Death & Live

いわゆる日記とは違うようで。死に様や心の疲労について、つれづれなるままに書き綴るだけ。

小説 『スリーパーズ』 より

2006-03-31 22:28:36 | 死・自死
当時のアメリカ合衆国がここにある。

 やがてオハイオのケント州立大学でデモに参加した学生たちが殺されたり、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアやロバート・F・ケネディ上院議員が暗殺されたり、ジョージ・ウォレス知事が背骨に凶弾を受けたりといった大きな事件が、相次いで起きるようになる。
 アメリカじゅうの都市が熱い炎に包まれ、焼かれようとしていた。
 フリー・セックスがファッションのようになろうとしていた。
 麻薬が常習者だけの問題ではすまなくなろうとしていた。
 アメリカそのものが時限発火装置のついた爆弾になろうとしていた。

・・・・・・・・・・

 人生で簡単に手に入れられるのは死だけだ。それはヘルズ・キッチンで子供がまず最初に学ぶ教訓のひとつだった。



原題 : SLEEPERS
作者 : ロレンゾ・カルカテラ

映画 『永遠のハバナ』

2006-03-30 22:54:31 | キューバ&チェ・ゲバラ
『永遠のハバナ』 2003年 Fernando Pérez監督

去年の4月に観た。一年て速いね、まったく。

 レイトショー & ドキュメンタリーだった上に、数週間の寝不足が重なってしまい、眠くならないほうがウソでして、やはり後半少しウトウトしてしまった。

 そうは言っても、キューバ好きなので、あの熱い太陽の下、ハバナの旧市街を歩き回った風景を思い出しながら、いい感じに楽しめた。

 映画はいわゆる純粋なドキュメンタリーではなく、かなり作り物の要素も多かった。
 決して裕福ではないけれど、生きることを楽しんでいる。確かにキューバ人を見ているとそう思える。しかし、そんな生活を楽しめずにアメリカ合衆国への移住を夢見る人が多いのも事実。
 映画はほのぼのとしすぎていて、作り物感が否めなかった。
 マレコン通りに打ちつける波しぶきと主演の少年の笑顔だけは、本物だったけど。

 声も出さず、ただ黙ってピーナッツの包みを差し出すピーナッツ売りのおばあちゃん。教会でチェ・ゲバラのコインを「子供のミルク代」と言ってやや強引に売ろうとする女性。観光客相手に葉巻を斡旋するナンパ男。それもキューバの現実。

 そんなもこんなも全部ひっくるめて、またキューバに行きたくなった。

 Filmの最後の最後に出てくるのが、ピーナッツ売りのおばあちゃんのコメント。
「 夢? ......今はもう無い。 」

 これが悟りなのだろう。

不法移民対策抗議デモの不思議@アメリカ合衆国

2006-03-29 23:29:15 | キューバ&チェ・ゲバラ
 先週末、不法移民取締法案に対する抗議のデモが全米各地であった。
 このデモは、アメリカ合衆国経済を底辺で支えている不法入国者たちが、いつかは市民権を得られるのではと叶わぬ夢を持ちながら暮らしていたところに、夢が叶わないどころか、重罪になるという法案に抗議するものだった。

 デモはいい。でも、その記事と共に載せられていた写真に疑問を持った。
 星条旗やメキシコの国旗はわかる。しかし、ちょっと見にくいかもしれないが、左の隅にチェ・ゲバラの肖像が見えるじゃないか。あの有名な "ゲリラ・ヒーロー" の写真だ。
 
 チェ・ゲバラは世界的な有名人だから、今さら説明は不要だと思うし、既に私の疑問を察した人も多いと思う。
 どう考えてもおかしい。なぜ、アメリカ合衆国での生活を望んでいる人々のデモに、アメリカ合衆国を憎んで止まなかったチェ・ゲバラの肖像がいるんだ?
 アメリカ合衆国から逃げ出したいのに出国させてもらえない人々ならわかる。資本主義批判のデモならそれもわかる。ブッシュ・バッシングならそれでもいい。しかし、このデモに参加している人々は、アメリカで稼ぎ続けたいんだろ?星条旗を振ってる人とチェ・ゲバラの肖像は、いくら考えても相容れないはずだが。

 世界中のデモ行進に顔を見せる "ゲリラ・ヒーロー" だが、今回ばかりは場違いだろう。

 違うか?

映画 『ハバナ・ブルース』

2006-03-28 22:54:32 | 映画 「あ段」
『ハバナ・ブルース』 2005年 Benito Zambrano監督

去年の9月に観ました。
イベント上映です。劇場での上映は今のところ無い模様。


キューバと音楽と映画と...好きなものが全部一緒になったよーなもので、良いとしかいいようがない。文句なんてあるワケない。

ガレージや屋上でのライヴシーン...見ているだけで踊りたくなってくる。

スクリーンを通してもこんなに興奮するんだから、本物のライヴだったら気絶もんだな(笑)

映画の作り自体はスゴク王道で、ストーリーもありがち。
しかし、恐らく監督の思い入れがあるのだろうと察するシーンは、とてもゆっくり丁寧に描かれていて、気が付くと入り込んでしまっている自分がいる。

そんな風にたくさんの音楽と共にストーリーが進んで行き、最後はその音楽で感動が溢れてくる。

いい映画だぜ、まったく。

小説 『アウトサイダー』 より Robert Frostの詩

2006-03-27 23:03:26 | 言葉・本

主人公のポニー・ボーイが、隠れ家にしている教会の裏で、朝焼けを見ながら思い出し口ずさんだ詩

  Nature's first green is gold,
  Her hardest hue to hold.
  Her early leaf's a flower;
  But only so an hour.
  Then leaf subsides to leaf.
  So Eden sank to grief,
  So dawn goes down to day.
  Nothing gold can stay.
               by Robert Frost

 みどりなす自然の いぶき
 きびしいさけびを秘めて 純金
 芽ぶく葉は 花ひとつ
 だが それも たまゆら
 やがて葉は葉と落ちて
 エデンの園は 悲しみにしずみ
 かくて夜明けは 日に移る
 輝くものは輝きのままにとどまらず
              ロバート・フロスト


映画 『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』スペシャル・エクステンデッド・エディション

2006-03-26 21:36:00 | 映画 「お段」
『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』 2003年 Peter Jackson監督

 公開当時、映画館でも観ましたが、今回はDVDでの鑑賞。

 ピーター・ジャクソン監督の入魂のスペシャル・エクステンデッド・エディションと大量の特典映像。

 本編を観る前から、特典映像の中の "旅の軌跡" というのを観ただけで、既にウルウル来てしまう有様。自分でもビックリだ。映画のハイライトの様な作りのものだけど、ストーリーを思い出して泣けてくる。
 全部が作り物だとわかっているし、ストーリーも現実世界じゃない。ファンタジーでありながら感動するというのは、やはり人間の強いとこ、弱いとこを様々な種族に擬えて表現しているからなのだろうか?
 原作者は南アフリカ出身のイギリス人で、原作の中には、そーいった人種的偏見も読みとれる。完全悪を想定しているから成り立つ話だし、いいとこばかりの作品ではない。
 そういうことを頭の隅で考えながらも、涙が出る。
 やっぱり究極の自己犠牲...ってことなんだろうか。
 人類がどんなに憧れ求めても得られない理想。

差別国家アメリカ合衆国に想う

2006-03-25 23:34:00 | 戦争・紛争・内戦・テロ・虐殺
未だに人種差別がまかり通っている国、アメリカ合衆国。
あの国はほんとスゴイね。

白人社会と黒人社会の二極構造はいつになっても変わらない。法律がどうであれ、人の心の深部には差別意識が残っている。
南部では、都市部を除いて日本人など黄色人種も基本的には差別される側だ。
自分の元上司もアメリカ合衆国に勤務中、幾度となくレストランなどで差別的な扱いを受けたと言っていた。予約でいっぱいだと断られたり、いい席が空いていても隅の席にされたり。それが、あきらかに差別していると分かる様な態度をとられるらしい。
KKKに限らず、白人至上主義社会なんだな。黄色は黄色なのだ。

ハリケーン被害の大きかったニューオリンズは黒人や貧困層が多い地域だが、その救援の遅れにはやはりその白人社会の根底にある差別意識が影響しているのではと思わずにはいられない。

9.11のテロしかり。底辺にある有色人種の憎悪が背景にあることを忘れてはならない。

映画 『スタンドアップ』

2006-03-24 22:54:16 | 映画 「う段」
『スタンドアップ』 2005年 Niki Caro監督

1月に観ました。

原題は『North Country』です。
自分は基本的に、日本語の邦題をつけるのなら、 原題の直訳 or 意訳じゃないとイヤです。
英語の邦題をつけるのなら、 原題そのままのカタカナ読みじゃないとイヤです。

なので、本来ならこの邦題は、 自分的には気に入らないはずなんですが、 この邦題は例外で、かなりピッタリきました。
この映画を表す最高の言葉な気がする..."スタンドアップ"

映画は、観始めて10分くらいで、 あまりにもいたたまれず、退席したくなった... 映画がどうこうではなく、ストーリーがあまりにも悲惨で。
でも、しっかり最後まで観て良かった。
スタンドアップ という言葉がピッタリはまるシーンが、 ラストの方でやってくる。シャーリーズ・セロンとあの弁護士の見せ場だ。様々な事物が一度にドッと押し寄せてくる。それでも、まっすぐ前を見据えている。自分は正しいんだと信じる。
『ポビーとディンガン』のラストシーンに同じく、目を逸らしていた人々が正しいものを正しいと気付き、立ち上がる。
正しく "スタンドアップ" たまらんです。
泣くとは思ってなかったのに、結構泣いてしまった。

シャーリーズ・セロン万歳!

血の日曜日

2006-03-23 22:52:42 | 戦争・紛争・内戦・テロ・虐殺
 1905年1月22日、奇妙な極めてロシヤ的な人物、半ば社会事業家で半ば警察スパイともいうべきガポン僧上(1873-1906僧侶)が、労働者のデモンストレーションを率い、皇帝に対し、苦しみをやわらげ、憲法を制定してほしい、と請願した。デモ隊が冬宮に近づくと、機関銃とライフル銃の砲火によって行進は阻止され、ついでコサック騎兵が哀れな群衆を踏みにじった。約一千人の死者とさらに多数の負傷者がでた。

これが 「血の日曜日」 だそうです。
20世紀の出来事ですよ。

映画 『シリアナ』

2006-03-22 21:54:37 | 映画 「い段」
『シリアナ』 2005年 Stephen Gaghan監督

ハッピーエンディングじゃないところが、いいです。
集中して観てないと置いてかれますが、集中して観てたら結構面白かった。
アメリカ合衆国という国が石油の利権で動いているということや、石油はそのうち無くなるんだっつーことや、青年が自爆テロに走る過程とか...今現在も回り続けているであろう地球の表面では、そういうものが絡み合い、牽制し合い、つつき合いながら個々人の利益を追求しているんだな、と。
元CIAの人が書いた本を元にしてるんですよね、確か。
だからある程度は信憑性のある内容なはずで、全部がウソっぱちってワケではないと思うので、"あぁ、やっぱりこういう世界なんだな、情報機関って" と感じた次第です。
生きてくのも楽じゃないですよ、まったく。
衛星で狙われて殺されちゃうんじゃ、『ミュンヘン』の暗殺集団とかいらないぢゃん!とか思っちゃいけないでんすよね、きっと。
アメリカ合衆国って人を大切に出来ない国なんですね。市民レベルではきっとそんなことないんでしょうが、政府はダメですね。軍とかすぐ外国に送っちゃうし、兵士とか大勢死んでるのに平気だし。政府は狂ってます。
だからと言って、日本は正常かと言うと、知らないとこで何やってるか分かったもんじゃないですけどね。おぉ~コワ。

スロボダン・ミロシェビッチ

2006-03-21 20:02:27 | 戦争・紛争・内戦・テロ・虐殺
ミロシェビッチが死んだ。

旧ユーゴスラビアの元大統領だ。
旧ユーゴ戦犯法廷での裁判の最中だった。
ボスニア・ヘルツェゴビナの内戦やコソボ紛争での集団虐殺とかの罪だった。

地球は平和にならないのだ。

権力に魅力を感じ、エゴイズムを持った人間がいる限り地球は平和にならないのだ。
冷戦が終わったにも関わらず、それを思い出させてくれたのがミロシェビッチだった。
民族と宗教が入り混じる国で、民族主義をあおり、権力を握り、現代社会とは思えない破壊と殺戮が繰り返された。
「民族浄化」 何度同じ過ちを繰り返したら、この言葉を死語にできるのだろうか。

ミロシェビッチが死んだ。
判決を受けることなく、罪を償うことなく、死んだ。

せめて、逃走中のセルビア人指導者カラジッチと司令官ムラジッチが捕まることを願うばかりだ。

映画 『ディア・ウェンディ』

2006-03-20 22:42:29 | 映画 「え段」
『ディア・ウェンディ』 2005年 Thomas Vinterberg監督

12月に観ました。


 銃を持つことが、正しいとか正しくないとか、そういうことをもし表現しているとするならば、この映画は銃を持つことで生んだ悲劇を描いているのだから、銃など持つべきではないという表現なのかもしれない。

正義感というものを持っている人がいる。
それはきっと正しいもので美しいものなんだろう。
しかし、それを維持できる、維持し続けることが出来る人間などいるのだろうか?
正義感自体は持ち続けることが出来たとしても、正しく美しいものでいることは出来ないのだろう。誰も悪い事も間違ったこともしていない。法律は破っていても、それでもそこには正義があった。

心が乱れたとき、そこに何かが流れこむ。
銃の解放を決断したとき、それでもやはりそこには正義があり、美しさがあった。
銃を構え、引き金を引いた彼らに銃弾を打ち込む警察官たち。
彼らにも法という正義があり、美しさがあった。

そして多くの人が死んだ。広場を縦断してコーヒーを届けるためだけに。
それが銃であり、それが人間である。
愛すべき人間たちである。

死後硬直の過程

2006-03-19 22:17:55 | 死・自死
 人間は死んでしまうと、筋肉の大半が弛緩する。最初に弛緩する筋肉は顎の部分といわれ、死体の下顎はだらりと下がって口が開き、姿勢によっては舌も出てしまう。顔の筋肉が弛緩すれば表情は柔和になり、死者を見る近親者を多少なりとも安堵させる。しかし、その後に筋肉の収縮が始まると、顔つきは歪み、苦悶の表情に変化する場合がある。筋肉が硬化する死後硬直が始まる時間は個体によってまちまちだが、死後硬直によって完全に固まってしまうのが、一般的な死後の経過である。

引用です。何の本だか忘れました。

映画 『イノセント・ボイス』

2006-03-18 21:01:00 | 映画 「い段」
『イノセント・ボイス』 2004年 Luis Mandoki監督

子供の目は、どうしてあんなにも多くのことを語るのだろう。
演技とは思えない、訴えかける目の力。
純粋だからこそ、正直な視線。

子供たちを "子供っぽい" なんて言えないな。
死を目の当たりにし、銃声を間近に感じ、
真っ直ぐな心で生きている。

逃げ惑い、悲鳴をあげ、友を失っても、
必死で家族と自分自身を守ろうとしている。
そして、正しいものが何なのか、自分の頭で判断している。

ラジオを聴きながら示威的な行動をとる少年も、好きな女の子の家の前で大きな声で唄いながら踊ってる少年も、政府軍に連行される中、死を覚悟する少年も、すべて同じ一人の少年。

家の焼け跡から、憔悴しきった母親の手を引き、連れ出した主人公の少年。
彼は立派な "男" だった。

演技とは思えない彼らの目が、戦い続ける大人達に何かを訴えかけてる気がする。

目覚め

2006-03-17 22:29:26 | 
「目覚め」

束の間のささやきが悪夢となるとき、
いかなる事共(ことども)も判別できず、
枯れ果てた未来が鮮やかに過去となる。
大いなる森の向こう側。潤う線。
青の草原(くさはら)で、幾度(いくたび)の戦が繰り返されたのか。

雲が低く頭上を覆うとき、一陣の風が吹く。
虐殺と血の海と、形なき旗と。
そして、過去からも色は奪われ、
ささやきは掻き消させる。
滲むばかりの敗北と征服の夜、
現みへと夢は覚める。