薫 風 ~KUNPOO~

初夏に薫る爽やかな風に思いをよせ、YukirinとKaorinが日々の出来事などを綴るページです。

集中力

2006-09-15 | 本  棚
■ 谷川浩司『集中力』角川新書。著者は、21歳で史上最年少の名人位を獲得。“光速の寄せ”の異名をとる、終盤にめっぽう強い、年齢も私とさほど変わらない棋士だ。

■ 対局中のプロ棋士の集中力というのは、ものすごいものがある。テレビなどの対局では1手30秒などというごく限られた時間の中で最善手を選択せねばならない。とりわけ終盤の“詰むや詰まざるや”という局面(相手の王様が死ぬか、紙一重で逃げびるか・・・)では、見ているこちら側もハラハラしてしまう。

■ 谷川の将棋は攻めの棋風。王様をガチガチに囲ってチンタラ指すのではなく、まさに“斬るか、斬られるか”という紙一重のところに踏み込んでいく・・・。羽生や藤井の将棋と同様、素人が見ていても、とても面白い。わからないとき、迷ったときは踏み込んでみて、自分が100パーセントの力が発揮できる展開にもっていく(ことを心がけている)のだそうだ。

■ “集中して考え続けるためには、ものすごいエネルギーが必要になる。持ち時間の長い対局では、2時間、3時間と長考することもあるが、その間中、集中力が最高のレベルのままとはいかない。途中、集中力のレベルを下げて張り詰めた神経を休め、またギアチェンジして集中力を高めたりする。”

■ “勝負に限らず、自分のペースを守り、集中力を維持するには、感情をコントロールする事が大事だ。怒りで冷静さを失い、自分を見失ってしまうのは損でしかない。あせらない、あきらめない――常に自分に言い聞かせたい言葉である。”ホントに・・・

■ テニスなんかでも、相手のジャッジが不正だったり、自分やパートナーの凡ミスに腹を立ててフッと集中力が切れてしまう場合がある。そうなってしまったあとの結果は悲惨だ・・・。確かに、いい思い出はひとつもないなぁ。

■ 新書ということで、無理やりビジネスマンむけに書かれている部分が気にならないこともないけど、ビジネスにしろスポーツにしろ、どんな世界でも常にトップを維持していくためには人並み外れた集中力が不可欠なのでしょう。世代交代がすすむ将棋界の中で、(同世代ということもあって)谷川浩司はずっと活躍し続けて欲しい棋士の一人ですね。

p.s. 姫様がいると、ちっとも「集中」して読めないよ~