Activated Sludge ブログ ~日々読学~

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●原子力「すいすい推進」委員会のお約束な行動パターン: 東電の柏崎刈羽原発再稼働審査を開始

2013年11月30日 00時00分43秒 | Weblog


東京新聞の記事【柏崎刈羽、再稼働審査へ 「福島の収束優先」一転】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013111302000233.html)。

 原子力規制委員会田中俊一委員長は「再稼働申請があれば審査するのは規制委の法的な義務。止めておくと問題が出る」と述べたそうである。そんな「法的な義務」があるのならば、申請そのものをさせなければ良い。東京電力原発人災で大地を汚し、穢し、多くの市民を被爆させ、避難させた(まま放置している)東電には、そんな申請をできる「道理」がない。それから、「止めておくと問題が出る」様な「規制」委員会の看板を下ろし、原子力「すいすい推進」委員会の新たな看板に掛け直すべき。被災者や避難者に徒に「規制」の希望を振りまかれては困る。
 この原子力「すいすい推進」委員会の下、「申請を受理した以上、基準をクリアすれば、再稼働を許可する」ことになりそうで怖い。「推進」委員会の作った「基準」など当てになるはずがないし、「クリア」してるかなどどうとでも操作されそうだ。返す返すも、あれだけの反対の声の下、こんな委員たちで、こんな原子力「推進」委員会なんてものを作ってしまったことが悔やまれる

   『●海渡雄一さんの原子力「規制」委員会人選批判
   『●全く原子力ムラの住人ときたら・・・・・・
   『●泥縄: 「安全神話」に次ぐ「規制(委)神話」の創造

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013111302000233.html

柏崎刈羽、再稼働審査へ 「福島の収束優先」一転
2013年11月13日 夕刊

 原子力規制委員会は十三日、東京電力が再稼働を申請している柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の審査を始めることを決めた。これまでは「福島第一原発の事故収束が優先」として事実上、凍結していた。近く公開の審査会合を開く。

 同日午前に開かれた規制委の定例会合で、柏崎刈羽原発への対応は議題になっていなかったが、田中俊一委員長が「(委員の)皆さんの意見を聴きたい。再稼働申請があれば審査するのは規制委の法的な義務。止めておくと問題が出る」と切り出した。

 さらに田中氏は、近く公開の会合を開き、東電の再稼働申請に大きな問題があるかどうかまで審査を進めると提案。ほかの委員から異論はなく、田中氏が「(審査が)すいすい進むと考えられないが、入り口に入る」とまとめた。

 柏崎刈羽の再稼働申請は当初、地元の泉田裕彦新潟県知事が反対した。しかし、東電が追加の安全対策などを約束し、態度が軟化。東電は九月二十七日、規制委に関係書類を提出した。

 しかし、規制委は福島第一原発で水漏れや単純ミスによるトラブルが相次いでいたことを問題視。「福島第一のリスク(危険性)低減が最優先課題」「東電に放射性物質を扱うノウハウがあるとは思えない」と審査を事実上、止めていた。

 その後、東電は事故収束と再稼働に関する報告を規制委に提出した。十月二十八日には田中氏と東電の広瀬直己(なおみ)社長が非公開で面談。田中氏の指示を受ける形で広瀬社長が今月八日、作業員の日当増額など福島の作業環境の改善策を公表した。十三日の会合で規制委は、これらの対策に一定の評価をした。

 東電は柏崎刈羽の再稼働を前提に二〇一四年三月期決算の黒字を目指している。広瀬社長は6、7号機以外も再稼働申請の準備を進めていると明らかにしている。

 <柏崎刈羽原発> 全7基が新潟県柏崎市と刈羽村にまたがる東京電力の原発。総出力は821万2000キロワットで、1カ所の原発としては世界最大級。2007年の新潟県中越沖地震では、設計時に想定した最大の揺れを上回り設備が損傷、屋外変圧器で火災が発生するなどし、全基が運転を停止した。再稼働を申請した6、7号機は改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)で、出力はともに135万6000キロワット。
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●(侵略)「軍の正体」と「不戦の誓い」: 先の戦争でもそれが身に染みていない人々

2013年11月29日 00時00分19秒 | Weblog


魚住昭さんの『魚の目』(http://uonome.jp/に出ていた記事【わき道をゆく第39回 女子大生に伝える"倒錯"】(http://uonome.jp/article/uozumi-wakimichi/2801)。

 戦争できる国の軍隊(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/7408a0a5477439ac334576823e23618c)の姿は、例えば、以下の通り。

   『●「人道なんてなかった」頃の「戦争できる国」の現実

 自公議員の目指す壊憲にしろ、憲法もヘッタクレもなくなる特定秘密保護法案にしろ、戦争がしたくてしょうがない「ウソをつく人達」が「戦争できる国」に変えるための懸命な努力をしている訳で、そういう動きを許容し、その種の議員に無批判・無関心に投票する国民は(侵略)「軍の正体」も知らず、知ろうともせずに無関心で、「先の戦争で身に染みた」からこその「不戦の誓い」を足蹴にすることに足や手を貸している。「倒錯」した社会の「倒錯」した国民。

   『●『沈黙のファイル ― 「瀬島龍三」とは何だったのか ―』読了(1/5)
   『●『沈黙のファイル ― 「瀬島龍三」とは何だったのか ―』読了(2/5)
   『●『沈黙のファイル ― 「瀬島龍三」とは何だったのか ―』読了(3/5)
   『●『沈黙のファイル ― 「瀬島龍三」とは何だったのか ―』読了(4/5)
   『●『沈黙のファイル ― 「瀬島龍三」とは何だったのか ―』読了(5/5)

 魚住さんの本記事には:
  
   「当時の関東軍幹部に理由を聞いたらこんな答えが返ってきた。
    「横綱が土俵で戦っている時、観客に病人が出ても、相撲をやめ観客を
    救うようなことはしませんよ。それと同じで強大なソ連軍と戦っている時に
    居留民保護に向かうわけにはいかないんだ」 軍が「横綱」で国民は単なる「観客」。
    軍の正体をこれほど示す言葉はない。どんな軍隊も一皮めくれば、この論理の倒錯の
    上に成り立っている。私たちは先の戦争でそれが身にしみたからこそ不戦の誓いを
    立てたのではないか。もし参院選で改憲勢力が3分の2を占めれば、96条の改正を
    踏み台に日本は戦争への坂道を転げ落ちていくだろう
  
・・・・・・とある。また、澤地久枝さんが言うように:

   『●「「秘密」は秘密」: 「国家の秘密はときに悲劇を生」んでいた時代に逆戻り
   
    「それほど悪い法律で、憲法を変えなくても何でもできる。憲法九条や九六条を
     変えると言えば反論できるが、特定秘密の内容には反論できない
   
・・・・・・ようなとんでもない法案にもろ手を上げて喜ぶマスコミや国民が存在することに寒気を覚える。翼賛与党もどきの翼賛野党の修正協議を喜んで報じているようでは、自公の思う壺であり、この「毒薬」「猛毒」法案を回避することは難しい。

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http://uonome.jp/article/uozumi-wakimichi/2801

わき道をゆく第39回 女子大生に伝える"倒錯"
2013 年 11 月 7 日魚住 昭

 4月から東京女子大で週一度ジャーナリズムの話をしてきた。授業を始める前はキャピキャピの女の子たちを相手に話すのだろうと思っていたら、ちがった。
 みな恐ろしく真面目である。出欠をとってないのにちゃんと授業に出てくる。こんなうだつの上がらぬオッサンの話を聴いてるふりをしてるのかと思い、質問してみると、ちゃんと理解している。
 へーっ、なんでそんなに真面目なの?おかげで私はいい加減な話ができなくなった。毎回、この連載以上に気を遣い(失敬!)、時に優れたドキュメンタリーを観てもらいながら、ジャーナリズムについての思いの丈を語った。
 それがこの4カ月で彼女たちの心に響いたかどうかは知らぬ。ただ、今週末の最終授業では、彼女たちの胸を目がけてど真ん中の直球を投げ、いちばん大事なことを伝えたいと思っている。


 68年前の1945年8月、満州(現中国東北部)で実際にあった出来事である。
 8月9日、満州開拓団の一員だった大畑とめさんは満州国境の町・饒河でソ連参戦の知らせを聞いた。ウスリー川の向こうからソ連軍が攻めてくるというので、開拓団の女性と子供約100人が約80㌔南にある日本の関東軍陣地へ逃避行をはじめた。
 男手は軍に召集され、国境警察隊員しか残っていなかった。その隊員らに先導されながら、大畑さんは3女の幸子ちゃん(1歳)を背負い、長女の協子ちゃん(5歳)と2女の裕子ちゃん(4歳)の手を引いて徹夜で歩いた。
 雨で全身ぐしょぬれ。ちょっとでも休むと、おいて行かれるか ら小便は垂れ流した。ズック靴の爪先が破れ、足の爪がはがれた。
 ようやく陣地にたどり着くと関東軍はいなかった。早々と南に撤退していたのである。取り残された人々は広大な原野をさまよった。やがて大畑さんの三女・幸子ちゃんが背中で冷たくなった。
 大畑さんの回想。

   「空き家の土間に腰を下ろして亀さん(亀の甲型の背負い布)をほどいたら
    息をしてなかった。翌朝、幸子の体に亀さんを掛け、そのまま置いてきた。
    昼には裕子もぐったりして動かなくなった。『ごめんね』って草むらに残していったの」

 8月13日夕、ソ連の戦車隊が峠を越えて近づいてきた。大畑さんは協子ちゃんと道ばたの茂みに駆け込んだ。そのとき、警察隊員が「子供が泣くと見つかってしまうだろっ」と、大畑さんの手から協子ちゃんをもぎ取った。

   「協子を連れて行かれても、何も言えなかっただよ。その前から『私たちを殺して、
    殺して』って何度も(隊員に)頼んでたから…」

と大畑さんは言う。
 隊員は協子ちゃんを暗がりに連れ込み、刀を喉に突き刺した。

   「その後、協子と呼んでも返事がなかっただよ。泣き声もしないし死んだと思って。
    それに怖いのも先立つから、そこから逃げたの」

 大畑さんは仲間の沖田まさみさんらと一緒にアシの茂みの中をはった。所々に紫のキキョウや黄色のオミナエシが咲いていた。
 そのうち沖田さんの背中の子が泣き出した。途中ではぐれた知人の娘、和子ちゃん(2歳)だった。

   「タオルで首を絞めろ」

と隊員が言った。沖田さんは崩れるように座り込んだ。2歳の息子を背負った女友だちもへたり込んだ。
 まもなく戦車隊が遠ざかり、沖田さんと女友だちは暗闇に取り残された。大畑さんや警察隊員らは先に進んで見えなくなった。
 沖田さんの回想。

   「もう駄目だとあきらめたのよ。先に子供を死なせようと、ふたりとも
    背負っていた子供を下ろし、首に手をかけたの。『おばちゃんもすぐ行くから
    待っててね』『おかあちゃんも行くから』『ごめんね。ごめんね』って言いながら」

 柔らかい首に親指が食い込んだ。子供たちは声も立てなかった。

   「どれぐらい時間がたったのか。はっと気づいたら、子供たちはぐったり
    としていた。その後ふたりで呆然として…。星がよう見えてね。
    満天の星空だった。戦車の音も何もしなくなっていた」

 沖田さんらはナイフで自分たちの首を切ろうとした。

   「だけどやっぱりできないの。死ななきゃって焦るけど、できなかった。
    しーんと静まりかえった真っ暗闇の荒野で涙も出なかった」

 ふたりは子供たちの遺体のそばを数日離れなかった。その後、無人になった開拓村に行った。井戸を探していると、背後から「おばちゃん」と、か細い声がした。
 死んだはずの協子ちゃん(大畑さんの長女)だった。彼女の喉には5㎝ほどの刀傷があったが、血は止まっていた。水を飲ませると、ゴッゴッと音がして傷口から水が流れ出た。空き家にあった布団に寝かせると、安心したのかすぐに寝入った。

   「いい人に拾われて」

沖田さんらはそうお祈りして、協子ちゃんを残して家を出た。
 それから38 年の歳月が過ぎ、沖田さんは再び協子ちゃんと会うことになる。83年春、中国残留孤児の肉親探しの記事を読んだのがきっかけだった。沖田さんは大畑さんに連絡を取り、ふたりで協子さんの滞在先の国立青少年総合センターに駆けつけた。
 喉に傷跡を残した協子さんは母親の大畑さんの顔を見るなり、胸にすがって泣きじゃくった。

   「マーマ(お母さん)」


 これは18年前、私たち共同通信の取材班(当時)に大畑さんと沖田さんが語ってくれた出来事だ。関東軍はなぜ国境地帯の開拓民を見捨てて逃げたのか。当時の関東軍幹部に理由を聞いたらこんな答えが返ってきた。

   「横綱が土俵で戦っている時、観客に病人が出ても、相撲をやめ観客を
    救うようなことはしませんよ。それと同じで強大な ソ連軍と戦っている時に
    居留民保護に向かうわけにはいかないんだ」

 軍が「横綱」で国民は単なる「観客」。軍の正体をこれほど示す言葉はないどんな軍隊も一皮めくれば、この論理の倒錯の上に成り立っている私たちは先の戦争でそれが身にしみたからこそ不戦の誓いを立てたのではないか

 もし参院選で改憲勢力が3分の2を占めれば、96条の改正を踏み台に日本は戦争への坂道を転げ落ちていくだろう。

 東女での授業の最後に私は次の条文を黒板に書き、学生たちに読み返してもらおうと思う。

   憲法第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
            国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、
            国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
         二 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、
            これを保持しない。国の交戦権はこれを認めない。(了)

(編集者注・これは週刊現代連載『わき道を行く』の再録です。原文は七月の参院選前に書かれたものです。なお、文中の大畑さんらの回想は、『沈黙のファイル─「瀬島龍三」とは何だったのか』(新潮文庫)に収録されています)
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●騙されることの責任、再び: 特定秘密保護法案を仲良く協議する翼賛与党・翼賛野党議員に投票した人々

2013年11月28日 00時00分27秒 | Weblog


毎日新聞の社説【秘密保護法案を問う 修正協議】(http://mainichi.jp/opinion/news/20131119k0000m070129000c.html)。
東京新聞の記事【秘密指定の検証 形だけ 首相が「第三者」的関与】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013111902000243.html)。
gendai.netの記事【「秘密保護法」で与党に屈服…国民を裏切った野党の末路】(http://gendai.net/articles/view/news/146080)。
asahi.comの【天声人語】(http://www.asahi.com/paper/column.html?ref=com_top_tenjin)。
『田中龍作ジャーナル』の三つの記事【【秘密保護法】 首相独裁に道開く みんなの党、修正案合意】(http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008227)、【【秘密保護法】 「みんな」に続き「維新」も!? 次々転ぶ野党】(http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008232)、【【秘密保護法】 言論人が総決起集会 文太兄ぃ「トドメの悪法になる」】(http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008237)。
asahi.comの社説【秘密保護法案―「翼賛野党」の情けなさ】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1と二つのインタビュー記事【〈秘密保護法案〉私たち一人ひとりの問題 落合恵子さん】(http://www.asahi.com/articles/TKY201311210363.html?ref=com_top_pickup)、【〈秘密保護法案〉国民の「知る義務」阻害 樋口陽一さん】(http://www.asahi.com/articles/TKY201311230294.html)。

 自公という腐敗した与党の腐臭に集(たか)る与党もどきの野党両党。修「正」という名の改「」作業を通して、与党もどきの野党両党議員も「うそをつく人達」だったことが再確認できただけのこと。「自民党の「補完勢力」どころか「翼賛野党」」であり、一体誰がこんな「翼賛与党」や与党もどき「翼賛野党」議員に投票したのか?、彼/彼女ら投票者に尋ねてみたくなる。

 「騙されることの責任」が再び問われようとしている。
  
   『●『だまされることの責任』読了(1/3)
   『●『だまされることの責任』読了(2/3)
   『●騙されることの責任
   『●戦争と原発: 伊丹万作さん
       「だまされるということ自体がすでに一つの悪である」
   『●騙されること・騙されたフリの責任: 何度でも騙される
   『●予算編成から見えてくるもの: 投票者の責任

 騙す方の品格や責任と騙される方の品格や責任。

   『●田中優子さん「誰の名前を書くのか、その人の品格が問われている」
   『●映画『放射線を浴びた『X年後』』: 
         「こんな巨大な事件が、・・・日本人としての資質が問われる」
   『●「もはや犯罪というしかない」
          ~東京電力汚染水流出大事故と再稼働・輸出という犯罪~
   『●放射能汚染で「太平洋は終わり」との声が出るほどの
                      重大事故だというのに、この国は・・・・・・
   『●次に原発事故が起きた時には責任をとってくれるのね?
   『●「原発推進」という結論ありきのパフォーマンス
   『●「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」、騙す阿呆に、騙される阿呆

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http://mainichi.jp/opinion/news/20131119k0000m070129000c.html

社説:秘密保護法案を問う 修正協議
毎日新聞 2013年11月19日 02時35分

安易な合意は禍根残す
 特定秘密保護法案の審議が重要な局面を迎えている。与党は週内の衆院通過を目指す構えだ。民主党を含む3野党の修正案や対案が19日に出そろう。与党は日本維新の会、みんなの党と修正協議を進めている。

 法案への疑問や懸念は国会審議でむしろ深まるばかりで、付け焼き刃的な修正でカバーできるものではない。与党による強行採決など数頼みの手段は許されない。野党側も将来に禍根を残しかねない中身での妥協は厳に慎むべきである。

 森雅子特定秘密保護法案担当相の揺れる答弁ぶりが問題だらけの法案を象徴するようだ。秘密指定が妥当かを判断する第三者機関の設置や報道機関への強制捜査をめぐる答弁は他の閣僚らと食い違い、「改善を法案成立後にも尽くしたい」と成立後の見直しにまで言及した。これでは政府自ら欠陥を認めたに等しい。

 だが、どんな閣僚が受け持っても答弁は森氏と似た状況になろう。何が秘密であるかが明らかにされないうえ情報公開のルールもなく、国会や司法のチェックも及ばない。質疑を重ねるほど法案の構造的な問題を露呈しているのではないか。

 そんな法案を2週間ほどの審議で通過させるなど論外だ。参院選で国会のねじれが解消して4カ月ばかりで数まかせの手段を行使するようでは選挙結果を有権者からの「白紙委任」とはき違えているに等しい。

 修正協議の行方が週内に衆院を通過するかのカギを握る。民主党は19日に同党案をまとめるが短期での与党との合意など実際には困難だ。性急な採決への反対を徹底すべきだ。

 焦点は日本維新の会とみんなの党の動向だ。維新の会は秘密の指定解除に期限をつけることや第三者機関による検証を求めている。与党は秘密の指定期間を「原則30年」とすることや第三者機関や国会への指定基準の報告などで応じる構えのようだが本質的な修正とは言えまい。

 不可解なのがみんなの党の柔軟姿勢だ。同法案は官僚による情報独占、立法府や司法に対する行政優位を強めかねない大きな問題がある。

 ところが渡辺喜美代表は「総論賛成」と早々に言い切り、安倍晋三首相との会食で修正案まで示したという。官僚支配に反対した党の理念とどう整合するのか。同党の主張に沿い秘密指定への首相の関与が強化されたとしても恣意(しい)的な指定のおそれなどが解消するとは言い難い。

 安易な妥協で与党に採決の口実を与えてしまえば、その責任は重い。政党の真価が試される場面だ。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013111902000243.html

秘密指定の検証 形だけ 首相が「第三者」的関与
2013年11月19日 夕刊

 みんなの党は十九日昼の役員会で、国家機密を漏らした公務員らへの罰則を強化する特定秘密保護法案について、与党が示した修正案を了承した。修正案は、政府の意のままの秘密指定を防ぐ第三者機関の設置は盛らず、「首相の『第三者機関的関与』で恣意(しい)的運用を排除し、指揮監督権を明記」としたが、首相は政府代表そのもので「第三者」ではなく、すでに「指揮監督権」もある。三党で合意した恣意性の検証は形式的なものにすぎない。

 みんなの党は役員会の前に部門会議を開き、修正案について協議。出席者から「議論は拙速で今、決めるべきではない」などの異論が出たが、渡辺喜美代表が「われわれの主張がかなり認められた」と強調。最終的に役員会に一任した。

 一方、自民、公明の与党と日本維新の会の法案実務者が同日昼、国会内で会談。与党は法案の付則に「第三者機関の設置の検討」を盛り込むことを伝え、維新も受け入れた。維新が求める最長三十年での秘密指定の全面解除に関しては、与党側は指定期間を延長できるケースを法案に例示することを検討する考えを伝えた。

 民主党は「次の内閣」会合で、対案の「特別安全保障秘密適正管理法案」を決め、衆院に提出した。与党が修正に応じなければ、政府案には反対する方針だ。

 管理法案では特定秘密の指定対象を「外交と国際テロに関する必要最小限の情報」に限定、公務員らへの罰則も政府案の最高懲役十年以下から五年以下に引き下げる。秘密指定の基準を定めて適正か調査する「情報適正管理委員会」設置法案なども衆院に提出した。

 新党改革も法施行から三年後の制度見直しを付則に盛り込む修正案を与党に提出した。
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http://gendai.net/articles/view/news/146080

「秘密保護法」で与党に屈服国民を裏切った野党の末路
2013年11月20日 掲載

 希代の悪法に野党の一角が屈服した。みんなの党はきのう(19日)、特定秘密保護法案に賛成する方針を決めた。自公両党との協議で、みんなが求めた修正案が受け入れられたためだ。みんなの党の裏切りを追い風に、政府・自民党は維新と民主の切り崩し工作に動いている。野党総崩れは時間の問題なのか。

 みんなは「情報公開」「脱官僚」を掲げて支持を集めてきた政党だが、秘密保護法の成立で情報の官僚独占はますます強化される。なぜ、党是と相反する行動に出たのか。

   「一言で言えば『存在感を示したい』ということ。圧倒的な数の力を持つ
    与党案に反対したところで、仮に『強行採決』されたら終わり。そうなると、
    みんなの修正案は蹴飛ばされて党の存在感は示せない。メディアに
    取り上げてもらう機会もなく、他の野党と同じ扱いで埋没する。
    ならば『与党に修正を迫った』という方が、党のメンツが保てる
    と考えたのでしょう」(政治評論家・有馬晴海氏)

 渡辺代表は、第1次安倍内閣で行革担当相を務め、安倍とは近しい関係だ。

 14日には安倍や菅官房長官、塩崎政調会長代理と赤坂の中華料理店で会食。この時、秘密保護法の修正案について“党首会談”を行っていた。

   「会合後に記者に囲まれた渡辺代表は上機嫌で、『安倍政権が
    政治主導を実現するなら真摯に協力するってずーっと言ってきた』
    『(修正協議も)その延長線』『楽しい会合だった』とペラペラまくしたてた。
    この時、すでに修正合意はまとまっていたのでしょう」(みんなの党事情通)

 19日の会見でも、渡辺は「(首相とは)もともと信頼関係がある。トップ会談を行えば政治のプロセスは非常にスムーズに運ぶと痛感した」とシレッと答えていた。もはや野党か与党か分からないが、他の野党もだらしなさは似たようなものだ。

 日本維新の会も、19日午前中の協議では、与党案を断固拒否する姿勢を見せていたが、午後になると態度は一変。秘密基準の妥当性をチェックする第三者機関の「設置検討」を法案の「付則」に盛り込む修正案に合意した。

 霞が関の官僚用語で検討は「やらない」ということ。しかも「付則」だから意味はない。

 条件闘争の末に野党が取り込まれ、悪法の修正協議は完全に与党ペースで進んでいく。野党第1党の民主党もグラグラだ。

   「秘密の範囲を『外交とテロ』に限るとした対案を衆院に提出しましたが、
    与党側が受け入れる可能性はゼロに近い。このままだと、何の抵抗も出来ず、
    “万年野党”になってしまう。そんな民主党の保守系幹部の心理を見越して、
    与党側は水面下で複数の幹部に秘密保護法の採決の欠席を求めたり、
    ポストをちらつかせながら『引き抜き』を画策しています。最悪の場合、
    採決で造反者が出かねません」(政治ジャーナリスト)

 そろって自民の「補完勢力」「別動隊」に成り下がろうとしているから情けない。野党総崩れの中、希代の悪法が粛々と成立してしまっていいのか
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http://www.asahi.com/paper/column.html?ref=com_top_tenjin

2013年11月21日(木)付
天声人語

 茶番劇である。きのう、特定秘密保護法案を取りあつかう衆院の委員会で速記が一時止まった。与党議員がいないじゃないかと、野党が怒ったからだ。これまでも空席がめだっていた。なんとしても成立させたい重要法案にしては不まじめではないか▼委員会は委員の半数以上がいないと開けない。国会法の定めである。定足数割れが疑われるほど閑古鳥が鳴くのは異常だ。テレビ中継がないから構わないのか。国権の最高機関はわれわれだと、いつも威勢のいい人々の国会軽視に驚く▼表舞台での審議をないがしろにしながら、裏舞台では一部の野党と修正のための話しあいをする。その中身も茶番劇というほかない。秘密の指定などが恣意(しい)的にならないよう、首相が「第三者機関的観点」からかかわるのだという第三者とは当事者でない者をいうふつうの理解では、首相は当事者そのものである。与党とみんなの党との合意内容は黒を白と言いくるめるようなものだろう。こんな乱暴がどうしてまかり通るのか▼それに比べ、民主党の対案の第三者機関は検討に値する。なにを秘密にするかの基準を決め、個々の秘密指定が適当かどうかも調べる。機関のメンバーは内閣ではなく、国会が選ぶ。首相のお気に入りを集めるようなことはできない▼民主党案はこのほか多くの点で政府案の骨格を変えている。いまからでも遅くはない。与党は民主党と議論を尽くすべきだ。まずは委員会にきちんと出席してもらわなければならない。
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http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008227

【秘密保護法】 首相独裁に道開く みんなの党、修正案合意
2013年11月19日 11:27

    みんなの党本部に陳情したが事務所の中には入れてもらえず、
    暗い廊下での立ち話となった。=19日午前9時頃、平河町 写真:筆者=

 特定秘密保護法をめぐる攻防で野党の一角が崩れようとしている。みんなの党が与党との間で修正合意に傾いたのだ。

 合意内容に呆れる。▼特定秘密の指定者を行政の長としていたのを首相(府)へも広げる▼チェックする第3者機関を首相(府)が担うというものだ。

 これではますます恣意的に運用される。首相に独裁の権限を与えることになる。みんなの党は官僚政治の打破を掲げて立党した。ゆえに官僚独裁よりも「首相独裁」の道を選んだのだろうか。

 危機感を抱く人々が今朝8時からみんなの党 本部前で抗議の声をあげた。すぐに制服警察官が駆けつけ遠巻きにしたが、参加者が次々とやって来て、抗議集会が終わる9時頃には約30人にまで膨らんだ。

 集会後、党本部事務所を訪れ「みんなの党が国民のことを思うなら自民党との修正には応じないで下さい」と陳情した。

 午後からはみんなの党、日本維新の会の議員事務所を回り「修正には応じないよう」呼び掛ける。

    秘密保護法は警察の権限を肥大化させる。警察官の多さが同法の
    性質を象徴しているようだった。=午前8時頃 平河町 写真:筆者=
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http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008232

【秘密保護法】 「みんな」に続き「維新」も!? 次々転ぶ野党
2013年11月19日 20:15

    自民党議員事務所を訪れたボランティアたちは「強行採決したりしないよう」
    に訴えた。=19日午後、参院会館 写真:筆者=

 天下の悪法が現実のものとなろうとしている。みんなの党はきょう午後一番、役員会を開き秘密保護法案に賛成することを決めた。

 自らが提案した修正案を自公が飲んだためという。みんなの党の修正案とは秘密指定にあたって首相の権限を広げるものだ。

 特定秘密をチェックする第3者機関を首相(府)の下に置くという。首相に独裁権限をわざわざ与えるようなものだ。民主主義を健全に保つための「チェック・アンド・バランス」も何もあったものではない。

 ある永田町関係者は「渡辺代表と安倍首相が食事をした14日が分岐点だった。(首相から)何か交換条件が提示されたんだろうね」と説明する。みんなの党の議員事務所には抗議の電話やFAXが相次いだようだ。

 秘密保護法案に反対する人々がきょう午後、みんなの党の議員事務所を訪問した。ある事務所の秘書は「党が決めたことですから」とそっけない。別の事務所の秘書は、修正案を与党が飲んだことで満足していた。

 日本維新の会も転ぶのは早かった。同会は夕方から与党と修正協議に入った、とNHK午後7時のニュースは伝えた。

 「第3者機関の設置は譲らない」としていた日本維新の会だが、「政府内に準備室を設けてどのような機関ができるか検討する」という附則を法案に盛り込むことで折り合いがついたようだ。

 野党2党を抱き込んだ自公が民主党の対案を審議せずに採決すれば、それは議会制民主主義の無視となる。

    「みんな」の期待を裏切った「みんなの党」の面々(たすきをかけていない)。
    =12日、原発被害者救済の請願受付で 写真:筆者=
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http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008237

【秘密保護法】 言論人が総決起集会 文太兄ぃ「トドメの悪法になる」
2013年11月20日 20:33

    「秘密保護法案、廃案」の要請文を手渡すTVキャスターたち。
    手前(後ろ姿)は橋場・内閣情報調査室参事官。
    =20日午後、内閣府門前 写真:筆者=

 マスコミ界の大御所、作家、評論家、夕刊紙社長……言論に携わる著名人たちがきょう、「特定秘密保護法案」の廃案を求めて総決起集会を開いた。

 平成の治安維持法と言われる秘密保護法案は、みんなの党が昨日与党案賛成に回ったため成立が現実味を帯びてきた。言論界を支えてきた重鎮たちが危機感を表明した―

 「安倍晋三は日本を北朝鮮並みにしようとしている。進めている人の個人の責任を厳しく問いただす。谷垣法相はスパイ防止法に反対していた。反対なら辞めるべきじゃないか」。こう厳しく指摘するのは評論家の佐高信氏だ。

 川崎泰資・元NHK政治部記者(1934年生まれ)は、安倍晋三首相の危険性を強調した―

   「何とかに刃物」じゃないが、この男(安倍首相)にこの法案を与えたら
    とんでもないことになる。右翼軍国主義者と自称する人物が首相に
    なるということは国際的に通らない」。

 社会部記者だった原寿雄・元共同通信編集局長(1925年生まれ)は、警察の性格をよく知っている―

   「この(会場の)中にも警察の尾行がついている人がいる。今は警察の
    尾行を批判できるが、法律(秘密保護法)ができたら“内偵している、
    合法だ”ということになる」。

    小中陽太郎さん。自らが描いて特高警察ににらまれた高射砲の絵を
    持参した。小中さんの後ろは作家の澤地久枝さん。=平河町 写真:筆者=

 作家の小中陽太郎氏(1934年生まれ)は昭和15年(1940年)、ゾルゲ処刑の年に神戸から上海に向かう船の中で特高に尋問された。高射砲を描いた絵を持っていたからだった―

   「“坊やこれは何で書いたんだ?” “クレヨンだよ”。特高は外国のスパイが
    特殊インクで書いたのかと思い捜査した。70年間倉庫に入れたままだったが、
    探して持ってきた。子供の書いた絵が問題になる。これがスパイ法のバカバカしさだ」。

 きょうの集会には俳優の菅原文太さん(1933年生まれ)も駆けつけた―

   「こういう法律が出てくるなんて考えもしなかった。戦後初めてでしょう。
    私は戦争中の時代をかすっている。その頃は異常な時代だったから
    考えられないことが沢山あった。この法案が通ればトドメになるのか
    と思うくらい悪法。娯楽と騒々しい中に放り込まれて、考える事を
    なくしてしまった中で、こんなものが突きつけられている。
    ここにいる皆さんが考えつかないような時代になる」。

 治安維持法の時代に生まれ育った彼らの言葉には有無を言わさぬ説得力があった。

 言論人と表現者だけではない。政界からも一人だけ参加者がいた。辻元清美議員だ。辻元議員は国会内の事情を解説した―

   「与党は26日の衆院通過を目指している…(中略)私が森まさこ大臣を
    追及していたら、維新の議員からヤジが飛んで来る。これまでのような
    与党対野党の図式とは違う異常な状況。(国会の)外で盛り上がって
    いることが、(国会)内での歯止めになる」。

    「国民が不幸になる」と警告を発する菅原文太さん=写真:筆者=

 集会の後、岸井成格氏、田勢康弘氏らTVキャスターたちが、森まさこ特定秘密保護法案担当相に同法の廃案を求める要請文を手渡すため内閣府を訪れた。

 だが森担当相は国会審議を口実に会おうとしなかったため、内閣情報調査室の橋場健参事官が要請書を受け取った。場所は内閣府庁舎の門前だ。「庁舎内でのカメラ撮影はNG」となったためだ。

 キャスターの鳥越俊太郎氏は「門前払いです。ここでしか渡せないのが日本の現実です」と悔しがった。
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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?ref=com_top_pickup#Edit1

2013年11月22日(金)付
秘密保護法案―「翼賛野党」の情けなさ

 巨大与党の前に、あまりにも情けない野党の姿である。

 このままでは自民党の「補完勢力」どころか「翼賛野党」と言われても仕方あるまい。

 日本維新の会が、自民、公明の与党と、特定秘密保護法案の修正に合意した。

 みんなの党に続く妥協だ。

 いずれの修正も実質的な意味は乏しく、問題の根幹はまったく変わっていない。

 与党は、4党で修正案を共同提案し、26日の衆院通過をめざすという。野党はこれを許してしまうのか。

 愕然(がくぜん)とするのは、維新との修正合意で、特定秘密の指定期間が後退したことだ。

 維新は当初、「30年以上延長できない」と主張していた。ところが、合意では「60年たったら原則として解除」と期間が2倍に延びてしまった。

 しかも60年を超えても延長できる7項目の例外まで、できてしまった。

 まるで与党側の焼け太りだ。これでは、維新もみんなの党も利用されるだけではないか。

 維新は秘密指定できる行政機関を絞り込む案も主張したが、与党にはねつけられた。「首相が有識者の意見を聴いて政令で限定できる」との合意では、およそ実効性に乏しい。

 秘密指定のチェックについても、大きな疑問符がつく。

 法案の付則に「第三者機関の設置検討」を盛り込むことで合意したが、付則に書いても実現の保証はない。どんな機関になるかも不明確で、期限も区切っていない。

 与党とみんなの党との合意では、首相が「第三者機関的観点」からかかわることで客観性が担保されるとした。最大の当事者を「第三者」とする意味不明。与党が真剣に問題を受けとめているとは思えない

 維新の内部からも「後退している」などの批判が噴出している。当然だ。今からでも対応を見直すべきだ。

 野党ではほかに、民主党が対案を出している。

 秘密の範囲は外交や国際テロに限る▽国会が委員を指名する第三者機関「情報適正管理委員会」を設置し、個々の秘密指定が適当かどうかも調べる▽罰則は政府案が最長懲役10年だったのを懲役5年以下とする――などの内容である。

 政府案との隔たりは大きい。そこを埋める努力もせず、4党の修正案で突き進むのでは、巨大与党にすり寄っているとしか映らない。

 与党に都合のいい修正をするのが野党の役割ではない
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http://www.asahi.com/articles/TKY201311210363.html?ref=com_top_pickup

〈秘密保護法案〉私たち一人ひとりの問題 落合恵子さん
2013年11月21日22時39分

■作家・落合恵子さん

 3・11後、脱原発運動を続けてきました。1986年にチェルノブイリ原発事故が起きてささやかな勉強会を開きましたが、長続きしなかった。そのことへの反省があります。

 いま、同じ思いで特定秘密保護法案の反対を訴えています。法律ができて言論が弾圧された戦前のような取り返しのつかない状況を迎えた時、どうしてもっと力を尽くさなかったのかと悔いたくはないからです

 この法案について、近所の人から「(処罰される対象になる)公務員じゃないから大丈夫」と言われたことがあります。そうでしょうか。私たちは、東京電力福島第一原発事故で情報の隠蔽(いんぺい)をさんざん経験し、今も味わっています。

 テロ対策を名目に原発に関する情報はますます出なくなると思います。秘密が広がり、大切な情報が市民に届かなくなる。そうなれば、一人ひとりが多様で正確な情報に基づき判断するという民主主義の基礎が壊れてしまう。私たち一人ひとりの問題なのです。

 歴史を振り返れば、いつの時代でも世界のどこでも権力は情報を隠します。政府が情報をどれだけ開示するかが民主主義の成熟度を示すものですが、日本の情報公開は米国などに比べはるかに遅れています。政治が取り組むべきは、秘密保護ではなく情報公開です。

 法案の修正ではなく、廃案しかありません。

     ◇

 秘密が増えて私たちの身の回りが息苦しくならないか。暮らしにはどんな影響が出るのか。国会での審議が大詰めを迎えている特定秘密保護法案に反対する動きが広まっている。各界で活躍する人たちの異議申し立ての声を聞いていく。
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http://www.asahi.com/articles/TKY201311230294.html

〈秘密保護法案〉国民の「知る義務」阻害 樋口陽一さん
2013年11月24日00時14分

 ■東大名誉教授・樋口陽一さん

 敗戦後の焼け野原の中、「私はだまされていた」と告白した高名な作家がいました。国民主権の憲法となり、国民自身が政治を動かす立場にある今こそ、私たちには「だまされない責任」があると言いたい。

 しかし3・11の原発災害で私たちは「原発は安全」という神話にだまされていたことを知った。今後、政府のうそにだまされず、主権者として公のことがらの基本を動かし、未来への責任を果たすため、国民には問題の所在を「知る義務」がある。それを邪魔するのが、今回の特定秘密保護法案だと言えます。

 法案の中身の粗さからも、政府の説明や政党間協議の経緯からもたくさんの疑問がわき出ています。それを押し切り「秘密」の壁を高く厚くする理由について、安倍政権は「米国と情報共有をはかるため」と説明しています。「秘密」の共有を強化してまで政権がやろうとしていることは、日本が歩んだ道からの決定的転換となるでしょう。

 米国は世界中に情報の網を張り巡らせる覇権大国として各国と摩擦を起こしていますが、一方で米国の言論人は「批判の自由」を核心的な価値として守ってきました。安倍政権は日米で「価値観を共有する」と言いますが、日本社会の骨組みをどちらの方向に切り替えるかが、法案をめぐって問われていると思います。
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●『DAYS JAPAN』(2013,DEC,Vol.10,No.12)の最新号についてのつぶやき

2013年11月27日 00時00分09秒 | Weblog


DAYS JAPAN』(http://www.daysjapan.net/)の最新号について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge。

 ブログ主のお薦め記事は、斎藤美奈子さん【OUTLOOK 安倍自民党が陰で糸引く学校現場への政治介入】。

   『●広河隆一さん『DAYS JAPAN』の編集長公募

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■①『DAYS JAPAN』(2013,DEC,Vol.10,No.12) / ようやく開封。「人々の意志が戦争を止める日が来る」「一枚の写真が国家を動かすこともある」。【特定秘密保護法を通さない 国家の情報は国民のもの。それは、民主主義国家が保障する基本的人権だ】

■②『DAYS JAPAN』(2013,DEC,Vol.10,No.12) / 伊藤真氏【特定秘密保護法の危険】、「安倍政権はなぜ、この法案を通そうとしているのでしょうか」。「うそをつく人達」が罰せられないように?(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/eba7913f790119052ad2a3313ebc4478

■③『DAYS JAPAN』(2013,DEC,Vol.10,No.12) / 綿井健陽さん【民主主義社会から、国家第一主義社会へ】、「「政府の情報は、国民のものだ」・・「ペンタゴン・ペーパーズ」を報道したフロイド・エイブラムズ弁護士は・・」。岐路(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/eba7913f790119052ad2a3313ebc4478

■④『DAYS JAPAN』(2013,DEC,Vol.10,No.12) / 徐史晃氏【ヘイトスピーチと人種差別】、「ネット上に溢れる深刻な人権侵害や・・への憎悪を剥き出しにした表現は、『行動する保守』を標榜する特定の団体や、その主張に同調する者たちによって、政権与党の政策や極右政治家の発言に呼応するように、その勢いを増している」。見るに堪えない写真

■⑤『DAYS JAPAN』(2013,DEC,Vol.10,No.12) / 斎藤美奈子さん(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/0c58925fcace3ecc668bc445318ce9e0)【OUTLOOK 安倍自民党が陰で糸引く学校現場への政治介入】、「「はだしのゲン」排除問題」「実教出版締め出し問題」「育鵬社採択問題」「東京都副読本問題」

■⑥『DAYS JAPAN』(2013,DEC,Vol.10,No.12) / 渡辺豪氏【尖閣問題をめぐる世論とメディア 沖縄からみる尖閣】、「「国益」とは何か 真の共存共栄を望む」

■⑦『DAYS JAPAN』(2013,DEC,Vol.10,No.12) / 広河隆一さん【編集後記】、「「私の力では10年経ってここまでしかできなかったが、DAYSをもっと力ある雑誌に育てることのできる人に交代したい」・・まもなく定期購読者の皆さんによる「審査」が始まる」
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●「秘密保護法案は廃案に」 『週刊金曜日』(11月22日、969号)についてのつぶやき

2013年11月26日 00時00分41秒 | Weblog


週刊金曜日』(2013年11月22日、969号)について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge。

 今週のブログ主のお薦めは、佐高信さん【風速計/まっとうな批判】、「亀井静香・・これは完全なモラルハザードだよ。カネさあればという精神がこんな事態を生み出してしまう」。そして、横田一さん【日本版NSC初代事務局長に推される谷内正太郎元外務事務次官の正体 鈴木宗男新党大地代表が激白!!】、「「密約文書」破棄の疑い」

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■①『週刊金曜日』(2013年11月22日、969号) / ようやく開封。「秘密保護法案は廃案に」。佐高信さん【風速計/まっとうな批判】、「亀井静香・・「福島では原発処理も出来ていない。放射能汚染水も垂れ流しだ。にもかかわらず、地震大国のトルコに原発を売り込もうとしている・・」」

■②『週刊金曜日』(2013年11月22日、969号) / 「「・・これは完全なモラルハザードだよ。カネさあればという精神がこんな事態を生み出してしまう」 亀井はこう憤慨しているが、最近これほど共感した発言もない。モラルハザードの安倍内閣が道徳教育の強化を進める。こんなパラドックスもない・・

■③『週刊金曜日』(2013年11月22日、969号) / 横田一さん【日本版NSC初代事務局長に推される谷内正太郎元外務事務次官の正体 鈴木宗男新党大地代表が激白!!】、「「密約文書」破棄の疑い」「権力が秘密を悪用する」。歴史の冒涜(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/48e060d7788746787cf705fb137ebed8

■④『週刊金曜日』(2013年11月22日、969号) / 柳澤協二氏【「日本版NSC」は安倍首相の〝思い入れ〟】、「首相の理念が暴走」「・・ような政治家がこの国のトップにいる点にこそ、今日の最大の危機・・」。思い入れ・・(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/d92190c91caf5da7f0e3edf026e06262

■⑤『週刊金曜日』(2013年11月22日、969号) / 【日本人と天皇 山本太郎参議院議員手紙騒動で考える】、鈴木邦男さん【誰に山本議員を批判する資格があるのか】、中嶋啓明氏【問うべきは「天皇(制)の政治」】。手紙「事変」というブーメラン(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/bdf289c4b576d23f2f12288b3df36ad4

■⑥『週刊金曜日』(2013年11月22日、969号) / 【いのちと仕事 映画『ある精肉店のはなし』公開記念対談 纐纈あや×田中優子 生々しい「人」と出会えたとき、乗り越えられるものがある】、「原発をつくらせない人々を撮った『祝の島』から三年」

■⑦『週刊金曜日』(2013年11月22日、969号) / 俵義文さん【検定教科書も作成、安倍政権で愛国心教育が強制へ 道徳の教科書化で子供の心を国家が管理】、「『心のノート』が国定教科書になるのか」。愛国心を強制してどうなるのか?(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/825bb0a6f4d76b15ee4df6913ba40696

■⑧『週刊金曜日』(2013年11月22日、969号) / 山口正紀さん【世論を知りたくない?『読売』 特定秘密保護法案】、「『読売』はどうか・・本文にも一〇面に掲載された「調査結果」にも、「秘密保護法案」に関する記述は一行もなかった何と、質問もしなかったのだ」!!

■⑨『週刊金曜日』(2013年11月22日、969号) / 岩本太郎氏【安世鴻さんの写真めぐる裁判支援の会が東京でスタート】、「副題は「ニコン『慰安婦』写真展中止事件裁判支援の会スタートイベント ~『慰安婦』、レイシズム、そして表現の自由を語る~」」

■⑩『週刊金曜日』(2013年11月22日、969号) / 砂川浩慶氏【「憲兵、二に特高・・・」軍機密保護法と特定秘密保護法案の類似点】、「・・この時期だからこそ、改めてメディアが報じることを求める。「後悔先に立たず」を繰り返さないように」。戦時中へ(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/eba7913f790119052ad2a3313ebc4478
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●東電の「万全」神話: 「作業員の安全を祈らずにはいられなかった」

2013年11月25日 00時00分41秒 | Weblog


東京電力の記事【福島第一 報道陣に公開 危険な現場 作業員頼み】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013110702000108.html)とコラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013111002000110.html)。

 「・・・・・・イタチやネズミや・・・ゾウ・・・・・・」、そんな東電の「万全」神話をどうやってい信じろと? 一つのミスも許されないUFOキャッチャー作業を、一体どうやって「万全」に? 完全形で残る使用前の核燃料でも細心の注意が必要であろうに、ましてや、この先、使用済みで、がれきの中で、完全でないかもしれない使用済み燃料、死の灰の詰まるものをどうやって「万全」に取り出し得るのだろうか?? 「除染特需の恩恵を自社に還流」したり、柏崎刈羽原発再稼働を画策したり、気が散りっぱなしではないだろうか? 「万全」神話などに頼らず、この途方もなく危険な作業に人も、お金も、資材も、全てを集中すべきである。
 「・・・・・・イタチやネズミや・・・ゾウ・・・・・・」についで、「ゴジラだらけである」。
 それにしても、現場で作業に携わる作業員の被ばくや精神的なプレッシャーは相当なものだろう。せめてもの十分な対価、補償が得られることを祈らずにいられない。過去に戻れるのならば、「原発さえなければ」・・・・・・。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013110702000108.html

福島第一 報道陣に公開 危険な現場 作業員頼み
2013年11月7日 朝刊

 東京電力は六日、月内に使用済み核燃料の取り出しが始まる予定の福島第一原発4号機原子炉建屋のプールなどを報道機関に公開した。八月に処理水漏れが発覚したタンク周りでは、現在も対応に追われていた。東電は、核燃料取り出しには万全を期していると強調するが心配も残った。 (大野孝志)

 お盆明けに処理水漏れで大きな騒ぎとなったタンク群周辺では、あちこちにブルーシートが敷かれ「危険」を知らせるコーン標識が立っていた。地下に近くの無線中継所から配線がのびており重機が使えないため、まだ汚染土全てを除去できていないとのことだった。

 取り除いた土は大型の土のうや小型のタンクに入れて保管しているが、中は放射性ストロンチウムなどに汚染された土。近くにはコーン標識があるが、敷地全体が一大工事現場と化し、どこが危険か分かりづらかった

 一方、4号機の建屋脇に逆L字形に建設された核燃料取り出し用の巨大な骨組みの中は整然としていた。

 プール内には千五百体を超える核燃料が残る。骨組み内に設置された核燃料取扱機とクレーンが連携し、核燃料を一体ずつ引き抜き、水中で輸送容器に入れて地上のプール施設に移す。地道な作業が年ほど続く

 取り出し作業自体は他の原発でもやってきたことだが、ここは事故現場。核燃料が抜けなくなったり、輸送容器が落ちたりする可能性もある

 プールの水には放出基準の数倍の放射性セシウムが含まれる。プールから輸送容器を引き上げ、水洗いした後に作業員が拭き取るという。容器のふたをボルト締めするのも作業員。廃炉に向けた重要な一歩だが、作業員の安全を祈らずにはいられなかった
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2013111002000110.html

【コラム】
筆洗
2013年11月10日

 東京・有楽町にあるゴジラ像のプレートにこんな言葉が刻まれている。「このゴジラ最後の一匹だとは思えない」▼映画「ゴジラ」が封切られたのは一九五四(昭和二十九)年十一月のことだった。怪物が都市を破壊する映画は大当たりした。生誕六十年の来年には米ハリウッド版の新作公開も予定されている。世界の「ゴジラ」である▼怪物は、水爆実験によって出現する。公開と同じ年の三月、ビキニ環礁で水爆実験の「死の灰」を浴びた、第五福竜丸事件が下敷きになっている。原作ではゴジラは第五福竜丸の帰還とともに日本にやってくる▼「水爆などいい気になっていたら、人間は自分たちの力で完全に滅びる」。監督の本多猪四郎さんは著書『ゴジラとわが映画人生』で語る。訴えたかったのは進んだ科学を持った人間の恐ろしさだった▼大戦中の原爆投下の記憶もまだ生々しい「あの時」からの警告は、残念ながら現代に生かされていない。核兵器や原発に限った話ではない。インターネットで知り合った一味がその日のうちに誘拐を働く。スパイ機関が別の国の首相の携帯電話を盗聴する。ネット上の憎悪発言。ゴジラは科学技術を使う人間の心の闇の中にすみ続けている▼像の言葉は登場する科学者のせりふで、まだ続きがある。「同類が世界のどこかに現れてくるかもしれない」。ゴジラだらけである。
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●元「ト」知事や現「ト」知事に「誠意」を求めてもねぇ・・・・・・、都知事選には「うらあり」?

2013年11月24日 00時00分31秒 | Weblog


東京新聞の社説【徳洲会とカネ 猪瀬知事 説明に誠意を】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112302000138.html)。

 元「ト」知事現「ト」知事に「誠意」を求めてもねぇ・・・・・・

   『●「国民の6割が脱原発を望んでいるというのに自民党が大勝した理由」
   『●東京電力原発人災対策へのお金を「ケチ」ったあげくに、
                                  致命的欠陥対策にドブ金か?
   『●「都政は変わるべき、でも、彼に投票」? 矛盾を感じるな~
   『●絶望を禁じ得ない

 五輪招致「おもてなし」だけでなく、どうやら都知事選にも「うらがあった」ようです。五輪招致の「うらあり」で世界に恥をさらし、その上、「責任者のスキャンダルまで重なって」は恥の上塗り
 「原発事故に責任者のスキャンダルまで重なっては、世界に見損なわれ」ては大変!!、なので、小沢一郎氏の大「事件」の時ように、マスコミと幻の「検察審査会に大騒ぎ・バカ騒ぎしてもらい、(大読売のラジオ宣伝のように)「汚名は返上」してもらいましょう。

   『●書籍紹介『20人の識者がみた 「小沢事件」 の真実
                   捜査権力とメディアの共犯関係を問う

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112302000138.html

【社説】
徳洲会とカネ 猪瀬知事 説明に誠意
2013年11月23日

 史上最多の四百三十三万票の信任が揺らぐ。猪瀬直樹東京都知事が自らの選挙戦の前に、医療法人徳洲会グループから五千万円を受け取っていた。疑念を晴らさねば、首都の信用が失墜する

 徳洲会グループは、昨年十二月の衆院選に絡んだ公職選挙法違反事件の渦中にある。徳田毅衆院議員の選挙運動員に違法な報酬を支払った疑いで、捜査当局は毅氏の姉ら六人を逮捕している。

 そんな徳洲会からの巨額資金の提供が明るみに出たのだ。首都の顔なのに、カネにまつわる疑惑を招くとは失態では済まされない。「政治家としての意識が弱かった」と反省の弁を述べたが、国際的にも恥ずかしい

 猪瀬氏の釈明を聞くと、ますます謎が膨れ上がる。衆院選と同日の知事選を控えた時期に、徳洲会の徳田虎雄前理事長にあいさつに出向くと、資金提供による応援という話が持ち上がったという。

 選挙戦に充てる目的で借用したのかと問えば、猪瀬氏はそれは違うと否定する。選挙運動は意外にカネがかからず、私的な預金の範囲内で賄えたというのだ。

 ならば、なぜわざわざ選挙前に大金を借りたのかなぜ不要なカネを妻名義の貸金庫に長期にわたり保管していたのかなぜ捜査当局が強制捜査に動いてから返したのか。そもそも、なぜ医療法人の前理事長のもとを訪ねたのか

 やましいことがないというのなら、繰り返し誠実に説明をするべきだ。一連の行為は不自然きわまりない。それが大方の庶民の論理と感覚だ。

 公職選挙法や政治資金規正法に触れる可能性も指摘されている。

 きのうの時点で、猪瀬氏が都選挙管理委員会に出した選挙運動費用収支報告書にも、猪瀬氏が代表の資金管理団体などの二〇一二年の政治資金収支報告書にも、徳洲会とのカネのやりとりを示す記載はなかった。

 あくまで「個人的な借金」として押し通せば、法の網には引っ掛かるまい。よもや首都のトップがそんな戦術を展開しているとは疑いたくはない。捜査当局による真相解明が急がれる。

 猪瀬氏は企業人や官僚、政治家の出身ではない。庶民と共に歩んだ作家活動が人生の土台になっているはずだ。清廉潔白こそが身上とわかっているだろう。

 東京は二〇二〇年五輪・パラリンピックの開催都市だ。原発事故に責任者のスキャンダルまで重なっては、世界に見損なわれる
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●特定秘密保護法案「改悪」協議: 沖縄密約事件時どころか、戦前の「治安維持法の再来」

2013年11月23日 00時00分33秒 | Weblog


asahi.comの記事【(新ポリティカにっぽん)「秘密国家」に挑む記者魂】(http://www.asahi.com/articles/TKY201311190242.html?ref=comtop_fbox_d1と東京新聞の記事【秘密保護法案 横浜事件遺族ら反対声明 「治安維持法の再来」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013112002000248.html)。

 「沖縄密約」で未だにシラを切り続ける自民党議員・日本国政府。西山太吉さんが喝破するように「ウソをつく人達」が、いま、悪法=猛毒の特定秘密保護法案を作成し、「沖縄密約」事件時どころか、戦前の「治安維持法の再来」を狙っているようだ。「「横浜事件」で、治安維持法違反容疑で逮捕された被害者の遺族や支援者」は、当然だけれども、反対声明を出した。
 与党もどきの野党であるみんなの党や日本維新の会は、廃案しか道はないはずであるのに、協議に応じ、しかも、「修正」協議で「正しく」修正するどころか、改悪する始末である。橋下徹元大阪“ト”知事は「仕方ない」と他人事で、「改悪」協議が猿芝居・デキレースであったことを示唆している。両「与党もどきの野党」は、さっさと「自公」党と合体して、すっきり国民に見えやすい形にすべきだ。
 安倍政権になって何もかも無茶苦茶が通り、最悪だと思っていた小泉純一郎政権を下回る悪辣ぶりである。愚痴っても仕方がないのだが、自公議員や与党もどきの野党議員に投票してしまった人たちは、一体どうこの「責任」をとるのだろうか?

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http://www.asahi.com/articles/TKY201311190242.html?ref=comtop_fbox_d1

(新ポリティカにっぽん)「秘密国家」に挑む記者魂
2013年11月19日19時10分

 臨時国会は、戦後日本の危うい曲がり角になりそうである。むろん、それは国家安全保障会議の設立と特定秘密保護法案の行方にかかっている。

 小泉純一郎元首相が「原発ゼロ」を改めてぶちあげた日本記者クラブで、先週末、西山太吉さんの会見があった。沖縄返還密約事件で山崎豊子さんの描く小説「運命の人」となった彼がこの秘密保護法案をどう見るか、それを聞いてみたかった。


■沖縄密約 シラを切り続ける無責任さ

 「日本はもともと秘密体質なんだ。そのうえに秘密保護法をつくるだなんて、どんな秘密国家をつくろうというのかね

 1972年の沖縄返還の裏に、米国が負担すべき土地原状回復費用を日本が肩代わりする密約があったことを暴いた西山さんの話は具体的である。

 2000年、アメリカは日本との沖縄返還交渉の外交文書を一挙に公開した。そこには西山さんがつかんだ密約が明らかにされていた。ふつうはそれで日本政府も兜(かぶと)を脱ぐだろう。ところが違った。外務省は密約の当時のアメリカ局長吉野文六氏を呼んで「密約は一切ないと言ってくれと口止めをした。吉野さんはOKした。外務省はあわてて日本側の資料を焼却した。1200トンに及ぶ量だった、と西山さんは語った。

・・・・・・。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013112002000248.html

秘密保護法案 横浜事件遺族ら反対声明 「治安維持法の再来
2013年11月20日 夕刊

 戦時下最大の言論弾圧事件とされる「横浜事件」で、治安維持法違反容疑で逮捕された被害者の遺族や支援者でつくる「横浜事件を語り、伝える会」が、特定秘密保護法案に反対する声明を出した。秘密の範囲があいまいな点が、拡大解釈で言論を封じていった歴史に重なるためだ。「本質は治安維持法の再来。断じて許せない」と訴えている。 (橋本誠)

 「亡くなった元被告たちが生きていたら黙っていないと思った」。終戦直後の一九四五年九月に有罪判決を受けた故小野康人さんの長女、斎藤信子さん(64)=横浜市=が声明に込めた思いを語る。

 雑誌「改造」の編集者だった小野さんは、共産主義を啓蒙(けいもう)する論文に関与し、共産党再建の謀議をしたとして逮捕された。戦後の口述書には「『(プロレタリア作家の)小林多喜二がどうして死んだか知っているか』と絶叫しながら、約一時間にわたって袋だたきに」などと拷問の様子が記されている。

 二〇〇八年の再審開始決定で、横浜地裁は「共産主義的啓蒙論文といえるか疑問」「(会合は)慰労会そのもの」と断定。斎藤さんは「父は事実が全くないのに逮捕された。特定秘密保護法案も、条文の『その他』という言葉など拡大解釈の抜け道が多く、恣意(しい)的に逮捕できるようになるのでは」と廃案を求める。

 被害者が最初に再審請求したのは一九八六年。前年の八五年、中曽根康弘政権が、特定秘密保護法案と似た趣旨の国家秘密法案(スパイ防止法案)を国会に上程していた。

 再審請求は、治安維持法の「目的遂行ノ為(タメ)ニスル行為」という条文の拡大解釈で、普通の出版活動まで処罰されていった歴史を再現させないためだった。

 今回の声明では、特定秘密保護法案も「行政機関の長」が秘密指定する点で、治安維持法のような無限の拡大解釈を招くと警告する。

 言論人として再審を支えた出版社「高文研」前代表の梅田正己(まさき)さん(77)は「八五年と同じ危機感を覚える。現在行われている修正協議は枝葉の問題で、意味がない」と話している。

 横浜事件 神奈川県警察部特高課(当時)による言論弾圧事件。「改造」の論文が共産主義を宣伝し、著者の社会評論家が開いた宴会が共産党再結成の準備会だったなどとして、1942~45年、雑誌編集者や新聞記者ら60人以上が逮捕された。拷問で4人が獄死、1人が保釈直後に死亡。3、4次請求で再審が行われたが、有罪か無罪か判断せずに審理を打ち切る免訴判決が2009年までに確定した。横浜地裁は10年2月、「実体判断が可能だったならば、無罪の判決を受けたであろうことは明らか」と元被告5人の遺族への刑事補償を決定した。
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●原発人災・汚染の原因者が「税金による事業で利益をもたらす」醜悪な構図

2013年11月22日 00時00分05秒 | Weblog


asahi.comの記事【核ゴミ処分のPR車売却へ 公費4億円、実働199日】(http://www.asahi.com/articles/TKY201311020640.html?ref=com_top6。東京新聞の記事【除染下請けに東電系企業 税金で肩代わり 利益は還流】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013110702000102.htmlと社説【原発処理枠組み 国民負担の最少目指せ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013110702000123.html。最後に、asahi.comの記事をもう一つ【東海原発、廃炉先送りへ 解体後のごみ処分場決まらず】(http://www.asahi.com/articles/TKY201311170282.html)。

 1番目や2番目のような記事にある、こういう現実を見せつけられると、国費投入に反対せざるを得なくなる。「汚染の原因をつくっておきながら除染の責任を十分果たそうとしない東電側に、税金による事業で利益をもたらす構図」や「利益を還流」する構図なんて、醜悪。「NUMOの事業費も電気料金で賄われているため、市民の負担は今後も続く」なんて、腹立たしい限りである。
 福島第一原発4号炉の未使用の核燃料の取り出しが始まったが、より一層厳しい使用済み核燃料の取り出し、さらに、1~3号炉のメルトダウン、メルトスルーした核燃料の取り出しという非常に困難な作業が待っている。一方、「東海原発、廃炉先送りへ 解体後のごみ処分場決まらず」とあるにもかかわらず、東電は柏崎刈羽を再稼働させたくてしょうがないらしい。原子力人災の「直後」だというのに、原発人災・汚染の原因者が「税金による事業で利益をもたらす」醜悪な構図の下で、東電は一体何を望んでいるのだろうか?

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http://www.asahi.com/articles/TKY201311020640.html?ref=com_top6

核ゴミ処分のPR車売却へ 公費4億円、実働199日
2013年11月4日07時25分

【大谷聡】経済産業省は、原発の「高レベル放射性廃棄物」(核のゴミ)を処分する事業を宣伝するために作った自動車を、認可法人「原子力発電環境整備機構(NUMO)」(東京)に売却することを決めた。車の製造・維持に計4億円の公費が投入されたが、車の実働は10年間で計199日。売却先のNUMOの事業費も電気料金で賄われているため、市民の負担は今後も続く。

 売却されるのは、「高レベル放射性廃棄物地層処分模型展示車」。8トントラックを改造したもので、側面から展示スペースが張り出す構造。放射性廃棄物や処分場の模型を積んでいる。

 経産省資源エネルギー庁によると、2002年度に9800万円をかけて製造し、さらに03~12年度の10年間に運営費や改造費計2億9700万円を費やした。原発広報事業の一環で、市民が支払う電気料金がもととなるエネルギー対策特別会計で行われてきた。

・・・・・・・・・。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013110702000102.html

除染下請けに東電系企業 税金で肩代わり 利益は還流
2013年11月7日 朝刊

(ブログ主注: 図「除染を受注した東電の関係企業」の説明は以下の通り。
  ・川俣町(大成JV187億円) アトックス(役員に東電OB) 放射線測定(1次)
  ・田村市(鹿島JV33億円) 東電工業(東電の子会社) 道路など除染(2次)
                    尾瀬林業(同) 森林など除染(2次)
  ・川内村(大林JV81億円) 東電工業 除染(2次)
  ・樽葉村(前田JV338億円) 東京パワーテクノロジー(東電の子会社)
                                              放射線管理指揮監督(1次)
                                              放射線測定(2年連続で1次)
                                              除染(二つの工区・いずれも1次)
                    アトックス 放射線測定(1次))

 東京電力福島第一原発事故で汚染された地域で国が費用を立て替えて進めている除染事業で、東電の子会社や東電OBが役員を務めるファミリー企業が、下請けとして参入していたことが分かった。政府・与党内では、除染を国費で負担する機運が高まっている。汚染の原因をつくっておきながら除染の責任を十分果たそうとしない東電側に、税金による事業で利益をもたらす構図になっている。 (大野孝志)

 こうした実態は、本紙が、発注者の環境省福島環境再生事務所に情報公開請求して得た資料で判明した。

 下請け企業の態勢などが記された八市町村分の資料を見ると、元請けはゼネコンだが、うち四つの市町村で東電のファミリー企業が下請けに入っていた。いずれも一次か二次の上位の下請けだった。

 福島県田村市の除染事業では、発電所保守を主業とする「東電工業」(東京都港区)が道路、山林管理業の「尾瀬林業」(荒川区)が森林をそれぞれ担当していた。両社は東電の100%子会社で、ゼネコンの鹿島を筆頭とする共同企業体(JV)の二次下請けに入っていた。東電工業は川内村の除染でも二次下請けに入っていた。

 両社は今年七月に合併して「東京パワーテクノロジー」(江東区)となり、合併後も、楢葉(ならは)町でゼネコンの前田建設JVの一次下請けに入り、除染作業をしていた。放射線測定も来年三月まで契約している。

 また、東電OBが役員を務める保守管理業「アトックス」(中央区)も、楢葉町と川俣町で一次下請けとして放射線測定を担当していた。同社は全国の原発内に事務所があり、福島第一の事故収束作業もしている。

 除染で国が元請けと契約した金額は、四市町村で計六百三十九億円。ファミリー企業にいくら流れているかについては、各社とも明らかにしなかった。

 総額数兆円にのぼるとみられる除染費用をめぐっては、復興予算で肩代わりしている国に対し、東電は返済を拒否。与党内では、今後の事業に関しては国費で進める案も検討されている。

 発注者の福島環境再生事務所は、本紙の取材に対し、「暴力団や反社会的勢力との契約は認めていないが、それ以外は民間同士の契約なので、特定企業の排除を指示することはできない」と答えた。

<東京電力の話> 東電グループとして住民の一日も早い帰還、安心につながる除染に尽力している。人的、技術的に展開することは重要な使命だ。

<東京パワーテクノロジーの話> 今後も引き続き「福島復興」に貢献できるよう、東電グループの一員として除染に取り組む。

<アトックスの話> 放射線管理の専門知識と経験で「福島復興」の役に立ちたい。復興への参画は、雇用維持の点でも重要だ。

<元請けのゼネコン各社の話> 個別の取引内容なので、回答は差し控えたい。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013110702000123.html

【社説】
原発処理枠組み 国民負担の最少目指せ
2013年11月7日

 政府与党は東京電力福島第一原発の事故処理で国が前面に出る方針だが、安易な税金の投入は許されるはずもない。東電の全費用負担を変えるのなら、破綻処理の方が現実的だ。

 現在の事故処理の枠組みは、当時の民主党政権が二〇一一年八月に成立させた原子力損害賠償支援機構法に基づき、事業者である東電に責任を負わせている。その上で、政府の原子力損害賠償支援機構が賠償や除染費用について東電に五兆円を上限に貸し出し、東電や電力他社に返済させる仕組みであった。

 しかし、東電は除染や廃炉費用を合わせると負担が十兆円を超える可能性があるとして、昨年十一月には国に支援を求めた。だから現状の枠組みは、すでにこの時点で破綻していたのである。

 安倍政権は汚染水問題が東京五輪招致に悪影響を与えかねないと懸念するに及んで、今年九月に四百七十億円の国費投入を決めた。なぜ、それまで国が前面に出ることができなかったかといえば、東電をつぶさず、あくまで民間企業として延命させて事故処理させる枠組みだったからである。

 東電の負担能力は限界に達しているうえ、安全対策の費用にも節約に走る企業体質では、存続させるのはむしろ危険である。政府与党は東電存続にこだわる理由を「賠償や除染費用が出なくなり、金融市場にも混乱を来す」というが、本当にそうか。

 国が前面に出て国民の血税を投入する以上、東電に投資や融資してきた株主、金融機関に負担を求めるのは筋であり、破綻処理して責任を明確化すべきだ。新たな法的枠組みをつくるのは、その後である。それもせず、やみくもに東電存続にこだわるのであれば、東電と政界・官界との癒着や、東電延命のために当局と金融機関とが歩調を合わせているなどと勘繰られても仕方あるまい。

 新しい枠組みとしては、東電を破綻処理したうえで、事故処理や廃炉に専念する原発部門と、事業収益で負債を返済していく発送電部門に分社する方が現実的ではないか。電気事業法で優先弁済を定められた電力債(約四兆四千億円)は全額保護するとしても、借入金については債権放棄を求める。

 原賠機構から東電への貸し出し(交付国債)に伴う利払い費で七百億円近い国民負担が生じているのである。無責任な形で、これ以上の税投入を許してはならない。
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http://www.asahi.com/articles/TKY201311170282.html

東海原発、廃炉先送りへ 解体後のごみ処分場決まらず
2013年11月18日05時57分

【松浦新】国内の商業用原発として初めて廃炉を決めた日本原子力発電東海原発(茨城県)が、来年度から予定している原子炉の解体作業を先送りし、廃炉が遅れる見通しになった。原子炉内の部品や制御棒など、解体後に出る「廃炉のごみ」を埋める処分場がいまだに決まっていないからだ。

 商業用原発では、2008年に中部電力浜岡原発(静岡県)の1、2号機、11年に事故を起こした東京電力福島第一原発(福島県)の1~4号機の廃炉が決まり、5、6号機も廃炉が検討されている。ほかに運転を始めてから30年以上の古い原発も15基あり、「原則40年」で運転を終えるなどして廃炉が相次ぐ見通しだ。だが、いずれも処分場のめどは立たず、廃炉の道筋はできていない。

 東海原発は66年に国内初の商業用原発として運転を始め、98年に運転を終えた。これを受けて政府は、廃炉のため、原子炉内の部品などを「低レベル放射性廃棄物」として50~100メートルの地下に埋める「余裕深度処分」の方針を示した。
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●「戦争の端緒」と「表現の自由は他人の自由を侵害したら自由でなくなる」

2013年11月21日 00時00分10秒 | Weblog


田中龍作ジャーナル』の記事【在特会、敗訴判決を不服 京都ド真ん中でヘイトデモ】(http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008151)。

 「とある暴力集団」=在特会が「海外からの観光客で賑わう京都で・・・・・・異民族を排撃するヘイトデモ」を行ったそうだ。「言論による暴力」「暴力の教唆」を繰り返してきた「とある暴力集団」に対して当然と言えば当然な地裁判決が出されていたのだが、「朝鮮学校襲撃事件で訴えられていたレイシストたちが「ヘイトスピーチは違法である」とした京都地裁の判決を不服として抗議」するために、アジアの国々を含むであろう多くの海外からの御客で賑わう京都でヘイトスピーチデモを行ったそうだ。海外からの観光客の目にはどう映ったのだろうか? 本当に恥ずかしい人たちである。
 田中龍作さんの「表現の自由は他人の自由を侵害したら自由でなくなる」という言葉など全く耳に届かないだろう、きっと。こういった気・凶器・兇器・狭軌・・の行動が如何にアジアの「井戸を濁らせ」、「戦争の端緒」となり得るかを考えると、空恐ろしい。安倍政権や安倍首相、自公議員を支持する市民や無関心な市民が「戦争の端緒」を開こうとしている。

    『●ヘイトスピーチ、自らの言論の自由を狭めている

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http://tanakaryusaku.jp/2013/11/0008151

在特会、敗訴判決を不服 京都ド真ん中でヘイトデモ 
2013年11月4日 21:36

  (歌舞伎でおなじみの京都南座前でもヘイトスピーチが吹き荒れた。
                      =4日午後、東山区 写真:田中龍作=)

 海外からの観光客で賑わう京都できょう、異民族を排撃するヘイトデモが繰り広げられた。朝鮮学校襲撃事件で訴えられていたレイシストたちが「ヘイトスピーチは違法である」とした京都地裁の判決を不服として抗議したのである。

 敗訴したうっ憤 を晴らしたいのか、レイシストたちは豪華絢爛のデモコースを選んだ。

 京都市役所前を出発し河原町通りを南下、四条河原町から東に向きを変え、 四条大橋を渡り八坂神社に行きつくと旋回し、再び四条通りを東進した。

 祇園祭りも顔負けのコースを歩きながら、在日コリアンへの罵詈雑言をまき散らしたのである。警察がこの順路を許可したのが不思議でならない。30人ほどの小規模デモに倍の数の警察官がついた。これも奇異だ。

 先月7日、京都地裁は次のような判決を言い渡した―

   *在特会らの示威活動は児童や教職員を畏怖させ学校の名誉を棄損した。
   *在日朝鮮人への差別意識を世間に訴える意図があり、
            人種差別撤廃条約が定める人種差別にあたる。
   *在特会らは朝鮮学校に1200万円の損害賠償を支払え。
   *在特会らは朝鮮学校の半径200m以内で街宣をしてはならない。

   (カウンターのプラカードまでもがはんなり。いかにも京都らしい。
                             =河原町 写真:諏訪都=)

 海外諸国は多民族共棲が当たり前となっている。異民族排撃は外国人の目にどのように映ったのだろうか?

 京都在住アメリカ人英語教師(30代男性):
   「アメリカには(白人至上主義団体の)KKKがあり彼らにもデモをする
    自由があるが、彼らが言えるのは“We don’t like you”くらいまで。
    “殺す”なんて言うと絶対ストップがかかる。

 カナダ人観光客(女性50代):
   「カナダはたくさんの民族が混じっているので人権が大切なことは
    皆分かっている。“殺す”とか言う言葉は impossible です」。

 ドイツ人観光客(女性60代)
   「表現の自由は他人の自由を侵害したら自由でなくなる。ドイツでは(法律で)
    禁止されている」。

 アイルランド系カナダ人英語教師(京都在住が長い男性30歳):
   「こういうヘイトスピーチは大嫌い。祖父がプロテスタントの旗を持って
    カトリックを攻撃していたのを思い出す」。

   (アイルランド系移民のカナダ人英語教師は、顔をしかめながら
        ヘイトデモを撮影した。=祇園八坂神社前 写真:諏訪都=)

 前出のアイルランド系カナダ人英語教師はこうも語った。
   「京都で教え始めた15年前頃、レイシストたちのデモが騒がしくて授業が
    できなかった。今、それをフラッシュバックのように思い出す。最近また
    (ヘイトデモが)増えているので心配している。問題を認識している人が
    少ないのも心配だ」。

 中国、韓国、北朝鮮に対して強硬な姿勢をとる安倍政権は高い支持率を得る。一方で国民の多く、とくにB層と言われる人々は政治イシューに無関心だ。

 「時代状況が戦前と似てきた」との指摘が目立つようになった。国家をあげて異民族排撃をするようになれば、戦争の端緒となる。歴史を繰り返してはならない。

 《文・田中龍作 / 諏訪都》

   『田中龍作ジャーナル』は読者のご支援により維持されています…
    http://tanakaryusaku.jp/donation
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●「「秘密」は秘密」: 「国家の秘密はときに悲劇を生」んでいた時代に逆戻り

2013年11月20日 00時00分39秒 | Weblog


東京新聞の記事【「秘密」は秘密って ばかな話 作家・沢地久枝さん】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013110402000126.html)と【軍機密、戦後も闇の中 輸送船撃沈 北海道・厚岸海岸】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013111890070431.html)。

 「秘密」は秘密って、そんな恐ろしい法案ってあるのだろうか。たとえ「秘密」の定義や範囲が明らかになったとしても、安倍首相が選んだ、安倍首相お気に入りのメンツでそれを議論するのであれば、いくらでも安倍首相や自公政権に都合良く恣意的に判断できる。こんな「猛毒」は廃案にする以外に道はないが、有権者が自公にフリーハンドを与えてしまい、かつ、与党もどきの野党ばかりで、真に頼れる野党が少数派の現在、事態は非常に悲観的である。

 戦前、「国家の秘密はときに悲劇を生」んでいたそうだ。「終戦前年・・・・・・事件は軍機保護法により軍事機密として伏せられ、うわさした人も同法違反で刑務所に送られ」、さらに、「死んだという事実しか知らされなかった乗船者の遺族は戦後、最愛の肉親の最期の地を求め、三十八年間も道内をさまよった」そうだ。そんな戦前のような時代に、自公の議員やそれを支持する有権者、「維新」や「みんな」のような情けない与党もどきの野党は、引き戻したいらしい。

 森達也さんは特定秘密保護法案が可決されなくても、既に「国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要」とのご意見だ。

   『●森達也さん『国民を騙し続けたこの国には秘密保護法など不要』
   
     「でもアメリカは復元する。ジャーナリズムと国民の知る権利への意識
      あるからだ。日本は復元しない。行ったら行きっぱなしなのだ。
       そんな国で秘密保護法がもうすぐ成立する。どんな状態になるのだろう。
      機密を理由にやりたい放題。とてもとても楽しみだ」

 一方、「密約事件」の被害者西山太吉元毎日新聞記者は「うそをつく人達が作ろうとしている危険な法案」であることを指摘されている。

   『●西山太吉さん密約事件が示すもの:
          「一人歩きし、拡大解釈され、時の権力によって必ず乱用される」
   
     「「首相のウソを暴いた西山太吉さん。それが今後できなくなる」
      (佐高信さん、10月13日『サンデーモーニング』)。また、「西山事件が
      示している通り、必ず一人歩きする。拡大解釈される。その時の権力に
      よって必ず乱用される」(岸井成格さん、同番組)」
     「「公務員法でも政と官がその気になれば、
      ジャーナリストなんぞ簡単に逮捕できるということ」だったが、
      それ以上の強力な「猛毒」を安倍首相や自公議員は欲しいらしい。
      自公議員への投票者や支持者は、そんな「猛毒」をどう思っている
      のでしょう?」

   『●西山太吉さんが喝破、「うそをつく人たちが作ろうとしている危険な法案」
   
    「西山太吉さん曰く、「政府に都合が悪い情報が、永久に秘密にされる恐れが
      あることだ。・・特定秘密の指定から30年たっても内閣が承認すれば
      無期限に指定を延長できる。国には昔から情報を国民に隠す体質があるが、
      法案が成立すれば隠蔽される情報の範囲がさらに広がる。
      秘密国家の誕生につながりかねない、恐ろしい法律」。そして、
      安倍晋三首相や麻生太郎外相らのような「うそをつく人たちが作ろう
      としている危険な法案」と喝破」

   『●特定秘密保護法案:
       「うそをつく人たちが作」る猛毒を「いい内容に仕上がっている」認識とは!?

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013110402000126.html

「秘密」は秘密って ばかな話 作家・沢地久枝さん
2013年11月4日 朝刊

 機密を漏らした公務員らへの罰則を強める特定秘密保護法案に、強い懸念が広がっている。一九七二年の沖縄返還をめぐる日米密約を、著書で取り上げたノンフィクション作家沢地久枝さん(83)は「この法律が成立したら、密約の当時よりもっとひどいことになる。憲法がどんなことを定めていても全部吹っ飛ぶのではないか」と憂える。

 「とんでもない法案だとあきれました。こんなに内容が分からない法案は初めて見た。具体的な部分で『政令で定める』と書いてある箇所がいくつも出てくる。政令は、政府がいくらでも出せるものです」

 特定秘密とは、安全保障に著しい支障を与える恐れがあって特に秘匿する必要のある情報で、防衛相ら行政機関トップが指定する。「一般の人には、自分が特定秘密に触れているのか分からない。文章を書く人が取材した後、これは特定秘密だと言われたらアウト。特定秘密の秘密とは何ですかと聞いても『それは秘密です』なんて、こんなばかな話はない」

 政府は今国会中の成立を目指しているが「戦争中の法律よりひどいのではないか。当時、軍事機密に触れるようなことは一般の人も予測できた。今度の場合、想像ですが、何が特定秘密かはだいたい米政府との話し合いで決まるのではないか。今急いでいる理由は、日米関係を特に軍事面で円滑にするため、日本はこうしますという約束を米国に見せようとしているんだと思いますね」

 沖縄返還の日米密約に迫った新聞記者が逮捕された外務省機密漏えい事件を、著書「密約」で取り上げ、密約の文書開示請求訴訟にも原告として加わった。「法案が成立すれば警察国家のようになる。特定秘密の保護措置として警察庁長官はいろんなことができる。戦争中の日本人は『警察ににらまれたらまずい』と思いながら話していた。そういう時代に戻る可能性が非常に大きい」

 罰則で、公務員らが特定秘密を漏らすと最高十年の懲役に、漏らすよう働き掛けた場合も五年以下の懲役となる。「公務員は恐ろしくて何も言わなくなるし、情報提供を受ける側も取材しにくくなる。おかしいと思うことを調べ、社会のためだと思って発表しても、特定秘密を公にしたと認定されれば罪に問われるかもしれない。記者やライターがさらし者になり、公務員も被告になるのです。われわれがこれも特定秘密かと用心深くなっていけば、この国の言論は窒息します。それが法案の狙いかと思います」

 法案は、平和主義や国民主権、基本的人権の尊重という憲法の基本原理に対する反動とも指摘する。「明らかな憲法違反です。米国の戦略の中で戦争に向かう約束をしても、秘密といえば分からない。この法律が通った瞬間に日本は別の国になるそれほど悪い法律で、憲法を変えなくても何でもできる。憲法九条や九六条を変えると言えば反論できるが、特定秘密の内容には反論できない」

 安全保障に関する情報を守るのが目的としているが「安全保障自体がはっきりしたものでないから、どれがその情報か分からない。みんな特定秘密にしてしまえば国は答えなくていいし、憲法も無視できる。こんな法律のある国を、次の世代に渡せますか」。

   ×   ×

 さわち・ひさえ 三〇年東京生まれ。中央公論社を経て「妻たちの二・二六事件」でデビュー。「火はわが胸中にあり」で日本ノンフィクション賞。ミッドウェー海戦の克明な調査で菊池寛賞。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013111890070431.html

軍機密、戦後も闇の中 輸送船撃沈 北海道・厚岸海岸
2013年11月18日 07時06分

 国家の秘密はときに悲劇を生む。終戦前年の一九四四年、北海道近海で二千数百人の陸軍兵を乗せた輸送船「日連丸」が米軍に沈められた。事件は軍機保護法により軍事機密として伏せられ、うわさした人も同法違反で刑務所に送られた。死んだという事実しか知らされなかった乗船者の遺族は戦後、最愛の肉親の最期の地を求め、三十八年間も道内をさまよった。 (飯田孝幸)

 北海道・釧路港から東に約五十キロ。厚岸(あっけし)町の海岸近くにある正行寺(しょうぎょうじ)に一九八二年七月初旬、釧路市役所から電話が入った。「日連丸の遺族が遺体の漂着した場所を探している。何か知りませんか」。当時住職だった朝日正芳さん(95)の脳裏に、家族にも長年秘してきた出来事が浮かんだ。

 四四年三月十八日夜、寺の周囲にはまだ雪が残っていた。突然現れた憲兵が、負傷者を寺に収容することを告げる。すぐに四十人近い負傷者と数体の遺体が納骨堂に運び込まれた。

 彼らは日連丸の数少ない生き残りだった。二日前、千島に向けて釧路港を出発したが二時間後に潜水艦に撃沈された。大本営は日本軍の「快進撃」を発表している。日本近海まで米軍が迫っていることを国民に伏せるため、日連丸の沈没は軍事機密となった。

 負傷兵は人目に触れないよう正行寺に運ばれた。正芳さんは「憲兵が常駐し、負傷兵とは一切口を利くことができなかった。私たちは外出も許されなかった」と振り返る。

 やがて、近くの海岸にも遺体が何体も漂着。磯漁のシーズンだったが、地元の人たちは海岸から閉め出され、口を閉ざした。「せき払い一つできない、がんじがらめの時代だった」と正芳さん。釧路では船舶会社の役員ら二人が、日連丸沈没のうわさ話をしたとして逮捕され、実刑判決を受けた。

 日連丸の兵士らの遺族が戦死を知るのは三カ月後。届けられた白木の箱に遺骨はなく、戦死公報に「北方海域にて戦死」とだけ書かれていた。

 戦後、遺族たちは夫や父親の最期を知ろうと、わずかな手掛かりを頼りに北海道内を尋ね歩いた。夫を亡くした仙台市の志田すえのさんはある日、探し疲れて「夢でいいから、どこにいるか教えて」とつぶやいた。同じく夫を亡くした佐久間つねさんと長男の博信さんも、仙台市から何度も釧路を訪れた。

 八二年七月、博信さんは会社を一週間休んで釧路に。最終日、市役所を訪ねると、担当者は「遺体を収容したことがあるかも」と、市内の全ての寺に電話してくれた。念のため近くの厚岸町にも広げたところ、正行寺にたどり着いた。地元紙などに報道され、一気に情報が集まった。

 「厚岸の海と多くの人が、私たちが来るのを四十年間待っている」。母の言葉に押され博信さんは八四年、正行寺で慰霊法要を行う。四年後、遺族らは太平洋を見下ろす愛冠(あいかっぷ)岬に慰霊碑を建立した。

 再び、国家が秘密を定める特定秘密保護法案の審議が国会で進められている。志田さんと佐久間さん、博信さんはすでに亡くなったが、日連丸遺族会の事務局を務める志田さんの長男辰継(たつつぐ)さん(69)は「何でも秘密にする時代じゃない。あんな時代にもどるべきじゃない」と静かな口調で話した。

<軍機保護法> 1899(明治32)年に制定された。条文は8条だけ。軍事秘密の探知・収集、職務上あるいは偶然知り得た軍事秘密の漏えい、防衛施設の撮影・模写などを禁止した。1937年に改正され、秘密の種類・範囲を明確化する一方、軍事上秘密にする必要のある地域への立ち入り制限を可能にし、スパイ団の編成を処罰できるようになった。

(東京新聞)
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●「官僚司法とその提灯持ちは改革を拒否し続けている」・・・冷たい司法が続くわけだ

2013年11月19日 00時00分55秒 | Weblog


『前田朗Blog』の記事【最新の刑事訴訟法教科書に学ぶ】(http://maeda-akira.blogspot.ch/2013/11/blog-post_6.html)。

 「最高裁事務総局をはじめ、法務・検察も、刑事法学の主流派も、現在の刑事訴訟がよいものであり、基本的に正しいと開き直っている代用監獄をはじめとする「人質司法」、拷問その他の残虐な行為だらけの人権侵害司法死刑冤罪をはじめとする誤判を、まともに反省すると大改革をしなければならないが、官僚司法とその提灯持ちは改革を拒否し続けている」・・・・・・そうだ。

 「人質司法」だけでも、

   『●『だまされることの責任』読了(1/3)
   『●『官僚とメディア』読了(3/3)
   『●冤罪が増幅されはしまいか?
   『●検察審査会の「起訴相当」: 郷原信郎さんの発言
   『●遠隔操作ウィルス冤罪事件: 「2人は自白まで」させられた
   『●忘れられた最高裁国民審査
   『●冤罪(その2/2): せめて補償を

ざっとこんな感じ。
 そして、「死刑冤罪」も、

   『●『冤罪File(No.06、2009年6月号)』
   『●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない
   『●死刑という制度: 「吊るせ、吊るせ」の合唱で何か状況は変わるのか?
   『●冤罪死刑囚の死を待ち、責任を逃れようとする冷酷な人々
   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                          ・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず
   『●飯塚事件の久間三千年さんと福岡事件の西武雄さん

といった感じ。
 「官僚司法とその提灯持ちは改革を拒否し続けている」なんて、本当に冷たい司法である。

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http://maeda-akira.blogspot.ch/2013/11/blog-post_6.html

Wednesday, November 06, 2013
最新の刑事訴訟法教科書に学ぶ

内田博史編『歴史に学ぶ刑事訴訟法』(法律文化社)――編者とその仲間たち(主に九州大学大学院出身の刑事法学者)による新しい刑事訴訟法の教科書である。序章から10章まで、全部で11章を分担執筆している。毎日1章ずつ読んだ。よくある分担執筆本と違って、各章の叙述が、文字通り「歴史に学ぶ」という問題意識に貫かれていて、いずれも高い水準となっているので、読み応えがある。近代日本の刑事訴訟法の歴史的教訓をいかに受け止め、いかに反省して、より良い刑事訴訟法に発展させていくのかという観点だが、それは現在の支配層には全くない観点である。最高裁事務総局をはじめ、法務・検察も、刑事法学の主流派も、現在の刑事訴訟がよいものであり、基本的に正しいと開き直っている。代用監獄をはじめとする「人質司法」、拷問その他の残虐な行為だらけの人権侵害司法、死刑冤罪をはじめとする誤判を、まともに反省すると大改革をしなければならないが、官僚司法とその提灯持ちは改革を拒否し続けている。本書は、そうした現状を歴史的にとらえ返して改革の道を探る。また、日本国憲法の基本的人権規定を正しく解釈して、刑事訴訟法の解釈を行う姿勢も鮮明である。国際人権法にも学びつつ、国際水準に照らして恥ずかしくない司法を模索する。執筆者の多くとは、長年、研究会で一緒だったので顔を思い浮かべながら読んだ。とても勉強になる1冊だが、一番の疑問は本書の読者層だ。教科書なので、まずは学生だが、学部学生には水準が高すぎる。普通の教科書を2~3冊読んだ専門ゼミの学生ならなんとかこなせるのだろうか。法科大学院向けでもないだろう。研究者養成の大学院生には向いているだろう。もちろん、刑事法学者、検察官、裁判官、弁護士も主要な対象ではあるだろうが、読む気のないのがたくさんいそうだ。たぶん、私が一番適切な読者だ。SAN CARLO, Ticino,2009.

Posted by前田朗at12:26 AM
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●「世紀の大悪法 特定秘密保護法案」 『週刊金曜日』(11月15日、968号)についてのつぶやき

2013年11月18日 00時00分59秒 | Weblog


週刊金曜日』(2013年11月15日、968号)について、最近のつぶやきから、AS@ActSludge。

 今週のブログ主のお薦めは、青井美帆氏【日本が「法治国家」ではなくなる 統治機構のバランスが崩れ三権分立が消滅】、「軍無き国に軍事機密なし」。筑紫哲也さん(文責 編集部)【超訳 「特定秘密保護法」が子分を連れてやってきた】と横田一さん【新潟県で東電の福島原発事故検証がスタート 地震か津波か、原因に切り込む】。

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■①『週刊金曜日』(2013年11月15日、968号) / 「世紀の大悪法 特定秘密保護法案」。横田一さん【新潟県で東電の福島原発事故検証がスタート 地震か津波か、原因に切り込む】。自然の災害ではなく、人災でしょう!(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/a3ffb87aa63324f861c829d0357d4721

■②『週刊金曜日』(2013年11月15日、968号) / 編集部【練馬区民が閲覧制限請求に抗議の署名提出 『はだしのゲン』を隠すな】、神田香織さんと佐高信さん、「・・を隠して、どんな子どもを育てたいのか、どんな社会にしたいのか」? (http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/6be86bd9ca068a1948302f1e349f8664

■③『週刊金曜日』(2013年11月15日、968号) / 落合恵子さん【風速計/言葉が欲しい】、「分からない三〇%賛成八%に驚く、「会場とはまったく別の風が、外では吹いている・・」。ウソをつく人達の作る猛毒など許してはいけない(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/48272cd76b5adc03ece0c6295eef6308

■④『週刊金曜日』(2013年11月15日、968号) / 小倉利丸さん【「スノーデン問題」を闇に葬るな 米諜報機関は日本で何を行ってきたか】、「実態は何も判っていない」「本人への聴取は不可欠」「なにをさておいても、スノーデンから話を聞かなければならない」

■⑤『週刊金曜日』(2013年11月15日、968号) / 村上和巳氏【東電が5カ月ぶりに公開した福島第一原発 危険な4号機燃料棒取り出し作業がはじまる】、「1年続く取り出し作業」「増える撮影禁止場所」。恐ろしい神頼み作業がはじまる・・(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/24d458cb16a2c7c82eaeadd12df9d664

■⑥『週刊金曜日』(2013年11月15日、968号) / 【西川伸一の政治時評/三権分立を理解していない議員に司法はなめられている 裁判所は「闘う司法」であれ】。【竹信三恵子の経済私考/生活扶助引下げの根拠「物価指数」に仕掛け 統計や報道まで操作しようとするこの政権のゆがみ

■⑦『週刊金曜日』(2013年11月15日、968号) / 編集部【あなたがテロリストにされる日】、「「国家の安全」優先」「完全な警察国家になる」「私たちが大切にしてきた民主主義」「国際平和」「主権在民」が、消し去られようとしている」。猛毒(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/48272cd76b5adc03ece0c6295eef6308

■⑧『週刊金曜日』(2013年11月15日、968号) / 三宅勝久さん【「広報」を通さないと刑務所送り!? 元情報保全隊長が法廷で漏らした記者監視という任務】、「「働きかけ」を監視」「記者も調査対象に」「あらゆる官庁が情報収集」。こんな法案が通ってしまうと・・(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/a38306f4b58e0871400154b303996c38

■⑨『週刊金曜日』(2013年11月15日、968号) / 青井美帆氏【日本が法治国家ではなくなる 統治機構のバランスが崩れ三権分立が消滅】、「軍無き国に軍事機密なし」「裁判官も議員も処罰対象」「「うるさい市民」を監視」「自由を下支えする9条」。日本は既にそんな法案は不要な状況かも?(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/4beb72bb9c24264018e095a5e1c5218f

■⑨『週刊金曜日』(2013年11月15日、968号) / 筑紫哲也さん(文責 編集部)【超訳 「特定秘密保護法」が子分を連れてやってきた】、「不当な秘密があったとしても、秘密は秘密」「政治家のスキャンダルは一切後を絶った」。(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/2e3d95d5ba4ab46702523623d4b8dd04

■⑩『週刊金曜日』(2013年11月15日、968号) / 宇都宮健児さん【黒風白雨26/情報公開は民主主義の「通貨」である】、「政府がなさねばならないのは、情報公開を徹底することでありそのための情報公開法の改正であるはずである」。(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/b2db1d90312dd74e39c7492159840a78

■⑪『週刊金曜日』(2013年11月15日、968号) / 【伊藤千尋の国際時転/米国 他国指導者や市民への盗聴・通信傍受が発覚 各国が抗議し米国市民による盗聴反対デモも】

■⑫『週刊金曜日』(2013年11月15日、968号) / みわよしこ氏【あまりにも危うい「両刃の刃」 国会に再提出された生活困窮者自立支援法案】。永六輔さん【無名人語録/トイレの無いマンション・・でもそんなきれいごとじゃありません。もっとはっきり言いましょう。ウンコだらけのマンション】

■⑫『週刊金曜日』(2013年11月15日、968号) / 明石昇二郎さん【日本は韓国の手厚い被害者救済を見習うべし 「枯葉剤」を浴びた兵士たちの今】、「晩発性疾患も「被害」」「疑わしきは救済」。枯葉剤と放射能(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/826f81f88c49f5fc553712714d3291b2
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●東京電力原発人災4号炉問題・・・・・・「まさに『神頼み』」、それほど危険な作業

2013年11月17日 00時00分01秒 | Weblog

asahi.comの記事【東電4号機燃料棒の恐怖 東日本を再び放射能汚染が襲う悪夢】(http://astand.asahi.com/webshinsho/asahipub/weeklyasahi/product/2013102800002.html?ref=comtop_btm)。

 この記事でも、「作業は約1年。この間、強い地震や地盤沈下が起こり、クレーンでつり下げた崩壊熱を帯びた燃料棒が落下したら。移動先の共用プールの強度も懸念される……」と、東京電力の「万全」神話に懸念が示されている。世界で初めてのこの恐ろしい作業、原発に疑念を持つ世界中の人達が固唾をのんで視ている。「まさに神頼み』」なのだが、東電に「万全」な作業を任せていて大丈夫なのか・・・・・・本当に怖い。自公議員やその投票者・支持者はその恐怖に気付いているのだろうか?

   『●原発人災は続いている: 小出裕明さん、日本は「お終いです」
   
     「どこが「収束」宣言なのか。怒り心頭、そして、ゾッとした。爆発〝事象〟の
      なかった福島第一原発4号炉の燃料プールが〝宙ぶらりん〟になっている
      問題。地震・余震が続くなか、危機は続いている。原発人災は続いている。
      市民はそこに目をつむり、マスコミは覆い隠し、原子力ムラの住人は
      口をつぐみ、原発再稼働・原発建設再開・原発輸出をするという。
      〝犯罪者〟は刑務所に入ることさへない」
     「<その何年という間に建物を壊すような地震が来たら
      おしまいです」

   『●東京電力原発人災4号炉問題・・・・・・
             「「UFOキャッチャー」作戦」、想像しただけでゾッとする
   『●「宙吊り」下の「広島原爆が撒き散らしたセシウム137の
                          14000発分」を「UFOキャッチャー」・・・

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http://astand.asahi.com/webshinsho/asahipub/weeklyasahi/product/2013102800002.html?ref=comtop_btm

東電4号機燃料棒の恐怖 東日本を再び放射能汚染が襲う悪夢
2013年11月08日

 福島原発事故後、多くの専門家らが危惧してきた4号機の燃料棒1533本の溶融。東電は2013年11月、倒壊の恐れがある建屋最上階の使用済み燃料プールから、ようやく燃料棒の取り出し作業を始める。作業は約1年。この間、強い地震や地盤沈下が起こり、クレーンでつり下げた崩壊熱を帯びた燃料棒が落下したら。移動先の共用プールの強度も懸念される……。東電は「約束を守らずウソをつく」「(借金の問題で)きちんとした判断ができなくなっている」。泉田新潟県知事の疑念とともに、最悪事態の可能性を探る。

◇第1章 世界で初めて事故機から取り出し開始
◇第2章 「東電まかせではまた事故が起こる」 再稼働のキーマン、泉田裕彦新潟県知事が激白!



第1章 世界で初めて事故機から取り出し開始

 10月25日の東京電力の定例記者会見で、本誌記者の質問に、今泉典之・原子力・立地本部長代理は、表情を硬くした。
 「燃料棒を下ろしてくる過程において、実際に落下した場合。地元の皆様も、大変に心配しているところかと思います。そういったことは、私どもの対策としては、絶対に避けなければならない事象です」
 東電がここまで明白に恐れる『事象』とは、早ければ11月8日にも始まる福島第一原発4号機の使用済み燃料プールの燃料棒の取り出し作業についてだ。
 東日本大震災当時、停止していた4号機では、1~3号機と違いメルトダウンは起きていない。その代わり、水素爆発でグチャグチャに吹き飛んだ建屋の上部にある燃料プールに、1533体もの燃料棒が残されたままになっている。
 建屋が倒壊する恐れもあり、取り出しは急務だ。プール上に急造されたクレーンなどの装置で燃料棒を取り出し、4号機から約50メートルの距離にある共用プールに移す。プールからの移動は原発事故前にも行われていたが、事故で破損した不安定な原発での作業は世界初で、『未知の世界』だ。
 事故前に燃料棒の移動に携わっていた元大手原発メーカー社員が語る。

   「作業には熟練の技術が必要。まず水中で機器を操作し燃料棒を数十体ずつ
    キャスクという金属容器に詰める。燃料棒をちょっとでも水から露出させたら
    作業員は深刻な被曝を強いられる水中で落下させて燃料を覆う金属の管が
    破れても汚染は深刻フロアの全員退避は避けられない

 無事にキャスクに詰めたら、今度は大型クレーンで空中に吊り上げ、専用トレーラーに載せて共用プールまで移動。そこで取り出しとは逆の工程を行い、燃料棒をプールに収める。
 ここが、最大の難関だという。クレーンで吊っている最中に大地震など不測の事態が起きた場合、約100トンもあるキャスクが地上に落下する恐れがあるのだ。
 廃炉工程を検証している「プラント技術者の会」の川井康郎氏が指摘する。

   「キャスクが落下して破損し、中の燃料が露出したら、大量の放射性物質が
    放出される。作業員はもう近づけません。燃料棒はまだ崩壊熱を帯びており、
    本来は常に冷やし続けなければならない。長時間放置すると燃料が
    溶融する可能性があります。こうなると燃料の回収は困難になり、
    作業全体が頓挫してしまう」

 むき出しになった燃料は、「人間が近づけば即死」(原子力工学の専門家)というすさまじい放射線量だ。こうなると、1~3号機のメルトダウンに匹敵する深刻な危機に直面する。
 東電の今泉本部長代理によれば、キャスクは事前に落下試験を行って頑丈さを確認しているが、実際の作業では試験以上の高さまで吊り上げるという。

   「落ちれば当然、何らかの破損があることは想定される。ワイヤを二重に
    するなど、落下させない対策をしっかりやる」(今泉氏)

 だが、東電はこんな危険な作業を、4号機だけでも2014年末まで、約1年間も延々と続けなければならないのだ。
 それならやめればいいかというと、そうはいかない。4号機の建屋は、今も地震や地盤沈下による倒壊の危険があるからだ。
 プールが壊れて1533体もの燃料がむき出しになった場合放出される放射性物質はチェルノブイリ事故の約10倍ともいわれる東日本に人が住めなくなると言われる最悪の事態。作業が頓挫して現場に近づけなくなれば、危機を解決する手段が失われてしまうのだ。

   「危険な作業でも、やらねばならないのは確か。われわれの命にかかわるので、
    作業の映像を全公開してほしい」(前出の川井氏)


◎本当に怖いのは炉よりもプール
 先の原発メーカー元社員は、記者の前で手を合わせて拝むしぐさをしながら、こう語った。

   「まさに『神頼み』。私が携わった通常の取り出し作業は年に数回なので、
    地震の確率は『ないもの』として無視していた1年もの長丁場で、大地震が
    起きない保証はない。原発の最大の恐怖は原子炉ではなく、大量の
    放射性物質が格納容器にも守られずに1カ所に集まった燃料プールなんです」

 そして無事に1533体を運び終えても、問題が解決したわけではない。
 1~3号機のプールにはさらに計約1500体の燃料がある。燃料を運び出した先の「共用プール」は、6千体以上の燃料棒で満たされたままだ。作家の広瀬隆氏がこう語る。

   「共用プールも、いつ余震でヒビが入り水が漏れだすかわからない。
    プールに移すのではなく、水を使わない『乾式キャスク』に入れて地上で
    保管するように東電に求めているのですが、聞く耳を持ちません・・・」

・・・・・・・・・。
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●「真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」・・・我国に真の文明は?

2013年11月16日 00時00分58秒 | Weblog


2か月前の東京新聞の社説【田中正造、百年の問い 足尾鉱毒と福島原発】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013090202000123.html)。

 山本太郎氏の手紙「事変」(※)でもお名前の出た田中正造さん。壊憲党の議員が、批判的な文脈で田中正造さんのお名前を出すのですから、呆れます。

     (※国語辞典によると「事変」とは、「 天変地異や突発的な騒動などの、
       非常の出来事。変事。 警察力では抑えきれず、軍隊の出動を
       必要とする程に拡大した騒乱。 宣戦布告なしに行われる国家間の
       戦闘行為。「満州―」」だそうです。皮肉を込めて・・・)

   『●呆れた!! 自公議員が、どの口で「憲法違反」を叫ぶのか!?
                         そして、国会は一体何をやってきたのか?
   『●自ら投げた「政治利用」というブーメランを受け止めず(無自覚)、
                                山本太郎氏を批判する愚

 さて、その社説から。
  
   「時の政府はどうでしょう。・・・・・・根本解決を図ろうとはせずに、
    夏になると田んぼを真っ白に覆ったという鉱毒を巨大な溜池(ためいけ)を
    造ってその底に沈殿させ、封じ込めようと考えました。・・・・・・湖底に
    積もった毒が、取り除かれたわけではありません。・・・・・・国策の犠牲、
    大企業や政府の不作為、ふるさとの喪失、そして汚染水…。渡良瀬、
    水俣、そして福島の風景は重なり合って、この国の実像を今に突きつけます」。
   「田中正造よ、よみがえれ、そう念じたくもなるでしょう」。

 足尾銅山渡良瀬谷中も、水俣も、福島も似ています。

 最後に、「晩年の日記に残る鮮烈な一節。「真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」」。我が国に「真の文明」はあるのでしょうか?

   『●田中正造「「私欲と奸悪」が原因の人災」
   『●田中正造さんと自公議員を比較しても仕方のないことだけれども・・・
   『●田中正造さん没後100年
   『●田中正造さんと安倍晋三首相と小泉純一郎元首相

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013090202000123.html

【社説】
田中正造、百年の問い 足尾鉱毒と福島原発
2013年9月2日

 田中正造。足尾鉱毒と生涯をかけて闘った。四日はその没後百年。正造翁が挑んだものは、水俣病や福島原発の姿を借りて、今もそこにあるようです

 渡良瀬遊水地の三つの調整池のうちただ一つ、普段から水をたたえた谷中湖は、巨大なハートのかたちをしています。

 そのちょうど、くびれの部分が、旧栃木県谷中村の名残です。前世紀の初め、遊水地を造るために廃村にされながら、そのあたりは水没を免れました。

 ヨシ原と夏草に埋もれたような遺跡の奥に分け入ると、延命院というお寺の跡に、古びた赤い郵便受けが立っていて、その中に一冊のノートが置かれています。


「連絡ノート」は記す

 谷中村の遺跡を守る会の「連絡ノート」。ご自由にあなたの思いを書き込んでくださいと一九九四年に置かれて以来、十七冊目になりました。前夜の雨に湿ったノートをめくってみます。

 <5月19日。福島の原発や避難区域に指定されている集落が第二の谷中村にならないことを、ただただ願うばかりです>。東京都品川区の人。

 <6月30日。日本近代の公害の原点、谷中の歴史を学び、水俣と谷中を結び、真の文明を未来へつないでいくことを約束します。水俣病事件の受難者に寄り添いながら>。熊本県水俣市の人。

 どちらも丁寧な筆跡でした。

 原点の公害。それが足尾鉱毒事件です。

 現在の栃木県日光市にあった足尾銅山は明治期、東アジア一の産出量を誇っていた。当時の銅は主要輸出品。増産は国策だった。

 ところが、精錬時の排煙、精製時の鉱毒ガスが渡良瀬川上流に酸性雨を降らし、煙害が山を荒らした。そのため下流で洪水が頻発し、排水に含まれる酸性物質や重金属類などの鉱毒があふれ出て、汚染水が田畑を荒らし、人々の暮らしと命を蝕(むしば)んだ。

 栃木県選出の衆議院議員として、それに立ち向かったのが、田中正造でした。

 正造は明治憲法に保障された人権を愚直なまでに信奉し、十一年に及ぶ議員活動の大半を鉱毒問題に費やした。

 議員を辞職したあとも、困窮する住民の救済を訴え、一命を賭して明治天皇に直訴した。活動に私財を投じ、死後残した財産は、河原の石ころと聖書、憲法の小冊子。清貧の義民は、小学校の教科書にも紹介されて名高い。


重なるふるさと喪失

 時の政府はどうでしょう

 煙や排水を止めさせて、根本解決を図ろうとはせずに、夏になると田んぼを真っ白に覆ったという鉱毒を巨大な溜池(ためいけ)を造ってその底に沈殿させ、封じ込めようと考えました。それが谷中湖です。

 足尾閉山から今年でちょうど四十年。湖底に積もった毒が、取り除かれたわけではありません。東日本大震災の影響で、渡良瀬川下流から基準値を超える鉛が検出されたのも、偶然とは思えません。

 国策の犠牲、大企業や政府の不作為、ふるさとの喪失、そして汚染水…。渡良瀬、水俣、そして福島の風景は重なり合って、この国の実像を今に突きつけます

 田中正造よ、よみがえれ、そう念じたくもなるでしょう。でも、私たちが求めるものは、それだけですか。

 去年正造の伝記小説「岸辺に生(お)う」を上梓(じょうし)した栃木県在住の作家水樹涼子さんは「万物の命を何よりも大切に思う人でした」と、その魅力を語ります。同感です。

 晩年の日記に残る鮮烈な一節。「真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし

 それだけではありません。「少しだも/人のいのちに害ありて/すこしぐらいハ/よいと云(い)ふなよ」という狂歌などにもそれは明らかです。


私たち自身で出す答え

 お金より命が大事、戦いより平和が大事…。原点の公害を振り返り、今学び直すべきことは、何よりも命を大切にしたいと願う、人間の原点なのではないか

   「みんな正造の病気に同情するだけで、正造の問題に同情しているのではない
    おれは、うれしくも何ともない」

 長年封印されてきたという正造最期の言葉です。

 意外でも何でもありません。そもそも誰の問題か。百年の問いに答えを出すべきは、私たち自身なのだということです。
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コメント
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