幸隆の国から

歴史の跡、自然、いい湯などを訪ねて出掛けたときの記録。
また、四季折々、日々の雑感です。

釧路・根室の旅 その2「根室本線 花咲線」

2023-10-25 | 旅行

よほど旅慣れた人なのであろうか。

釧路から根室に向かう「花咲線」のなかでのこと。

何カ所かで、おもむろに立ち上がったと思うと、電車の先頭に行って運転席のわきから写真を撮る。

また、「厚岸」駅では停車寸前でデッキの方に向かったかと思うと、名物「かきめし弁当」を手に戻ってきた。

どこに撮影ポイントがあるのか、厚岸の駅弁を買うのはどうするのか、などについてすべてご存じの方のようにお見受けした。

 

花咲線に乗るのは初めてである。

一両編成のディーゼルカーの両側は、湿原・原野・広葉樹が色ずく森林・海辺など目まぐるしく変化する。

二時間半弱の乗車の時間、車窓の景色に飽きることはなかった。

 

「根室駅」の一つ手前、「東根室駅」は日本で一番東にある駅である。

ホームには、それを示すポールが立っている。

 

さらにもうひと区間で、終着「根室駅」に到着する。

こちらも負けてはいない。

ここは、「人のいる駅」としては日本で一番東になるのだそうだ。

 

 

 

根室駅が花咲線の終点であり、ここまで走ってきた列車は折り返して釧路行きとなる。

駅を出たところにある根室市観光インフォメーションセンターでは、「最東端駅 東根室 到着証明書」を無料でもらえる。

きれいな写真入りの、ほぼハガキ二枚分ほどの大きさのものであり、うれしい記念になる。

鉄道ファンは、乗り鉄・撮り鉄・録り鉄・飲み鉄などいろいろであるが、私はそのどれでもない。

私にとって鉄道は移動の足でしかないが、この「花咲線」は想い出に残る路線であった。


釧路・根室の旅 その1「納沙布岬とオンネモトチャシ跡」

2023-10-25 | お城

何も変わっていなかった。

5年ぶりに「納沙布岬」を訪れたが、5年前と何一つ変わっていないように見えた。

北方四島の返還を願って作られたというモニュメント「四島のかけ橋」にある灯火台の火は、四島の返還が実現されるまで燃え続けるのだと聞いた。

 

日本で最も東の地である。

日本で一番早く昇る朝日を拝める。

 

岬の先端に建つ納沙布岬灯台は、道内で初めて設置された洋式灯台といわれる。

歴史を感じさせる灯台の先にはオホーツク海の海が広がっている。

その向こうに、四島の一部を望むことができる距離である。

 

北方館や北方領土資料館などを見学したり、お土産物屋さんをひやかしたりして過ごす。

その後、オホーツク海沿いに根室市街の方に少し戻り、今回の旅の目的である「オンネモトチャシ跡」を見学する。

「チャシ」とは、アイヌ語で「柵囲い」という意味で、砦の跡とされている。

根室半島には多くのチャシ跡があり、国指定史跡となっている。

「日本百名城」にも登録されていて、最近、見学者も増えているようである。

 

案内板がなければ単なる草原にしか見えないところである。

 

きれいに草が刈られた散策路を進む。

正面の平らな台地状の部分がチャシ跡である。

 

登ってみると円形に土や石が盛られ、てっぺんが平たんになっている。

全体が海に突き出したようにほぼ三方が海に囲まれていて、一段下がったところも平らに整地されている。

そこも何かの用途があったような形に見える。

 

「オンネモトチャシ」と書かれた標柱が一本立っているだけである。

それ以外は、人工物は何も残っていない。

 

地上にいるとなかなか全体をつかみにくいが、上空からだとはっきりとその形が判るようである。

海に面した崖の上に築かれたチャシは、海からの攻撃に対し守りを固めていたのであろうと想像する。

戦国時代や江戸時代の、本州各地のお城とは形も規模も全く違うものである。

このチャシが作られたとされる16~18世紀ごろの、この地で起こった当時の戦いの様子を、なんとなく想像している。


シュウカイドウの花

2023-10-19 | 

つい先日までカルガモがいた公園の池は、蓮をはじめ多くの花に飾られていた。

季節が進むのにつれて、池の周囲を彩っていた花も次第に少なくなっている。

わずかに、その花期が8月から10月と言われる「シュウカイドウ」が咲いている。

 

茎から分かれたまっすぐな小枝(?)の先にピンクの花をつける。

漢字では「秋海棠」と書かれるそうなので、春の花「海棠」の名をとって付けられたのであろう。

 

どの花を見ても、大小の花びらが二枚ずつ対となっている。

真ん中には「おしべ」であろうか、鮮やかな黄色のかたまりが見られる。

それほど目立つ存在ではないが、花の一つ一つを見ると、とてもかわいい。

もう少しの間、散歩の人たちを楽しませてくれそうである。

 


カルガモ観察日記・とうとう旅立った

2023-10-14 | 野鳥

成長をずっと見守ってきたカルガモの子が、昨日旅立っていった。

孵化して以来、ずっとこの場所で成長したのだが、ついに自由な空に向かって飛び立ってしまった。

 

7月30日には2羽のひなが誕生した。

 

その後のアクシデントで1羽のみが残り、母親は大切にその子を育てた。

ちょうど一か月後、母親を先導して散歩をするまでに育った。

 

一か月半になろうとするとき、母親は子を突き放し、突然姿を消してしまった。

母親がいなくなった翌日は、親を探して鳴く声が聞こえていた。

その翌日には子も覚悟を決めたのか、鳴き声は止んだのだった。

突然いなくなる母親、それでも独りぼっちで生きてく子、野生の厳しさを知った。

 

二か月。

カルガモは、二か月で成鳥になるといわれている。

すっかり”大人”の風格が出てきた。

カルガモ・ブルーの色もきれいになってきた。

 

そして昨日、とうとう旅立っていった。

振り返ってみると、6個の卵から、たった一羽だけが成鳥に育った。

この子の無事を祈って、旅立ちに際し大きな拍手を送りたい。