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薫 風 ~KUNPOO~

初夏に薫る爽やかな風に思いをよせ、YukirinとKaorinが日々の出来事などを綴るページです。

絵本シリーズ⑤「ホンドとファビアン」

2005-12-13 | 本  棚
■ ピーター・マッカーティ作、江國香織訳(岩崎書店)。市立図書館でかりました。見てのとおりほんわかします。

■ 登場人物は犬のホンドと猫のファビアン、それとあかちゃん。ホンドは海で、ファビアンは赤ちゃんと家で遊んで過ごします。穏やかでしあわせな一日の風景をのんびりつづってあります。

■ 一日のおわりは、たっぷり満ち足りた気分でお気に入りの場所で過ごします。しあわせはこうしたあたりまえの生活のなかにあるのでしょう。私はベッドの中で、ごろごろと本を読むのも好きだなあ。

■ 作者はホンドとファビアンと住んでいるらしく、実生活からきているのかしら?鉛筆と水彩で描く柔らかで美しい絵には高い評価を受けていて、アメリカで2002年絵本ベストブックに選ばれ、2003年コルデコット賞を受賞しているとのこと。(コルデコット賞とは、世界最初の絵本賞として、アメリカで設けられ、コルデコットはイギリスの絵本作家の名前からきているらしい)

■ 一度ピーターさんのほんわか世界に浸ってみてはいかがでしょう?

絵本シリーズ④「ぴよちゃんのおかあさんどこ?」

2005-12-08 | 本  棚
■ いりやまさとし作、ぴよちゃんシリーズ(学研) しかけ絵本で、ページをめくると動物が隠れていたり、ページが上下に開いたりと楽しい。

■ ストーリーも絵もとってもほのぼの、ぴよちゃんも愛らしい。おかあさんに四葉のクローバーを見せたいのに「いたわっ」と思うといつも人違いというか、動物違いで・・・
 
■ シリーズ55万部突破と売れているらしく、他に「ぴよちゃんのありがとう」「~かくれんぼ」「~おともだち」「~おやすみなさい」「~おつかい」があります。続刊予定とあり、まだまだぴよちゃんシリーズは楽しめるみたい。

■ また「名作しかけ絵本」「たのしいしかけ絵本」シリーズなどもありました。「みにくいあひるのこ」は、あひるの羽の部分を開くと白鳥に変身したり。しかけ絵本って、こどもは喜んで見そう。こどもの頃はしかけ絵本って見たことなかったけれど、あれば喜んだろうな(その分これから娘と一緒に楽しもうかな?)

■ そしてページの隅が丸めにカットしてあり、更にほのぼの感を演出してます。)
(自分では気がつかず友人が教えてくれました・・・)


国語教科書の思想

2005-11-26 | 本  棚
■ 石原千秋『国語教科書の思想』ちくま新書。これまでの“受験シリーズ”に続く国語教育批判です。

■ 戦後の学校教育は子供の人格形成を使命の一つとしてきた。現在、その役割を担っているのが国語である。すなわち、国語教育は「正しい生き方」を教える、「教訓」が付き物の「お説教」臭い科目でなければならない。そのため、日本の子供たちは、「道徳」や「教訓」を読み取ることはできても、「情報」を読み取ることはできない。・・・日本の子供たちのいわゆる「読解力低下問題」に対する著者の洞察です。

■ いま流行の小学国語のテーマは「自然に帰ろう」と「他者と出会おう」であるという。だから、「自然を切り開いて、どんどん開発を進めよう」とか「科学技術をもっともっと発展させよう」などという教材は、「良識」や「常識」が働くことによって、まず取り上げられることがない。

■ そして、えてして取り上げられた教材は、「昔はよかった」式の紋切り型の文明批判で終わったり、「それは、わたしたち一人ひとりにつきつけられた課題なのです」といかにもテレビのアナウンサーが言いそうな、無責任なお決まりのフレイズで締め括られ、課題を読者に丸投げしてしまうものが多くなる。

■ ここにあるのは、都会嫌悪、近代嫌悪の感情だ。こうした形での近代批判には、マンションの住人が新しいマンションの建築を「自然破壊だ」と言って反対するのと似たはしたなさがある。・・・この人の著書(文体)は非常に読みやすくて、シニカルでユーモアたっぷりで、なんだかとても好きなんだなぁ。ま~、教師が指導するための教材なんだから、そこまで言わなくても・・・という気がしないでもないですけれどもね。

■ きっとこんな教育ばかり受けているから、大学生になって「テクストを批判的に読む」なんて言われると、みんな当惑しちゃうんでしょうね~。

第二回信大読書サロン

2005-11-25 | 本  棚
■ 先月に引き続き、信州大学読書サロンに行ってきました。

■ 信州大学の先生が執筆した著作を巡って、学生や市民が広く交流しようという催しです。今回は、赤川学『子どもが減って何が悪いか!』ちくま新書。直に執筆者の声を聞くことが出来るということは、やはり貴重な経験です。

■ まずは本のタイトルから・・・。最初は『男女共同参画は本当に少子化を防ぐことが出来るか』というようなタイトルを考えていたそうですが、あまりにもインパクトがないということで、編集者によりあえなく却下。そして結局は、機動戦士ガンダムを元ネタにしたこのタイトルに落ち着いたようです。

■ しかし、なにか少子化によるメリットが述べられているのではないかと勘違いした読者からは、かえって「本のタイトルと内容がちがう」との批判を寄せられることが多かったとか・・・。タイトルが功を奏したのかどうか、文藝春秋、中央公論といった、どちらかというと保守系の論壇にとりあげられることが多く、原稿の依頼もその方面ばかりだったとも・・・。

■ サロンの参加者からは、子どもは公共財であるとして子育て支援が進められると、手当てなどの援助を得られる代わりに、かえって社会の目が厳しくなるのではないか、という意見が出されたりしました。すなわち、社会の役に立たないような子どもに育った(育てた)場合は何らかのサンクションがありはしないか、あるいは支援を受けているのだから徴兵などに行くのも当たり前だという風潮になりはしないか・・・等々。

■ あづみホール(生協の食堂)は少し寒かったけど、なかなか考えさせられる1時間半でした。コーヒーも飲まずに聞いていたら、なんだか手が冷たくなっちゃいました。

<photo:明けゆく高ボッチ>

ラッセルのパラドクス

2005-11-18 | 本  棚
■ 三浦俊彦『ラッセルのパラドクス』岩波新書。西欧文明最大の恩恵である科学と民主主義は、討論と論証の精神にもとづいており、その論理をもっとも鮮明に打ち出しているのが、バートランド・ラッセル(1872~1970)の哲学思想なのである。・・・

■ 本書は、いきなり次のクイズから始まります。A「この犬は、吠える」、B「犬は、吠える」、この二つの文は、それぞれ正しいだろうか。論理学の用語で言うと、上の二つの文はそれぞれ、“真”でしょうか。この二つの文の区別が、伝統的アリストテレス論理学と、現代論理学との重大な違いを表している・・・。ふむ、ふむ

■ 床屋のパラドクス――ある村の床屋は、自分で髭を剃らない村人全員の髭だけを剃る。さて、村人の一人であるこの床屋自身は、自分の髭を剃るのか、剃らないのか・・・。そういえば、高校生のころ、クラスの仲間とそんなたわいもない議論をしたことを思い出しました。

■ このような例題から本書は始まりますが、後半に進むにつれ、次第に議論が複雑になっていきます。それはともかくとして、今まで気になっていたけど、人に聞くに聞けない疑問が一つ解消しました。それは、全世界に核兵器廃絶を訴えたラッセル・アインシュタイン宣言の“ラッセル”って、このイギリスの哲学者の“ラッセル”のこと?という疑問です。

■ 特殊相対性理論発表百周年である「世界物理年」(2005年)は「世界哲学年」と言ってもよい。なぜなら、分析哲学のパラダイム(ラッセルの記述理論)発表の百周年でもあり、哲学者と科学者が初めて全世界に核兵器廃絶を訴えたラッセル・アインシュタイン宣言五十周年でもあるからだ、と書かれているのを読んで、やっと胸のつかえがとれた思いです。

<photo:中尊寺にて>

絵本シリーズ③「おつきさまこんばんは」

2005-11-17 | 本  棚
■ 福音館書店 林明子作。ロングセラー「くつくつあるけのほん」シリーズの1冊。昨日は満月。月がとっても綺麗でしたね。月にちなんで。

■ 夜空には屋根と猫のシルエットが浮かびます。そこにぽっかり顔を出すおつきさま。 でも雲に少しの間隠されてしまいます。
「だめ だめ くもさん こないで こないで おつきさまがないちゃう」
雲が去った後にはにっこりおつきさまが現れ、最後のページにはお母さんと子どもが外に出てきます。おつきさまを見にきたのかな?

■ おつきさまの表情がなんとも可愛い。つい「こんばんは」といいたくなっちゃう。
 
■ 夜中はおっぱいを飲みながら眠る娘ですが、昨晩はぐずって私も「おつきさまこんばんは」でした。

絵本シリーズ②「うずらちゃんのかくれんぼ」

2005-11-11 | 本  棚
■ 福音館書店 きもとももこ作。出産祝いに知り合いの保母さんより頂きました。なんでも愛子様お気に入りの絵本として、以前マスコミに紹介されたうちののひとつだとか(他に十数冊ありました)

■ 内容はうずらちゃんとひよこちゃんが色と形を上手に使い、花などに隠れたり・・・絵もほのぼしています。これが著者はじめての絵本。

■ これも娘に読み聞かせてみると・・・。またまた目をいきいきさせて見ているではありませんか。読んでいる間はご機嫌で、声までさかんに出しています。もしかして、読書好きの両親に似たのかな?(なんちゃって(^o^))

■ こうしてKaorinママの絵本読み聞かせは続くのであります。また絵本を仕入れにいかなければ(それもまた楽しい) 近くの絵本屋さんには、「赤ちゃん用」「1歳~」など年齢別のコーナーもありまして。育児サイトにはお勧め絵本や、絵本ランキングなんてのもあって、それも参考にしています。

日本の税制

2005-10-28 | 本  棚
■ ん~、自民党圧勝のあとは、やっぱりサラリーマン増税か・・・。森信茂樹『日本の税制』PHP新書。税制はどうしてこんなに不公平なのか。

■ サラリーマンから見れば、「個人事業者は往々にして個人経費を事業経費に付け替えて税金逃れを行っている」、これに対して事業者から見れば、「給与の20%から30%が給与所得控除され課税されないのは、自分たちの経費の割合から考えても不公平である」ということになる。

■ 著者は大蔵官僚を経て、現在は大学院の教授(?)。そのためかどうかはわからないけれど、全体的にパンフレットのような感じで深みがなく、読者の疑問に率直に答えるほどの内容とはなっていないような気がしますな。“金融所得にどうやって課税するか?”というような問題も、取り上げてはいるのですがね~。

■ 来年9月で小泉さんが総理を降りたら、ポスト小泉の方は、きっと増税をするんでしょうね。消費税10パーセント~?所得課税から消費課税へという重点の移し変えが必要だとしても、減税もしっかりやってくれなきゃ。


政治家の日本語

2005-10-22 | 本  棚
■ というわけで都築勉『政治家の日本語』平凡社新書。“ずらす・ぼかす・かわす”というサブタイトルがつけられています。

■ 政治は言葉をめぐって展開する。言葉の選択や使用が政治そのものである。そして、政治家は言葉を操る専門家である。彼らのその能力は、いつも多くの人々に自分の考え方を話して、説得し、また当事者の一人として対立する人々と交渉して、妥結するというような経験を積み重ねることで養われる。そしてわれわれは皆何がしかの程度において政治家である。

■ この本では、主として78年の大平正芳内閣の成立から今日までの四半世紀の間に活躍した政治家たちの言葉を採集して、政治の実際を、言語使用の実際のあり方として、分類、整理しています。都築先生曰く、“政治は恋愛と似ている。どうにかして相手の気をこちらに向かせようと一生懸命努力するのだから”

■ 興味深かったのは、第3章「ぼかす」。今まで、どうして首相談話とか△△宣言とか、あるいは○○決議とかいうものは、あんなにわかりにくいんだろうと思っていましたが、結局は妥協の産物だからなのですね。意見の異なる人たちが一つの言葉に集約させようとするのだから、表現が玉虫色となってしまうのも、ある意味仕方がないこと。複数の神々を持つ民主制社会においては、必然というか、むしろ健全なことなのでしょう。素人には「侵略行為」でも「侵略戦争」でも「侵略的事実」でも、大して変わらない気もしますが、それが実はとても大事な部分なのですね。

■ さて、最近の小泉首相の発言や答弁を聞いていると、意識的にはぐらかしているのか、天然ボケなのか、私にはわかりかねます。ただ、明らかにこれまでの政治家と異なっていると思うのは、やるのか・やらないのか意味不明の言葉が多かった政治の世界で、政治の素人である国民にとっても、わかりやすいこと。郵政解散にしてもしかり、靖国神社の参拝問題にしてもしかり。彼は、やると言ったら必ずやる、有言実行の政治家なのだ(頑固なだけ?)。この前の総選挙で自民党が圧勝したのも、衆議院を解散したあとの、郵政民営化に争点を一本化して国民に訴えた記者会見でほとんど決まっていましたね。

■ というふうに、政治家の言葉に着目できる一冊です。でもやっぱり読んでいて、政治家の“日本語”というのは、いささか違和感があるような気がします。やっぱり、『言葉と政治』という方が、内容にはぴったりだったかも。

<photo:Grassmarket>

チャート式 新倫理

2005-10-14 | 本  棚
■ 『チャート式 新倫理』数研出版。いわずと知れた高校生めけの参考書です。高校卒業後、ウン十年ぶりに参考書などを買って読んでみました。

■ きっかけは、以前読んだ吉田たかよし『最強の勉強法』PHP文庫のなかで、“知識を簡単に得るためには高校生向けの参考書が一番!”なる旨の記述があったから。それなりに人生観なんぞを積んだはずだけど・・・やっぱりわからん。

■ 高校生向けだけあって、第1編は「青年期と人間としての生き方」ときたもんだ。古代ギリシャの思想から、キリスト教や仏教、中華思想などを取り上げています。第2編は「現代社会と倫理」ということで、カントやヘーゲル、近代までの政治思想などを取り扱っている。そして、第3編は「国際化と日本人としての自覚」として、仏教を含めた外来思想の移入と日本文化など・・・。

■ ふ~む。こんなの、高校生が読んだって、内容までは理解できないよね~。誰がどんなことを言ったか、どんな本を書いたのか、といったことは覚えることができたとしても、思想の理解まではどうかな~。いまだにどんな高名な哲学書を読んだって、いったいどの辺が優れた思想なのか、さっぱりわからないも~ん。(←自慢するな!)

■ 私の通っていた高校では一学年400人弱いたけれど、『倫理社会』の授業は1年生のときしかなくて、とても受験に耐えられるものではなかったなぁ。長野県での高校再編問題でも、少しでも多くの科目を生徒が学ぶことができるようにすることが、まず第一に考えなくてはならないことなのではないでしょうか。

■ それにしても、とてもお買い得な1冊です。だって、細部まで目を通していると10ページ読むのにもとても時間がかかるし、オマケにすぐに眠くなる。・・・というのは、何年たっても変わりがないですな。