薫 風 ~KUNPOO~

初夏に薫る爽やかな風に思いをよせ、YukirinとKaorinが日々の出来事などを綴るページです。

岸 信介

2006-03-13 | 本  棚
■ 原彬久『岸信介』岩波新書。開戦時商工大臣であったことからA級戦犯として巣鴨プリズンに拘束されるが、やがて解放され、最後は総理大臣という頂点まで登りつめた“昭和の妖怪”の記録。

■ 岸信介は、明治29年、現在の山口県山口市に生まれ。旧制一高、東京帝大と首席で卒業し、大正9年には農商務省に入る。昭和11年、農商務省を辞め満州国実業部総務司長に転出。ここで関東軍や東條英機との結びつきが強くなり、昭和14年古巣の商工省に次官として返り咲く。昭和16年東条内閣では商工大臣となり戦時経済体制を率いる。サイパン陥落後は反東條の態度を明確にし、やがて終戦を迎える。A級戦犯として3年余りを巣鴨プリズンで過ごすが、解放後は自由党に入党し保守合同を成し遂げる。昭和32年首相となり、昭和35年安保条約の改定を成し遂げる。

■ 衆議院で強行採決が行われると、安保改定阻止、内閣打倒の運動が全国に急速に広まった。参議院の承認を得ないまま、6月19日午前零時、岸は国会周辺を含めて30万群衆が取り巻く首相官邸の中で、この「自然承認」を迎える。「殺されようが何されようが絶対必要な」新条約の「自然承認」だけをひたすら待った。首相官邸の警備に自信がないという警視総監の警告を無視して「死ぬなら首相官邸で」というのが岸の心境であった。

■ 私も報道特番等でしか見たことがありませんが、全国的に盛り上がったのですよね、安保闘争ってやつが。でも世論を敵に回してでも、「やるときはやる」という鉄の意志みたいなものは感じます(“声なき声に耳を傾けた”という説もあるけれど…)。

■ 安部晋三官房長官はこの岸信介の孫。麻生太郎外務大臣は、吉田茂の孫。小泉首相もお爺さんから続く政治家の家系。現代の政治を動かしている面々は、もうそんな世代になっているのですね。