を選定して、「JCJ賞」を贈り、顕彰してきました。今年で65回を迎えました。8月31日の選考会議において、次の6点を受賞作と決定いたしました。

【JCJ賞大賞】    1点

● 映画「教育と愛国」 監督・斉加尚代


【JCJ賞】      4点(順不同)

● 「土の声を『国策民営』リニアの現場から」 信濃毎日新聞
● 風間直樹/井艸恵美/辻麻梨子『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』  東洋経済新報社
● 北海道新聞社編『消えた「四島返還」 安倍政権 日ロ交渉2800日を追う』 北海道新聞社
● 「ネアンデルタール人は核の夢を見るか~“核のごみ”と科学と民主主義」 北海道放送


【JCJ特別賞】    1点

● 沖縄タイムス社と琉球新報社


JCJ賞 贈賞式:9月24日(土) 13:00~ 全水道会館・4階大会議室(東京・水道橋)
2022年JCJ賞贈賞作品一覧

【JCJ賞大賞】

● 映画「教育と愛国」 監督・斉加尚代

 大阪の教育現場で長く取材してきた斉加尚代ディレクターが、2017年にMBSで放送した作品に追加取材をして再構成したドキュメンタリー映画。小学校の道徳教科書で「パン屋」が「和菓子屋」に書き換えられる。滑稽な書き換えだが、斉加は沖縄戦での集団自決について「軍の強制」が削除された問題とつながると感じた。ほとんどの出版社から取材を断られながら、「新しい歴史教科書をつくる会」を支持する立場の伊藤隆・東大名誉教授のインタビューを実現。「歴史に学ぶ必要はない」という、歴史学者としてはあるまじき発言に衝撃を受ける。教育への政治介入が強まる中で、教科書から史実が消える。5月の公開から2か月で、2万7千人が映画館に足を運んだ。教育への危機感が広がっている。


【JCJ賞】

● 「土の声を『国策民営』リニアの現場から」 信濃毎日新聞 

 日本列島の中央部の自然体系と地形、風土を大きく傷つけながら強行されているリニアモーターカー建設プロジェクト。現下で総工費約7兆円のうち約3兆円を政府が財政投融資で貸し出すという、「国策民営」の事業だが、長野など関係県や市町村にも大きな負担を押し付けられている。その必要性、有効性からも、「21世紀最大の無駄プロジェクト」に対しては、地元住民などの根強い反対運動が続く。86%がトンネル工事の同プロジェクトでは、残土の処理や運搬など「土」の処理が、大きな課題になっている。この「土」に焦点をあてながら、報道機関がとかく及び腰だったリニア問題に、正面から本格的に切り込んだ本企画は、斬新でインパクトが大きい。


● 風間直樹/井艸恵美/辻麻梨子『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』 東洋経済新報社

 この闇の深さに慄然とさせられる。日本は精神疾患の患者数が400万人を超え、精神病床入院患者数約28万人、人口当たりでも世界ダントツ。そして日本の精神病院特有の強制入院制度「医療保護入院」がある。この実態を、東洋経済調査報道部メンバーが丹念に取材した。問答無用の長期入院、DVの夫の策略による入院、40年も退院できなかった男性、向精神薬の薬漬け、「一生退院させない」とおどされてパイプカットした男性、密室での虐待横行……など、家族のしがらみをも利用し、人権のかけらも見られない報告は生々しくおそろしい。少し広げて福祉行政問題にも言及がある。深刻な事態が予想される認知症急増という現在の日本に、警鐘を大きく打ち鳴らす一冊。


● 北海道新聞社編『消えた「四島返還」 安倍政権 日ロ交渉2800日を追う』 北海道新聞社

 北方領土返還問題に関する安倍政権の日ロ交渉はこの上ない稚拙外交そのものであった。
 本書は、従来の「四島返還」から歯舞・色丹の2島返還に独断で舵を切ってしまい、あげくプーチンに手玉にとられた安倍対ロ外交を7年以上にわたって追った地元紙の記録である。
 交渉の背景に見えてくる米ロ関係の悪化、ロシアのクリミア支配、連繋の深まる中ロ関係、ロシアとその周辺諸国との領土交渉の経緯等々、日ロ交渉を考えるうえでのさまざまな要素を含め、広く深く取材と分析をしている。未発表の証言の掘り起こしやロシア周辺諸国の動向への目配りも光る、北方領土問題の全貌を理解する上での必読の書である。


● 「ネアンデルタール人は核の夢を見るか~“核のごみ”と科学と民主主義」 北海道放送

 原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のごみ。北海道寿都町と神恵内村で、全国初の核のごみに関する文献調査が行われている。人体に影響がない放射線量になるのは10万年後とされる。今から10万年前はネアンデルタール人がいた時代だ。彼らは核の夢を見ただろうか。私たちは10万年先まで安全に核のごみを管理できるのか。「迷惑施設」を地方に押し付ける構図は原発や米軍基地とも通じる。しかし、道内のテレビや新聞は交付金目当てに調査に応募した町長や反対派住民の動きを中心とした報道に終始している、この番組は、本来、国全体で議論すべき問題が地方に押し付けられている構図を鮮明にし、一人ひとりが考えるべきだとのメッセージを発信している。


【JCJ特別賞】

● 沖縄タイムス社と琉球新報社

 沖縄タイムス、琉球新報の2紙は、ことし復帰50年を記念して、タイムスは「防人の肖像」、「50歳の島で」の企画などで、また新報は「沖縄の日本復帰50年の内実を問う」の特別号などで、ともに復帰50年を迎えた沖縄の基地の現実と、人々の生活を詳しく報道した。県内に2紙が併存するという、厳しい経営状況の下で、真実の報道を求めて切磋琢磨する2紙の活動は、日本の民主主義のために極めて重要である。
 2紙はこれまで戦後77年の日本で、米軍統治下での闘いを含め、県民の人権と日本の民主主義のために、絶えざる報道と評論活動を続けてきた。その活動は、日本のジャーナリズム全体の中で特筆されるべき成果を生んでおり、その果たした役割は極めて大きく、本土の新聞が教えられ、手本とするものでもあった
 特に、「再び戦争のためにペン、カメラ、マイクをとらない」をモットーに活動してきたJCJとして、「反戦」を明確に掲げる沖縄2紙の活動は、特に頼もしいものでもある。
 JCJは沖縄復帰50年に当たり、2紙のこの間の活動の努力と成果に対し、JCJ特別賞を贈り表彰する。

  日本ジャーナリスト会議(JCJ)
  事務局長 須貝道雄
  JCJ賞推薦委員会 大場幸夫
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●『教育と愛国』…《教科書採択に「政治家がタッチしてはいけない…」…政治家はタッチしないのが当たり前なのだ》を理解できないアベ様

2022年07月08日 00時00分24秒 | Weblog

[↑ 誰がメディアを殺すのか 毎日放送ディレクター・斉加尚代さん (朝日新聞、2022年5月19日)]


(2022年06月26日[日])
デモクラシータイムスのインタビュー【斉加尚代 何が記者を殺すのか 【著者に訊く!(鈴木耕)】 20220613】(https://www.youtube.com/watch?v=Z5vAhThnCZM&t=9s)。

 《大阪のテレビ局からの発信が、全国を揺るがしている。映画と本のふたつのメディアで、息苦しい報道現場に風穴を開けた報道記者が殺されるのは、権力の圧力とそれに忖度する社内外の空気。沖縄の基地反対運動、教科書問題、ネット上のバッシングなどを題材に、現代特有の報道の窒息状況へ立ち向かうディレクターとその仲間たち。すさまじい熱気が描き出す、現代テレビ・ドキュメンタリー最前線!》



斉加尚代 何が記者を殺すのか 【著者に訊く!(鈴木耕)】 20220613】
 (https://www.youtube.com/watch?v=Z5vAhThnCZM&t=9s


   『●斉加尚代監督『教育と愛国』:《教育への政治支配が続けば、日本の
     学校は…政府プロパガンダを信じ込ませる場に堕す》(前川喜平さん)
   『●『教育と愛国』《危うさに気づいた…。監督で毎日放送の斉加尚代さんは、
         ゆがむ教育現場のリアルを伝え「教科書は誰のものか」を問う》
   『●《地元テレビはヒレ伏しヨイショの連続》…一方、ある記者は
     《「こんな状態でも、ひるんじゃダメよ」――。橋下市長より大人だ》った
   『●『教育と愛国』《教科書は誰のものか》…「そんなふうに、教科書
     検定だけではなく学校の現場に、有形無形の圧力が押し寄せている」

 斉加尚代監督『教育と愛国』――― 前川喜平さん《『教育と愛国』(斉加尚代監督)の試写を見た。従軍慰安婦、集団自決、強制連行を巡る教科書検定などへの政治的圧力、教育右傾化をえぐり出したドキュメンタリー》《教育への政治支配が進めば、日本の学校はロシアや中国のように政府プロパガンダを信じ込ませる場に堕すだろう》。また、《「主戦場」を見た人には「教育と愛国」を見ることもおすすめします》とも。

   『●映画『主戦場』で、〝否定派〟の論客の皆さん《杉田水脈衆院議員や
     ケント・ギルバート氏…藤岡信勝氏、テキサス親父…櫻井よしこ氏》は…

 お維・橋下徹初代大阪「ト」知事と戦った記者…【橋下氏、女性記者を“罵倒”つるし上げ!君が代条例の波紋】。斉加尚代MBS記者と、《地元テレビはヒレ伏しヨイショの連続》《ハシズム》で当時絶好調の橋本徹元大阪「ト」知事・当時大阪市長とのやり取りが秀逸。

   『●対橋下元〝ト〟知事、どうすべきか?

 この【著者に訊く!(鈴木耕)】インタビューでは、斉加尚代さんは「政治が教育に介入してはいけないというモラルが崩壊している」と指摘。前川喜平さんがアベ様に向けて言ったものと同じ、「いやいや政治家はタッチしないのが当たり前なのだ」…《二〇二一年に日本教育再生機構大阪で開いた会合で熱く語る安倍晋三氏。教科書採択に「政治家がタッチしてはいけないのかといえば、そんなことはないですよ。当たり前じゃないですか」。いやいや政治家はタッチしないのが当たり前なのだ》。

 最後に鈴木耕さん、「(MBSを)辞めないでください!」、本当にブログ主も、そう思います。

   『●前川喜平さん《社会全体が子どもたちを支えられるように、子どもたちに
        税金を使う仕組みを作らなければいけない》…逆行するアベ様政権
   『●【NNNドキュメント カネのない宇宙人 信州 閉鎖危機に揺れる
     天文台】…《「経済的利益」を重視する国の政策によって…資金》大幅減
    「2005年から運営費交付金を年1%削減し続ける文科省。人件費が
     どんどんと削られ、研究者が減らされていく。文系どころか、理系に
     対しても未来に投資しない国。一方、巨額の軍事研究費で研究者の
     良心を釣る。おカネ儲けのことしか考えていない独裁者・アベ様ら。
     この国ニッポンの科学の未来はトンデモなく暗い…。」

   『●前川喜平さん《本来は自由で自律的でなければならない分野にまで
     政治支配が及ぼうとしている…新聞やテレビ…教育、文化や学問…》
   『●《国公立大や公的機関の研究者…大量雇い止め》《研究者が人件費の
     「調整弁」》…指宿昭一弁護士「いつでも切れる状態にする悪辣なやり方」

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●『教育と愛国』《教科書は誰のものか》…「そんなふうに、教科書検定だけではなく学校の現場に、有形無形の圧力が押し寄せている」

2022年07月06日 00時00分49秒 | Weblog

[↑ 誰がメディアを殺すのか 毎日放送ディレクター・斉加尚代さん (朝日新聞、2022年5月19日)]


(20220605[])
マガジン9のインタビュー記事【この人に聞きたい 斉加尚代さんに聞いた:強まる教育への政治介入。この国で今、何が起きているのか〜映画『教育と愛国』】(https://maga9.jp/220525-1/)。

 《この5月に公開された映画『教育と愛国』が話題です。道徳の教科化、教科書検定における圧力、日本学術会議の委員任命拒否問題、「慰安婦」問題を教える中学校教員や研究する大学教授への激しいバッシング……スクリーンに描き出される、教育と教科書をめぐるこの国の現状には、ぞっとするような怖ささえ覚えます。初監督映画となるこの作品を「切羽詰まる思いで作った」と語る毎日放送(MBS)ディレクターの斉加尚代さんにお話をうかがいました》。

 《ゆがむ教育現場のリアルを伝え「教科書は誰のものか」を問う》。「教育は普遍的価値で独立を担保すべき」。
 沖縄タイムスのコラム【[大弦小弦]教育とメディアと愛国】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/966696)によると、《日の丸の小旗を手に万歳する子どもたち。米国が戦中に作った映画は、日本の教育を「政府が選んだ事実や認められた思想のみが教えられる」「同じように考える子どもの大量生産」と解説した▼公開中の映画「教育と愛国」は冒頭、このモノクロ映像を紹介する。徐々に現代の教室と二重写しになる》。

   『●斉加尚代監督『教育と愛国』:《教育への政治支配が続けば、日本の
     学校は…政府プロパガンダを信じ込ませる場に堕す》(前川喜平さん)
   『●『教育と愛国』《危うさに気づいた…。監督で毎日放送の斉加尚代さんは、
         ゆがむ教育現場のリアルを伝え「教科書は誰のものか」を問う》
   『●《地元テレビはヒレ伏しヨイショの連続》…一方、ある記者は
     《「こんな状態でも、ひるんじゃダメよ」――。橋下市長より大人だ》った

 斉加尚代監督『教育と愛国』――― 前川喜平さん《『教育と愛国』(斉加尚代監督)の試写を見た。従軍慰安婦、集団自決、強制連行を巡る教科書検定などへの政治的圧力、教育右傾化をえぐり出したドキュメンタリー》《教育への政治支配が進めば、日本の学校はロシアや中国のように政府プロパガンダを信じ込ませる場に堕すだろう》。また、《「主戦場」を見た人には「教育と愛国」を見ることもおすすめします》とも。

   『●映画『主戦場』で、〝否定派〟の論客の皆さん《杉田水脈衆院議員や
     ケント・ギルバート氏…藤岡信勝氏、テキサス親父…櫻井よしこ氏》は…

 お維・橋下徹初代大阪「ト」知事と戦った記者…【橋下氏、女性記者を“罵倒”つるし上げ!君が代条例の波紋】。斉加尚代MBS記者と、《地元テレビはヒレ伏しヨイショの連続》《ハシズム》で当時絶好調の橋本徹元大阪「ト」知事・当時大阪市長とのやり取りが秀逸。

   『●対橋下元〝ト〟知事、どうすべきか?

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https://maga9.jp/220525-1/

この人に聞きたい
斉加尚代さんに聞いた:強まる教育への政治介入。この国で今、何が起きているのか〜映画『教育と愛国』
By マガジン9編集部 2022年5月25日

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この5月に公開された映画『教育と愛国』が話題です。道徳の教科化、教科書検定における圧力、日本学術会議の委員任命拒否問題、「慰安婦」問題を教える中学校教員や研究する大学教授への激しいバッシング……スクリーンに描き出される、教育と教科書をめぐるこの国の現状には、ぞっとするような怖ささえ覚えます。初監督映画となるこの作品を「切羽詰まる思いで作った」と語る毎日放送(MBS)ディレクターの斉加尚代さんにお話をうかがいました。
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教科書をめぐる「圧力」が強まっている

──公開中の映画『教育と愛国』は、MBSのドキュメンタリーシリーズの1作として2017年に放映されたテレビ番組がもとになっています。最初にこのテーマで番組を作ろうと思われたのはどうしてだったのでしょうか。

斉加 直接のきっかけになったのは17年3月、小学校の道徳教科書検定の結果が発表され、そこに付けられた検定意見が話題になっていたことでした。
 代表的だったのが、小学校1年生の教科書に収録されていた「にちようびのさんぽみち」という作品。子どもが自分の住む地域を散歩して「パン屋」で友だちに出会うという話なのですが、学習指導要領にある「国や郷土を愛する態度」に照らして扱いが不適切である、という検定意見が付いたのです。
 これを受けて、教科書会社は「パン屋」を「和菓子屋」に変更。「パン屋には愛国心が足りないというのか」「あんパンはどうなんだ」などと、インターネット上で論争が巻き起こっていました。

     (『教育と愛国』より。
      (c)2022映画「教育と愛国」製作委員会)


検定意見……学校で使用される教科書は、民間の教科書会社が編集・制作し、文部科学省による「検定」によって教科書として認定される。検定においては、文科省による「検定意見」が付けられ、それを受けて各教科書会社が修正を行った上で合否が判定されることになる。


──戦後ずっと「特別の教科」という位置付けだった道徳は、小学校で18年度、中学校で19年度から、教科書を使って教えられる正式な「教科」という扱いになりました。それに向けた最初の道徳教科書だったこともあって、大きな注目を集めましたね。

斉加 ただ、「教科書の問題をやらなきゃ」と強く思ったのはそれだけが理由ではありません。その10年以上前の06年に、高校日本史の教科書検定において、沖縄戦での「集団自決」についての記述に検定意見が付き、日本軍による命令や誘導があったと取れる記述が削除されるという出来事がありました。それを知っていたので、戦争の記述と「パン屋」、まったく違う話のように見えるけれど、根っこのところではつながっているのではないかと感じたのです。
 戦前・戦中の日本では、道徳は「修身」と呼ばれ、子どもたちに「忠君愛国」という一つの価値観を押しつけるような、今の言葉でいえば「日本ファースト」の教育が行われていました。戦後、道徳が正式の教科になってこなかったのも、そのことに対する反省があったからです。
 その道徳が73年ぶりに正式教科として復活する。もちろん、「修身を復活させるんだ」なんて言っている人はいなくて、学校でいじめが相次いでいるなどの問題に対応するためというのが表向きの理由でした。でも実際には、教科書検定において、「愛国心」について述べた条項に照らして不適切だ、という意見が付くということが起こっている。事態は思った以上に深刻なのかもしれないと考えて、番組の企画書を書いたのです。

──教科書については検定の問題の他、「学び舎」という教科書会社の中学歴史教科書を採用している学校に、大量の抗議はがきが送りつけられていたという話も出てきました。

斉加 学び舎の歴史教科書は、現場の教師たちがそれまで授業で重ねてきた実践を持ち寄り、独自に作ったもので、16年に初めて検定に合格しました。歴史的事実を単に暗記するのではなく、子どもたちにどのように歴史が作られてきたのかを考えさせ、問いかける内容になっています。それを「反日極左の教科書」などと決めつけ、採用に抗議するはがきが学校に届いているという話を番組の下調べ段階で耳にし、取材することにしました。
 当初は、実際に学び舎の教科書を使って行われている授業の様子を撮影取材したいと思い、いくつもの学校に申し入れたのですが、すべて断られました。誰からかは分からないけれど、ある意味で狙われ、脅されている状況にあるわけで、そんな中で取材は受けられない、と。結局、複数の学校から抗議はがきの現物だけは借りることができたので、それをカメラマンに撮影してもらいましたが、その学校からも「校名は伏せて欲しい」と強く言われました。
 そんなふうに、教科書検定だけではなく学校の現場に、有形無形の圧力が押し寄せている。これは絶対に取材しなくては、と思いました。

     (斉加尚代さん。インタビューはオンラインで行った)


教育をめぐる状況は、明らかに悪い方向へ進んでいる

──そうして制作されたテレビ版「教育と愛国」は、17年度のギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞するなど高い評価を受けました。それを今回、改めて映画化しようと考えられたのはどうしてでしょうか。

斉加 ギャラクシー賞受賞の当時から、「映画にしたらどうか」という声はいくつかいただいていました。でも、私自身はテレビの番組づくりで手一杯で、そんなのはとても無理だと思っていたんです。
 ところが、20年になって新型コロナの感染拡大が始まった後、過去の取材でお世話になった先生たちをはじめ、教員も子どもたちも、学校現場が疲弊しているのがわかりました。その背景にあったのが、20年2月末に安倍首相(当時)が、まだ全然感染者のいない地域もあったにもかかわらず突然の全国一斉休校要請を表明したこと。何も聞かされていなかった現場はもちろん大混乱、卒業式ができなくなって涙した子どもたちも多かったと聞きます。
 そもそも、首相が文科省の頭越しに「休校要請」をするなんて、教育の独立性を重視する戦後の教育基本法の考え方からすればまずあり得ません。ところがその後も、大阪では松井大阪市長が教育委員会に相談すらせず「オンライン授業を一斉に行う」と発言、またしても学校現場が翻弄されるという事態になった教育の独立性が危機にさらされている、このままでは学校現場で子どもたちに向き合う先生たちは、疲弊する一方だと感じました。
 加えて、ちょうどそのころ、テレビ版「教育と愛国」をある映画祭で上映していただく機会に恵まれたんです。大きなスクリーンで見てもらうと、またテレビとは反応が違うと感じて、「表現の場を変えて、映画という形で見てもらうのもいいのかもしれない」と少しずつ考え始めました。
 それでもまだ「難しいだろうな」という迷いがあったのですが、最終的に自分の中で「やろう」とギアが入ったのは、日本学術会議の会員任命拒否問題が起きたときです。


日本学術会議の会員任命拒否問題…日本学術会議は、政府への政策提言などを役割とする内閣府の特別機関。会員には理学・工学、人文・社会など幅広い分野の科学者が揃う。これまで、その会員は会議が推薦した候補者がそのまま任命されてきたが、2020年9月、菅首相(当時)は、会議が推薦した新会員候補105名のうち6人の任命を拒否。拒否を判断した具体的な理由も示されなかった。


──同じ20年の10月ですね。1年半以上が過ぎた今も、その「拒否」の理由について、納得のいく説明はなされていないままです。

斉加 それまでも、政府によって教育の自由が脅かされていると感じてきたけれど、そこにさらに特定の学者が官邸の意向によって排除されるという事態が起こった。教育の自由に加えて学問の自由にも政府が介入してきたわけで、一線を越える時代が到来してしまったんじゃないかと、強い衝撃を受けたんです。
 ここまで来てしまったのは、教育の自由や学問の自由の重要性に気づいていない人が多いからじゃないか。その責任の一端は、報じてこなかったメディア、そしてその一員である私自身にもある。だったら、これからでもより広く事態を伝えていくために、これまでの自分の仕事から垣根を越えて、表現の場を広げていかなきゃいけないんじゃないか──。そう感じて、「映画にしよう」とスイッチが入りました。

──映画化にあたって、たくさん追加取材をされたと思うのですが、もっとも力を入れたのはどのあたりでしょうか。

斉加 当初は、教科書検定制度をもっと詳しく描きたいと考えていました。でも、次々に取材拒否に遭ってしまって、関係者のインタビューがまったく取れなかったんです。

──関係者というと……。

斉加 教科書編集者や文科省の教科書調査官はもちろん、教科書を印刷している会社からも取材は断られました。「発行元の了解が得られない」とか「コロナ禍なので取材は受けられない」とか。
 特に、検定意見を付ける側の調査官には、どういう気持ちで意見を付けているのかをぜひ聞いてみたいと思っていました。教科書執筆者や編集者の側からすれば、調査官は「権力者」に見える。でも実際には、調査官は調査官でびくびくしながら意見を書いているという話も聞くんです。過去には、検定意見の内容について調査官個人を攻撃するような雑誌記事が出たこともあるので、自分が攻撃対象になったり、「この検定意見はおかしい」と裁判になったりするようなことがないようにと、相当迷いながら仕事をされているようなんですね。

──それは聞いてみたいですね。

斉加 そうでしょう。でも、結局は調査官に対する取材は一切できませんでした。インタビューなしで、調査官の姿を遠くから撮るだけでもダメ。調査官が教科書編集者とのやりとりをする部屋や、その看板の撮影も拒否されました。先ほどお話しした06年の沖縄戦の問題のときは撮影できており、局にも映像が残っているのですが……。
 文科省は、表向きは「教科書は民間出版社の創意工夫でつくられる」と言っていますが、それができるような空気ではないと感じます。制作に関わる人みんなが、文科省の顔色をうかがい、さらにはその向こうにいる政治家の顔色をうかがっているそんな教科書が、子どもたちのほうを向いてつくられているといえるのかという疑問がわきました
 そんなわけで、教科書検定の問題を深掘りしたいという構想は、方向を変えるしかありませんでした。それでも、日本学術会議の問題をはじめ、改めて50分番組を1本作れるくらいの追加取材はしましたね。


     (『教育と愛国』より。学び舎の教科書を採用した学校に
      寄せられた抗議はがき
      (c)2022映画「教育と愛国」製作委員会)


大阪は政治主導の教育改革の「実験台」だった

──最初のテレビ版の取材からは5年が経っているわけですが、取材の中で状況の変化は感じられましたか。

斉加 教育をめぐる状況は、明らかに悪い方向に進んでいると実感しました。コロナ禍も影響しているのでしょうが、それだけではないと思っています。

──映画の中に出てきた、大阪府市で次々に教育に関する条例が可決され、政治的介入が強められていく様子が非常に怖くて印象的だったのですが、その大阪でも教員不足などの問題が顕在化してきていますね。

斉加 橋下徹さんが大阪府知事に就任した08年以降、大阪では維新府政・市政の下で政治主導の教育改革が押し進められてきました首長や議会の権限を強め、市場原理を導入して学校間の競争を促し、教育委員会制度を変えて教育現場の管理を強化し……。府知事に就任して間もないころの橋下さんに「知事のやろうとしていることは教育ではなくて政治ですよ」とおっしゃった教育委員の方がいたのですが、その後起こってきたのはまさに「教育が政治の道具にされる」ということだったと思います。
 ただ、教育現場の変化というのは、法律が変わったからといってすぐに表れるものではありません。現場の先生たちはやっぱり子どもたちのほうを見ていますし、悪い方向に行かないように、なんとか踏ん張ろうとする。それでも踏ん張りきれなくなったころに、じわじわと変化が現れてくるものなんです。
 教育改革が始まった当時も、府市の教育委員を務める先生方が口々に、「維新がやろうとしている『改革』の結果は、5年後10年後に現れてくる」とおっしゃっていましたが、本当にそのとおりになった。この10年で、大阪の教育現場は激変したし疲弊してきたと感じています。

──それは、大阪だけの問題ではないように思います。同じようなことが、少し遅れて全国で起こりつつあるのではないでしょうか。

斉加 そうだと思います。教育委員会制度を見直し、首長の権限を強化する地方教育行政法の改正案が国会で14年に可決されたとき、橋下さんは「国が大阪に追いついた」と賞賛しました。そのように、政治主導の教育改革の先兵、実験台の役割を、大阪が果たしてきたということなんだと私は見ています。

──そうした流れの根っこにあるのは、やはり映画の中でも触れられていた教育基本法の改正でしょうか。改正されたのは今から15年以上前、06年のことですが……。

斉加 もちろんです。教育目標に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」という「愛国心条項」が加えられ、教育は「不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接的に責任を負って行われるべき」という、子どもの学習権をしっかりと保障していた条文が、「不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべき」と、法律に従ってさえいればそれでいいとも取れる条文に書き換えられてしまった。その影響は大きいと思います。
 ただ、ここでも現場はすぐには変わりません。第一次安倍政権のときに改定されて、そこから5年以上経った第二次安倍政権以降に、いよいよ改正の思惑が強く表れてきているということだと思います。


政治の教育への介入の先には「9条改正」がある

──「思惑」とは、政治の教育への介入を強めていくということだと思いますが、その最終的な目的はどこにあると思われますか。

斉加 私が検定合格した道徳の教科書を最初に読んだときの印象は、学習指導要領にある「道徳教育の内容」の中でも、「集団や社会とのかかわりに関すること」という徳目が非常に重視されているということでした。具体的には、規律やルールを守る、協調性を持ってみんなと仲良くする……つまりは、既存の秩序を守りましょう、ということです。
 ここが強調されるということは、既存の社会秩序をそのまま維持していくという、権力者にとって都合のいい方向に子どもたちを誘導しかねない。そのために道徳教育が使われようとしているんじゃないか、と思いました。
 たとえば、何社もの道徳教科書に出てくる話で「かぼちゃのつる」ってご存じですか。

──はい。畑で育っているかぼちゃがどんどんつるを伸ばして、やがて畑の外にまで伸びていこうとする。周りのミツバチやチョウも「だめだよ」と止めるけれど、かぼちゃは耳を貸そうとしない。結局、道路にはみ出たつるが車にひかれてしまい、かぼちゃは「痛い、痛い」と泣く……というお話ですよね。

斉加 あり得ないと思いました。ルールを破って道路にはみ出したから、車にひかれて罰を受けても当然ということですよね。とんでもない、つるを伸ばすのが得意なんだったら、どんどん伸ばしてみんなを喜ばせてあげてね、というのが本来の教育なんじゃないかと私は思うんですけど。

──政府の意向に逆らわない、政府の思うとおりに動かしやすい国民をつくるための教育をしようとしているように思えます。

斉加 そのための仕組みづくりがされていると感じますね。日本学術会議の問題だってそうでしょう。学術会議は戦後2度、科学者は国家のしもべにならない、戦争につながるような研究はしないと表明してきている機関ですから、今の与党政治が目指す方向とは異なる意見の人たちを排斥、排除しようとしているということだと思います。
 また、14年には教科書検定基準の変更が行われ、近現代史について政府見解に沿った記述が求められるようになりました。学問というものは、研究が積み上げられ、検証に検証を重ねてでき上がっていくものです。その学問の書であるはずの教科書に、時の政府の見解に沿った内容を書き込めというのは、教科書を教科書でなくせと言っているようなものです。

     (『教育と愛国』より。(c)2022映画「教育と愛国」製作委員会)

──結果として、一部の教科書では「従軍慰安婦」「強制連行」といった用語の書き換えも行われました


用語の書き換え……14年の教科書検定基準の変更を根拠に、菅内閣は21年4月、「『従軍慰安婦』または『いわゆる従軍慰安婦』ではなく、単に『慰安婦』という用語を用いることが適切」「(朝鮮半島から日本に連れてこられた人々について)『強制連行された』もしくは『強制的に連行された』または『連行された』と一括りに表現することは、適切ではない」などとする答弁書を閣議決定した。これを受け、この年の教科書検定では、一部の教科書会社が高校の地理歴史・公民などの教科書の記述を「従軍慰安婦」を「慰安婦」、「強制連行」を「徴用」などと修正した。


斉加 一つの国の歴史をさかのぼれば、そこには必ず加害と被害の両面があります。その加害の面から目を背けようとする流れが強まったとき、行き着く先は「加害を反省しない」ということ。それは周辺諸国との対立を呼び込み、戦争へと向かってしまう恐れすらあると思います。
 自分の生まれ育った地域や国が好きだという気持ちは、自然に生まれてくる分にはいいけれど、国家権力が主導して「愛国」と叫びだしたとたん、他の国、他の民族を否定して排斥することにつながり、戦争の芽を育てる土壌になっていきます。だから、差別的な言説は決して放置してはいけないし、差別や偏見を解消するためにも歴史を多角的に理解することが必要なはずです。それなのに、「ニッポンは素晴らしい」というような単純な歴史観に染まった人たちの声が大きくなっている現状はとても危うい。歴史を政治の道具にする「歴史戦」という言葉が、公共放送の電波にそのまま乗るという事態も、「ここまで来たのか」と思いました。
 そう考えていくと、こうした教育への政治の介入の先には、やはり憲法、それも9条を変えたいという狙いがあるのではないかと感じます。そもそも、01年に産経新聞に掲載された記事によれば、教育基本法改正は憲法改正と不可分だと、中曽根元首相が明言しているんです。「教育基本法はその(改憲の)根を作る意味で、憲法に先駆けて改正しなくてはならない」とはっきり言っている。その意向を受けた安倍さんが、そこから5年後に教育基本法改正を実行することになるわけです。
 そして、その安倍さんが支援していた「育鵬社」の歴史教科書では、不自然なほど天皇の存在が強調されていたり、平和主義を解説すると同時に自衛隊の役割が賞賛されていたりする。断言はできませんが、教科書に圧力をかけてきた人たちの中には、やはり憲法を、9条を変えたいという思惑があるのではないでしょうか。


歴史戦……「中国・韓国などが、慰安婦問題をはじめとする嘘の歴史認識を世界に広め、日本を不当に攻撃している」という前提のもと、「それを黙って受け入れるのでなく、戦って歴史認識を正していくべきだ」という考え方を意味する言葉。これまでにも一部メディアやインターネット上で用いられてきたが、22年1月にNHKが佐渡金山世界文化遺産登録問題について報じるニュース番組の中で「歴史戦」に言及。官邸が政権の歴史認識に基づき歴史的事実を集めて検証を進める「歴史戦チーム」を作って活動している、などと述べた。


報道ではなく「ビジネスの論理」で動いているメディア

──さて、斉加さんは4月に『何が記者を殺すのか 大阪発ドキュメンタリーの現場から』(集英社新書)という著書も出版されました。在阪のメディア、特にテレビについては、吉村大阪府知事はじめ「維新の会」の政治家が連日のように出演していることが指摘されるなど、その公平性、公共性に疑問を呈する声も強まっています。その中で仕事をしていてどう感じておられますか。

斉加 かつての戦争のとき、国営の放送局は当局発表を一切検証することなく、そのまま垂れ流し続けました。いわゆる大本営発表ですね。実際には戦局が不利になっているのに、日本は勝っているんだと報じ、戦争を煽り続けた。民間放送は、そのことへの反省から生まれたのだから、きっちりと権力を監視し、戦争につながる芽を摘んでいかなくてはならない。そうして平和な社会を築いていくためにこそ、私たちの存在があるんだ──。私はずっと、局の大先輩たちからそう聞かされてきました。
 だから、政治家の人気が高まり、支持率が上がれば上がるほどきっちりと監視をしていかなければならない、その政治家の政策が本当に府民や市民、国民のためになっているかをチェックしていかなくてはならないと考えてきました。その仕事のやり方は、入社してから30年あまり、ずっと変わっていないつもりです。
 ただ、周りのほうが変わったと感じることがあります。

──それは、どのようなことでしょう?

斉加 かつては、報道番組は視聴率の話なんてするな、数字は二の次で、今伝えるべきニュースは何かをまず考えろと言われました。現場を見て感じて、今の社会に必要なニュースを探してくるのが報道記者やディレクターの役割なんだと。私も、番組の企画を立てるときに視聴率を優先するようなことは一度もしてきませんでした
 それがいつからか、これなら視聴率を取れるとか、ネットに記事を出したときにページビューを稼げるとか、そういう言い方がされるようになってきた。「人気がある政治家がいるのなら、どんどんテレビに出てもらえばギャラなしで情報番組の枠が埋まって視聴率も取れる」と考える、そういうビジネスの論理が幅を利かせるようになったと感じています。

──メディアが、報道ではなくてビジネスの論理で動いている……。

斉加 そうした、視聴率を取れるのがいい番組だという価値観に現場が染まってしまったら、言論空間はどんどん歪んでいってしまう。お金のある人、力のある人が言論空間を掌握する世界になっていってしまうのではないでしょうか。それはとどのつまり、穏やかに暮らす普通の人々を苦しめることになっていくと思います。

──そうした空気の中で「視聴率のためではない」お仕事をしようとすることには、難しさもあると思います。斉加さんご自身、取材する中で政治家から罵倒されたり、インターネット上のバッシングにさらされたりといった経験をされていますが、怖いと感じることはありませんか。

斉加 相手が何者なのか「分からない」ことのほうが怖いですね。インターネット上でヘイトスピーチを繰り返している人たちの取材をしたときも、実際に会うまでは「どんな人たちなんだろう」と少し怖さもあったのですが、相手の姿がはっきりと見えることで怖さが薄まると感じました。自分自身にも、取材に行くのが怖いと感じるときは「取材すれば怖くなくなる」と言い聞かせています。
 それに、差別やヘイトをばらまく人や政治家もちろん怖いけれど、もっと怖いのはそれを支持する人たちです。みんなが無視していれば、その人は差別をばらまくこともできなくなるはずだし、政治家なら選挙で落ちて消えていくはずなのに、そうはなっていませんよね。そこがとても怖いと思っています。

──政治家が非常に差別的な発言をしても、なんとなくうやむやになって終わってしまう、という現状があります。

斉加 心の中で「何かおかしい」と思っている人たちも、それをなかなか口には出さないし、出せない。それが今の社会を覆っている閉塞感の一番の原因ではないでしょうか。だから今回の映画も、見て「何か変だな」「引っかかるな」と思う場面があれば、それについて周りの人と語り合ってほしい、ほんの少しでも社会に対してもの申してほしいと考えています。今こそいろんな人たちが「それおかしいよね」と言わなければ、社会全体がもっと悪い方向へ行きかねないと思うんです。
 もう私たちは、その悪い方向への「曲がり角」を曲がってしまったのではないかと迷いながら、それでもまだ間に合うかもしれない、という思いもあってこの映画を作りました。現場の教員のみなさん、教員を目指す若い人たち、子育て世代……幅広い層のいろんな方たちに見て、考えてほしいと思っています。

(取材・構成/仲藤里美)



映画『教育と愛国』
東京、大阪など全国順次公開中
公式サイト https://www.mbs.jp/kyoiku-aikoku/



斉加尚代(さいか・ひさよ) 1987年に毎日放送入社後、報道記者を経て2015年からドキュメンタリー担当ディレクター。担当番組に『なぜペンをとるのか──沖縄の新聞記者たち』『沖縄 さまよう木霊──基地反対運動の素顔』『バッシング──その発信源の背後に何が』など。著書に『教育と愛国──誰が教室を窒息させるのか』(岩波書店)『何が記者を殺すのか 大阪発ドキュメンタリーの現場から』(集英社新書)がある。
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●《地元テレビはヒレ伏しヨイショの連続》…一方、ある記者は《「こんな状態でも、ひるんじゃダメよ」――。橋下市長より大人だ》った

2022年06月02日 00時00分05秒 | Weblog

[↑ 誰がメディアを殺すのか 毎日放送ディレクター・斉加尚代さん (朝日新聞、2022年5月19日)]


(2022年05月21日[土])
アサヒコムの記事【(インタビュー)萎縮するメディア 毎日放送ディレクター・斉加尚代さん】(https://www.asahi.com/articles/ASQ5L31LFQ5HPTIL01B.html)。

 《政治家の記者会見で、激しいやりとりが減ったと感じる。そんな中、著書「何が記者を殺すのか」を出し、上映中のドキュメンタリー映画「教育と愛国」で監督を務めた毎日放送(MBS)ディレクターの斉加尚代さん。「萎縮するメディア」の背景には何があるのか。足を使って現場を回り続ける記者の先輩に、話を聞いた》。

   『●斉加尚代監督『教育と愛国』:《教育への政治支配が続けば、日本の
     学校は…政府プロパガンダを信じ込ませる場に堕す》(前川喜平さん)
   『●『教育と愛国』《危うさに気づいた…。監督で毎日放送の斉加尚代さんは、
         ゆがむ教育現場のリアルを伝え「教科書は誰のものか」を問う》

  斉加尚代監督『教育と愛国』――― 前川喜平さん《『教育と愛国』(斉加尚代監督)の試写を見た。従軍慰安婦、集団自決、強制連行を巡る教科書検定などへの政治的圧力、教育右傾化をえぐり出したドキュメンタリー》《教育への政治支配が進めば、日本の学校はロシアや中国のように政府プロパガンダを信じ込ませる場に堕すだろう》。また、《「主戦場」を見た人には「教育と愛国」を見ることもおすすめします》とも。

   『●映画『主戦場』で、〝否定派〟の論客の皆さん《杉田水脈衆院議員や
     ケント・ギルバート氏…藤岡信勝氏、テキサス親父…櫻井よしこ氏》は…

 お維・橋下徹初代大阪「ト」知事と戦った記者…【橋下氏、女性記者を“罵倒”つるし上げ!君が代条例の波紋】。斉加尚代MBS記者と、《地元テレビはヒレ伏しヨイショの連続》《ハシズム》で当時絶好調の橋本徹元大阪「ト」知事・当時大阪市長とのやり取りが秀逸。

   『●対橋下元〝ト〟知事、どうすべきか?

 どんなやり取りだったのか?
 《大阪市の橋下徹市長(42)が、8日の登庁時に記者団のぶら下がり取材を受け、民放の女性記者と20分以上にわたって舌戦を展開した。大阪府が施行した「君が代起立条例」についての記者の質問に、「質問に答えなければ回答はしない」「あまりにも勉強不足」などと激怒。「不細工な取材するな」と集中砲火を浴びせた》《…などと面罵した。その後も、女性記者から「市長、ちょっと落ち着いて…」と言われると、橋下市長は「君のほうこそ落ち着け!」「(質問から)逃げてますよね?」「逃げてないよ!」などとやり返し、売り言葉に買い言葉状態。君が代の必要性を改めて主張したうえで、橋下市長は「社歌はあるんですか? ない? だからこんな記者になるんだ」と記者の姿勢を批判した》。

 さらに、後日談。【橋下を激怒させた毎日放送女性記者 後日談】。
 《人の弱点を見つけたら、その一点を突破口に徹底的に叩く橋下のやり口弁護士時代そのものだが、逆に反撃されるとムキになってやり返す。まさに子供のケンカだが、こんなやりとりを橋下はなんと30分近くも続けたのだから、呆れるこんな男が次の総理候補? 冗談か寝言でしかない。ちなみに、市長に食い下がった女性記者は番記者と違う。MBSが特番として制作した「君が代条例」への取材と、春採用の新人記者研修の一環として市長の囲み取材に加わったそうだ。市長との舌戦後、新人記者たちにこんなアドバイスをしていたという。

   「こんな状態でも、ひるんじゃダメよ」――。

 橋下市長より大人だ》。

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https://www.asahi.com/articles/ASQ5L31LFQ5HPTIL01B.html

誰がメディアを殺すのか 「反日」と叩かれた私が見た萎縮の現場
聞き手・宮崎亮 
2022年5月19日 11時00分

     (映画「教育と愛国」のポスターの前に立つMBSの
      斉加尚代さん=2022年5月18日午後、大阪市淀川区
      十三本町1丁目、西畑志朗撮影)

 政治家の記者会見で、激しいやりとりが減ったと感じる。そんな中、著書「何が記者を殺すのか」を出し、上映中のドキュメンタリー映画「教育と愛国」で監督を務めた毎日放送(MBS)ディレクターの斉加尚代さん。「萎縮するメディア」の背景には何があるのか。足を使って現場を回り続ける記者の先輩に、話を聞いた。

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毎日放送ディレクター 斉加尚代さん

 1987年に毎日放送入社。報道記者を経て2015年から現職。テレビ版「教育と愛国」でギャラクシー賞テレビ部門大賞。
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 ――映画「教育と愛国」では、政治の力で変化させられていく教育現場が描かれていますね。

 「この映画は、2017年に放送したドキュメンタリーを元に追加取材を加えたものです。私は大阪で長く教育現場を取材してきましたが、10年に大阪維新の会ができて以降、政治主導の教育改革が進みました。その変化が思いのほか速いなと感じていたころ、国が道徳を教科化することになった。そして戦後初めて作られた小学校の道徳教科書で、『パン屋』を『和菓子屋』に書き換える、ということが起きました」

 「一見、滑稽な書き換えです。文部科学省の教科書検定を受け、教科書会社が修正したものでしたが、06年度の高校日本史の教科書検定を受け、沖縄戦の集団自決について『軍の強制』との記述が削られた問題とつながっていると私は感じました(その後、『軍の関与』などとする記述が復活)。それで教科書会社へ取材を申し込みました」

 ――どのような反応でしたか?

 「ほとんどの社から『教育と愛国というテーマでは難しい』などと断られました。ある社の編集者が受けてくれたのですが、それも放送前にストップがかかりました。その方の話で印象的だったのが、文科省から『スタンダードな授業ができるように』と要請されたという話でした。スタンダードとは、発問からまとめまでどの授業でも同じように進める、という意味です。これまで取材してきた先生たちの『授業は生き物。クラスが違えば授業も違う』という実践とは、かなりズレがあるなと感じました」

 「そんな中、自虐史観の克服を掲げる『新しい歴史教科書をつくる会』系の育鵬社で歴史教科書の代表執筆者を務める歴史学者・伊藤隆さんが取材を受けてくれました。話が熱を帯びてきたところで、育鵬社の教科書が目指すものを尋ねると、伊藤さんは『ちゃんとした日本人を作ること』とおっしゃいました」

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「教育と愛国」は、ドキュメンタリー映画に好意的な映画館からも上映を断られたといいます。大阪市長時代の橋下徹さんへの取材では一時、「反日記者」とネットで叩かれたこともある斉加尚代さん。記事後半では、政治や経済との関係を踏まえ、メディアが萎縮する構図をさらに解き明かしていきます。
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 ――ちゃんとした、ですか。

 「『左翼ではない』と断言さ………
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●『教育と愛国』《危うさに気づいた…。監督で毎日放送の斉加尚代さんは、ゆがむ教育現場のリアルを伝え「教科書は誰のものか」を問う》

2022年05月31日 00時00分26秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち 報道特集(2017年7月8日)↑]


(20220515[])
琉球新報のコラム【<金口木舌>なぜ教育に「愛国」か】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1512543.html)。
AERAの記事【「教育は普遍的価値で独立を担保すべき」 テレビディレクターが映画「教育と愛国」に込めた思い】(https://dot.asahi.com/aera/2022050500013.html)。

 《▼なぜ今時あいさつのやり方か。映画が問題提起するのには訳がある。道徳は2018年以降、評価科目の正式な教科化が進んだ。しかし前身ともいえる修身は戦後の一時、授業停止となった経緯がある》。
 《政治の圧力によって忖度を強いられる教育現場のリアルは、さながら「政治ホラー」の様相も帯びる。監督を務めた大阪の毎日放送(MBS)ディレクターの斉加尚代さんに作品に込めたメッセージを聞いた》。

 斉加尚代監督『教育と愛国』。

   『●斉加尚代監督『教育と愛国』:《教育への政治支配が続けば、日本の
     学校は…政府プロパガンダを信じ込ませる場に堕す》(前川喜平さん)


https://youtu.be/44jHw7AbjFg
https://www.mbs.jp/kyoiku-aikoku/

 前川喜平さん《『教育と愛国』(斉加尚代監督)の試写を見た。従軍慰安婦、集団自決、強制連行を巡る教科書検定などへの政治的圧力、教育右傾化をえぐり出したドキュメンタリー》《教育への政治支配が進めば、日本の学校はロシアや中国のように政府プロパガンダを信じ込ませる場に堕すだろう》。また、《「主戦場」を見た人には「教育と愛国」を見ることもおすすめします》とも。

   『●国連《表現の自由侵害許されぬ》…アベ様や最低の官房長官ら
              馬さんや鹿さんの耳には、哀しき馬耳東風…
   『●《○○しかいない》お維の《言論の自由…憲法に反する発言を
            言論府が放置することこそ自らの首を絞める行為》
   『●映画『主戦場』で、〝否定派〟の論客の皆さん《杉田水脈衆院議員や
     ケント・ギルバート氏…藤岡信勝氏、テキサス親父…櫻井よしこ氏》は…

 琉球新報の記事【教科書の挿絵が変わっている…政治の「浸食」でゆがむ現場 映画「教育と愛国」沖縄でも公開】(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1512817.html?utm_source=ryukyushinpo&utm_medium=referral&utm_campaign=carousel)によると、《危うさに気づいたのは、教科書に載った挿し絵の変化だった。パン屋が和菓子店に差し替えられた。学校で使われる教科書に政治が急接近し「侵食」を始めている。そんな問題意識からテレビドキュメンタリーの番組に追加取材を加え、映画「教育と愛国」をつくり上げた。監督で毎日放送の斉加尚代さんは、ゆがむ教育現場のリアルを伝え「教科書は誰のものか」を問う。和菓子店に差し替えられた教科書は小学校の道徳だった。2017年3月のことだ。伏線は06年の教育基本法の改正にあり、「愛国心が盛り込まれたことがひも付いていると感じたと言う。「道徳と歴史の教科書では違うのだろうが、沖縄の集団自決の軍命削除をさせた教科書検定とつながっているのでは」。通底する政治圧力の意図を嗅ぎ取った。映画には渡嘉敷島の集団自決(強制集団死)を語り継ぐ吉川嘉勝さんの証言も反映された》。

   『●前川喜平さん《本来は自由で自律的でなければならない分野にまで
     政治支配が及ぼうとしている…新聞やテレビ…教育、文化や学問…》

 毎日新聞の記事【特集ワイド/映画「教育と愛国」が示すもの 「政治の道具」迫る危機 ディレクター・斉加尚代さん】(https://mainichi.jp/articles/20220413/dde/012/040/012000c)によると、《21世紀の日本で、教育と学問の環境が政治によっていかに改変されてきたのか。その意味を改めて問い直す映画「教育と愛国」が来月、公開される。監督の毎日放送(MBS、大阪市)ディレクター、斉加尚代さんへのインタビューを通して、日本の教育やメディアの現状とロシアのウクライナ侵攻の背景を重ねて考えた。「おはようございます」のあいさつとおじぎ、どっちを先にするのが「正しい」? 映画は、子どもたちにこんな質問をする「滑稽(こっけい)」だが「笑えない」道徳の授業風景から始まり、教科書検定制度へと切り込んでいく。道徳教科書の「パン屋さん」の記述が、検定意見を受けて和菓子を扱う店に修正された2017年のエピソードを入り口にして、教育基本法に「愛国心教育」を盛り込んだ安倍晋三元首相ら、保守系政治家の発言を改めて検証。さらに現場の教員、教科書出版社の編集者、歴史学者らへのインタビューを通じて、制度運用の実態と政治の関わりが浮かび上がる。カメラはさらに、今の日本で教育と学問が直面する問題を描いていく――。作品は、17年度のギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞したMBSのドキュメンタリーに、その後の取材成果を加えて完成させたものだ。番組を制作し、映画版でも監督を務めた斉加さんがこう話す。「教育の自由、独立が脅かされ、教科書が書き換えられていくかつて日本でも、教師が目の前の子どものためではなく、国家の代弁者となった時代があった危機的状況だと感じています」…》。
 自公お維コミを支持し、彼/彼女らに投票することが何を意味しているのか? 違憲に壊憲して戦争できる国にし、人の親として子や孫をそんなに戦場に送りたいものかね? 戦争できる国にして、人殺しに行きたい、人殺しに行かせたいものかね。《教師》は? 《かつて日本でも、教師が目の前の子どものためではなく、国家の代弁者となった時代があった》。

 おカネ儲けのことしか考えていない独裁者・アベ様らに続きキシダメ氏も。
 日刊ゲンダイの記事【岸田政権の肝いり「教育未来創造会議」提言に“令和の学徒出陣”の声…理工系や農学系だけなぜ】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/305103)によると、《<何だか時計の針が逆戻りしているような><これは戦時体制に移行する予兆なのか>──。政府の「教育未来創造会議」(議長・岸田文雄首相)が10日、まとめた提言に対し、ネット上でこんな不満の声が出ている》。
 AERA《政治の圧力によってゆがめられていく対象が、学校現場だけでなく、メディア関係者や研究者にも波及していく過程》…。

   『●「教育立国協議会」会長による「珍芸」…「不正文科相が子どもに
     「道徳心」を説き得る」「大臣を辞めながら反省どころか、威張る」等々

 情けなく涙出てくるよ、全く ――― (政界地獄耳)《★そんな時、自民党非主流派といえる元文科相・下村博文が会長、最高顧問に元首相・安倍晋三、野田佳彦、公明党代表・山口那津男が就く、超党派の国会議員でつくる「教育立国協議会」が設立された。驚くことに会長代行に維新の会共同代表・馬場伸幸と国民民主党代表・玉木雄一郎、副会長に立憲民主党代表・泉健太が名を連ねる。無論超党派の議連ができることに問題はないが、これでは自民党安倍系に公明と維新のグループに国民と立憲がはせ参じたといわれても仕方がない構図だ。野党の党首が入ることは別の意味合いや役割があると取られても仕方がないこれが野党のいう解決型や提案型ならば、そんな野党はいらない》。

 ドキュメンタリー映画『愛国と教育』…ブログ主が思い出したのは【橋下氏、女性記者を“罵倒”つるし上げ!君が代条例の波紋】の件。斉加尚代MBS記者と、《地元テレビはヒレ伏しヨイショの連続》《ハシズム》で当時絶好調の橋本徹元大阪「ト」知事・当時大阪市長とのやり取り。関連はないのですが、大石あきこさんのお顔も思い浮かべました。

   『●対橋下元〝ト〟知事、どうすべきか?

 〝教育改革〟〝教育再生〟という名の下での教育破壊。たかがハタやウタで、教員の内心をかき乱す…。「10・23通達」と故・石原慎太郎元東京「ト」知事。抗う根津公子さんら。

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https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1512543.html

<金口木舌>なぜ教育に「愛国」か
2022年5月6日 05:00
金口木舌 教育 愛国

 ランドセル姿の小学生が校門であいさつをしている。「おはようございます」。ここで質問がある。発声とおじぎはどちらを先にするのが正しいか

▼28日から県内で公開される映画「教育と愛国」(斉加尚代監督)の一場面にある。順序なんて考えたこともない。そう思う大人も少なからずいるだろう。小学校道徳の教科書によると、正しいのは発声が先とか

▼なぜ今時あいさつのやり方か。映画が問題提起するのには訳がある。道徳は2018年以降、評価科目の正式な教科化が進んだ。しかし前身ともいえる修身は戦後の一時、授業停止となった経緯がある

▼修身は明治時代の1880年の改正教育令で筆頭学科とされ、教育勅語と相まって人の「行動規範」として全体主義を後押しした。反省の史実ともいえる。それが装いも変えたとはいえ復活とは解せない

▼あいさつですら世界の多様さを知る時代だ。握手もあれば、ハグも合掌もある。国の再びの「規範」提示は既視感のある教訓を想起させる。復古調の動きには嫌な予感しかしない。
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https://dot.asahi.com/aera/2022050500013.html

「教育は普遍的価値で独立を担保すべき」 テレビディレクターが映画「教育と愛国」に込めた思い
2022/05/12 11:00
渡辺豪

     (映画「教育と愛国」のワンシーン(c)
      2022映画「教育と愛国」製作委員会)

 5月13日から全国で順次公開されるドキュメンタリー映画「教育と愛国」。政治の圧力によって忖度を強いられる教育現場のリアルは、さながら「政治ホラー」の様相も帯びる。監督を務めた大阪の毎日放送(MBS)ディレクターの斉加尚代さんに作品に込めたメッセージを聞いた。

     (【写真】斉加尚代さん)

*  *  *

 映画「教育と愛国」は2017年にMBSで放送された「映像’17 教育と愛国~教科書でいま何が起きているのか」がベース。2006年の教育基本法改定で教育目標に「愛国心」が盛り込まれたのを機に、息苦しさを増す教育現場に焦点を当てたこの番組はギャラクシー賞テレビ部門大賞などを受賞し、大きな反響を呼んだ。

 今回、17年放送の番組を再構成し、追加取材を重ねた映画版の制作を決意したのは、政治の流れに対する切迫感が募ったからだという。

 20年に政権による日本学術会議会員の任命拒否問題が浮上した際、「人生最大のギアが入った」(斉加さん)。政治の圧力によってゆがめられていく対象が、学校現場だけでなく、メディア関係者や研究者にも波及していく過程を、斉加さんはこれまで取り組んだテレビドキュメンタリーで浮き彫りにしてきた。その意味で、「教育と愛国」は斉加さんが15年以降取り組んできたドキュメンタリー作品の集大成ともいえる。


■教育の独立が脅かされている

 映画化を決意した理由には、もう一つ、コロナ禍でますます疲弊する教育現場を目の当たりにしたこともある。

大阪の学校現場はコロナ禍で一層閉塞感が満ちていて、先生も子どもたちもどんどん元気を失っていくように見えました」(斉加さん)

 コロナ禍の「政治主導」は学校現場に深刻な影響を与えた。官邸が文部科学省の代案を突っぱねて全国の小中高校の一斉休校に踏み切り、大阪では松井一郎・大阪市長が唐突に打ち出した小中学校のオンライン授業が教育現場の混乱を招いた。

「本来、子どもたちに向き合っている教師や校長が授業の編成権を持っているはずなのに……。ますます教育の独立が脅かされていると感じました」(同)

     (斉加尚代さん(c)2022映画「教育と愛国」製作委員会)

 教育問題は、斉加さんがディレクターになる前の記者時代からのライフワークだ。教室になじめない子どもたちが過ごす保健室での養護教諭と児童や生徒の交わりを、定時ニュースの枠内でシリーズ化。以来、20年以上、現場の教師や教育委員を訪ね歩いてきた。そんな斉加さんが最初に「異変」を感じ取った現場は職員室だった。

「職員室は、先生たちが子どもを真ん中に置いて意見を言い合う場でした。ところが2012年に大阪府の教育基本条例が成立した後、教育委員会から降りてくる業務連絡を校長が先生に伝達する場に変わってしまい、職員室の雰囲気がガラッと変わりましたじわじわと自由にものが言えなくなる空気が広がっていきました」(同)

 政治家が教師や教育現場を批判し、「改革」を唱えると、それを鵜呑みにして同調する一部の保護者が教師を一方的に罵倒するようになった政治家の言葉によって、保護者と教師との信頼関係がずたずたに壊されていく。転機は2011年12月の大阪府・市ダブル選挙で橋下徹氏が大阪市長に鞍替えし、松井一郎氏が知事に就任して、具体化してゆく「教育改革」だったという。政治が教育現場に手を突っ込むのが当たり前になっていったと感じた。


■教育に政治が急接近

 その象徴的シーンとも言えるのが、映画にも出てくる12年2月に大阪で行われた「教育再生民間タウンミーティングin大阪」だ。首相に返り咲く前の安倍晋三氏が登壇し、「政治の力で教育を変えていく。育鵬社の教科書を推進するために教育委員の首をかえていく」と発言。斉加さんはこのシーンを、オンエアされていなかったニュース映像の素材から「発掘」した。

「中身をきちんと確認せず、特定の教科書を批判したり、学校の先生を攻撃したり、ときには取材した記者も叩いたり。そういう社会の流れはそら恐ろしいと思いました。言葉が壊れると社会も壊れる、と言われます。私は大阪でそれをいち早く察知できましたが、教育に政治が急接近する事態は全国で起きています」(斉加さん)

 その主戦場は教科書検定制度だ。斉加さんは教科書調査官だった人や、教科書編集者にもインタビューを申し込んだが、拒まれ続けた。取材を受けることが「中立性が疑われる」と釈明する人や、「取材を受けて目立つと、政権に目をつけられるので困る」といった理由を挙げる人もいた。

「教科書に携わる編集者たちが、できるだけ波風を立てないよう、息を殺すように仕事をしている内実を痛切に感じました」(同)


■「負のマグマ」に留意

 教科書編集者は「忖度」という言葉を繰り返し使うが、「圧力」そのものをカメラに収めることはできない。だが、映画では関係者のインタビューや事実を積み上げ、教科書検定制度が圧力と忖度の舞台であることを見事に浮き彫りにしている。

 くしくも、映画の公開決定をリリースした2月24日にロシアのウクライナ侵攻が始まった。「愛国」はロシアにもウクライナにも共通するキーワードだ。斉加さんは言う。

「自分の国を愛することは自然で、故郷が好きという気持ちは否定されるものではありません。しかし、いったん権力者によって『愛国』が語られ始めると、排外主義に結びつき、国と国の敵対関係を生み出しかねない『負のマグマ』があることに留意する必要があります」

 斉加さんは映画を通じて、左右の対立や、特定の政党を批判したいのではなく、教育の普遍的価値を問うている

「特定の政治勢力の拡大のために教育が利用されるのは非常に危ないことです。教育はイデオロギーによって左右されるものではなく、普遍的価値に基づいて独立が担保されなければならないこの普遍的価値を手放した先に何が待っているのか、映画を通じて考えていただきたいというのが私の最も伝えたいことです」


斉加尚代さん
さいか・ひさよ/毎日放送報道情報局ディレクター。1987 年毎日放送入社。報道記者などを経て 2015 年からドキュメンタリー担当ディレクター。企画、担当した『映像’15 なぜペンをとるのか~沖縄の新聞記者たち』(2015 年 9 月) で第 59 回日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞、『映像’17 沖縄 さまよう木霊~基地反対運動の素 顔』(2017 年 1 月)で平成 29 年民間放送連盟賞テレビ報道部門優秀賞など。『映像’17 教育と愛国~教科書でいま何が起きて いるのか』(2017 年 7 月)で第 55 回ギャラクシー賞テレビ部門大賞など。『映像’18 バッシング~その発信源の背後に何が』で第 39 回「地方の時代」映像祭優 秀賞など。著書に『教育と愛国~誰が教室を窒息さ せるのか』(岩波書店)、近著に『何が記者を殺すのか 大阪発ドキュメンタリーの現場から』(集英社新書)

(構成 AERA編集部・渡辺豪)
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/305103

岸田政権の肝いり「教育未来創造会議」提言に“令和の学徒出陣”の声…理工系や農学系だけなぜ
公開日:2022/05/13 06:00 更新日:2022/05/13 06:00

     (教育未来創造会議の会合であいさつする
      岸田首相(C)共同通信社)

 <何だか時計の針が逆戻りしているような><これは戦時体制に移行する予兆なのか>──。政府の「教育未来創造会議」(議長・岸田文雄首相)が10日、まとめた提言に対し、ネット上でこんな不満の声が出ている。

 提言では、現在、世帯年収約380万円以下(目安)の学生を対象に実施されている授業料の減免、給付型奨学金支給といった制度を拡充し、約380万円を超える中間所得層についても、子が3人以上の世帯と理工系や農学系の学生に対して支援する、などと明記された。

「人への投資を通じた成長と分配の好循環を、教育や人材育成においても実現することは新しい資本主義の実現に向けて喫緊の課題だ」

 岸田首相はこう声を張り上げていたが、提言の公表直後からネットで多く見られたのは、<なぜ理工系、農学系の学生だけを支援するのか><文系は知らんということか><文系を軽視すると国が衰退するぞ>といった意見だ。

 第2次大戦終盤、日本で兵力増強のために行われた学徒出陣」では、主に文系の学生が徴兵されて戦地に派兵された。このため、今回の提言についても<理工系を重視するのは武器開発のためか><敵基地攻撃能力を保有するための第一歩ではないか>といった声も。

 内閣官房教育未来創造会議担当室に問うと、担当者はこう答えた。

「今は提言で基本方針が示されただけであり、具体的な制度設計は文科省が進めていく予定です。(理工系支援の理由は)サイエンスやテクノロジーを重視する世界的な潮流を踏まえたこと、私大などでは理工系学部の学費が(文系と比べて)高額であり、支援の必要性があるということがあります。とはいえ、文系に対して何も支援しないということではなく、バランスを取りながら支援体制を拡充するということです。(戦時体制のため?)そんなことは全くありません」

 「令和の学徒出陣」につながらないことを願うばかりだ。
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●斉加尚代監督『教育と愛国』:《教育への政治支配が続けば、日本の学校は…政府プロパガンダを信じ込ませる場に堕す》(前川喜平さん)

2022年04月04日 00時00分50秒 | Weblog

[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]


// (20220326[])
たけたけさんのつぶやきの画像から文字起こし(https://twitter.com/taketake2w/status/1505353247036305409)。東京新聞の【本音のコラム「映画「教育と愛国」」前川喜平】。

 《映画「教育と愛国」(斉加尚代監督・五月十三日公開)の試写を見た。子どもを型にはめる道徳教科書、「従軍慰安婦」「集団自決」「強制連行」をめぐる教科書検定、教科書採択への政治的圧力など、教育の右傾化と政治支配を鋭くえぐりだしたドキュメンタリー》。


https://youtu.be/44jHw7AbjFg
https://www.mbs.jp/kyoiku-aikoku/

 この予告編Yutube映像の冒頭: 

《教科書とは 真実を子供たちに教えるべきものである
 そこに 政治の入り込む余地はない
 そのことを はっきりと教えてくれる映画である
          ――― 池田理代子 (漫画家/声楽家)

 さらに:

《自らの歴史を正しく認識していない国は 尊敬されません
 このドキュメンタリー映画を製作した方々の
 激しい怒り私は賛意を表明します
          ――― 久米宏 (フリーアナウンサー)


 望月衣塑子さんのつぶやきで知りました:

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https://twitter.com/ISOKO_MOCHIZUKI/status/1497026245649137668

望月衣塑子@ISOKO_MOCHIZUKI


第一次安倍政権が変えた教育基本法改正がいかに現在の教育や教科書に影響与えているか。

現在進行形の問題を毎日放送の斉加尚代さんがドキュメンタリー映画「愛国と教育」で表現。語りは井浦新さん。

戦前の米国の日本の教育分析や野党時代の安倍元首相の発言など衝撃でした

natalie.mu
教科書で“いま”何が起きているのか?「教育と愛国」劇場公開、語りは井浦新
ドキュメンタリー映画「教育と愛国」の公開が決定した。

午前10:50  2022年2月25日
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   『●「教育立国協議会」会長による「珍芸」…「不正文科相が子どもに
     「道徳心」を説き得る」「大臣を辞めながら反省どころか、威張る」等々

 情けなく涙出てくるよ、全く ――― (政界地獄耳)《★そんな時、自民党非主流派といえる元文科相・下村博文が会長、最高顧問に元首相・安倍晋三、野田佳彦、公明党代表・山口那津男が就く、超党派の国会議員でつくる「教育立国協議会」が設立された。驚くことに会長代行に維新の会共同代表・馬場伸幸と国民民主党代表・玉木雄一郎、副会長に立憲民主党代表・泉健太が名を連ねる。無論超党派の議連ができることに問題はないが、これでは自民党安倍系に公明と維新のグループに国民と立憲がはせ参じたといわれても仕方がない構図だ。野党の党首が入ることは別の意味合いや役割があると取られても仕方がないこれが野党のいう解決型や提案型ならば、そんな野党はいらない》。

 ドキュメンタリー映画『愛国と教育』…ブログ主が思い出したのは【橋下氏、女性記者を“罵倒”つるし上げ!君が代条例の波紋】の件。斉加尚代MBS記者と、《地元テレビはヒレ伏しヨイショの連続》《ハシズム》で当時絶好調の橋本徹元大阪「ト」知事・当時大阪市長とのやり取り。関連はないのですが、大石あきこさんのお顔も思い浮かべました。

   『●対橋下元〝ト〟知事、どうすべきか?

 どんなやり取りだったのか?
 《大阪市の橋下徹市長(42)が、8日の登庁時に記者団のぶら下がり取材を受け、民放の女性記者と20分以上にわたって舌戦を展開した。大阪府が施行した「君が代起立条例」についての記者の質問に、「質問に答えなければ回答はしない」「あまりにも勉強不足」などと激怒。「不細工な取材するな」と集中砲火を浴びせた》《…などと面罵した。その後も、女性記者から「市長、ちょっと落ち着いて…」と言われると、橋下市長は「君のほうこそ落ち着け!」「(質問から)逃げてますよね?」「逃げてないよ!」などとやり返し、売り言葉に買い言葉状態。君が代の必要性を改めて主張したうえで、橋下市長は「社歌はあるんですか? ない? だからこんな記者になるんだ」と記者の姿勢を批判した》。

 さらに、後日談。【橋下を激怒させた毎日放送女性記者 後日談】。
 《人の弱点を見つけたら、その一点を突破口に徹底的に叩く橋下のやり口弁護士時代そのものだが、逆に反撃されるとムキになってやり返す。まさに子供のケンカだが、こんなやりとりを橋下はなんと30分近くも続けたのだから、呆れるこんな男が次の総理候補? 冗談か寝言でしかない。ちなみに、市長に食い下がった女性記者は番記者と違う。MBSが特番として制作した「君が代条例」への取材と、春採用の新人記者研修の一環として市長の囲み取材に加わったそうだ。市長との舌戦後、新人記者たちにこんなアドバイスをしていたという。

   「こんな状態でも、ひるんじゃダメよ」――。

 橋下市長より大人だ》。

 〝教育改革〟〝教育再生〟という名の下での教育破壊。たかがハタやウタで、教員の内心をかき乱す…。「10・23通達」と故・石原慎太郎元東京「ト」知事。抗う根津公子さんら。
 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/安倍政権の「教育」がよくわかる映画】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202203160000034.html)によると、《17年に放送されギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞した同局の「映像’17 教育と愛国 教科書でいま何が起きているのか」に追加取材と再構成を施し、映画版として5月に公開することが決まった。監督の同局ディレクター・斉加尚代は「映画化の企画書は社内でも1年間塩漬けにされ、やっと映画になった」というが、安倍政権が教育基本法改正に力を入れる訳などが長期取材の結果よくわかる》。

   『●『反忠 ~神坂哲の72万字~』読了(1/4)
   『●『反忠 ~神坂哲の72万字~』読了(2/4)
   『●『反忠 ~神坂哲の72万字~』読了(3/4)
   『●『反忠 ~神坂哲の72万字~』読了(4/4)
   『●教育壊革!? ~忠魂碑と教育塔~
   『●「道徳」を説く文科相がソレってOKなの? 
        「道徳心とか愛国心とかがコドモたちにとって安全」??
   『●「不正文科相が子どもに「道徳心」を説き得る」
        「大臣を辞めながら反省どころか、威張る」…「珍芸」

   『●文科省道徳教育教材『わたしたちの道徳』… 
      コドモタチの道徳教育のための好例として記載を可能か?
   『●教育破壊: 「「ボンクラ」「嘘つき」」につける薬なし、
              そして、「戦争絶滅受合法案」の制定を!

   『●ハタとウタと東京都教委: 強制しておいて、その記述を問題視するとは…
   『●「日本教育再生機構大阪」という「教育破壊」つながり…
        「安倍首相を中心とする異様な翼賛と癒着の構造」
    「日刊ゲンダイの記事【森友問題の原点 安倍・松井・籠池を結びつけた
     団体の正体】…《森友学園事件の背景には、安倍首相を中心とする
     異様な翼賛と癒着の構造…やはり、どう言い訳したところで、
     これは安倍首相自身の疑獄だ…安倍首相、松井知事、籠池氏――。
     この3人を結びつけたのが、「日本教育再生機構大阪」だ》」
    「《安倍首相、松井知事、籠池氏――。この3人を結びつけたのが、
     「日本教育再生機構大阪」》という「教育破壊」つながりだった
     ようです…《安倍首相を中心とする異様な翼賛と癒着の構造》。
     「日本教育再生機構」「日本会議」「教育再生実行会議」…
     「ト」な会議、頭がクラクラします。
     《これは安倍首相自身の疑獄》であり、さっさと、例の大見得・
     啖呵を実践すべき。それともまたしても、御得意の
     息吐く様なウソ吐きですか?」

   『●「10・23通達」と教育破壊: 「石原都政では、
        教育行政も歪められた。…愛国心教育を強制」
    「「10・23通達」と教育破壊。ソコから急加速に教育が破壊。
     今も「通達」は生き残り、ハタやウタを強制し、教師や生徒の内心を
     かき乱す。着々と、いまや最高学府の教育も破壊。」

   『●ハタやウタを強制し内心をかき乱す…「良心か職か」、
       そんな冷たき「強制の発想」を支持する最「低」裁
   『●「教育再生」という名の教育破壊…「子どもから変えていこう
                  という動きは実に悪賢い」(小澤俊夫さん)
    「教科書検定や「ト」な歴史教科書の採択強要 ハタやウタの強制
     道徳の教科化(文科省道徳教育教材『わたしたちの道徳』)、
     教育勅語の復活、古くは忠魂碑訴訟現代の教育破壊は着実に
     進む…。大変に憂慮すべき現状なニッポンの教育環境」
    「《戦争屋》のアベ様らには、侵略戦争への反省も無く、壊憲して再び
     「戦争のできる国」へ…、《自分たちの加害をはっきり残し
     『もう絶対にやらないと世界に約束している》ドイツと彼我の差。
     そして今、「教育再生」という名の教育破壊が進む。札束で頬を
     打つように、最高学府の研究・教育にまで侵食」

   『●「教育再生」という名の教育破壊…《二つの流れには共通する
         底流があるように思う。要は「安上がり」なのではないか。》
   『●前川喜平さん《本来は自由で自律的でなければならない分野にまで
     政治支配が及ぼうとしている…新聞やテレビ…教育、文化や学問…》
   『●ハタやウタを強制…根津公子さん《控訴審勝訴判決…私はうれしかった
       ですが、それが最高裁で維持されるとは全く思っていませんでした》
   『●根津公子さん「ますます国家主義に向かう日本、モノが言えなくなる
     学校、奪われる教育の自由。…これは私だけの問題ではないと思った」
   『●鮎川哲也さん『死者を笞打て』 ――― 《ディーゼル車》規制以外、
     何か《功》がありましたっけ、《空疎な小皇帝》氏に? 10・23通達etc.…


 たけたけさんのつぶやき:

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https://twitter.com/taketake2w/status/1505353247036305409

たけたけ@taketake2w

前川喜平さん

「『教育と愛国』(斉加尚代監督)の試写を見た。従軍慰安婦、集団自決、強制連行を巡る教科書検定などへの政治的圧力、教育右傾化をえぐり出したドキュメンタリー

教育への政治支配が進めば、日本の学校はロシアや中国のように政府プロパガンダを信じ込ませる場に堕すだろう」

午前10:19 · 2022年3月20日
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 前川さんは「「主戦場」を見た人には「教育と愛国」を見ることもおすすめします。」ともつぶやいておられます(https://twitter.com/brahmslover/status/1505342198807932929)。

   『●国連《表現の自由侵害許されぬ》…アベ様や最低の官房長官ら
              馬さんや鹿さんの耳には、哀しき馬耳東風…
   『●《○○しかいない》お維の《言論の自由…憲法に反する発言を
            言論府が放置することこそ自らの首を絞める行為》
   『●映画『主戦場』で、〝否定派〟の論客の皆さん《杉田水脈衆院議員や
     ケント・ギルバート氏…藤岡信勝氏、テキサス親父…櫻井よしこ氏》は…

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https://natalie.mu/eiga/news/466828

映画ナタリー
教科書で“いま”何が起きているのか?「教育と愛国」劇場公開、語りは井浦新
2022年2月24日 12:00 320

ドキュメンタリー映画「教育と愛国」の公開が決定した。

     (「教育と愛国」)

本作は2017年にMBS 毎日放送で放送され、ギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞した「映像'17 教育と愛国 ~教科書でいま何が起きているのか~」を、追加取材と再構成によって映画版として完成させたもの。記者としてMBSで20年以上にわたって教育現場を取材してきた斉加尚代が監督を務め、井浦新が語りを担当した。

斉加は「教科書の中で起きている『教育と政治』の攻防を、ずっと記録してきた。それを映画という一本の糸でつなげたかったのは、切羽詰まる思いからです」とコメント。本作のビジュアルには「知ってほしい 教科書で“いま”何が起きているのかを──」というコピーが添えられた。

「教育と愛国」は5月13日より東京のシネ・リーブル池袋やアップリンク吉祥寺ほか、5月14日より大阪・第七藝術劇場で上映。以降、全国で順次公開される予定だ。
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https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/202203160000034.html

コラム
政界地獄耳
2022年3月16日7時29分
安倍政権の「教育」がよくわかる映画

★政治記者は8年間続き、今なお政治に強い影響力を持つ元首相・安倍晋三政権の検証を怠ってきた。幾つかの論評もアベノミクスの功罪や安保法制への評価が目立つだが第一次安倍政権がまず着手したのが「教育改革」「教育再生」だった。それは本当に改革と呼べるものだったのか。その歴史修正主義に強く抗議する視点での声は当時から多くあったが、教育と政治の関係からひもとき、教科書検定がゆがんでいき、言葉の言い換えが横行する教科書会社、学校や教師、研究者などの困惑や教育事情、学校教育や教科書を丁寧に冷静に検証したドキュメンタリーがあった

★11日、大阪の毎日放送は1月に放送したバラエティー番組に、日本維新の会創設者で元大阪市長・橋下徹、同党代表で大阪市長・松井一郎、同副代表で大阪府知事・吉村洋文をそろって出演させた問題の社内調査結果を発表、「高視聴率を意識し、政治的公平性に対する認識が甘かった」と総括したが、17年に放送されギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞した同局の「映像’17 教育と愛国 教科書でいま何が起きているのか」に追加取材と再構成を施し、映画版として5月に公開することが決まった。監督の同局ディレクター・斉加尚代は「映画化の企画書は社内でも1年間塩漬けにされ、やっと映画になった」というが、安倍政権が教育基本法改正に力を入れる訳などが長期取材の結果よくわかる。

関西では安倍政権の間に維新の会の台頭、森友学園事件などが起こり、政権と大阪府政や市政が連動して教育への直接政治介入が浮き彫りになる現象が相次いだ仕上げは菅内閣が最初に手を付けた日本学術会議が推薦した学者の任命拒否へと続く。まさかこの映画まで政治的に偏向しているなどというのならば、教育界の次はテレビ界にもメスを入れてもらいたい。(K)※敬称略
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https://twitter.com/taketake2w/status/1505353247036305409

本音のコラム「映画「教育と愛国」前川喜平
2022.03.20

 映画「教育と愛国」(斉加尚代監督・五月十三日公開)の試写を見た。子どもを型にはめる道徳教科書、「従軍慰安婦」「集団自決」「強制連行」をめぐる教科書検定、教科書採択への政治的圧力など、教育の右傾化と政治支配を鋭くえぐりだしたドキュメンタリー。僕には辛(つら)い映画だ。教科書への政府見解の記載を求めた検定基準や教育への首長の発言力を強めた法改正は、当時局長だった僕に責任があるからだ。

 二〇二一年に日本教育再生機構大阪で開いた会合で熱く語る安倍晋三氏。教科書採択に「政治家がタッチしてはいけないのかといえば、そんなことはないですよ。当たり前じゃないですか」。いやいや政治家はタッチしないのが当たり前なのだ育鵬社の教科書が目指すのは「ちゃんとした日本人をつくること」と語る執筆代表の伊藤隆氏。「ちゃんとしたとは」と問われると、少し考えて「左翼ではない…」。客席から失笑が漏れた。

 教育への政治支配が続けば、日本の学校はロシアや中国のように政府プロパガンダを信じ込ませる場に堕すだろう。そんな学校は行かない方がいい。渡嘉數島で集団自決を語る古川嘉勝さん。島民が殺し合う中、母は沖縄方言で「逃げなさい」「生きなさい」と言った。母は教育を受けておらず無学だった。学校に行かなかったから本当のことが言えたのだ。(現代教育行政研究会代表)
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●前川喜平さん《本来は自由で自律的でなければならない分野にまで政治支配が及ぼうとしている…新聞やテレビ…教育、文化や学問…》

2021年01月24日 00時00分01秒 | Weblog

[※ ↑【夕食会5年間900万円分の領収書破棄か 安倍前首相の政治団体宛てに発行<桜を見る会問題>】(東京新聞 2020年11月26日)]


 (2021年01月03日[日])
マガジン9のインタビュー記事【伊藤塾 明日の法律家講座レポート/憲法と教育〜1947年教育基本法から安倍・菅政権まで〜講師:前川喜平氏】(https://maga9.jp/201223-5/)。

 《7年8ヶ月続いた安倍政権から菅政権へと続く官邸一強体制は、本来自由であるべきメディア、文化、学問、そして教育の分野にも影響を及ぼしています。憲法と教育をめぐる問題について、また、これからの日本の政治教育がどうあるべきかについて、元文部科学事務次官の前川喜平氏にお話しいただきました》

   『●小田嶋隆さん《行政の担当者としてのあたりまえの習慣を、
     安倍晋三氏とその追随者たちは…この8年の間に完膚なきまでに破壊》
   『●息吐く様にウソをつく《稀代の“嘘つき総理”》による7年8カ月に
      及ぶ《憲政史上最悪と名高い安倍政権》…漸く「前夜祭」の真相が
   『●息吐く様にウソをつくアベ様の政の下、この7年8カ月で社会は
     どんどんと壊れていった。さらにスカスカオジサンにも《ビジョンはない》…
   『●《No1 募っているが募集しているという認識ではなかった …
     No39 私が言っている方がおかしいと思う方、手を挙げてください》
   『●【中村敦夫/…嘘もひどいが答弁拒否は度が過ぎている】《Go Toの
      正体は、オトモダチで税金をむさぼり、衆院選挙の準備へGo!》?

 息吐く様にウソをつくアベ様の政の下、この7年8カ月で社会はどんどんと壊れていった。スカスカオジサンにも《この国の未来を見据えたビジョンはない》。
 教育においても、「教育再生」「教育改革」という名の教育破壊。「子育て支援など社会保障の充実を据える1億総活躍社会」の推進」・「子育ての党」を詐称する与党・自公。癒着党・お維もハタやウタの推進が大好きだ。「教育再生」という名の下で、教育破壊してきた皆さんに投票し、支持している「1/4」の皆さんや、投票に行かないことで間接的に自公お維を支持しておられる「2/4」の皆さんの気が知れません。
 この教育破壊までも、無《責任政党》総裁・スカスカオジサンも《継承》するつもりでしょうかね?

   『●「日本教育再生機構大阪」という「教育破壊」つながり… 
         「安倍首相を中心とする異様な翼賛と癒着の構造」
   『●ハタやウタを強制し内心をかき乱す…「良心か職か」、
       そんな冷たき「強制の発想」を支持する最「低」裁
   『●「教育再生」という名の教育破壊…「子どもから変えていこう
                  という動きは実に悪賢い」(小澤俊夫さん)
    「教科書検定や「ト」な歴史教科書の採択強要 ハタやウタの強制
     道徳の教科化(文科省道徳教育教材『わたしたちの道徳』)、
     教育勅語の復活、古くは忠魂碑訴訟現代の教育破壊は着実に
     進む…。大変に憂慮すべき現状なニッポンの教育環境」
    「《戦争屋》のアベ様らには、侵略戦争への反省も無く、壊憲して再び
     「戦争のできる国」へ…、《自分たちの加害をはっきり残し
     『もう絶対にやらないと世界に約束している》ドイツと彼我の差。
     そして今、「教育再生」という名の教育破壊が進む。札束で頬を
     打つように、最高学府の研究・教育にまで侵食」

   『●「教育再生」という名の教育破壊…《二つの流れには共通する
         底流があるように思う。要は「安上がり」なのではないか。》
   『●【NNNドキュメント カネのない宇宙人 信州 閉鎖危機に揺れる
     天文台】…《「経済的利益」を重視する国の政策によって…資金》大幅減
    「2005年から運営費交付金を年1%削減し続ける文科省。人件費が
     どんどんと削られ、研究者が減らされていく。文系どころか、理系に
     対しても未来に投資しない国。一方、巨額の軍事研究費で研究者の
     良心を釣る。おカネ儲けのことしか考えていない独裁者・アベ様ら。
     この国ニッポンの科学の未来はトンデモなく暗い…。」

 アベ様やカースーオジサンによって、如何にニッポンは壊されていったかのか? 《本来は自由で自律的でなければならない分野にまで政治支配が及ぼうとしている》(前川喜平さん)。

   『●偶然は通用しない、アベ様のオトモダチ獣医学部開設…
      前川喜平さん「規制緩和ではない。特権の付与です」
   『●大見得・啖呵「議員辞職」を有言実行しない
       《病的な嘘つき》アベ様…前川喜平氏の人間性と彼我の差
   『●前川喜平前文科次官、「本来、できてはいけないものが
             完成した。見たくないものを見たという感じだ」
   『●前川喜平さん授業…検閲と恫喝、《意に沿わない人物は潰す――。
                 …安倍政権のやり口は、まさに恐怖政治》
   『●隗より始めよ: 「この国をガタガタにし、
      支持率3割は取れる」高プロとして、「自分らができてから…」
   『●霞が関: 「佐川になるな前川になれ」…
      《佐川のような官僚ばかりだったら絶望するしかないだろう》
    「日刊ゲンダイの佐高信さんによる書評【週末オススメ本ミシュラン/
     「面従腹背前川喜平著/毎日新聞出版】…。《落語家の立川談四楼が
     ツイッターで、いま霞が関では<佐川(宣寿前国税庁長官)になるな
     前川になれ>が合言葉になっているとつぶやいたらしい。
     もちろん皮肉である。/…佐川のような官僚ばかりだったら
     絶望するしかないだろう》」

   『●〝前川喜平になるな佐川宣寿になれ〟!?
       「官邸べったり」藤原誠官房長の文科事務次官への昇格人事
   『●「しなやかな反骨」をテーマに東京新聞のシリーズ対談:
      城南信金顧問・吉原毅さん×元文科次官・前川喜平さん
   『●前川喜平さん《社会全体が子どもたちを支えられるように、子どもたちに
        税金を使う仕組みを作らなければいけない》…逆行するアベ様政権

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https://maga9.jp/201223-5/

伊藤塾 明日の法律家講座レポート
憲法と教育〜1947年教育基本法から安倍・菅政権まで〜講師前川喜平
By マガジン9編集部 2020年12月23日

7年8ヶ月続いた安倍政権から菅政権へと続く官邸一強体制は、本来自由であるべきメディア、文化、学問、そして教育の分野にも影響を及ぼしています。憲法と教育をめぐる問題について、また、これからの日本の政治教育がどうあるべきかについて、元文部科学事務次官の前川喜平氏にお話しいただきました。[2020年11月28日@渋谷本校]
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官邸一強体制による政治支配の広がり

 安倍政権が7年8ヶ月続いて退陣し、いま菅政権になって3ヶ月です。この安倍・菅政権の大きな特徴は、官邸が非常に強い政治権力を握っていることです。「官邸一強」体制という状況です。強い権力は続けば必ず腐敗すると言われますが、そういう状況が現に起こっていると私は思っております。

 たとえば安倍政権時代には、憲法9条のもとでは集団的自衛権は認められないという見解を持っていた内閣法制局長官をクビにして、その代わりに集団的自衛権は認められると解釈する人を据え、解釈改憲を断行しました。また、菅政権になってからは、極めて高い独立性と自律性を持った国家機関である日本学術会議にまで政治支配を及ぼそうとしています。

 この官邸一強体制が国家機構の中での三権分立の仕組みまで壊してきています。それだけではなく、国家権力の外にあって、本来は自由で自律的でなければならない分野にまで政治支配が及ぼうとしているのです。その一つはメディア、新聞やテレビですね。それから教育、文化や学問といったところにまで政治の支配が及ぼうとしていて、非常に危ない状況があると思います。

 本日の講演は「憲法と教育」というタイトルですけれども、教育との関係でも危ないことが起きているというお話をさせていただこうと思っております。


教育基本法と日本国憲法

 今から73年前の1947年、教育基本法戦前の日本の教育に対する深い反省のもとに作られました。戦前の日本教育は、国の言うことをなんでも信じ込んでしまう子どもたちを育ててしまった。そうではなく、一人ひとりがちゃんと自分で考えて行動できる、そんな健全な市民を育てよう――こういう考え方で教育基本法ができたわけです。現在ではこの教育基本法は「改正」されていますが、ここでは改正前の法のことを単に「教育基本法」と呼んでお話ししていきます。

 この教育基本法はGHQが日本に押し付けたものだと言う人がいるのですが、当時、戦後の教育の在り方を考える学者たちを集めた教育刷新委員会と文部省との間で、非常に緻密な協議を行った上で作られた法律なんです。当時の文部省では、文部大臣、次官や局長もみんな学者でした。そして教育刷新委員会も学者や教育者で作られていた委員会でした。少なくとも、この教育基本法を作ったメンバーの中に、いわゆる「政治家」はいないんです。

 そして、内容を議論する上で、日本国憲法との関係が非常に強く意識されていました。このことは、教育基本法の前文に非常にはっきりと記されております。

 〈われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである

 憲法の理想にある民主主義や平和、こういうものを実現するためには教育の力が必要だということを言っていたわけです。逆に言うと、戦前のような全体主義軍国主義のような教育に戻ってはいかんという、戦前の教育に対する痛切な反省がここにはあります。日本国憲法の一番大切な価値は「個を尊重する」ということです。一人ひとりの人間をかけがえのない存在として尊重する。教育基本法は、この根本に立ってつくられたのです。


自分で考えて行動できる独立した精神を育てる

 教育基本法は、その第一条で「教育の目的」を打ち出しています。教育の目的には2つあり、第一は「人格の完成」です。人間にとって一番大事なものは何かといえば、私は自由だと思います。つまり自由で独立した人格を持った人間、その人格の完成というのが第一の目的です。そして第二の目的は「平和的な国家及び社会の形成者として」の国民の育成です。これら2つの目的が相まって、民主主義の担い手を育てるということになるわけです。

 つまり自分で考えて行動できる独立した人格と精神を持った自由な人間が、まず存在しなければいけない。この教育基本法の中に出てくる「形成者」という言葉が非常に大切で、最初から国家や社会が存在しているのではなく、国家や社会は我々が作り上げていくものなのです。こういう思想がこの「形成者」という言葉の中に含まれているのです。

 一方、あらかじめ国が存在しているというのが戦前の考え方でした。神武天皇から始まる国体というのがあって、日本人は世界に冠たる国体を持つ日本という国に生まれた宿命を持つという考え方です。教育勅語もそういう考え方に基づいていたのですが、教育基本法では、まず人間がいて、その人間が社会や国家を作る。「市民社会の担い手である自由な市民を育てる」ことが目的だといえます。


天皇制と家制度による戦前の教育方針

 ところが、この教育基本法を制定当初から快く思わない人たちがいました。それは主に教育勅語との関係からです。1890年に作られた教育勅語は、その後五十数年の間、日本の教育を支配したわけです。特に最後の1930年代以降は、教育勅語がファナティック(狂信的)なカルト教団の教義みたいになってしまいました

 実は、教育勅語そのものは、戦後に教育基本法ができた後もしばらく残っていました。教育基本法が制定されたのは1947年3月ですが、翌年1948年6月になってから、教育勅語をこのままにしてはいけないと衆院参院それぞれで決議を行っています。衆議院の決議では、これは憲法に違反する文書であるから排除すると宣言しました。参議院では、教育基本法ができたので教育勅語は失効したという確認をしました。これで教育勅語の命は絶たれたと思われていたのですが、復活させたいと思う人、教育勅語に代わる国民道徳が必要だと考える人が結構いたわけです。

 たとえば、1950年代に文部大臣だった天野貞祐さんという人は、「国民実践要領」という教育勅語に代わる国定道徳というものを作ろうとしました。あるいは1966年に中央教育審議会から「期待される人間像」という答申が出されました。これもある意味、「国が国民の道徳を作る」という試みでした。国民実践要領にしても、「期待される人間像」にしても、最終的には「天皇に対する敬愛の念を持て」というものだったんです。最後に天皇が出てくるあたりが戦前とつながっているわけですね。

 天皇については、日本国憲法第1条に〈日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く〉とあります。国民の道徳として「天皇を敬いなさい」と設定することは、私はこの憲法の規定を逸脱すると思います。しかし、それが戦後も言われてきたわけです。

 もともと教育勅語では、「忠」と「孝」が道徳の柱です。「忠」というのは天皇に対して忠誠心を持てというもの。「孝」というのは家の中でお父様に対して忠誠心を持てというものです。つまり大日本帝国における天皇への忠誠心と、家制度のもとでの家長である父親への忠誠心というのは、一本でつながっている。国は大きな家であり、大きな家のお父様に当たるのが天皇である。そして、国は個人ではなく家を単位とし、家の集合体として作られている。その家長が父親であり、家というものは男系で継がれていくという考え方です。これは天皇が縦の男系家系で相続していくのと相似を成すものです。

 忠と孝というのは一本でつながっていて、「天皇に対する敬愛の念を持て」ということを国民の道徳として定義しようとする動きがずっとあったのです。


「主体的に学ぶ」という視点と学問の自由

 この教育勅語を復活させようとする時に、壁となるのが教育基本法でした。それで、教育基本法の改正をすべきだという議論がありました。教育基本法改正を最初に本気で目論んだ内閣総理大臣が中曽根康弘さんです。教育基本法の改正というのは、最終的には憲法改正につながり、その前段階といった位置付けで考えられていました。

 中曽根さんが書いた回顧録を読むと、日本国憲法について非常に悪し様に言っています。特に個人を大事にするというところに反対だったわけです。国家あってこその個人だと。彼は、こういう非常に強い国家主義の方向で教育基本法の改正を目指しました。

 ところが、中曽根さん主導のもとで1984年に設置された臨時教育審議会自体は、その方向に行きませんでした。臨時教育審議会には幅広い方たちが参加していました。必ずしも中曽根さんと同じような考え方の人ばかりではなかった。そこが今と違うんですね。安倍さんが閣議決定で設置した教育再生実行会議の委員は、全部「お友達」なんですよ自分と同じようなことを考えてる人しか集めていない。中曽根さんの偉いところは、ちゃんと法律で審議機関を作って、自分と意見の違う人も入れたところです。そこで侃侃諤諤と議論をして、結局は中曽根さんの意に反して個人を重視する方向の改革を打ち出したわけです。

 臨時教育審議会が打ち出した3つの視点のうち、第一が個性重視の原則でした。これは個人の尊厳を基礎にする考え方で、日本国憲法の立場と一緒です。さらに第二の視点が、生涯学習です。それまでの学校中心教育ではなく、生涯を前提とした教育システムに変えていこうというものでした。「生涯教育」と言わずに「生涯学習」としたところに非常に大事な意味があります。教育という言葉は学ぶ人が客体になるわけですが、学習というのは学習者が主体、学ぶ人が主語になります。しかも、その学習というのは、時も場所も選びません。いつでもどこでも、学校の中でも外でも、幸福追求のためには生涯を通じて学び続けることが大事だという考え方です。学習者が主体的に学ぶことが大事なのです。

 この視点は、「学問の自由」と一体を成すものだと私は思っています。憲法第23条に〈学問の自由は、これを保障する〉とありますが、学問の自由というのは基本的人権であるから、学者だけではなくすべての人が学問の自由を持っている。臨時教育審議会が打ち出した個性重視や生涯学習という理念は、学問の自由に含まれるものだとも言えるでしょう。

 この臨時教育審議会に基づくと、学校教育も知識を詰め込むのが目的ではなく、自分で学ぶ力をつけることが大切だということになります。自ら学び、自ら考える力こそが本当の学力だという風に、学力の定義が変わっていくわけです。日本の学校教育の問題点は、学校にいる間に知識をたくさん詰め込むのだけれども、学校を出たらそれが不要になってしまうところにある。「自ら学ぶ力」を見つけることができれば、学校の外でも自ら学んでいけます主体的な学びこそが本当の学びだということなんです


2006年の教育基本法改正で何が変わったか

 教育基本法改正を、正式に政治課題にあげようとしたのは森喜朗内閣です。2000年12月に教育改革国民会議の報告の中で、教育基本法の改正や道徳の教科化を打ち出しました。これまで正式の教科ではなかった道徳を、教科にして成績をつけるという提言を出したわけです。

 その森さんの後を継いだ小泉純一郎内閣で、教育基本法改正のための中央教育審議会の答申がまとめられました。その結果として、2006年の第一次安倍内閣のときに教育基本法の改正が行われたわけです。この改正教育基本法には、「道徳心を培う」とか「公共の精神」、「学校生活を営む上で必要な規律を重んじる」など、教育勅語を復活させたい、戦前に戻りたいという傾向を持った人たちが好むような言葉が、かなりちりばめられたことは確かです。なんと言っても「我が国と郷土を愛する」態度を養う、といった愛国心教育が教育の目標に掲げられました。

 一方で、1947年の教育基本法が持っていた大事な部分は「かろうじて残った」と言っていいと思います。たとえば「日本国憲法の精神に則り」というのはそのまま残っています。また「個人の尊厳」や「学問の自由を尊重」するという言葉も残っています。それからもう一つ非常に大事な言葉として「教育は、不当な支配に服することなく」というのも残っています。「不当な支配というのは、政治によって教育の自律性・主体性を歪められるということです。

 1947年に最初の教育基本法が制定された時は、まだ国会がありませんでした。帝国議会でできたのです。帝国議会の審議の中で「不当な支配」の主体は何かと問われ、当時の文部省は政治家や官僚だと答えています。要するに権力を握っているものが一番危ないと言っているわけです。

 ただ、もともとの教育基本法では、〈(教育行政) 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである〉という文言でした。この「直接」というのが非常に大事だったわけです。間接民主制ではなく、教える者、学ぶ者の直接性を大事にするということです。

 しかし、改正法では「国民全体に対し直接に責任を負つて」という部分は削除されて、代わりに〈この法律及び他の法律の定めるところにより〉という言葉が加えられました。つまり、法律の根拠さえあれば、いくらでも政治が教育に介入できるかのような条文になってしまっています


学習指導要領も教科書検定も「学問の自由」に則るべき

 文部科学省の教育現場に対する関与というのは、教育内容に関しては大きく2つあります。その1つは「学習指導要領」という法的拘束力がある規範を作り、これに従って指導・授業をしなさいというものです。もう1つは教科書使用義務です。文科省の検定を受けた教科書の使用義務を学校に課しています。この2つには、それぞれ法律の根拠もありますが、だからといって文部科学大臣が自分に都合のいいように関与していいわけではありません。

 今の政権にいる人たちの中には、明らかな歴史修正主義者がたくさんいます。たとえば南京虐殺事件はなかったと言ったり、従軍慰安婦の問題をあれはただの商売だったと言ったり、沖縄戦におけるいわゆる集団自決は軍の強制ではなかったと言ったり……。こういう考えを持った人がたくさんいるわけです。これは歴史学という学問からすると否定される考え方です。学問という世界に立脚するかぎり、このような歴史教育をするわけにはいきません

 学校で教える教科の背景には、何千年にもわたって蓄積してきた学問や文化の体系があります。学問や文化というものは、人間の自由な精神が生み出してきた遺産です。学問の自由、思想の自由、表現の自由といったものの積み重ねの上に、学問や文化があって、その上に学校の教科があるのです。そのことを無視して捻じ曲げて教えることは許されないわけです。それは「不当な支配」であって、いかに法律上、学習指導要項を定める権限が文部科学大臣にあるからと言って、学問の世界で検証された事実と異なることを教えることはできないはずです。つまり学習指導要領に関しても、教科書検定に関しても、全て学問の自由に則っていなくてはいけないのです。


自由権、社会権、参政権の側面をもつ「学習権」

 憲法には、第26条に「教育を受ける権利」は出てきますが、「学習権」という言葉は出てきません。教育を受ける権利というのは社会権です。自由権として「学びたいことを学ぶ権利」というのは、むしろ第23条の「学問の自由」に根拠を求めた方がいいと私は思います。第13条の幸福追求権(包括的基本権)に根拠を求めることも可能だと思います。もともと学習権という人権は、複合的な権利だと私は考えていて、自由権としての側面と社会権としての側面、そして参政権という側面も持っていると思っています。

 社会権としての学習権は、第26条にはっきりと明示されています。〈ひとしく教育を受ける権利〉と「ひとしく」という言葉が入ってきます。これを「教育の機会均等」と言いますが、この「ひとしく」という言葉の意味するところは、憲法14条の「法の下の平等」というだけではないんですね。憲法14条は、〈人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、〉差別されないと言っているんですが、「教育を受ける権利」における平等性というものは、それに留まらず経済的地位による差別も禁じています。

 現在の教育基本法の第4条〈すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない〉を憲法第14条と照らし合わせると分かるのですが、教育基本法の第4条にだけ「経済的地位」という言葉が入っています。経済的な地位により教育を受ける機会を差別されることは許さないという思想が「ひとしく」という中に入っているんです。しかし、これは実現されておりません。経済的な理由で進学を諦めるという人たちは今でもたくさんいます。それをなくしていくのが国の責任であり義務ですが、まだ果たしていないというわけですね。奨学金制度などが少しずつ進んできてはいますが、全く不十分です。

 そして、憲法第26条の第2項には〈すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする〉とありますが、私は立憲主義の考え方からすれば、憲法に国民の義務の規定はいらないと思っています。この「普通教育を受けさせる義務」というのは、国民ではなく、むしろ国が義務を負うという形で書き直した方がいい。私なりにこの憲法第26条2項の改正草案を考えるなら、〈国はすべての人に無償の普通教育の機会を与える義務を負う〉としたらいいと思います。

 「義務教育」という言葉をやめて「無償普通教育」とし、その権利を保障するのが国の義務だという風に書き換えると、その無償普通教育の権利を保障されていない人たちが実は世の中にたくさんいるということが分かります。それは、国が十分な責任を果たしていないということです。

 そして学習権は参政権でもあります。学ぶことは政治に参加することに不可欠の営みです。知る権利というものが、主権者が主権者たるために必要なのは間違いありませんが、知るだけでは賢明な主権者にはなれません学ぶことが参政権を実質化するのです


日本の政治教育の問題点

 最後に、主権者として政治に参加するために必要な政治教育について話します。2015年10月に、選挙権年齢や国民投票権年齢が18歳以上に引き下げられることに対応して、文部科学省が「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について」という通知を出しています。この通知で、「現実の具体的な政治的事象」を授業として取り上げなさいとあります。これは文部科学省としては良いことを言っているなと思いました。

 しかし、一方で「教員は個人的な主義主張を述べることは避け、公正かつ中立な立場で生徒を指導すること」「学校の内外を問わず……不用意に地位を利用した結果とならないようにすること」とも言っているんですね。これは教師を過度に萎縮させるものです。

 たとえばドイツの政治教育における考え方は、教師は自分の考えを述べてもいいけれど、その反対の考え方もちゃんと生徒に伝えて、生徒自身に考えさせなさいというものです。日本の考え方は、教師が右と言ったら生徒が右を向いてしまう、左と言ったら左を向いてしまうような影響力を教師は持っているから、そういうことを言うなと言うものです。

 この文科省の通知の決定的な問題点は、生徒が批判的精神を持っていないとしている点です。生徒というのは、教師の言うことを鵜呑みにしてしまうような存在だという前提に立っているんです。そこが根本的に間違っています。

 生徒自身が自分自身で考えることが大事なのですから、そういう生徒を育てるために「先生はこう思っているが、君たちは君たちで考えなさい。先生を批判するのは自由だ」と教えるべきなんですね。日本の学校での政治教育が不十分なのは、過度な政治的中立性を求めているからではないかと思います。

 学校という「部分社会」において、教師は権力側にいるんだという考え方をする人がいますが、生徒には教育を受ける権利や学習権があります。小学生であっても学問の自由は保障されている。そういう認識をもつことが、主体的な教育の場をつくるために、とても大事なことだと思います。


                *

奈良県出身。1973年、東京大学文科一類入学。法学部へ進学し、故芦部信喜氏に憲法を学ぶ 。1979年、文部省(現・文部科学省)に入省。初等中等教育局教職員課長、大臣官房総括審議官、官房長などを経て、2016年に文部科学事務次官。2017年に退官。現在は、日本大学文理学部教育学科講師 (非常勤)。現代教育行政研究会代表。自主夜間中学のスタッフとしても活動する。著書に『面従腹背』、『官僚の本分』(柳澤協二氏との共著)など多数。
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●沖縄戦《証言者の萎縮、戦争の教訓継承の妨げ》…「戦争屋」が政権を持っている社会では愚者がヘイトをまき散らし、暴力で歴史を歪める

2020年07月19日 00時00分56秒 | Weblog


琉球新報のコラム【<金口木舌>沖縄戦体験者への冒涜】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1146207.html)と、
【<社説>沖縄戦証言に圧力 沈黙強いる行為許さず】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1145409.html)。

 《その後、男が浦崎さん宅を訪ね、証言への圧力ともいえる振る舞いを見せたことが分かった ▼語り始めた体験者はつらい記憶と癒えぬ痛みに向き合い、戦争の実相を後世に伝える。今回の出来事はその口をふさごうとする愚行であり、体験者や平和の礎に刻まれた人々への冒瀆(ぼうとく)だ》
 《沖縄戦の体験を証言した人の自宅を訪ね、とがめるような言葉で詰め寄るなど圧力をかける事態が相次いでいる。証言者を萎縮させ、結果として証言を封殺する動きは戦争の教訓継承を妨げ、表現の自由を侵すものだ不当な圧力で沈黙を強いる社会は戦時体制に向かうかつての日本を想起させる。表現の自由を侵す行為は許されない》。

   『●沖縄差別:目取真俊さん「多くの日本人がその嘘っぱちを
        を信じている、というよりも、信じたいんでしょう」

 辺野古破壊高江破壊による「住民分断」「沖縄差別」を恥じぬアベ様や、スガ殿・百田尚樹氏などのその酷い取巻き連中。何のためらいも無く、未だに「番犬様」に貢ぐ非道。
 その延長線上の今回の《圧力》、《証言封殺》。あまりに卑劣で、言葉がない…。
 琉球新報の記事【「震える少女」沖縄戦証言に圧力 見知らぬ男性、女性宅押しかけ非難】(https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1144981.html)によると、《沖縄戦の記録映像で映し出される「震える少女」として本紙に名乗り出た浦崎末子さん(82)の自宅を男性が訪ね、証言をとがめるような言葉を投げ掛けていたことが25日、関係者への取材でわかった。浦崎さんはこの一件以来、外部との接触を控えるようになったという。座間味村での「集団自決」(強制集団死)の証言者らにも同様の接触があったことも判明。沖縄戦の継承が課題になる中、証言を封殺する動きに識者は「証言者の萎縮、戦争の教訓継承の妨げになりかねない」と警鐘を鳴らしている》。

 「皇軍兵士として戦場で地獄を見た水木しげるさん、「一番いけないのが戦争です」と。
 「戦争屋のアベ様」が政権を持っている社会では、愚者がヘイトをまき散らし、暴力で歴史を歪める。

   『●大田昌秀さん「軍隊は人を守らない」と、
      従軍記者ボールドウィン氏「沖縄戦は、戦争の醜さの極致だ」
   『●目を逸らす本土…「米国側からみた心温まる
      ヒューマン・ストーリーだけではなく、そこに暮らす人々」に…
    「「慰霊の日」に際して、「沖縄全戦没者追悼式」でのアベ様の挨拶の
     前に、「平和の礎あらゆる戦争を正当化させない思いでつくった
     県民の礎でしょ。そこへ戦争屋の安倍がのうのうと挨拶すること自体が
     県民として許せません」(『報道特集』2017年6月24日)。
     県民の怒りの声は届かないロバ耳東風な「戦争屋のアベ様」」

   『●「戦争の愚かさを身に染みて知っているはず…
       9条の「戦争放棄」「戦力不保持」の理念はその教訓の結晶」
   『●「戦争屋のアベ様」やアノ木原稔氏のココロには
       響かない女性の訴え…「基地を造ったら沖縄が戦場になる」
   『●「教育再生」という名の教育破壊…「子どもから変えていこう
                  という動きは実に悪賢い」(小澤俊夫さん)
    「教科書検定や「ト」な歴史教科書の採択強要 ハタやウタの強制
     道徳の教科化(文科省道徳教育教材『わたしたちの道徳』)、
     教育勅語の復活、古くは忠魂碑訴訟現代の教育破壊は着実に
     進む…。大変に憂慮すべき現状なニッポンの教育環境」
    「《戦争屋》のアベ様らには、侵略戦争への反省も無く、壊憲して再び
     「戦争のできる国」へ…、《自分たちの加害をはっきり残し
     『もう絶対にやらない世界に約束している》ドイツと彼我の差。
     そして今、「教育再生」という名の教育破壊が進む。札束で頬を
     打つように、最高学府の研究・教育にまで侵食」

   『●「皇軍兵士として戦場で地獄を見た」水木しげるさん、
                     「一番いけないのが戦争です」
    《あれだけ国民をいじめた歴史はないんじゃないでしょうかね》。
    「「皇軍兵士として戦場で地獄を見た水木しげるさん。
     《自由を国家が制限するんですからね。一番いけないのが戦争です
     戦争で死ぬんだと思うと希望もわきませんでした》という水木さんの
     言葉は、戦争したい人々、「死の商人」たち、「戦争屋」たち、自公議員や
     その支持者達には聞こえないらしい。
     自公議員に投票できる親御さんや祖父母ら……、ブログ主には彼ら、
     彼女らの神経が知れない」

   『●桂歌丸さん…《戦争なんて本当に愚の骨頂》
       《あんな思いなんか二度としたくないし、させたくない》
    《高畑勲野坂昭如大橋巨泉永六輔かこさとし水木しげる
     愛川欽也金子兜太など、戦争を知り、自身の体験をもとに平和を
     希求するメッセージを発してきた戦中世代の著名人が続々と鬼籍に
     入り始めている

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https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1146207.html

<金口木舌>沖縄戦体験者への冒涜
2020年6月29日 06:00
震える少女 はだしのゲン 金口木舌

 小学生のころ、原子爆弾の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」(中沢啓治作)を読み、戦争の脅威を具体的に想像するようになった。絵の力は大きい。戦争に反対する主人公一家を非国民と迫害した軍国主義の恐ろしさも伝える

▼本紙も4月から、新報小中学生新聞りゅうPON!で「まんがで伝える沖縄戦」(絵・なかもとあやこ)を掲載している。このうち沖縄戦の映像で知られる「震える少女」も今月題材とした

▼「震える少女は私」と浦崎末子さん(82)が初めて報道されたのは昨年6月23日付の本紙。その後、男が浦崎さん宅を訪ね、証言への圧力ともいえる振る舞いを見せたことが分かった

語り始めた体験者はつらい記憶と癒えぬ痛みに向き合い、戦争の実相を後世に伝える。今回の出来事はその口をふさごうとする愚行であり、体験者や平和の礎に刻まれた人々への冒瀆(ぼうとく)

▼「はだしのゲン」を巡っては2013年、「史実の誤り」との陳情をきっかけに島根県松江市内の学校図書館から排除しようとする動きがあった。のちに反発を受けて撤回された。次世代の目や耳も標的となっている

▼ことしの慰霊の日の本紙には、家族10人を失い、孤児となった金城節子さん(83)の初証言が掲載された。「自分が死んだら、もう残せない。誰がなんと言っても平和が大事」。75年の時を要した体験者の思いである。
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https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1145409.html

<社説>沖縄戦証言に圧力 沈黙強いる行為許さず
2020年6月28日 06:01

 沖縄戦の体験を証言した人の自宅を訪ね、とがめるような言葉で詰め寄るなど圧力をかける事態が相次いでいる

 証言者を萎縮させ、結果として証言を封殺する動き戦争の教訓継承を妨げ、表現の自由を侵すものだ不当な圧力で沈黙を強いる社会は戦時体制に向かうかつての日本を想起させる。表現の自由を侵す行為は許されない

 沖縄戦の記録映像で映し出される「震える少女」として名乗り出た女性に対して、知らない男性が自宅を訪れ「どういうつもりか」と詰め寄った。座間味村での「集団自決」(強制集団死)について母親の手記をまとめた研究者は職場への嫌がらせの電話や自宅への訪問があった。「集団自決」の生存者は黒ずくめの男性2人が自宅を訪れ、「追い返したが、恐怖心が残った」と話す。

 体験者だけではなく、過去には「集団自決」を題材にした小学校での創作劇に対し、抗議や中止を求めるメールや電話が十数件寄せられた事例があった。

 言うまでもなく、憲法21条の保障する「表現の自由は民主主義の根幹を成す権利である。戦前の日本にこの権利はなかったといってよい。

 大日本帝国憲法は、表現の自由はあくまで「法律の範囲内において」と記され、さまざまな法で制限された。特に1925年に制定された治安維持法は法改正を繰り返し、対象を一般市民にまで広げ、思想・言論の弾圧に利用された。さらに国民全体が相互に監視し合い、ものが言えない社会をつくり出した。政府や軍部には、強まる戦時体制のなか、戦争遂行の妨げになるわずかな動きでも封じたいという思惑があった。

 民主政治は誰もが自由に政治的意見を述べることができて初めて成り立つ。日本国憲法で認められた表現の自由は、米国統治下の沖縄では長く許されなかった。表現の自由は沖縄の先人たちが体を張って獲得した重要な権利だ。

 資料が乏しい沖縄戦の実相を把握するために、体験者の証言は重要である。複数の証言を付き合わせることでより多角的になり、資料価値は高まる。

 体験者の証言は、大江・岩波訴訟の最高裁判決でも示された通り、オーラル・ヒストリー(口述証言)の資料価値は法廷で認められた。連綿と紡いできた沖縄戦の証言の蓄積がきちんと評価されている。

 他人の自宅を訪問してまで圧力をかけた人たちの目的は定かではない。戦争体験の記憶の継承を、敗戦の記憶を呼び覚まし国家をおとしめると考えているとすれば、主権者である国民を冒とくする行為である。戦争に突入した「いつか来た道」に通じる。

 だからこそ沖縄戦の記憶を風化させてはならない不当な圧力には毅然(きぜん)とした対応を取り、証言者の声に耳を傾け、歴史の教訓に学ばねばならない
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●大矢英代さん「私たちは、過去の歴史からしか学べません…私たちが何を学ぶのかが今、問われている」①

2018年10月03日 00時00分20秒 | Weblog

[※ 『沖縄スパイ戦史』(三上智恵大矢英代共同監督) (LOFT)↑]



マガジン9http://maga9.jp/)の仲藤里美氏によるインタビュー記事【この人に聞きたい/大矢英代さんに聞いた:戦後73年。今こそ「沖縄戦」から学ぶべきことがある】(http://maga9.jp/180808-2/)。

(その②はコチラ

 《8月15日といえば、結びつくワードは「終戦」、そしてヒロシマ・ナガサキです。でも、石垣島の一面トップは「戦争マラリアの犠牲者に黙祷を捧げる」というものでした。「戦争マラリアって何?」と思って読んでみると、沖縄戦のとき八重山諸島では地上戦がなかったのに、軍の命令で強制疎開させられた結果、風土病のマラリアで3600人もの人が亡くなった、と書いてあった。まったく知らない話でした。そもそもなぜ米軍が上陸しなかった島々で強制疎開」なのか》。

(『沖縄スパイ戦史』劇場予告編)

http://www.spy-senshi.com
https://youtu.be/Tsk9ggz-BoY


 三上智恵さんとともに、ドキュメンタリー映画『沖縄スパイ戦史』の共同監督の大矢英代さん。コラム【マガ9備忘録/その145)「沖縄のマスコミは“民”のもの」高江で語ったQAB大矢記者の心】(http://www.magazine9.jp/article/biboroku/30180/)で初めて、大矢英代元QAB記者を知りました。その時のスピーチにとても感動しました。

   『●「戦争のためにカメラを回しません。
      戦争のためにペンを持ちません。戦争のために輪転機を回しません」
    《私たち(沖縄)マスコミ労協は、
     あらゆる戦争につながる原稿は1本たりとも書かないことを約束します
     戦争のためにカメラを回しません
     戦争のためにペンを持ちません
     戦争のために輪転機を回しません
     ……
     そして、それを支えているのは沖縄の皆さんです。
     沖縄のマスコミは、皆さん県民のものです。
     “民(たみ)”のものです。
     私たちには武器もありませんし、権力もありません。
     でも、伝え続けることはできます。抗い続けることはできます。
     その一歩一歩が、沖縄の歴史、そして本当の意味で
     この国の、この日本の民主主義を勝ち得る手段と信じて、
     これからも一生懸命、伝え続けていきたいと思っています。》

 「本土」ではほとんど知られていない戦争マラリアが修論のテーマであり、今回のドキュメンタリーの大矢さんの主な担当部分。いま、先島諸島などでの自衛隊配備を受け、島々の市民の皆さんは分断されつつある…《戦争や軍隊の本質》を「本土」の皆さんも考えてみるべきだ。

   『●『銃を持つ権利は子どもが生きる権利より重い』?
        普天間で起きている、辺野古で起きようとしていること
    「辺野古で、今現在まで、ずっと起き続けていること、そして、辺野古で
     確実に起きること、起きつつあること。普天間飛行場の撤収か、
     辺野古移設か、という二者択一を迫るアベ様や最低の官房長官ら。
     普天間を撤収し、番犬様に本国へお引き取り頂けば、
     「森」を殺すこともなく、辺野古の「美ら海」を殺すこともない
     沖縄の人々を分断することもないし、基地から出撃したん番犬様が
     「人殺し」することもない。沖縄の大幅な「負担削減」が実現できる
     というのに。「本土」では大騒ぎされないが、沖縄の人々があれ程の
     反対運動をしている辺野古では、生物多様性の破壊が引き返せない
     ところまで来てしまいつつある。
       「在日米軍特権」を放置する「日米共犯」。「子どもを園庭で遊ばせたい
     「当然の日常がほしいだけ」、そんな極当たり前のことなのに…
     《愛僕者》達のやることときたら。何が愛国者か! ヘイト者・ヘイト屋や
     デマ者・デマ屋らに支えられた、トンだ《愛僕者》達」

   『●「武力によって平和を創造することはできない」…
         「真の平和をつくっていく…「憲法宣言」を採択」
    「《石垣島宮古島への陸上自衛隊配備などを念頭に
     「沖縄の基地負担への影響が大きい」》…壊憲が及ぼす影響は、
     沖縄では計り知れない。「森」を殺し、「美ら海」を殺し続け、沖縄の
     市民を分断、基地から出撃する番犬様は「人」を…。
       沖縄の地で、《「武力によって平和を創造することはできない」とし、
     日本国憲法の精神米軍基地のない平和を求める沖縄の心
     大切にし、真の平和をつくっていくことを掲げた「憲法宣言」を採択》
     にも肯ける」

 《「ボランティアに行って戦争で傷ついた人を助けたい」と思っていながら、紛争地に爆弾を落としている軍隊の飛行機が自分の国にある基地から飛び立っているという事実についてはまったく意識していなかったことにも気付かされました。海外で人を助ける前に、まず自分の国のことと向き合わないといけないんじゃないか、と感じましたね》…「森」を殺し、「美ら海」を殺し続け、沖縄の市民を分断、基地から出撃する番犬様は「人」を…。「本土」の自公支持者が考えようともしない、新たな《記憶の澱》を生み出し続けている。
 《私たちは、過去の歴史からしか学べません。その歴史を語れる人がいなくなりつつある中で、私たちが何を学ぶのかが今、問われていると思います》…そして、《学んだ者としての責任がある》と。

   『●現在進行形の「身代わり」: 「反省と不戦の誓いを…
             沖縄を二度と、身代わりにしてはならない」
    《先島諸島と呼ばれる沖縄県南西部の島々が自衛隊配備で揺れて
     います。蘇るのは戦争による悲劇の記憶です…宮古島には
     七百人規模、石垣島には六百人規模のミサイル部隊と警備部隊を
     配備する計画です。地元では…住民の意見は割れているのが実情です。
     …有事には自衛隊が標的にされ、周辺住民が巻き込まれると心配する
     声が聞こえてきます。底流にあるのは先の戦争の悲惨な記憶です。
     大戦末期、米軍の攻撃を避けるため、この地域の住民はマラリア発生
     地帯への疎開を軍部によって強制され、多くの人が罹患して亡くなり
     ました。患者数は当時の人口の約半数とも言われています。同じく
     大戦末期には、軍命により石垣島から台湾に疎開する際、船が米軍に
     攻撃され、多くの犠牲者が出ました。
     自衛隊配備でこうした戦争の記憶が蘇るのです》

   『●「防波堤」としての全ての「日本全土がアメリカの「風かたか」」
               …米中の「新たな戦争の「防波堤」に」(その1)
    《とくに石垣島の場合は地上戦がなく、空襲で178人が亡くなっている
     のですが、一方で、日本軍の命令によって住民たちがマラリアが
     蔓延する山奥に押し込められ、しかも日本軍は特効薬を大量に持って
     いたにもかかわらず住民に使うことはなく、結果3647人も亡くなって
     います。これは米軍が上陸してきたときに住民が捕虜となり、情報が
     筒抜けになることを避けるため、ゆるやかな集団自決を住民に強制した、
     ということでしょう。じつは沖縄でも、この一件は「たまたま疎開した先に
     マラリア蚊がいて、マラリアが蔓延してしまった」というくらいにしか
     捉えていない人が多い。映画のなかで山奥に押し込められた体験を
     証言してくださった方が出てきますが、この映画での新証言なんです。
     この部分は、どうしても映画のなかに残しておきたかった。
     軍隊がいたから、石垣島ではマラリア地獄が起きた。軍隊の論理で
     死ななきゃいけない人が出てきてしまった、ということですから》

   『●『沖縄スパイ戦史』(三上智恵・大矢英代共同監督): 
           「「スパイリスト」…歪んだ論理が生み出す殺人」
    《今回は、そこに大矢監督の静かな怒りが加味された
     日本軍の命令による、マラリア地獄への住民強制移住という事実の
     掘り起こしである。1944年暮れのある日突然…波照間島民たちの
     西表島への「疎開という名の強制移住」だった。西表島は今でこそ
     明るい観光地になってはいるが、当時は「マラリア地獄」と呼ばれる
     ような死病の蔓延する島だった。強制された移住先で何が起こったか》

   『●三上智恵・大矢英代監督映画『沖縄スパイ戦史』…
       「戦争というシステムに巻き込まれていった人たちの姿」

    《「戦争や軍隊の本質を伝えたい」…戦争中に多くの住民が罹患した
     「戦争マラリア」について大矢さんは、「陸軍中野学校出身者の命令に
     よって、波照間島の住民が当時マラリアが蔓延していた西表島
     移住を強いられた。米軍ではなく、日本軍の命令によってあれだけの
     被害がでた。そこに軍隊の本質が見えるんじゃないかと思って取材を
     しました。苦しみを抱えて語りたがらない体験者に、頭を下げて話を
     聞きました」と話します》

   『●「改めて身に迫るのは、軍隊というものが持つ狂気性」(高野孟さん)と、
                     いまも続く沖縄での不条理の連鎖
   『●「戦争マラリア」…いま再び自衛隊配備で先島諸島住民を分断し、
                     「戦争や軍隊の本質」の記憶を蘇らせる…

   『●『沖縄スパイ戦史』と《記憶の澱》…
     「護郷隊…中高生の年頃の少年たち…スパイと疑われた仲間の処刑…」

    《▼日本軍第32軍の周辺で起きた本島中南部の激戦を「表の沖縄戦」と
     すれば、映画が描くのは北部の少年ゲリラ兵部隊護郷隊」や八重山
     戦争マラリアなどの「裏の沖縄戦」。綿密な取材による証言と資料映像で、
     6月23日以降も続いた遊撃戦の実相をつづる》

   『●自衛隊配備・ミサイル基地建設…
     『沖縄スパイ戦史』「自衛隊…昔と同じく住民を顧みない軍隊の本質」暴露

   『●沖縄デマによる市民の分断: 『沖縄スパイ戦史』の両監督…
                    「反基地運動は中国のスパイ」デマも同根

インタビュー本編②へ】

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●沖縄デマによる市民の分断: 『沖縄スパイ戦史』の両監督…「反基地運動は中国のスパイ」デマも同根

2018年09月27日 00時00分43秒 | Weblog

[※ 『沖縄スパイ戦史』(三上智恵大矢英代共同監督) (LOFT)↑]



リテラの記事【『沖縄スパイ戦史三上智恵監督・大矢英代監督インタビュー/「反基地運動は中国のスパイ」デマも同根だ!『沖縄スパイ戦史』監督が語った”スパイ”という名の分断】(http://lite-ra.com/2018/07/post-4150.html)。

 《“戦争に備える軍隊”は、本当に人々を守るのか。…沖縄戦における少年ゲリラ兵、軍が住民を強制移住させた「戦争マラリア」の問題、本土から送り込まれた陸軍中野学校出身者の暗躍、そして、軍統制下での秘密保持と相互監視のもとで起きた住民虐殺の真相に迫る》。

(『沖縄スパイ戦史』劇場予告編)

http://www.spy-senshi.com
https://youtu.be/Tsk9ggz-BoY

 《スパイに仕立てられた少年兵を仲間に銃殺させたり》…。《記憶の澱》…《軍隊というものが持つ狂気性》。
 そして、現代の、アベ様の《我が軍》も、自衛隊の配備やミサイル基地建設など、《昔と同じく住民を顧みない軍隊の本質》を発揮しようてしてはいないか? 「戦争マラリア」…《ゆるやかな集団自決を住民に強制》。(木下昌明さん)《大矢は、波照間島の住民約500人を死に追いやった犯罪を追及している。…米軍は現れず、彼も姿を消した。スパイだったのだ。…今日、沖縄南西諸島自衛隊が配備され、ミサイル基地が建設されつつある。三上と大矢は、自衛隊が当時の法規を踏襲し、昔と同じく住民を顧みない軍隊の本質を暴いている》。

   『●百田尚樹氏、沖縄の地で「デマを並べ、
      沖縄への米軍基地集中を正当化」…態度・人間性・思考のお粗末さ
   『●「アベ様広報」…安田浩一さん「現地の人に話を聞く、
         裏取りするという取材の基本ができていない…デマ」
   『●東京MXテレビ「沖縄デマ」宣伝…
     「目的がデマの拡散による沖縄の反基地運動への不信あおりにあった」
    「【海鳴りの島から 沖縄・ヤンバルより… 目取真俊東京MXテレビ
     「ニュース女子」の虚偽報道に対する抗議の記者会見。】…
     《殴られた女性はカヌーメンバーでもあるので、二日後に怪我の様子を見た。
     顔に青黒いあざができて痛ましかった。番組の視聴者の大半は
     そういうことを知らないだろう。「反対派の暴力などとよく番組で扱えたものだ
     こういうメンバーをそろえること自体番組の目的がデマの拡散による
     沖縄の反基地運動への不信あおりにあったことを示している》」

   『●確信犯…「ジャーナリストが極右的言動で
      活躍しはじめたことのほうが、より事態の深刻さを物語っている」
   『●放送法「四条の規律を撤廃することは、
     自由の拡大ではなく、自由縮小」…報道へのアベ様の不当な政治介入
   『●「亡命」させられた辛淑玉さんは
      「一時帰国するにも勇気がいる…」とは、一体ニッポンはどんな国なのか?

    「〝罰〟を受けるべきは、一体どちらなのか? ヘイト屋・デマ屋の醜さ、
     醜態、醜悪さ…《態度・人間性・思考のお粗末さ》、どうにかならないものか」
    《番組「ニュース女子」は辛さんと沖縄の基地反対運動へのデマを並べていた》

 また、いまも止まず。病んだ沖縄デマ、沖縄ヘイトによる市民の分断。ニッポンの保守を自称する人達は、番犬様の在日米軍特権には沈黙し、アベ様の「我が軍」が沖縄や島嶼の人々を「防波堤」代わりにしても、何にも感じないらしい。『沖縄スパイ戦史』の両監督は《「反基地運動は中国のスパイ」デマも同根!…”スパイ”という名の分断》であることを指摘。

   『●加害者性と被害者性…「私たち一人一人が被害者となり、
              加害者となり得る戦争。戦争はどこかで今も…」
    「【記憶の澱/NNNドキュメント’17】…。
     《先の大戦の記憶を、今だからこそ「語り、残したい」という人々がいます。
     …心の奥底にまるで「」のようにこびりついた記憶には「被害」と「加害」、
     その両方が存在しました》」

   『●「戦争のためにカメラを回しません。
      戦争のためにペンを持ちません。戦争のために輪転機を回しません」
   『●『沖縄スパイ戦史』(三上智恵・大矢英代共同監督): 
           「「スパイリスト」…歪んだ論理が生み出す殺人」
   『●三上智恵・大矢英代監督映画『沖縄スパイ戦史』…
       「戦争というシステムに巻き込まれていった人たちの姿」

   『●中山きくさん「戦争は体験してからでは遅い」、
       城山三郎さん「平和の有難さは失ってみないとわからない」

   『●「改めて身に迫るのは、軍隊というものが持つ
      狂気性」(高野孟さん)と、いまも続く沖縄での不条理の連鎖
    《マガジン9連載コラム「沖縄〈辺野古・高江〉撮影日誌」でおなじみの
     三上智恵さんが、大矢英代さんとの共同監督で制作した
     映画『沖縄スパイ戦史』が7月下旬からいよいよ公開…
     「軍隊は住民を守らない」…「戦争や軍隊の本質を伝えたい」》。

   『●「安倍政権が旗をふる「極右プロパガンダ映画」が 
      世界中に発信されるという恥ずかしい事態が現実に」!?
   『●『沖縄スパイ戦史』と《記憶の澱》…
     「護郷隊…中高生の年頃の少年たち…スパイと疑われた仲間の処刑…」

    《▼日本軍第32軍の周辺で起きた本島中南部の激戦を「表の沖縄戦」と
     すれば、映画が描くのは北部の少年ゲリラ兵部隊護郷隊」や八重山
     戦争マラリアなどの「裏の沖縄戦」。綿密な取材による証言と資料映像で、
     6月23日以降も続いた遊撃戦の実相をつづる》

   『●自衛隊配備・ミサイル基地建設…
     『沖縄スパイ戦史』「自衛隊…昔と同じく住民を顧みない軍隊の本質」暴露


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http://lite-ra.com/2018/07/post-4150.html

沖縄スパイ戦史三上智恵監督・大矢英代監督インタビュー
「反基地運動は中国のスパイ」デマも同根だ!『沖縄スパイ戦史』監督が語った”スパイ”という名の分断
2018.07.27

     (7月28日より東京でも公開されるドキュメンタリー映画
      『沖縄スパイ戦史』を監督した大矢英代氏(左)と三上智恵氏(右))

 県民の約4分の1が死亡した沖縄戦。6月23日の慰霊の日に行われた沖縄全戦没者追悼式で、翁長雄志知事は「辺野古に新基地を造らせないという私の決意は県民とともにあり、みじんも揺らぐことはない」と力を込めた。
 一方、安倍首相は基地負担軽減に全力を尽くす」と述べた。嘘だ。政権に辺野古新米軍基地の建設強行を止める気配は微塵もない。石垣島、宮古島、与那国島への大規模な自衛隊とミサイル基地の配備も推し進めており、石垣市では中山義隆市長が7月18日に陸自配備受け入れの方針を正式に表明した。
 安倍政権の建前は防衛強化」だ。過去最大、約5兆3000億円の来年度予算を要求する防衛省の長・小野寺五典防衛相は、沖縄全戦没者追悼式の直後に「我が国の平和と安全は自衛隊が担っている」との訓示を出した。
 しかし、“戦争に備える軍隊本当に人々を守るのか
 7月公開のドキュメンタリー映画『沖縄スパイ戦史』は、過去と現在の双方からこの問題をえぐった。沖縄米軍基地や自衛隊ミサイル基地配備問題などを追い続ける三上智恵監督と、三上監督の琉球朝日放送時代の後輩にあたる大矢英代監督、ふたりの女性ジャーナリストによる共作だ。
 両監督の丹念な取材で一次証言や資料を集めた本作は、沖縄戦における少年ゲリラ兵軍が住民を強制移住させた戦争マラリアの問題、本土から送り込まれた陸軍中野学校出身者の暗躍、そして、軍統制下での秘密保持と相互監視のもとで起きた住民虐殺の真相に迫る。
 共通するキーワードは、表題にあるとおり「スパイ」。周知の通り、昨今では新基地や自衛隊配備に反対する人々が、右派やネット右翼から「工作員」「回し者」と攻撃され、テレビや新聞などのマスメディアまでもが沖縄をめぐるデマに加担している。両監督はそうした安倍政権下の状況をどう見ているのか、自衛隊の問題にも踏み込んで話を伺った。ぜひ、最後まで読んでもらいたい。

********************

──これまで『標的の村』や『戦場ぬ止み』『標的の島 風かたか』で、高江のヘリパッドや辺野古新基地の建設、先島諸島の自衛隊・ミサイル基地配備の問題を描いた三上監督が、今作では大矢監督とともに沖縄戦を扱いました。なぜいま沖縄戦、それも「スパイ」をテーマに選んだのでしょう。

三上 みなさんそれを聞きますよね(笑)。三作の映画をつくってみて、まだこれではダメだと思ったからです。辺野古や高江の問題は、沖縄が大変だということではない。もう日本自体が壊れていて、民主主義も国民主権も三権分立も手放そうとしている。そのことの警鐘としてやってきました。
 だけれども、その危機感はほとんど浸透していない。たとえば一作前の『標的の島 風かたか』は、具体的に始まっていく宮古・石垣の自衛隊による要塞化が日本の運命をどう変えていくかということを打ち出したのに、ほとんど後追いもされませんでした。だから、基地建設反対運動や沖縄や離島の文化というのを絡めてドキュメンタリーとしていく手法は、もう甘いんだなって思ったというのがひとつ。
 もうひとつは、日本人は「次の戦争はピカっと光って終わりの核戦争だ。いまどき白兵戦をやるわけがない」と決めつける人が多いですけど、いま、世界中で戦われている戦争って、実際には核戦争じゃないですよね。テロであり、ゲリラであり、スパイによる秘密戦なんです。秘密戦というのは恐ろしい世界で、言わば、敵兵の顔も見ずに、弾に当たる前に殺される人が出る。そうしたいま起きている、起ころうとしている恐怖を知ってもらうために、私たちが放送局時代から取材してきた沖縄戦に何を学ぶべきかと考えて、この題材を選びました。

大矢 実は当初のタイトル候補は「沖縄裏戦史」だったんですよ。でも「裏」というよりかは、全編を通して「スパイ」の話なんですね。陸軍中野学校という本土でスパイや秘密戦、ゲリラ戦などの教育を受けた青年将校が沖縄に赴任し、10代の少年たちを集めてゲリラ兵にした「護郷隊」。私が学生時代から取材してきた戦争マラリアの問題もそうです。たとえば、波照間島の住民は日本軍によって悪性マラリアの蔓延する西表島に強制移住させられ、島民の3分の1が命を落としましたが、実は、その前に中野学校出身者が学校の先生として偽名で赴任してきて、住民の生活を秘密裏に監視していました。強制移住は住民を守るためではなく食料確保や情報を漏洩させたくない軍の都合だった。
 つまり「スパイを防止するという名目で住民のスパイをしていたのです。人々を守るためじゃなくて、日本の国体を守るためですよね。軍が住民に住民を監視・密告をさせて作成したスパイ容疑者リスト」の存在と、疑心暗鬼になった住民同しによる虐殺も、背景には機密を保持するという軍の論理がありました。


■「沖縄にスパイが入ってる」というデマがもつ本当の恐ろしさ

──住民たちを疑心暗鬼にさせて「あいつはスパイらしい」みたいな流れをつくることは安倍政権もやっています。一例をあげると、公安調査庁は報告書のなかで、中国の大学やシンクタンクが沖縄独立を求める団体の関係者との交流を深めているとして〈日本国内の分断を図る狙いが潜んでいる〉などと言いふらしています。他にも、基地新設に反対する人たちや翁長知事に対して「スパイ」とか「回し者」みたいな誹謗デマが飛んでいる。たとえば昨年、作家の百田尚樹氏が〈テント村の中には、漢和辞典も。日本語を勉強している人たちなのかも〉とツイートして、あたかも高江に「中国のスパイ」が紛れ込んでいるかのようにほのめかしていました。


三上 えっ、そんなことを言っていたんですか……。低俗すぎて論外ですが、たしかに「沖縄にスパイが入ってる」というようなデマはいま、再燃しています。しかし、そういう話が流布されていくと、本当に、自分たちの所属している社会が根から腐っていく。
 「スパイ」という言葉の怖さがわかっていないんでしょう。それはジェームズ・ボンドの「スパイ」ではなくて、戦争のときは命取りになる言葉。いや、戦争の前から「スパイ」とされて、いじめ殺されたりということが日本中であった。だからこそ、魔女狩りみたいな危険な集団心理として肝に命じておかなくちゃいけないはずなのに……。

──でも、百田氏の言うような話は現状、かなり流通してしまっています。たとえば「基地反対派は金をもらっている」というネトウヨのデマを本当に信じてしまっている人は少なくないです。

大矢
 もちろんネットの恐ろしさはわかります。私が琉球朝日放送に入局したときから、それこそ“沖縄バッシング”と言われるものは始まっていました。日々のニュースのなかで、普天間基地がつくられる前にはもともと村があって、住民の生活があって、それを米軍が接収したのだというニュースを伝えても、「普天間基地」とgoogleで検索したら、「普天間基地の真実」とか「普天間基地の嘘」みたいな話がたくさんでてくるじゃないですか。
 私は伝える側ですが、受け取る側から見たら、普天間の歴史をもっと知りたいなと思っても、ネットで調べたら事実とはまったく違う嘘にたどり着いちゃうわけですよね。そういう恐ろしさをネットは常にはらんでいると思うし、結局はリテラシーを身につけないと状況は変わらない。
 ただ、一方で、映画を作るようになってからは、正直、あんまりネット右翼と言われている人たちの声は、もう無視してもいいんじゃないかと思うようになってきていて(笑)。


■沖縄デマに乗っかれば、自分が加害者であることに向き合わなくていい

     ((C)2018『沖縄スパイ戦史』製作委員会)

──ネトウヨのバッシングはあまり意識しないということですか。

大矢 はい。だって単なる卑怯じゃないですか。こっちが実名で顔までだしてつくっているものに対して、どこの誰かもわからない、ネットがなければ存在すら証明できない人たちが書き込むわけですよね。それって、対等な関係にならない。だからあんまり、ネットでこんなバッシングが……というのは気にしていないし、相手にしなければいいんじゃないか。そうも思うんですよ。
 もちろん、そうした言説がなぜこれほどまでに出てきているのかということについては、社会の闇の部分としてもっと取材しないといけないですが。誰かを攻撃することで安心している、あなたのなかのその気持ちはなんなんですか? そう問いたいですね。

三上 「あいつらは中国のスパイなんだってよ」みたいなデマって、『沖縄スパイ戦史』の「スパイ」にも共通しますが、ものすごく無責任にアドレナリンが出る話なんですよ。それで知ったような気になる。実際、「翁長知事の娘は中国に留学し、中国共産党の幹部と結婚した」というような有名なフェイクに多くの人が飛びついた。念のため言っておきますが、翁長知事の娘さんは中国に留学どころか一度も中国に行ったことがないですからね。
 しかし「翁長はスパイ」と思いたい人は、「娘が中国人と結婚しているらしい」なる話をフェイクだろうとなんだろうと拡散する。いいね!されることが生きている実感になっちゃっている。そんな病んだ社会がありますよね。「辺野古で反対している人たちはお金もらっているんだぜ」みたいなデマもそう。こういうことさえ言っていれば、自分たちは辺野古の人たちに同情することもないし実は加害者だということに向き合う必要もないから。
 沖縄のことを考えたくもないし、政治的な感覚も本当は0点なんだけど、それをどこか恥ずかしいと思ってるからこそ、そこは悟られたくない。どっちかと言えば、楽してかっこはつけたい。そういう人が群れを成してデマやバッシングに向かう。負の連鎖ですよね。


■世の中に政治的じゃないものなんてありますか?

──そうしたデマとはまた違った角度のバッシングとして、基地反対や日本軍の戦争犯罪を批判すると「政治的なプロパガンダだ!」みたいな言いがかりも飛んできます。『沖縄スパイ戦史』では、石垣島への自衛隊配備を容認する中山氏が当選した石垣市長選のシーンも出てきますね。選挙も入れようというのは最初から考えていたんですか。


三上 もちろんです。ひょっとして、いま現在の選挙を入れると後から古びてみえるとか、そういう違和感を感じましたか?

──いえ、そうではなくて、「政治的な映画だ!」みたいなことを言い出す連中が出てくるのではないかと……。

大矢 うーん、想定はしていましたね。最初は、石垣市長選をどういう風に扱うかは結構悩んでいて。本編を終えたエンドロールのところに入れるというプランもあったのですが、するとまったく違う印象になりますから。まあ、中山市長が映画をみたら怒るだろうなとは承知の上でつくってますけどね(笑)。
 でも、現在とつなげなければ意味がないなぜ、2018年のいま、この映画をつくっているのか。目の前で起こっている石垣の市長選があって、自衛隊基地をどうするの?というところは撮らなければいけない。そう思っていました。
 だいたい「政治的だ!」というバッシングがあると言いますけど、世の中に政治的じゃないものなんてありますかね?

三上 というか「政治的だ!っていうバッシング自体、実は政治的でしょう。

大矢 そうそう。八重山の選挙に限っていえば、右とか左とか、そういう問題じゃなくて命の問題なんです。自衛隊基地を置くことで、どういう風に自分たちの生活が脅かされていくのかどういう風に作戦に加担させられていくのか。映画で過去を掘り下げたように、戦争では「軍の秘密を握る住民」とされて、住民も子どもたちの生活も一変してしまったから

三上 生活や命が脅かされると心配することを「政治的だ!」とか「プロパガンダだ!」と責めて楽しいですか。自分はこの島にずっと住み続けていくし、そこは先祖の土地だし、未来の子どもたちも守りたい、そういう思いを持つは自然でしょう。あなたがこの島にいたら心配しませんか。右往左往しませんか。自衛隊基地についてのいろんな意見を聞いて、迷ったり、怖くなったりしませんか。
 メディアの問題にも通じますが、「政治的中立」みたいな無重力の場所が仮にあったとして、自分はそこを探してそこに立って、公平に世の中にあるすべてのことを見渡すことができる、なんて考えているとしたらかなり傲慢ですよ。そんな人間がいるはずがない。あなた自身が偏っていないというのならば、その意味のない自信はどこからくるのでしょうか。


旧日本軍と自衛隊が同質であるかどうかは重要な問題

     ((C)2018『沖縄スパイ戦史』製作委員会)

──映画をみれば、自衛隊についてもいやが応にも考えざるをえないです。

大矢 自衛隊のことについて目をつむり、耳を塞ぐのは、罪悪感をとりはらいたいがための自己暗示でしかないと思っています。

三上 たとえば、先の戦争で散々なことをした旧日本軍と自衛隊が同質であるかどうかはとても重要な問題なのですが、みんなそこを検証せずに「まさか同じなわけないじゃないか」と思っている。
 この映画をみて、何が同じで何が変わったのか、考えてみてほしい。少なくとも、旧日本軍が何をやったのかということが知られてなさすぎるし、もっと多くの人の目で検証しないと信用できないはず。だからこそ、私たちは『沖縄スパイ戦史』のようなドキュメンタリーをつくっているんです。

(取材・構成/編集部)


■『沖縄スパイ戦史』
7月21日(土)より那覇・桜坂劇場にて先行公開中、7月28日(土)より東京・ポレポレ東中野にて公開。ほか、全国順次公開(公式サイトhttp://www.spy-senshi.com)。

未曾有の犠牲を出した沖縄戦の裏には、知られざる「秘密戦」があった。本土から沖縄へ送り込まれた、諜報員を養成する陸軍中野学校の出身者。ある者は年端もない1000人もの子どもたちをゲリラ兵にし、スパイ活動をさせた。ある者は教師になりすまして村に潜入し、悪性マラリア地帯の離島へ住民を閉じ込める軍命を実行した。18歳の少女までもがスパイリストなるものに載せられた。軍の監視と密告で疑心暗鬼になる住民たち。そして発生した「スパイ虐殺」。当時を知る証言者たちが、三上智恵・大矢英代両監督の取材で口をひらく。はたして軍隊は住民の命を守るのか、それとも──。沖縄で進められている自衛隊とミサイル基地配備の現実。映画が映すのは、過去の話ではない
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●自衛隊配備・ミサイル基地建設…『沖縄スパイ戦史』「自衛隊…昔と同じく住民を顧みない軍隊の本質」暴露

2018年08月16日 00時00分22秒 | Weblog

[※ 『沖縄スパイ戦史』(三上智恵大矢英代共同監督) (LOFT)↑]



レイバーネット(http://www.labornetjp.org/)のコラム【<木下昌明の映画の部屋 243回> 三上智恵大矢英代監督『沖縄スパイ戦史』/住民500人を死に追いやった犯罪】(http://www.labornetjp.org/news/2018/0721eiga)。

 


 《市川雷蔵主演の『陸軍中野学校』(1966年)をみて、日本の戦時にスパイ学校があったと知った。印象に残ったのは、主人公が国家に忠実を尽くすために恋人さえも殺す冷血漢となるシーンだった。三上智恵(ちえ)大矢英代(はなよ)の両監督の『沖縄スパイ戦史』は、中野学校を出たスパイが戦地で何をしたか――その実態の一面を見事に切りとっている》。

 《スパイに仕立てられた少年兵を仲間に銃殺させたり》…。《記憶の澱》…《軍隊というものが持つ狂気性》。

   『●現在進行形の「身代わり」: 「反省と不戦の誓いを…
             沖縄を二度と、身代わりにしてはならない」
    《宮古島には七百人規模、石垣島には六百人規模のミサイル部隊と
     警備部隊を配備する計画です。地元では、過疎化対策や抑止力強化の
     観点から配備を歓迎する人たちもいますが住民の意見は割れている
     のが実情です。
       島の主要産業である観光への影響を懸念する意見のほか、有事には
     自衛隊が標的にされ、周辺住民が巻き込まれると心配する声が
     聞こえてきます。底流にあるのは先の戦争の悲惨な記憶です。
       大戦末期、米軍の攻撃を避けるため、この地域の住民はマラリア発生
     地帯への疎開を軍部によって強制され、多くの人が罹患(りかん)して
     亡くなりました。患者数は当時の人口の約半数とも言われています。
       同じく大戦末期には、軍命により石垣島から台湾に疎開する際、
     船が米軍に攻撃され、多くの犠牲者が出ました。
     自衛隊配備でこうした戦争の記憶が蘇るのです》

   『●「防波堤」としての全ての「日本全土がアメリカの「風かたか」」…
                  米中の「新たな戦争の「防波堤」に」(その1)
    《『標的の島 風かたか三上智恵監督…とくに石垣島の場合は
     地上戦がなく、空襲で178人が亡くなっているのですが、一方で、
     日本軍の命令によって住民たちがマラリアが蔓延する山奥に
     押し込められ、しかも日本軍は特効薬を大量に持っていたにも
     かかわらず住民に使うことはなく、結果3647人も亡くなっています。
     これは米軍が上陸してきたときに住民が捕虜となり、情報が筒抜けに
     なることを避けるため、ゆるやかな集団自決を住民に強制した、
     ということでしょう。じつは沖縄でも、この一件は「たまたま疎開した先に
     マラリア蚊がいて、マラリアが蔓延してしまった」というくらいにしか
     捉えていない人が多い。映画のなかで山奥に押し込められた体験を
     証言してくださった方が出てきますが、この映画での新証言なんです。
     この部分は、どうしても映画のなかに残しておきたかった。
     軍隊がいたから、石垣島ではマラリア地獄が起きた。
     軍隊の論理で死ななきゃいけない人が出てきてしまった、ということですから》


 そして、現代の、アベ様の《我が軍》も、自衛隊の配備やミサイル基地建設など、《昔と同じく住民を顧みない軍隊の本質》を発揮しようてしてはいないか? 
 《ゆるやかな集団自決を住民に強制》。《一方の大矢は、波照間島の住民約500人を死に追いやった犯罪を追及している。…米軍は現れず、彼も姿を消した。スパイだったのだ。…今日、沖縄南西諸島自衛隊が配備され、ミサイル基地が建設されつつある。三上と大矢は、自衛隊が当時の法規を踏襲し、昔と同じく住民を顧みない軍隊の本質を暴いている》。

   『●加害者性と被害者性…「私たち一人一人が被害者となり、
              加害者となり得る戦争。戦争はどこかで今も…」
    「【記憶の澱/NNNドキュメント’17】…。
     《先の大戦の記憶を、今だからこそ「語り、残したい」という人々がいます。
     …心の奥底にまるで「」のようにこびりついた記憶には「被害」と「加害」、
     その両方が存在しました》」

   『●「戦争のためにカメラを回しません。
      戦争のためにペンを持ちません。戦争のために輪転機を回しません」
   『●『沖縄スパイ戦史』(三上智恵・大矢英代共同監督): 
           「「スパイリスト」…歪んだ論理が生み出す殺人」
   『●三上智恵・大矢英代監督映画『沖縄スパイ戦史』…
       「戦争というシステムに巻き込まれていった人たちの姿」

   『●中山きくさん「戦争は体験してからでは遅い」、
       城山三郎さん「平和の有難さは失ってみないとわからない」

   『●「改めて身に迫るのは、軍隊というものが持つ
      狂気性」(高野孟さん)と、いまも続く沖縄での不条理の連鎖
    《マガジン9連載コラム「沖縄〈辺野古・高江〉撮影日誌」でおなじみの
     三上智恵さんが、大矢英代さんとの共同監督で制作した
     映画『沖縄スパイ戦史』が7月下旬からいよいよ公開…
     「軍隊は住民を守らない」…「戦争や軍隊の本質を伝えたい」》。

   『●「安倍政権が旗をふる「極右プロパガンダ映画」が 
      世界中に発信されるという恥ずかしい事態が現実に」!?
   『●『沖縄スパイ戦史』と《記憶の澱》…
     「護郷隊…中高生の年頃の少年たち…スパイと疑われた仲間の処刑…」

    《▼日本軍第32軍の周辺で起きた本島中南部の激戦を「表の沖縄戦」と
     すれば、映画が描くのは北部の少年ゲリラ兵部隊護郷隊」や八重山
     戦争マラリアなどの「裏の沖縄戦」。綿密な取材による証言と資料映像で、
     6月23日以降も続いた遊撃戦の実相をつづる》

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http://www.labornetjp.org/news/2018/0721eiga

木下昌明の映画の部屋 : 三上智恵・大矢英代監督『沖縄スパイ戦史』

木下昌明の映画の部屋 243回> 三上智恵大矢英代監督『沖縄スパイ戦史
住民500人を死に追いやった犯罪

 市川雷蔵主演の『陸軍中野学校』(1966年)をみて、日本の戦時にスパイ学校があったと知った。印象に残ったのは、主人公が国家に忠実を尽くすために恋人さえも殺す冷血漢となるシーンだった。  三上智恵(ちえ)大矢英代(はなよ)の両監督の『沖縄スパイ戦史』は、中野学校を出たスパイが戦地で何をしたか――その実態の一面を見事に切りとっている。

 三上は『標的の村』(2012年)など基地反対の住民に焦点を当てたドキュメンタリーでよく知られている。大矢は若きドキュメンタリストで『テロリストは僕だった~沖縄・基地建設反対に立ち上がった元米兵たち~』(2016年)がある。この2人が共同で沖縄戦の埋もれた戦史を掘り起こしている。

 戦時下、42人の中野学校出身者が沖縄全島に派遣された。このうち「護郷隊」という秘密部隊を作り、少年兵らにゲリラ訓練をさせていた2人のスパイに、三上は光を当てる。米軍が撮った少年兵らの写真の数々と生き残った元少年兵の証言を重ねて、戦場の無残さを伝えている。スパイに仕立てられた少年兵を仲間に銃殺させたり、仲間に見捨てられた元少年兵の話などに唖然(あぜん)となる。

 一方の大矢は、波照間島の住民約500人を死に追いやった犯罪を追及している。

 1944年暮れごろ、一人の教師が島にやってくる。彼は住民に優しく慕われた。だが米軍が攻めてくると噂(うわさ)が立つや彼は隠していた軍刀で人々を脅し、隣の西表島に強制疎開させた。2000頭の家畜は処分し、軍隊が食用に持ち去った。着のみ着のままの住民は、マラリアと飢えで亡くなった米軍は現れず、彼も姿を消した。スパイだったのだ。彼は戦後どうしたか。

 今日、沖縄南西諸島自衛隊が配備され、ミサイル基地が建設されつつある。三上と大矢は、自衛隊が当時の法規を踏襲し、昔と同じく住民を顧みない軍隊の本質を暴いている。必見。

(『サンデー毎日』2018年7月29号)


※7月21日より沖縄・桜坂劇場、28日より東京・ポレポレ東中野ほか全国順次公開

〔追記〕この映画をみると、日本兵は中国ばかりでなく沖縄からも食料を現地調達していたことがわかる。
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●「戦争マラリア」…いま再び自衛隊配備で先島諸島住民を分断し、「戦争や軍隊の本質」の記憶を蘇らせる…

2018年08月14日 00時00分40秒 | Weblog

[※ 『沖縄スパイ戦史』(三上智恵大矢英代共同監督) (LOFT)↑]



東京新聞の吉原康和記者による「戦争マラリヤ」に関するルポ。
【<「餓死」の島 戦争マラリアの悲劇> (上)飢えと病の地獄があった】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201808/CK2018080502000123.html)と、
【<「餓死」の島 戦争マラリアの悲劇> (中)消えた集落 補償もなく】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201808/CK2018080602000118.html)と、
【<「餓死」の島 戦争マラリアの悲劇> (下)人口急増で被害拡大】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201808/CK2018080802000142.html)。

 《島中央部では、陸上自衛隊宮古島駐屯地(仮称)の隊舎などの工事も始まり、近い将来、警備部隊やミサイル部隊などが配備される。「島では軍隊と『カジノ』がやってくるとささやかれています」…沖縄戦が始まると、日本軍の命令でマラリアにかかる恐れの大きい地域に強制疎開させられた住民の間で犠牲者が急増し、戦争マラリアと呼ばれた》。
 《同じマラリアで死亡しても、軍人・軍属の遺族には国から遺族年金などが支給されていることを知る島民は少ない。…海軍飛行場建設で運命が暗転、厳しい戦後を生き抜いた久貝さんが言う。「好んで住み慣れた集落から出て行ったわけではない。マラリアの危険と隣り合わせの湿地帯での生活に追いやられ、軍人と同じようにマラリアで死亡しても、われわれには何の補償もない。今にして思えば、不公平だという気持ちでいっぱいです」》。
 《石垣島を中心とする八重山諸島では戦中・戦後(一九四五年)、日本軍の命令で住民の多くがマラリア有病地へ強制疎開させられたことなどから、マラリアで三千六百人以上の住民が亡くなった》。

 『沖縄スパイ戦史』で、三上智恵大矢英代 共同監督は《戦争や軍隊の本質を伝えたい》と云う。でも、本土にはほとんど伝わらないし、知ろうともしていないようだ。アベ様や最低の官房長官は、やりたい放題。それを許す「本土」の自公支持者。
 「戦争マラリア」と「戦争や軍隊の本質」。いま再び、先島諸島への自衛隊配備で住民を分断し、「戦争や軍隊の本質」の記憶・悪夢を蘇らせようとしている。《沖縄の戦後は終わらない》ままだ。

   『●現在進行形の「身代わり」: 「反省と不戦の誓いを…
             沖縄を二度と、身代わりにしてはならない」
    《先島諸島と呼ばれる沖縄県南西部の島々が自衛隊配備で揺れて
     います。蘇るのは戦争による悲劇の記憶です…宮古島には
     七百人規模、石垣島には六百人規模のミサイル部隊と警備部隊を
     配備する計画です。地元では…住民の意見は割れているのが実情です。
     …有事には自衛隊が標的にされ、周辺住民が巻き込まれると心配する
     声が聞こえてきます。底流にあるのは先の戦争の悲惨な記憶です。
     大戦末期、米軍の攻撃を避けるため、この地域の住民はマラリア発生
     地帯への疎開を軍部によって強制され、多くの人が罹患して亡くなり
     ました。患者数は当時の人口の約半数とも言われています。同じく
     大戦末期には、軍命により石垣島から台湾に疎開する際、船が米軍に
     攻撃され、多くの犠牲者が出ました。
     自衛隊配備でこうした戦争の記憶が蘇るのです》

   『●「防波堤」としての全ての「日本全土がアメリカの「風かたか」」
               …米中の「新たな戦争の「防波堤」に」(その1)
    《とくに石垣島の場合は地上戦がなく、空襲で178人が亡くなっている
     のですが、一方で、日本軍の命令によって住民たちがマラリアが
     蔓延する山奥に押し込められ、しかも日本軍は特効薬を大量に持って
     いたにもかかわらず住民に使うことはなく、結果3647人も亡くなって
     います。これは米軍が上陸してきたときに住民が捕虜となり、情報が
     筒抜けになることを避けるため、ゆるやかな集団自決を住民に強制した、
     ということでしょう。じつは沖縄でも、この一件は「たまたま疎開した先に
     マラリア蚊がいて、マラリアが蔓延してしまった」というくらいにしか
     捉えていない人が多い。映画のなかで山奥に押し込められた体験を
     証言してくださった方が出てきますが、この映画での新証言なんです。
     この部分は、どうしても映画のなかに残しておきたかった。
     軍隊がいたから、石垣島ではマラリア地獄が起きた。軍隊の論理で
     死ななきゃいけない人が出てきてしまった、ということですから》

   『●『沖縄スパイ戦史』(三上智恵・大矢英代共同監督): 
           「「スパイリスト」…歪んだ論理が生み出す殺人」
    《今回は、そこに大矢監督の静かな怒りが加味された
     日本軍の命令による、マラリア地獄への住民強制移住という事実の
     掘り起こしである。1944年暮れのある日突然…波照間島民たちの
     西表島への「疎開という名の強制移住」だった。西表島は今でこそ
     明るい観光地になってはいるが、当時は「マラリア地獄」と呼ばれる
     ような死病の蔓延する島だった。強制された移住先で何が起こったか》

   『●三上智恵・大矢英代監督映画『沖縄スパイ戦史』…
       「戦争というシステムに巻き込まれていった人たちの姿」

    《「戦争や軍隊の本質を伝えたい」…戦争中に多くの住民が罹患した
     「戦争マラリア」について大矢さんは、「陸軍中野学校出身者の命令に
     よって、波照間島の住民が当時マラリアが蔓延していた西表島
     移住を強いられた。米軍ではなく、日本軍の命令によってあれだけの
     被害がでた。そこに軍隊の本質が見えるんじゃないかと思って取材を
     しました。苦しみを抱えて語りたがらない体験者に、頭を下げて話を
     聞きました」と話します》

   『●「改めて身に迫るのは、軍隊というものが持つ狂気性」(高野孟さん)と、
                            いまも続く沖縄での不条理の連鎖

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201808/CK2018080502000123.html

<「餓死」の島 戦争マラリアの悲劇> (上)飢えと病の地獄があった
2018年8月5日 朝刊

     (「宮古ブルー」と呼ばれる美しい海に引かれ多くの観光客が訪れる。
      後方は無料で渡れる橋としては日本最長の伊良部大橋=沖縄県
      宮古島市で(潟沼義樹撮影))

 「宮古ブルー」と呼ばれる透き通る青い海とサンゴ礁に囲まれた沖縄県・宮古島は今、建設バブルの真っただ中にある。沖縄本島から南西に約二百九十キロ。宮古、伊良部、下地など六つの島からなる宮古島市は、さいたま市とほぼ同じ面積(約二百平方キロ)に約五万五千人が暮らす。あちこちで高級リゾートホテルやアパートの建設が進み、人手不足のため島外からも建設作業員が集まる。
 宮古島と伊良部島とを海上でつなぐ全長三・五キロの伊良部大橋は三年前に開通し、絶景スポットとして人気を集める。大型クルーズ船の就航数は急増し、伊良部島に隣接する下地島(しもじしま)空港は来春、国際空港化される。二〇一五年度に約五十万人だった観光客数は本年度百万人を突破する勢いだ。
 島中央部では、陸上自衛隊宮古島駐屯地(仮称)の隊舎などの工事も始まり、近い将来、警備部隊やミサイル部隊などが配備される。「島では軍隊と『カジノ』がやってくるとささやかれています」。駐屯地前で毎朝、抗議活動をしている上里清美さん(62)が皮肉交じりに語る。
 急速に変貌する宮古島では、沖縄戦の記憶が風化しつつある。戦時中、そこには三万の日本兵がいた。旧平良(ひらら)市などで構成した「宮古市町村会」が戦後五十年の一九九五年に発刊した『太平洋戦争における宮古島戦没者名簿』には、この島で戦没した約二千人の軍人・軍属の名前が都道府県別に記されている。その大半は、東京や神奈川、愛知など島外出身者だ。
 沖縄本島のような地上戦がなかったにもかかわらず、島で一体、何が起きていたのか。島内の歌碑に、七十三年前の光景が刻まれていた。

   「補充兵われも飢えつつ餓死兵の骸(むくろ)焼きし宮古(しま)よ
    八月は地獄」 (編集委員・吉原康和)

     (高沢義人さんが詠んだ短歌を記した歌碑に手をつく
      宮古郷土史研究会顧問の仲宗根将二さん=沖縄県宮古島市で)


◆孤立、食料も薬も絶たれ

 宮古島の中央に位置する野原岳(標高一一〇メートル)には、航空自衛隊の宮古島分屯基地があり、南西空域を監視している。戦時中、ここには陸軍第二十八師団が司令部を構えていた。<補充兵われも飢えつつ餓死兵の骸(むくろ)焼きし宮古(しま)よ八月は地獄>。島の悲劇が刻まれた歌碑は野原岳の麓にある。
 この短歌は一九八一年、朝日新聞に投稿され、高い評価を得た。作者は四四年秋から一年半、衛生兵として島に駐留した高沢義人さん(故人)だ。復員後、教員や千葉県松戸市議を務める傍ら、島での経験を詠み、歌集を出版。込められた反戦の思いに心を打たれた、歴史教育者協議会宮古支部の仲宗根将二(まさじ)さん(83)と交流が始まった。
 高沢さんは仲宗根さん宛ての手紙に「毎日、飢えながら、栄養失調とマラリアで亡くなった兵士を荼毘(だび)に付していました」と当時の惨状を記し、「兵隊は現地で悪いことをしていたので、私はもう宮古島へは行けません」と伝えた。
 「悪いこと」とは、住民の食料を盗み食いしていたことだという。仲宗根さんの説得で、高沢さんが島を訪れたのは終戦翌年に島を離れてから五十二年を経た九八年。歌碑は二〇〇五年に仲宗根さんら島の有志が建立した。
 サンゴ礁が隆起してできた小さな島に四三年秋から日本兵約三万人が駐留し、海軍と陸軍の飛行場が三つ建設された。島は軍人と住民の雑居状態だった。
 島で新聞を発行していた瀬名波栄さんが出版した「先島群島作戦(宮古編)」では、戦病死した日本兵は二千五百六十九人とされ、九割はマラリアと栄養失調が原因としている。

     (「飢餓とマラリア感染による複合的要因」と軍人の死因を語る医師の
      伊志嶺亮さん=沖縄県宮古島市で)

 沖縄戦が本格化した四五年四月以降に限っても、島で戦病死して靖国神社に合祀(ごうし)された軍人・軍属は九百人以上で、空襲や艦砲射撃などによる戦死者の三倍にのぼることが本紙の調査で判明している。
 戦病死者が多かった理由を、島の医師、伊志嶺亮さん(85)は「疎開者を除き人口約四万人の島に三万の兵が来たのだから、食料不足が一番大きい。死因は飢餓とマラリア感染による複合的要因だ」と指摘する。
 終戦直後に弟をマラリアで亡くした元沖縄県畜産会事務局長の久貝(くがい)徳三さん(84)は「自宅近くの陸軍病院前で、焼却場に運ばれる兵隊の遺体を毎日のように見た。兵隊たちが話す『マラリア』という言葉をよく耳にした」と語った。
 仲宗根さんは歌碑を前に、当時軍が置かれた絶望的な状況を指摘した。

   「制海権と制空権を米軍に奪われ、内地からの輸送は途絶えた。
    武器弾薬はおろか、食料も医薬品も届かない。マラリアに侵されても、
    医薬品がないから、百二十人の軍医を擁しても、なすすべもなかった」 

(編集委員・吉原康和)

戦争マラリア> マラリアは熱帯から亜熱帯に分布する原虫感染症で、宮古島や八重山諸島などを含む先島諸島には戦前から存在した。沖縄戦が始まると、日本軍の命令でマラリアにかかる恐れの大きい地域に強制疎開させられた住民の間で犠牲者が急増し、戦争マラリアと呼ばれた
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201808/CK2018080602000118.html

<「餓死」の島 戦争マラリアの悲劇> (中)消えた集落 補償もなく
2018年8月6日 朝刊

     (終戦後、マラリアで廃虚と化した袖山集落の惨状を語る
      久貝義雄さん=沖縄県宮古島市で)

   「戦争は終わったのに、毎日のようにマラリアで死んでいった…」

 一九四三年秋、沖縄県・宮古島に海軍飛行場(現宮古空港)を建設するため、北へ約二・五キロ離れた袖山集落に強制移住させられた元小学校校長の久貝(くがい)義雄さん(87)は、マラリアまん延の恐ろしさを淡々と語った。「葬式の連続。ここにいたら命が助からないと、四十戸余りあった集落の人たちは次々と逃げ出し、最後まで残ったのは私と兄だけでした」
 地元の宮古タイムス紙は四六年十一月に、袖山集落の惨状を伝えている。総戸数四十一戸、住民三百六十人のうち、マラリアに罹患(りかん)したのは三十九戸、三百五十人(97%)で、死亡者三十八人、夫婦死亡七組、一家全滅一戸(五人)…。

     (かつて袖山集落があったとみられる宮古空港の北部=沖縄県宮古島市で)

 久貝さんもマラリアに感染した。終戦で少年兵部隊「鉄血勤皇隊」を除隊となり、自宅に戻って間もない四五年十一月ごろ、突然ガタガタという震えに襲われた。高熱を発し、意識がもうろうとして約一カ月、生死をさまよった。

   「耳元でかすかな声がし、はっと気づいた時に、枕元で母が泣いて
    いました。私が治った後、その母も交代するように発病して一週間後に
    死に、父親も後を追うように死んだ」

 袖山には井戸水も畑もなかった。住民は毎日、デコボコの山道を約二キロ下った隣の集落に水くみに行き、沖縄製糖工場の土地を借りてイモや粟(あわ)などを栽培して生活していた。
 久貝さんは、マラリア大流行の要因を「水をくむのも、畑仕事をするのもマラリアの巣窟の湿地帯だった。そこで、住民が蚊にさされて猛烈な勢いでマラリアが広まったのではないか」と推測する。
 久貝さん兄弟がこの地を去り、袖山集落は廃村となった。袖山と同じように、海軍飛行場建設に伴って立ち退きを迫られた住民の強制移住先だった七原、富名腰(ふなこし)、腰原(こしばる)の三地区には、二〇一〇、一一年に公民館が建設された。各地の旧軍飛行場建設で立ち退きを迫られた地権者に対する戦後処理の一環だが、廃村となった旧袖山集落の人々の声は届かないままだ
 また、同じマラリアで死亡しても、軍人・軍属の遺族には国から遺族年金などが支給されていることを知る島民は少ない
 海軍飛行場建設で運命が暗転、厳しい戦後を生き抜いた久貝さんが言う。「好んで住み慣れた集落から出て行ったわけではない。マラリアの危険と隣り合わせの湿地帯での生活に追いやられ、軍人と同じようにマラリアで死亡しても、われわれには何の補償もない。今にして思えば、不公平だという気持ちでいっぱいです」

(編集委員・吉原康和)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201808/CK2018080802000142.html

<「餓死」の島 戦争マラリアの悲劇> (下)人口急増で被害拡大
2018年8月8日 朝刊

     (宮古島のマラリア有病地域が描かれた地図=
      沖縄県宮古島市で(宮古保健所所蔵))

   「終戦翌年に台湾から帰ってきた時、宮古島は『八万郡民』と呼ばれるほど、
    台湾や外地からの引き揚げ者などであふれ返っていた。米軍が
    本格的にマラリア撲滅に乗り出すのは一九四七年で、終戦直後の
    対策空白期に住民の被害は集中した」

 一九四六年春、台湾から米軍の船で、沖縄県・宮古島に帰郷した医師の伊志嶺亮さん(85)は、島内で一万人以上が罹患(りかん)し、死亡者数四百二十八人を記録した四七年のマラリア流行を振り返った。
 四六年二月に宮古島に駐留した日本軍の引き揚げが完了。それに代わる形で、マラリアに感染しやすいマラリア有病地域の台湾に居住・疎開していた一万人以上の住民が島に戻った。ほかの外地の引き揚げ者や帰還兵も含めると、島の人口は四六年十二月現在で、日本兵の駐留当時と変わらぬ七万人を突破していた。
 元琉球大教授の川平成雄さん(68)は「台湾からのマラリア感染者を含む大量の引き揚げ者などを抱え、宮古島の食料不足が継続し、マラリアが猛威を振るうに至った」と分析する。
 宮古島から南西へ約百十キロの石垣島を中心とする八重山諸島では戦中・戦後(一九四五年)、日本軍の命令で住民の多くがマラリア有病地へ強制疎開させられたことなどから、マラリアで三千六百人以上の住民が亡くなった。
 一方で、戦時中、マラリアが原因で亡くなった宮古島住民の被害実態は今もって判然としていない。宮古保健所の保存資料では、四四~四六年の島民のマラリア死者数は不明のまま。戦後、マラリア撲滅業務に従事した元同保健所職員の下里泰徳氏(故人)はその理由について、沖縄戦で担当の「(マラリア)防圧所の業務は中断され」と記していた。
 宮古島では終戦前後、多くの地域で住民がマラリアで命を落とした。住民三十人余が死亡、廃村となった袖山集落をはじめ、九十戸余りの島尻集落でも四五年夏、「百人以上の死者が出た」との証言が保健所に残されている。
 島の東海岸側の島尻、城辺や下地などは戦前から、マラリアの発生源となる水田やため池などの湿地帯が存在。マラリア有病地も島内で十四カ所に上ったが、マラリアに関するデータや研究蓄積は少ない。
 川平さんは「八重山の歴史は、マラリアによる廃村や強制移住による村建てなど、マラリアに極めて敏感だった。これに対し、宮古島では、マラリアの恐ろしさについて認識不足があったのではないか」と指摘。
 その上で、宮古保健所に記録が残る四七年のマラリア患者数「一万二千百三十一人」をベースに死亡率を5%として、四四~四六年までの年間死者数「六百七人」と試算し、こう断言する。「長期に及ぶ戦争の影響がもたらす住民被害の実相をきちんと解明しない限り、沖縄の戦後は終わらない」 

(編集委員・吉原康和)
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コメント (1)
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●翁長雄志さん「保守は保守でも自分は沖縄の保守。本土の保守政権に対して言うべきことは言う」が口癖

2018年08月12日 00時00分40秒 | Weblog


2年前のリテラの伊勢崎馨氏による記事【万策尽きたら夫婦二人で辺野古に座り込む! 翁長知事の妻が基地反対の思いを告白、知事は「殺されても…」とも】(http://lite-ra.com/2016/01/post-1874.html)。
東京新聞の社説【翁長知事死去 沖縄の訴えに思いを】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018081002000150.html)と、
コラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018081002000148.html)。
日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/立場の違う人たちからの敬意】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201808100000235.html)。

 《こうした妻や沖縄県民の思いの一方、安倍政権の翁長知事いじめ、訴訟など強行姿勢はますます苛烈さを加速…翁長知事夫妻が基地前に座り込むような「万策尽きた」事態になる前に、私たちの手で安倍政権の横暴を食い止めなければならない》。
 《沖縄の保守政治家として、なぜ保革の垣根を越えた「オール沖縄」を率いて安倍政権と真っ向対決してきたのか。…そうした差別的構造の打破には保守も革新もなく、民意を結集して当たるしかない、オール沖縄とはそんな思いだったのだろう。言い換えれば、沖縄のことは沖縄が決めるという「自己決定権」の行使だ。翁長氏は二〇一五年に国連人権理事会で演説し、辺野古の現状について「沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている」と、世界に向け訴えた…「保守は保守でも自分は沖縄の保守本土の保守政権に対して言うべきことは言う」が口癖でもあったという》。
 《<政治的に死んでも肉体的に滅んでも、沖縄を代表して言いたいことを言おう>。そう決意したという…選挙のたびに、米軍基地の是非を巡って、沖縄の人同士が、激しく対立する光景も、くり返し見ている。政治家としての原点だろう…▼道半ばではある。が、決意の通り、沖縄のために最後まで戦い抜いた人だった》。
 《権力と戦うと一口で言うが、時の政権中枢や米国の安全保障戦略を向こうに回して県民を守ろうとするのだから大変なことだ。知事は元来自民党沖縄県連幹事長を務めた人物。共産党委員長・志位和夫が「…」とツイッターに記したように、保守・革新の垣根を越えたところに政治があるのではないか。…立場の違う人たちに敬意を示される政治家へ敬意を表したい》。

   『●翁長雄志知事亡くなる…「折れない、言うことをきかない
           翁長知事に対し、安倍政権が陰湿ないじめ、報復」
    「翁長さんの《うちなーんちゅ、うしぇーてー、ないびらんどー》の叫びが
     忘れられない」

   『●翁長雄志さん「那覇市長として…東京のど真ん中で体感した
                 むき出しの沖縄差別に「衝撃を受けた」という」
    「アベ様の取巻き連中による様々な沖縄イジメ・沖縄ヘイトを含め、
     《安倍政権が陰湿ないじめ、報復》に対しても、《折れない、
     言うことをきかない翁長知事》は、真の意味での沖縄の市民の立場に立つ、
     真の保守政治家だった」

 週刊朝日の記事【追悼 翁長知事が果たせなかった妻との約束「万策尽きたら夫婦で一緒に…」】(https://dot.asahi.com/wa/2018080900019.html)によると、《新基地建設反対の信念は最後まで揺るがなかった。闘う知事を支えた妻の樹子さんは、過去に「万策尽きたら夫婦で一緒に(辺野古基地前に)座り込むことを約束している」と明かしたこともある。16年に「朝日ジャーナル」のインタビューに応じた翁長氏は、この“約束”について問われている。そのときは、言葉を選びながらも「座り込みについて妻が言ったことは、話が違うわけではありません」と否定せず、さらに「辺野古移設阻止が挫折して、一人間、一市民、一県民に戻った場合に何をするかは、沖縄県民のみんなと一緒です」と語っていた》…そうだ。
 2016年1月8日のリテラの記事を改めて読み直してみた。《翁長知事夫妻が基地前に座り込むような「万策尽きた」事態になる前に私たちの手で安倍政権の横暴を食い止めなければならない》…いま、辺野古破壊のトドメまであと一歩、そこまでアベ様や最低の官房長官らに許してしまった。辺野古の「美ら海」が醜悪に囲い込まれ、土砂投入を待つ。翁長さんの望んだように「辺野古埋め立て承認を撤回」し、この醜悪な〝檻〟を取り去り、元の美しい海の姿に戻すべきだ。

   『●「最低裁」のコールが聞こえる…沖縄負担軽減担当相らの
             「辺野古が唯一の解決策」をオウム返しでしょう…

 それにしても、《唯一の解決策》《基地負担軽減》を、まだ言うか、最低の官房長官
 東京新聞の記事【菅氏「新基地建設 唯一の解決策」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201808/CK2018080902000258.html)によると、《菅義偉官房長官は…名護市辺野古への新基地建設に関しては「日米同盟の抑止力維持、普天間飛行場の危険除去を考えたとき、唯一の解決策ということに変わりはない」と強調した。…「政府として、翁長氏の沖縄にかける思いをしっかりと受け止め、できることは全て行うという思いで、沖縄の基地負担軽減に取り組む」と説明》…って、あまりに酷すぎないか?
 保守を詐称する政治屋・最悪最低の官房長官《菅義偉官房長官は九日の記者会見でも、辺野古移設を「唯一の解決策」と繰り返すのみだ》…なぜ、唯一なのか? 普天間の撤収のために、なぜ辺野古が破壊されなければならないのか? しかも、辺野古は破壊「損」の可能性が高いときている。そして、一体、どこが負担軽減なのか?

   『●「番犬様の尾っぽ」=世界一危険な基地・普天間は 
        返還されない!? 辺野古は単なる破壊損なのか??

 「本土」ではニセ保守政治屋だらけ…。《立場の違う人たちに敬意を示される政治家》は稀有だ。翁長雄志さんは本物の保守政治家だった。
 翁長雄志さんは、《「保守は保守でも自分は沖縄の保守本土の保守政権に対して言うべきことは言う」が口癖》だった。

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http://lite-ra.com/2016/01/post-1874.html

万策尽きたら夫婦二人で辺野古に座り込む! 翁長知事の妻が基地反対の思いを告白、知事は「殺されても…」とも
2016.01.08

     (翁長雄志オフィシャルウェブサイトより)

   「とにかく新基地は造らせない。でも、もし万策尽きたら、
    その時は2人で座り込もうな

 沖縄県の翁長雄志知事は知事当選を果たした夜、自宅に戻って晩酌を傾けながら妻にこう語ったという。証言したのは、その翁長知事の妻・樹子夫人(60)。
 夫婦二人で辺野古に座り込むというのは、かなり悲壮な覚悟だが、たしかに、辺野古移転を巡る翁長知事と安倍政権の対立は緊迫の度を増している。昨年12月2日には国が翁長知事に対して埋め立て承認取り消し撤回を求めた代行訴訟弁論が始まり、同月25日には、翁長知事の辺野古埋め立て承認取り消しに対し、石井啓一国交相がその効力を一時停止したのは違法であるとして、県が国を提訴する事態となっている。
 そんな中、妻の樹子さんが「女性自身」(光文社)1月19日号の連載ルポ「シリーズ人間」に登場し、沖縄が抱える基地問題や平和への想いを語っている。その中でも興味深いのは夫・翁長知事の基地に対する考えの変遷が“妻の目から”語られていることだ。
 よく知られているように翁長知事は知事出馬以前、自民党に所属する議員であり基地容認派”で“辺野古移転賛成でもあった。それが一転、2014年の知事選では辺野古移転反対やオスプレイ配備撤回を求めたことで、保守派から批判される材料ともなったが、そこには翁長家、いや沖縄全体を襲った事件と翁長氏の苦悩が存在した。
 那覇市で生まれた樹子さんが翁長氏と結婚したのは1982年。夫である翁長氏が那覇市議選に初出馬し当選したのはその3年後だった。その後も沖縄県議、那覇市長と歴任した翁長氏だが、その間一貫して自民党からの出馬であり、基地問題や辺野古移転に関しても容認、賛成の立場だった。もちろん当時の樹子さんも夫の選挙や政治活動を支えている。

   「本当にありがたいことなんですが、選挙がないときも、妻の私も
    いろんな会合に顔を出さないといけない。選挙中ともなれば、朝、
    家を飛び出したら、帰宅できるのは毎日夜中です。それでも
    いろんな人が支えてくれていますから」

 そんな樹子さんが「ああ、もう無理」と衝撃を受ける大事件が起こった。それが95年9月に起きた米軍兵士3人による小学6年生少女集団暴行事件だ。

   「そのときね、うちの長女は5年生だった。そばにいた長女を見て
    『この子だったかもしれないんだ』と思ったら、ショックでね……
    私のなかで、ハッキリ、もう地位協定も基地も無理って思ったのは、
    この事件がキッカケでした」

 この問題は沖縄だけでなく日本全体を震撼させ、その後の日米地位協定の運用改善の契機ともなった事件だ。ショックを受けた樹子さんは、夫の翁長氏へ議論を挑み、激論を交わし詰め寄った。

   「あたし、直情型だから。毎晩のように翁長とけんかしてました。
    『地位協定、おかしいでしょ』『自民党、おかしいでしょ!』って。
    その時の翁長? 思っていることの半分も出さずにためておける人なんです。
    胸のなかでは私と同じような怒りを共有していたと思うけど、
    私が感情的になればなるほど、抑制したというか……でも、彼だって人の親、
    苦しかったと思います」

 翁長知事の実父・助静氏は保守系の政治家だった。幼いころから周囲には敵対陣営となる革新派が多い中、翁長氏は言いたいことが言えず、多くを溜め込む性格になったのだというのが樹子さんの分析だ。
 とはいえ少女暴行事件が起きてから、基地反対に変わるまで約20年もの年月がかかってしまった。しかし少女暴行事件に端を発した妻・樹子さんの思いに呼応し、翁長知事自身、「長年の怒りや悲しみの感情が積もり積もっていたはず」だと樹子さんは言う。そして、保守の壁を打ち破るために知事選で打ち出したスローガンが「イデオロギーよりもアイデンティティ」だった。

   「知事選に出るときに、あの人は『ぼくはピエロになるかもしれない』
    と言っていたの。一歩間違えれば、保革双方の支持者が離れていくって。
    でも彼は『自分はそれでも構わない』とも。もっと言うとね、私言ったの。
    『あなた、殺されちゃうかもしれないよ』って。それでも翁長は
    『それでもしょうがないと思っている』って」

 現在辺野古のゲート前で声を上げるなど基地反対を叫ぶ樹子さんだが、夫とともに沖縄のため平和のために闘っていく決意をしている。

   「裁判の行方はわからない。でも勝とうが負けようが、沖縄のプライドだけは、
    もう捨てたくない。そして、1人でも多くの子どもたちに、沖縄戦のことを、
    平和がいかに大切かを、伝え続けていきたい

 こうした妻や沖縄県民の思いの一方、安倍政権の翁長知事いじめ、訴訟など強行姿勢はますます苛烈さを加速させている。同時に宜野湾のディズニーリゾート誘致、復興予算の増額など、なりふり構わぬ切り崩しに躍起だ
 安倍政権はこれからもますます、圧力を強め、次々と強行策を繰り出してくるだろう。しかし、今年1月には宜野湾市長選、6月に県議選、そして7月の参院選と、有権者が基地問題に意思を表明するチャンスは残されている。翁長知事夫妻が基地前に座り込むような「万策尽きた」事態になる前に私たちの手で安倍政権の横暴を食い止めなければならない

伊勢崎馨
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018081002000150.html

【社説】
翁長知事死去 沖縄の訴えに思いを
2018年8月10日

 沖縄の保守政治家として、なぜ保革の垣根を越えた「オール沖縄」を率いて安倍政権と真っ向対決してきたのか。翁長雄志知事が亡くなった。その訴え、沖縄の現状をよく思い起こそう。
 翁長氏の政治信条は「オール沖縄」「イデオロギーよりアイデンティティー」の言葉に象徴されていた。
 国土の0・6%の広さしかない沖縄県に、国内の米軍専用施設の70%が集中する。にもかかわらず政府は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の代替施設として、同じ県内の名護市辺野古に新基地建設を強行している。日本国憲法よりも日米地位協定が優先され、県民の人権が軽視される
 そうした差別的構造の打破には保守も革新もなく、民意を結集して当たるしかない、オール沖縄とはそんな思いだったのだろう。
 言い換えれば、沖縄のことは沖縄が決めるという自己決定権の行使だ。翁長氏は二〇一五年に国連人権理事会で演説し、辺野古の現状について「沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている」と、世界に向け訴えた。
 父、兄が市長、副知事などを務めた政治家一家に生まれ、那覇市議、県議、自民党県連幹事長などを歴任した。県議時代には辺野古移設を容認していたが、那覇市長当時の〇七年、沖縄戦の集団自決に日本軍の強制を示す記述が削除された教科書検定問題を巡る県民大会に参加。さらに、民主党政権の県外移設方針が迷走したことなどを機に移設反対にかじを切る。
 戦争につながる基地問題に敏感なのは、沖縄戦後、激戦地に散乱したままだった戦死者の遺骨集めに奔走した実父の影響も強いとされる。「保守は保守でも自分は沖縄の保守本土の保守政権対して言うべきことは言う」が口癖でもあったという。
 翁長県政の四年弱、安倍政権はどう沖縄と向き合ったか。県内を選挙区とする国政選挙のほとんどで移設反対派が勝利したが、その民意に耳を傾けようとせず、辺野古の基地建設を進めた。菅義偉官房長官は九日の記者会見でも、辺野古移設を「唯一の解決策」と繰り返すのみだ。
 内閣府が三月に発表した自衛隊・防衛問題に関する世論調査で、「日米安保が日本の平和と安全に役立っている」との回答が約78%を占めた。安保を支持するのなら、その負担は全国で分かち合うべきではないか。翁長氏の訴えをあらためて胸に刻みたい。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018081002000148.html

【コラム】
筆洗
2018年8月10日

 ほほはこけて、声の量も乏しい。それでもなお、迫力を感じるのは、視線の力強さか、冷静で決然とした語り口か。亡くなる十日余り前の先月下旬、記者会見に臨んだ翁長雄志沖縄県知事の映像をみると、衰えぬ強い意思を感じさせる顔がある▼那覇市長時代、胃がんの手術を受けている。<政治的に死んでも肉体的に滅んでも、沖縄を代表して言いたいことを言おう>。そう決意したという(『戦う民意』)▼長く沖縄の保守勢力の重鎮として活動しながら、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対を唱えた。革新勢力からの支持も広く集めて、県知事に当選するのは、その八年後のことだ▼保守政治家の家系に生まれている。沖縄戦を生き延びた父が、敵味方を問わず、遺骨収集に走り回る姿をみてきた。東西冷戦下、沖縄に集中する米軍基地が、ソ連の核ミサイルに狙われるのではないか、という恐怖を感じながら育ったという。選挙のたびに、米軍基地の是非を巡って、沖縄の人同士が、激しく対立する光景も、くり返し見ている。政治家としての原点だろう▼「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」。座右の銘の通り、戦後の沖縄に課された数々の困難の解決に、身をささげようと決意したときに保守、革新の枠を超えた「オール沖縄」の道が開けた▼道半ばではある。が、決意の通り、沖縄のために最後まで戦い抜いた人だった。
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https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201808100000235.html

政界地獄耳
2018年8月10日9時51分
立場の違う人たちからの敬意

 ★政治家とは命を擦り減らす仕事だと改めて感じさせられた。沖縄県知事・翁長雄志が志半ばで亡くなった。がん闘病中の67歳。早すぎる死だった。権力と戦うと一口で言うが、時の政権中枢や米国の安全保障戦略を向こうに回して県民を守ろうとするのだから大変なことだ。知事は元来自民党沖縄県連幹事長を務めた人物。共産党委員長・志位和夫が「不屈の信念と烈々たる気概で辺野古新基地反対を貫いた4年間のたたかいに、深い敬意と感謝をささげます。保守・革新の垣根を越えた共闘にこそ沖縄の未来がある。ご遺志を継ぎたたかう決意です」とツイッターに記したように、保守・革新の垣根を越えたところに政治があるのではないか。

 ★5月23日、引退を表明している沖縄出身の歌手・安室奈美恵に県民栄誉賞が授与されたが、闘病中だった知事は授与に出席し安室に表彰状を手渡した。安室は訃報に接し、ホームページで「翁長知事の突然の訃報に大変驚いております。ご病気の事はニュースで拝見しており、県民栄誉賞の授賞式でお会いした際には、お痩せになられた印象がありました。今思えばあの時も、体調が優れなかったにも関わらず、私を気遣ってくださり、優しい言葉をかけてくださいました。沖縄の事を考え、沖縄の為に尽くしてこられた翁長知事のご遺志がこの先も受け継がれ、これからも多くの人に愛される沖縄であることを願っております」と哀悼の意を表した。

 ★8日、米国務省の報道担当官もお悔やみの言葉とともに「日米関係に対する翁長知事の貢献に感謝しているし、沖縄県民にとって重要な問題をめぐる翁長氏との長年の協力をとても大切だと考えてきた。この困難な時期にあって、われわれの思いと祈りは翁長氏の家族や沖縄県民と共にある」と語ったという。元県知事・大田昌秀、元沖縄開発庁長官・上原康助、元官房長官・野中広務、沖縄本土復帰に尽力した福地広昭と相次いで他界しているが、いずれも広い視野に立った政治家だった。立場の違う人たちに敬意を示される政治家へ敬意を表したい。合掌。(K)※敬称略
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●「沖縄戦を体験したおじい、おばあたちが、うそをついていると言うのか」…「歴史を曲げてはいけない」

2017年11月12日 00時00分35秒 | Weblog

[※サンデーモーニング(2017年10月1日)(三「ト」物語)↑]



琉球新報のコラム【<金口木舌>11万人の決意】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-584973.html)。

 《▼文部科学省の高校歴史教科書検定で、沖縄戦における集団自決」(強制集団死)について日本軍強制の記述が削除されたことに、県民は怒り、悲しんだ。…▼それでも「歴史を曲げてはいけない」と立ち上がった11万人の思いがある限り、真実は消えない。「例え醜くても真実を知りたい、学びたい、そして伝えたい」》。

   『●「教育再生」という名の教育破壊…「子どもから
      変えていこうという動きは実に悪賢い」(小澤俊夫さん)
    「教科書検定や「ト」な歴史教科書の採択強要 ハタやウタの強制
     道徳の教科化(文科省道徳教育教材『わたしたちの道徳』)、
     教育勅語の復活、古くは忠魂碑訴訟現代の教育破壊は着実に
     進む…。大変に憂慮すべき現状なニッポンの教育環境」
    「最後に、琉球新報の【<社説>道徳教科書採択 決定過程を
     検証すべきだ】(…)によると、《5年生の教科書に安倍首相の写真が
     掲載されている。現役の政治家であり、政治的中立を求めている
     教科書検定基準に抵触する恐れがある》…そうだ。
       道徳の教科書に、反面教師としての「裸の王様」の《御真影》の
     掲載か? 正気なのだろうか? 倫理観なき自公お維トファの議員に
     投票できる方々の気が知れない」

 いま、自民党亜種トファ・キトの党首…史実を抹殺するような御人・政治「屋」が政局の中心に…アベ様ら自公お維の歴史修正主義者にとって代わろうという勢いでした。気色の悪い三「ト」物語と称して、アノお維とも高い親和性…。しかも、2017年10月衆院選後、与党・自公と癒党・お維キトが手を結び、悍ましい大政翼賛体制・独裁社会となる可能性が高い。
 自民党亜種トファ・キトの党首は沖縄ヘイトを振り撒き、自公やその応援団らは沖縄差別を繰り返す。《沖縄戦を体験したおじい、おばあたちが、うそをついていると言うのか》…《歴史を曲げてはいけない》。ニッポン社会は悲観的な方向に向かっている。

   『●高江破壊: 「沖縄・地域住民弾圧隊」による
      「市民に対する暴虐としか言いようのない異常な光景」
   『●「選挙上手・戦略家」氏は羽衣の下には剣と鎧を纏い、
                 スネにもお金にまつわる多数の傷が…
   『●宇都宮健児さん、「小池さんが東京でカジノをやろうとしたら、
                 猛烈な反対運動をやらなければいけないな」
   『●2017年都議会議員選挙: 「「安倍政治」を許さない」
          →自民党亜種・トファや公明に投票? 理解不能
   『●室井佑月さん「小池都知事…考え方は安倍首相に近い」
             「自民党っていう看板を付け替えただけじゃん」
   『●「文書が不存在」…トファ小池都知事の脳内AIという
           超単純回路な「ブラックボックス」で「政策判断」
   『●権力内での席替え: 無言「……」で「のり弁」での
      チョッピリ情報開示…自民党亜種トファ的な情報非公開

   『●自民党亜種トファの小池都知事が「震災時に
      朝鮮人が虐殺された史実の否定にもつながりかねない判断」を…
   『●瞬く間にデマを善人が鵜呑みにし…
      上原正三さん「琉球人の俺も、いたらやられていた。人ごとではない」

   『●朝鮮人虐殺…黒澤明監督「何をかくそう、
      その変な記号というのは、私が書いた落書きだったからである」
   『●トファは自民党亜種…「第2自民党」なのか
      第2お維なのか不明だが、自公お維と同種で、かつ、壊憲体質
   『●「選ぶ側の目こそ問われる」「有権者も…
     「二物」を許すほど甘くはなかろう」…サギ師を見抜く甘くない目

   『●自民党亜種トファ・キトの「反作用として期待される
         リベラルの結集」…それが最後の望み・希・希望
   『●アベ様や自公お維も厭、小池氏やトファ・キトも嫌… 
         民主主義・平和主義を愛する「こんな人」達が結集を!
   『●「おっさん政治をつぶして新おっさん政治を始めたにすぎない」
                           自民党亜種トファが本領発揮
   『●金子修介監督ショートムービー『希望の党☆』(2005年)…
                 「…を日本の政界が後追いしているみたい」


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https://ryukyushimpo.jp/column/entry-584973.html

<金口木舌>11万人の決意
2017年9月29日 06:00

 10年前の9月29日、宜野湾海浜公園での光景を忘れることはないだろう。まだ強い日差しが照り付ける中、押し寄せる人の波は、途切れることがなかった

▼文部科学省の高校歴史教科書検定で、沖縄戦における「集団自決」(強制集団死)について日本軍強制の記述が削除されたことに、県民は怒り、悲しんだ。検定意見の撤回と記述の回復を求める県民大会に、11万人(主催者発表)が参加した

▼「沖縄戦を体験したおじい、おばあたちが、うそをついていると言うのか」。壇上で、高校生代表が問い掛けた。体験者は声を振り絞り、決して思い出したくないつらい過去を語った

▼張り詰めたあの空気をなんと表現したらいいのだろう。幼い子を抱いた家族連れが、つえをついたお年寄りが、制服姿の中高生たちが、唇をかみしめ、目に涙を浮かべ、静かに体験者の証言に寄り添った

▼あれから10年。求めていた記述の回復はなく過去の戦争の実相をゆがめようという動きは強まり、あからさまになっている政府は、政権の意図を反映した教科書を採択しやすくなるよう教育制度を変えた

▼それでも「歴史を曲げてはいけない」と立ち上がった11万人の思いがある限り、真実は消えない。「例え醜くても真実を知りたい学びたいそして伝えたい」。あの日の高校生代表の言葉は、県民の決意そのものだ。
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●「防波堤」としての全ての「日本全土がアメリカの「風かたか」」…米中の「新たな戦争の「防波堤」に」(その1)

2017年04月03日 00時00分46秒 | Weblog

三上智恵監督『標的の島 風かたか』公式ページ(http://hyotekinoshima.com)より↑]


リテラのインタビュー記事【『標的の島 風かたか三上智恵監督インタビュー(前編) 宮古島石垣島が米中戦争の捨て石にされる!『標的の島 風かたか』監督が語る南西諸島自衛隊配備の本質】(http://lite-ra.com/2017/03/post-3020.html)と、
【『標的の島 風かたか三上智恵インタビュー(後編) 『標的の島』監督が問う『ニュース女子』問題、「土人」発言…なぜ沖縄ヘイトデマが生み出されるのか?】(http://lite-ra.com/2017/03/post-3023.html)。

 《「あまりにも悔しい。いまの状況が、悔しい」 3月25日より東京で公開されるドキュメンタリー映画『標的の島 風(かじ)かたか』先行特別上映の舞台挨拶に立った三上智恵監督は、目に涙を溜めながら、切実な声でそう語った》。
 《映画タイトルにもある「風(かじ)かたか」ですが、これは「風よけ」「防波堤」という意味だそうですね。 三上…昨年6月19日に那覇市で行われた、米軍属によって暴行され殺されてしまった被害者女性を追悼する県民大会で、この言葉が出てきました》

 三上智恵監督の映画『標的の島 風かたか』のタイトルは、《稲嶺進さんが「我々は、また命を救う《風かたか》になれなかった」という嘆きの言葉から》、《我々行政にある者、政治の場にいる者、多くの県民、今回もまた、ひとつの命を救う風かたかになれなかった》。その前段として、《古謝美佐子さんが「童神(わらびがみ)」という歌を歌われたんですが、そのなかに「風かたかなとてぃ 産子 花咲かさ」(私が風よけになって この子の花を咲かせてやりたい)という歌詞》がありました。

   『●新作『標的の島~風かたか~』の監督・三上智恵さん、 
          「あなたが穴をあけた森はもう元には戻らない」!
   『●映画タイトルは、稲嶺進さんが「我々は、
      また命を救う《風かたか》になれなかった」という嘆きの言葉」から
    《三上智恵監督の新作映画『標的の島 風かたか』の試写に行ってきました。
     前作の『戦場ぬ止み』から2年近く。その2年の沖縄の状況が、
     あますことなく描かれた映画》。
    「《稲嶺進・名護市長が口にした「我々は、また命を救う風かたか
     なれなかったという嘆きの言葉から》映画のタイトルは採られたそうだ。
     《沖縄のことばで「風よけ」のこと》だそうです。
      番犬様には何も言えないアベ様ら。一方で、番犬様にシッポを
      振るために沖縄でやっていることは、「沖縄イジメ」そのもの」

   『●「なぜ巨大な権力にあらがえるのか。
      人々は「世代の責任」を語る」「子を守る「風かたか」になる」

 《あまりにも悔しい。いまの状況が、悔しい》という監督の言葉通りの酷い状況。沖縄破壊沖縄イジメ。《ここ最近の沖縄をめぐる状況は、誰の目にも異常だ》。インタビュー前編のリードの部分を読んでみて下さい。
 そして、《さらに切迫した問題》として、南西諸島での自衛隊配備等による「住民分断」。アメリカが画策し、日本政府が悪乗りする《「統合エアシーバトル構想」…アメリカと中国の争いに自衛隊と南西諸島が差し出され、新たな戦争の「防波堤」にされようとしている》。アメリカの意のままに、アベ様らのやりたい放題ではないか。でも、第一《防波堤》としての《日本全土がアメリカの「風かたか」》…《米中の「新たな戦争の「防波堤」に》なっているのは南西諸島を含むニッポン列島全体。

   『●中学生を「青田買い」する自衛隊: 
     「体験入隊や防衛・防災講話」という「総合的な学習の時間」も
   『●自衛隊配備で「住民分断」: 
     「自衛隊の配備計画…いずれの島でも人々は分断されている」
    「東京新聞の半田滋さんによるコラム【【私説・論説室から】
     島を分断する自衛隊配備】…。《「賛成派が新たな職を得て
     優遇される一方、反対した人は干され、島を出ている」という。
     …自衛隊の配備計画は与那国に続き、奄美大島、宮古島、
     石垣島でも急速に進む。いずれの島でも人々は分断されている》」

   『●「しかし、沖縄にはいまだ“戦後”は 
     一度たりとも訪れていない」…安倍昭恵氏には理解できたのだろうか?
   『●現在進行形の「身代わり」: 「反省と不戦の誓いを…
             沖縄を二度と、身代わりにしてはならない」

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http://lite-ra.com/2017/03/post-3020.html

標的の島 風かたか三上智恵監督インタビュー(前編) 
宮古島石垣島が米中戦争の捨て石にされる!『標的の島 風かたか』監督が語る南西諸島自衛隊配備の本質
2017.03.24

     (映画『標的の島 風かたか』を監督した三上智恵氏)

 「あまりにも悔しい。いまの状況が、悔しい
 3月25日より東京で公開されるドキュメンタリー映画『標的の島 風(かじ)かたか』先行特別上映の舞台挨拶に立った三上智恵監督は、目に涙を溜めながら、切実な声でそう語った。
 無理もない。琉球朝日放送のアナウンサーでありディレクターとして真っ先に高江のヘリパッド建設工事の問題を追い、映画監督として辺野古を守ろうとする市民たちと権力側の蛮行をフィルムに焼き付け、沖縄の現実を伝えてきた三上氏だが、ここ最近の沖縄をめぐる状況は、誰の目にも異常だ
 昨年7月の参院選でのオール沖縄の勝利の翌日から露骨にはじめられた高江でのヘリパッド建設工事、辺野古の埋め立て承認取り消し処分を求めた訴訟での最高裁による不当判決、そして山城博治さんの約5カ月もの非道な拘留。4月にはひとりの女性の命がまたも米軍属の男によって奪われ、12月にはオスプレイが300メートルほど先には住宅があるという場所で「墜落」した
 その一方で、高江に駆り出された大阪府警の警察官による「土人」発言に加え、よりにもよって松井一郎大阪府知事はその警官を「ご苦労様」とねぎらい差別を肯定してみせ、『ニュース女子』のデマ報道まで飛び出すようになった。
 しかし、三上監督は最新作『標的の島 風かたか』で、さらに切迫した問題を沖縄から日本全国へ提起する。
 それは現在、安倍政権が進めている石垣島、宮古島、奄美大島、与那国島への大規模な自衛隊とミサイル基地の配備についてだ。政府は南西諸島の防衛強化を謳うが、その実態はアメリカが中国の軍事的脅威に対抗すべく打ち出した「統合エアシーバトル構想」にある。
 この「エアシーバトル構想」でアメリカは、日本列島を含む第一列島線によって中国を堰き止める計画だ。そのために日本は南西諸島に自衛隊とミサイル配備を推し進めている。つまり、アメリカと中国の争いに自衛隊と南西諸島が差し出され、新たな戦争の「防波堤」にされようとしている、というのだ。
 非常に重要なテーマを突きつける『標的の島』だが、果たして三上監督は本作にどんな思いを込めたのか。さらに、沖縄をめぐる言論や報道をどのように見ているのか。三上監督のインタビューを前編・後編の2回にわたってお届けしたい。


──三上監督の第一作目『標的の村』では高江にスポットを当て、まったく報道がなされていなかった高江の問題を全国へ伝えましたが、『標的の島』も「エアシーバトル構想」という、まったく報道されていない問題が取り上げられています。そもそも、石垣島や宮古島などで自衛隊やミサイル配備が進められているというニュース自体が、大きく報道されていない状態です。
 たとえば宮古島で予定されている800人規模の自衛隊基地には、地対艦ミサイル基地に弾薬庫と射爆場、着上陸訓練所、さらには司令部まで設置される計画です。地対艦ミサイルというのは近づいてくる軍艦を撃つためのミサイル。これは宮古島だけではなく、奄美大島、沖縄本島、石垣島にも配備すると発表されています。つまり、南西諸島を要塞化しようというわけです。

──しかも、この「南西諸島の要塞化」を、政府は「南西諸島を中国の脅威から守るため」「尖閣防衛」などと言いますが、映画ではその本質がアメリカの極東戦略にあり、沖縄を戦場にした新たな戦争のための準備だと指摘しています。はっきり言って、とても衝撃を受けました。
 もともとこの話は2012年くらいに(現参議院議員の)伊波洋一さんの講演を聞いて、私もはじめて知りました。「そんなことになってるの!?」とビックリしたんですけど、さまざまな資料や論文などを調べて読んでみると、とても具体的な計画でした。ただ、宮古島に自衛隊を置いてそこで戦争が行われると言っても、その前の段階できっと沖縄県民が反対するに決まっている、と思ったんですよ。沖縄戦の体験があるのに、まさか宮古島に陸上自衛隊やミサイルとか置くなんて話が浮上したら、辺野古移設どころじゃなく沖縄中が反対するだろう、と私は思っていたんです。
 それで(監督2作目の)『戦場ぬ止み』をつくっていたら、その編集中に宮古島に自衛隊基地をつくるという話を聞いて、今度は宮古島と石垣島にそれぞれ600~800人の部隊を置くというニュースが出て。これは大変なことになる、辺野古や高江の前にこっちが先に戦争の導火線になるぞと、今回の映画製作に入ったんです。

──映画のなかで「エアシーバトル構想」は、アメリカが日本列島を含む第一列島線を防波堤にすることで中国を封じ込めようとする戦略だと説明されています。中国を通さないために南西諸島の島々にミサイル部隊を配置し、いざというときはそこで戦争をする。米中の直接対決となると核戦争のリスクが高まるため、それを避けるために南西諸島で「海洋制限戦争」を行おう、と。まさに南西諸島が「標的の島」になるわけですね。
 しかも、中国のミサイルが宮古島や石垣島の自衛隊基地に飛んできたとしても、米軍は半日で撤退するということが日米政府間で2005・06年の米軍再編合意によって決められています。中国に攻撃されても、米軍が沖縄に残って日本のために米軍が戦うことはないんです。そんな肝心なときに米軍が戦ってくれないのなら、何のために日本にいるの?と思うかもしれませんが、それが現実なんですよね。ようするに、これは「自衛隊が米軍に代わって戦争をする」という話なんです。
 実際、すでに米軍が自衛隊を指導するかたちで離島の奪還作戦といった共同訓練が行われています。また、昨年11月30日に在日米海兵隊が、日米合同で指揮所演習の戦闘予行を行ったとTwitterに写真つきで投稿したのですが、その写真は、先島の大きな地図が広げられている上に米軍の指揮官が立って、戦争を想定して図上演習をしている。米軍にしてみればただの離島の地図なのでしょうが、そこは人びとが住んでいる島なんですよ。
 しかも、南西諸島で制限戦争が起こるとなれば、それは偶発的にはじまるでしょう。その上、中国は攻撃を行ってくる地対艦ミサイルがある島を狙う。島が戦場になるということです。偶発的に突然はじまる戦闘に対し、陸つづきでもない島の住民は果たして避難などできるのでしょうか。

──沖縄が再び戦場の島になる可能性がある、と。映画のなかでも、石垣島で自衛隊配備に反対する戦争体験者の女性が「南西諸島防衛とか防衛大綱とか言うけれど、それはとりもなおさず本土防衛のために南西諸島を捨石にするという目論見は見え見えです。また捨石にされるのか」と話していましたね。
 72年前のことを沖縄は忘れちゃったの?と私も思います。1944年に沖縄は、日本の軍隊がやってきたとき「連戦連勝の日本軍だ」「これで安心だ」と歓喜して迎え入れました。もうすでに負け戦だったにもかかわらず、です。そうして沖縄は戦場のど真ん中に置かれてしまった。しかも日本軍が住民を守るために最後まで戦ったなんて話は、まったくないわけですよ。そんな経験をしていながら「中国が来たら自衛隊が守ってくれる」なんて、私には70年前の二の舞としか思えない。「自分の島のおじい、おばあから、ちゃんと話を聞きなさいよ」と思う。
 とくに石垣島の場合は地上戦がなく、空襲で178人が亡くなっているのですが、一方で、日本軍の命令によって住民たちがマラリアが蔓延する山奥に押し込められ、しかも日本軍は特効薬を大量に持っていたにもかかわらず住民に使うことはなく、結果3647人も亡くなっています。これは米軍が上陸してきたときに住民が捕虜となり、情報が筒抜けになることを避けるため、ゆるやかな集団自決を住民に強制した、ということでしょう。じつは沖縄でも、この一件は「たまたま疎開した先にマラリア蚊がいて、マラリアが蔓延してしまった」というくらいにしか捉えていない人が多い。映画のなかで山奥に押し込められた体験を証言してくださった方が出てきますが、この映画での新証言なんです。この部分は、どうしても映画のなかに残しておきたかった。軍隊がいたから、石垣島ではマラリア地獄が起きた。軍隊の論理で死ななきゃいけない人が出てきてしまった、ということですから。

──しかし、今年1月に行われた宮古島市長選挙では自衛隊配備に賛成する現職市長が再選するなど、市民のあいだに危機感が広がっていない印象を受けます。
 沖縄のなかでも自衛隊配備についての危機感は低調で、反対運動をしている人たちでさえピンときていない。多くの人が「メリットとデメリット、いろいろあるよね」といったような、まったく次元の違う話をしている。「自衛隊が来れば土地の値段が上がるんじゃないか」とか「学校に子どもが増えるんじゃないか」とか。

──そんななか、映画を観てひとつの希望だと感じたのは、地元の若いお母さんたちの活動です。子どもの未来と生まれ育った場所を守りたいという気持ちから、ミサイル部隊の配備に危機感を抱き、自ら動き出す。そしてSNSを通じて活動が広がっていく……
 若い彼女たちが何をやっているかといえば、市に要請を出したり、シール投票をしたり、映画のなかで見てしまうと一個一個が地味ではあるんですよ。でも、私自身が彼女たちにとても元気をもらったんです。SEALDsによって、いままで政治にかかわってこなかった人たちが声を上げていくという流れができて、それを引き継ぐようなかたちで、あちこちでママさんグループも少しずつ活発になっていった。そういうところに光が当たればいいなと思うし、彼女たちの活動を見て、「こういうかたちで、あんな小さな子どもを抱きながらもできるんだ」って全国の人に感じてほしいと思うんです。

──しかも、グループの共同代表として登場する石嶺香織さんは、1月の宮古島市議会選に出馬して、当選を果たしましたね。
 本音を言うと、宮古島市議会26人のうち22人が自衛隊とミサイル配備に賛成しているという状況で、香織ちゃんひとりが議会に行って何ができるの?と思ったりもしたんです。でも、そこで果敢にぶち当たっていく香織ちゃんというのがまた魅力的なんですけどね。ついこのあいだまで政治のこと何もわかりませんでしたという人が、壁にぶつかって、血を流すこともあるけど、それでも笑って前を向く。そういう姿だからこそ、見ている人に伝わる、横につながっていくんじゃないかと思ったんですよね。

つづく

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 インタビュー後編では、三上監督には、『ニュース女子』デマ報道や「土人」発言など、沖縄をめぐる問題についても語っていただいた。後編もお楽しみに。
(取材・構成/編集部)

………。
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[その2]へつづく

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