Death & Live

いわゆる日記とは違うようで。死に様や心の疲労について、つれづれなるままに書き綴るだけ。

内側から語る「高次脳機能障害」

2006-04-25 00:00:52 | 言葉・本
どんな人にもプライドはある。
にも関わらず、いとも簡単に人のプライドを傷つける人もいる。

以下、高次脳機能障害を障害者自身の視点から書かれた著書からの引用。

 高次脳機能障害では、子どもでもできるような簡単なことができなくなったり、思ったことをうまく表現できなくなるケースがよくある。だからといって、知能や精神まで子どもに戻るわけではない。
 ・・・・・・・・・ 
大人としてのプライドは、心の中にしっかりと残っている。どなられれば悲しいし、どうせ聞こえないだろうとベッドサイドでいやみを言われれば悔しい。人間としての誇りまで、どこか遠い過去に置き忘れたわけではないのだ。それを守るために、私たちは自分の障害と向き合い、落ち込みながらも、なんとかがんばろうとしている。そこのところをわかってもらいたい。ひとりの人間として扱ってもらいたい。


後遺症で文字を書くことが困難だった著者が、ある教授の高次脳機能障害について書かれた本に感激し、必死の思いで手紙を書いた。
↓その教授は確かに "わかっている人" だったことが返事を読んで確信された。

「あれだけの長文、さぞかし大変だったでしょうに」と書かれていた。
「わかっている人」でなければ、そうは書かない。わかっていない専門家は、トンチンカンな失敗を繰り返す高次脳機能障害の患者が、「自分」というものを持っていることさえ知らない。そういう相手に、「大変だった」という感情があるとは思っていない。

↓更に、著者の母親はこう考えていた。

 東京で初めて脳出血を起こしたとき、母はそれがいかに私が不まじめで、ふとどきな人間であるかの証明だと、私を責めた。親に隠れて何かをしたことへの、天誅だと言う。

『壊れた脳 生存する知』
著者:山田規畝子


人は死ぬために生きている。
死に意味を持たせるために、必死に生きている人々の気持ちを、踏みにじるようなことだけはしたくない。