くにづくり日記まーく2

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ドラえもんのび太と奇跡の島……

2013-02-20 23:29:51 | 映画
こんばんは。
TBSで、前から見たいと思っていた「スラムドッグ$ミリオネア」をやっていたことに気付かず、ちょっとへこんでいる今日この頃。
ネットを眺めていたら、「「ドラえもん」が海外で放映禁止」という記事が……。
「のび太のように勉強をサボったり、ウソをつく子どもが増えている」とのことで、子供に悪影響があるそうですが。
でもドラえもんって、そういう風にサボったり嘘をついたりしたら、痛い目を見るって教訓がちゃんと入ってると思うんだけどな。
理解のない大人がアニメを表面的にしか見ないのは、どこの国も同じなんですねぇ。

で、今日、その悪影響のあるアニメの映画を見たのです。
大晦日に録画しておいた、ドラえもんのび太と奇跡の島!
べつにこの記事読んだから見たわけではないですが。記事見つけたのは見たあとなので。

そんな奇跡の島なのですが。
今回は、のび太達がモアとかドードーとか絶滅した動物たちが住む「奇跡の島」というところに行って、たまたま過去から紛れ込んできて記憶をなくしているのび助(ダッケ)と友情を育むという話。
あの、のび太そっくりな少年は、のび太の父だったんですね。
太陽王でものび太そっくりの人と友情を育んでたので、もう二番煎じやっているのか……と侮ってましたが、あれとはちょっと違った。

一緒に旅していた少年が父親だった、って展開はなかなか熱いものがあって良かったと思う。
あとのび助が絵の上手いところを色々見せるのも、この作品では語られないものの、後に画家を志す伏線になっていてなんかよかった。
でも、それ以外の何もかもが……。
正直、ドラえもん歴代映画ワースト1かも知れない。全部見たわけではないですが。

とりあえず冒頭でいきなり思ったのは、のび太達もデパートでカブトムシを買う時代になったんですね……。
学校の裏山とか行けばいくらでも見つけられそうな気がしますが、のび太はいつからあんな現代っ子になったんだ。

いや別にそれ自体はいいのですが。
密猟者を敵にするこの物語で、最初に「昆虫を買う」なんて行為をやらせちゃうのは、展開的にまずくないかと。
それって希少か希少じゃないかの違いだけで、密猟者から動物を買う金持ちと、やってることは大して変わらないわけだし。
しかものび太達は、買ったカブトムシをむりやり戦わせて遊んでたりしてるわけで。
最初に生き物を玩具のように扱っておきながら、密猟者達ひどいって、それはちょっと説得力がないぞと。
生き物を「買う」ことについて、ちょっとでも考える場面があれば良かったのですが、当然そんなものは無いし。

その上、のび太は「奇跡の島」からカブトムシを現代へ勝手に持って帰ったりもしてるんですよね。
それって思いっきり密猟です。一応反省してたけど。

まあとにかく話が違和感だらけ!
なにより登場人物の性格が皆おかしい。
とくにのび太。
なにをするにもわーわーギャーギャー騒ぎ立てて、とにかく落ち着かない。
自分で物事を解決する素振りも見せず、ひたすら他人に頼ってばかり。
ちょっとしたことで「ダメだダメだ」と弱音吐くし。
終盤戦の盛り上がってるところで、いきなり取って付けたように「ダメだ」とか言いだしたときには、かなり残念な気持ちになってしまった。

のび太がへこたれるたびに、ダッケ(少年のび助)に助けられるのですが。
何度も助けてくれたダッケが実は父親だった、という展開をやりたいためだけに、のび太がすっかり頼りないキャラになっていて、ほんとに不自然だった。

あとジャイアントスネ夫の性格もいったいどうしたんだ。
序盤この二人、のび太の父親を思いっきり馬鹿にしてるんです。
のび太をいじめるのはこの二人の仕事みたいなものだからともかくですが、その身内まで馬鹿にするって、この二人ってそんなにイヤな性格でしたっけ。
ラップに乗せて野比家親子を馬鹿にするくだり、本気でいやな気分になってしまった。

それでも今回はのび太の父親がもう一人の主役な感じだし、きっとこのあと二人を助けるなりして「のび太の父さんすごい人だったんだね、ごめん」みたいな展開になるんだろうな、とか思いつつ見ていたのですが。
そんな展開まったくなかった……。

のび太が父親馬鹿にされたあとの行動も不可解。
「カブトムシを馬鹿にされた、ジャイアン達を見返したい」とドラえもんに泣きつく、いつもの展開になるのですが。
身内があんなに馬鹿にされてるのに、ショックを受けたのはカブトムシの方なのかと。父親より昆虫かと。
今回は親子のキズナがテーマなのに、ものすごく親子関係が希薄なことになっていたぞと。

他にも違和感のある展開の連続なのですが。
ドラえもんの道具は万能過ぎるので、毎回何かしらの形で使えなくするわけですが。
今回は、空気砲もショックガンもないってのが「修理に出しちゃった」の一言で終わらせてしまっていた。
こういうのって、ポケットをなくすとか、壊れるとか、ストーリーの流れの中で使用不能にするべきじゃないのか。
「みんな修理に出しちゃった。なにもない」って、それはいくらなんでも手を抜き過ぎだろうぅ。
どこでもドアだけは話の中で壊れてましたが、あれもどうしてあの場面でどこでもドア? と首を傾げたくなるような不自然な展開だったし。

ちょっと期待していたドロンボー一味みたいな敵の三人組も、ものすごい雑魚な上に、大して出番ないまま終わっていた。
ゲストキャラの面々もダッケ以外はキャラがいまいち薄くて、特にケリーさんなんて大半が捕まったままだった。
終盤の展開も「あきらめない!」みたいなこと言ってたら奇跡が起こって簡単に解決。ゴセイジャーかと。

作品を通して語られている、奇跡の島における不思議な力についても、なんの説明もないまま終了。
すっかりファンタジーになってしまっている。
ドラえもんはいちおうSFなんだから、そういった現象にもちゃんと理屈を付けるのが筋だと思うんですけどね。

あと最後に、これが一番ビックリしたことなのですが。
1ヶ所、根本的な設定まで変わってしまっているんです。

序盤にのび助の写真が出てくるのですが、それが思いっきりカラー写真。
Wikipediaによると、のび助が生まれたのは昭和15年(1940年)らしいので、大体10歳頃の写真だとして、昭和25年(1950年)。
そのころはまだまだ白黒写真なはずなのに、カラーで写真が写ってる。
時代考証適当だなぁ、とか思いつつ見てたのですが、適当なだけならまだよかった。

その後「30年前」って出て、のび助が子供の時代が出てくるんですが、そこには思いっきり東京タワーの姿が……。
おそらく30年前というのは、このリアルな世界(2012年)から数えて、30年前。
つまり、1982年。
のび助は、この頃に少年時代を過ごしてたって設定になってしまってるんです。
のび太達は平成生まれかと!

声が変わるとか、片倉設定がなかったことになってるとか、その程度の変化は分かるのですが。
舞台となる時代まで変わってしまってるって、それはいくら何でもやり過ぎじゃないかと……。

ともかくそんなこんなで、面白いつまらない以前に「これってどうなんだ?」って部分が多すぎて、素直に楽しめなかった。
なんか本格的にドラえもんが壊れてきてる気がするんだけど、これでいいんだろうか。
メインの視聴層である子供が満足してるなら、僕のようなのが口を挟む余地はないですが……満足してるのだろうか。

次回作は、秘密道具博物館というなんか今までになり斬新な設定なので、ちょっと期待しているんですけどね。
面白ければいいけども。