薫 風 ~KUNPOO~

初夏に薫る爽やかな風に思いをよせ、YukirinとKaorinが日々の出来事などを綴るページです。

涸沢めざすも、あえなく撤退!?

2006-10-08 | 山 登 り
■ この3連休、恒例となっている(?)涸沢の紅葉を見に行くことにした。ほんとうは木・金と休みをとって出かけるつもりだっけど、いつの間にか木曜日には仕事を入れられ、金曜日と土曜日は天気が悪そう(台風が2つも来ていたし・・・)だったので、混雑は覚悟の上で日曜日・月曜日とトライしてみることに。

■ 畳1枚に2~3人も寝ることになる山小屋にはとうてい泊まる気にはなれないので、今回はテント持参。朝4時に家を出て、5時頃には沢渡の駐車場に到着。3連休とあって「満車」と表示されている駐車場も、すでに何箇所かある。今日からは全国的に晴天となる予報だったのに、旧安曇村に入るにしたがって雨が降っている。う~む、しょっぱなから気力をそがれてしまった。

■ もっとも「乗鞍・上高地方面は午前中は時雨れる」との前日の予報だったので、回復を信じてバスに乗ることにする。道路を挟んだ売店のトイレにいくと、そこで中年の男性に声をかけられた。

■ 「どちらまで行かれるんですか?」「えっと、涸沢までです。」「テント泊ですよね?何キロぐらいあるんですか?」「(量ったわけじゃないけど)14・5キロくらいでしょうか。カメラと三脚で4キロはありますし。」「雨は大丈夫でしょうか。」「(そんなこと私に聞かれてもなぁ、と思いつつ・・・)はぁ、今日・明日と全国的に晴れの予報ですし、この雨も昼過ぎにはやみそうなので。」「私は子供づれなので、どうしようかと迷っているところです。」見ると小学生くらいの女の子が不安げにそばに座っていた。もう二言・三言言葉を交わしてバス停をあとにしたが、お父さん、あなたの判断は正しかったようだ。

■ 上高地のバスターミナルに着くと、すでにすごい人。う~む、この人たちがみんな涸沢まで行くのか。新しくできたビジターセンターを覗いてみる。ここでも大勢の人たちが椅子に腰掛けて食事をとるなどしていた。一応、ここで簡単に登山計画書を記入して投函すると、係りの人が「稜線は雪が降っている模様」と教えてくれた。今回は涸沢にテントを張って紅葉を撮影し、翌日北穂をピストンしてパノラマコースを越えて上高地へ下山するという(昨年のtaddy師匠のパクリ)コース。なので、積雪状況によっては北穂はあきらめるしかないが、むしろ三段紅葉(冠雪・紅葉・常緑)が撮れる絶好のチャンス!!とばかりに出発した。

■ 横尾までの3時間は林間コース。雨でグチョグチョになった平らな林道をひたすら歩く。最初の一時間ほどは快調なペースだったが、次第にザックが肩へとずっしりと食い込んでくる。時折陽が差し込むが、細かな雨が依然として降り続いている。トイレに入るにも長い列だ。途中、明神だけの頂上付近がうっすらと雪化粧していたが、その時はまだ気にもとめなかった。

■ お腹がすいてきたので、横尾で早めの昼食(?)をとることにする。おむすびを頬張っているとガスも幾分晴れ、お日様が顔を出す。雨は降ったりやんだりなのでカッパを脱ぐことはできないが、日焼け止めだけは塗っておく。徳沢、横尾のテント場にも所狭しとテントが張られていた。

■ 横尾の吊り橋を渡ってからが本格的な山道(とはいっても、まだしばらくは林道が続くが・・・)。この辺りから、涸沢から下山してきたと思われるパーティーとすれ違うようになる。徐々に道幅が狭くなるとすれ違いも一苦労。しかも団体様ご一行が多いので大渋滞。

■ 屏風岩を回り込んで穂高方面が視界に入る。なんと、稜線だけと思っていた山腹も、結構下のあたりまで白いではあ~りませんか。山頂付近はどうもホワイトアウトの状態だし。昨日、アパートから来たアルプスにかかっている雲を見たとき、「なんだか冬将軍の雲みたいだなぁ」とは思ったんだけど…。

■ 途中、写真撮影をしていたご夫婦に上の様子を聞いてみると、「7時に出発する段階で涸沢でも7~10センチの積雪。この時間だと、さらに積っているのではないか。寒いですよ~」とのこと。しばし、腰を下ろして熟慮の末、このまま引き返すことに決定。雪が降ってしまっては紅葉も撮れない、北穂に登って槍の雄姿を撮影するつもりがそれもダメ、一応の防寒対策もほどこしてきてはいるが積雪までは想定外、緊急避難的に山小屋へ逃げ込む手もあるものの600~700人が泊まるというこの時季では居場所すらない・・・(すべてあとから考えた理由)。寒がりな私には、「寒いですよ~」との最後のひと言がなんといっても決め手となった。

■ 結局、雨は降ったりやんだりで一日中雨具を着ている羽目になった。ザックの重さにふらふらになりながら、林道をひたすら歩いて戻る。明神館を過ぎると、とたんに普段着を身につけた観光客の姿が多くなる。と、しばし一緒に歩くことになった年配のご婦人から声をかけられ、雑談をして歩く。その老婦人ははるばる徳島からツアーできているらしい。昨日は高山を見物し、今日は上高地を散策して平湯に泊まって、明日には四国へ帰るそう。自分は松本から来たと告げると、「どおりで歩き方が規則正しく同じペースで、とても山道を歩きなれているような感じがした」と褒められた(?)。8時間近くも歩き続けて、ペースも上がらず惰性に任せているきりなのだが・・・。四国ではまだ半袖でいられるそうだ。

■ ようやく河童橋に着くと、やはりすごい観光客。橋の上での記念撮影も順番待ちの常態。朝には気づかなかったが、ガスが少し晴れて山様が少し見渡せるようになった岳沢方面も、前穂はやはり真っ白だった。やれやれ・・・

■ バスターミナルに行ってみると、まだ3時だというのにすでにバスを待つ長蛇の列。しきりにピストン輸送していたが、結局40分以上待つ羽目になる。まぁ、以前来たときには2時間も待ったから、少しは改善されたというものか。しかし、セリに乗っても、松本まで自然渋滞が続いた(あっ、上高地ももう松本なんだ)。

■ あ~、なんだかとても有意義な有酸素運動に明け暮れた連休中日でした。

■ (追伸)白馬岳では、九州のパーティ7人が遭難し、4人が亡くなったという。ガイドは海外の登山経験もあるベテランで、ツアーのメンバーも普段からトレーニングを欠かさない冬山の経験もあるメンバーであったという。台風が2つも来ていたとはいえ、全国的には回復傾向で晴天の予報、しかも気温も上昇するはずだったのにどうしてこんなことになったのか。山の天気はムズカシイ。