やっぱりこのドラマって、なにか見えない力にみちびかれているような気がします。
いやーすごい。駄作もきわめると、超常現象をひきよせるまでになるんですね。傑作が引き寄せる超常現象の(たとえば「独眼竜政宗」における渡辺謙と勝新太郎の邂逅)対極。これも大河ドラマが生むひとつの奇跡として、わたしたちは心して記憶にとどめるべきではないでしょうか。
今週世間を騒がせたのは、あれです、
官邸ドローン事件。
これが吉田松陰の刑死回と同じタイミングでおこるっていうのがすごいよね。不謹慎を承知でもうしますが、この「花燃ゆ」とかぶる内容の同じタイミングで、無差別テロや人質殺害などのおぞましい事件があいついでおこり、ドラマ内のあまりに軽薄な幕末志士を「この人たちって、結局はテロリストと同根なのでは…」という目で見てしまって、幕末史に深い興味がない人でも日本の近代史の常識を疑う、良いきっかけになりました。それだけでも手柄だとおもうのに、今週は「やっちまったなあ!!」って感じですね。。
吉田松陰という人は、近代史のある種の偶像として、いろいろと毀誉褒貶の激しい人ではあるのですが、その美化されたほうの松陰神話を跡形もなく崩壊させる意図としか思えない、徹底的に思想性のない吉田松陰を描いておいて、最後の最後に現実の珍事件を引き寄せてしまったのですね。このトンチンカンな吉田松陰を永遠に記憶に刻ませるかのように。いやあ、これもある意味「死して不朽」の松陰伝説といえるのではないでしょうか。
ということで、第17回。「松陰、最期の言葉」です。いやあすごかった。ツッコミどころ満載なんてもんじゃない。わたしは涙を流して笑いました。
「花神」の吉田松陰の死のくだり、今から見ればすごく素朴で直球な描写だったのですが、その純朴さにおもわずジワーンと涙したのとまったくの好対照でした。よもや吉田松陰の死に涙を流して爆笑することになるとは…。
のちに長州ファイブが留学してお世話になるエゲレスのトップアイドルの方に、ひとことで今回を総括していただくと

(写真提供 NTTdocomo)
梅田雲浜の容疑固めのための参考人として江戸によばれた吉田松陰は、伝馬町の獄に入れられて、取り調べをうけることになります。そこで、のちに松陰と松下村塾生の運命に浅からぬ縁を持つことになる(史実上は。このドラマでは知らん)、牢名主吉五郎こと沼崎吉五郎と出会います。この人物が大河ドラマに登場するのは38年ぶり2回め(たぶん)。前回は故・草野大悟さん、今回は佐藤二朗さんが演じます。佐藤さんだと、伝馬町の牢名主っていうより、経済犯罪とかIT犯罪で収監された人みたいにみえるけどね。(ちなみに沼崎吉五郎についてはこちらの過去記事でちょこっとかきました。)
野山獄のときみたいに、この吉五郎も懐柔した松陰先生は、「奉行があんたの意見や態度をほめたらそれは罠だ。喋りすぎないように気をつけろ」と有益な助言を得ます。
でも松陰先生はお白洲でべらべら喋っちゃう。伏見要駕策や間部詮勝暗殺計画まで。このへんは史実通りです。ようは、
井伊大老の暴政をストップさせる、というかそういう意見を社会にアピールしたい、そのために老中を攻撃する。やるったらやる!!…って言っても誰も耳を貸さないし、具体的にブログに書いてんのに誰も見もしない。頭にきた。おれはやる男だってとこをみせる! 官邸にドローン…じゃない江戸城に爆弾発言投下して!!
こういうことですね。
いや、じつは私が涙流して笑ったのは実はここじゃないんです。後半で、松陰の取り調べになんと桃太郎井伊直弼本人がみずから降臨するんですよ。マジかよ。もうのけぞって、ついで前のめりになって見つめてしまいましたが、桃太郎はマジックミラーの向こうで取り調べを見守っているだけでは飽き足らず、ついにブチ切れて取調室にみずから乱入しちゃうんですよ。
これってほとんど、ドローン投下男の取り調べに、官邸の主A様がみずから現れたようなもんですが、ええ、そんなことありえんです。
ありえんけど、ここで膝を打って爆笑したのには理由があります。A様はたぶん、花燃ゆの吉田松陰とか長州志士たちにご自身を重ねていらっしゃると思われるのだけど、結果としてはみごと完ぺきに井伊直弼のほうに重なっちゃったんですよね。それというのも、今週の官邸ドローンのおかげで。いやあ、なんつう壮大な皮肉でしょうか。
いや、壮大な皮肉なのはいいけど、
いくらなんでもこれはねえよっっっ!!
っと、こんなに笑かしてくれたのでなかったら、テレビにむかって座布団とか、手近なものを投げたくなったところでした。でも面白かったからいいや。まともに見るような世界じゃないもん。
だって、井伊直弼が吉田松陰の取り調べのお白洲に乱入すんだよ。そんで激論までしちゃうんだよ。その激論がぜんぜん平行線というか、お互い話がかみ合ってなく、噛みあってない理由は井伊の主張にも松陰の主張にも、史実上の本人の思想をちゃんととらえたバックアップがまったくなされていないことに尽きるんですけど。
そんで桃太郎井伊様は、とつぜん大見得を切って「ゆ・る・さ・ん」とか言って、もうこのあと、ひとーつひとの世の生き血をすすり、ぽぽん!(鼓の音)、ふたーつ不埒な悪行三昧、みっつ……と続いてもなんら不自然ではない空気でした。
いや、たぶん狙ったんだと思うよ。狙ってないわけない。井伊様を桃太郎化して、予告編とか番宣にだせば、ちょっと目にとめた視聴者が、なんかネタっぽい、ヒマだからみようかな、くらいは思うんじゃないですか? いつもより一人か二人くらいは多く。そういう出来心狙いで、それでわずかでも視聴率が上がれば…ということなら、予告編の大沢たかおや東出昌大のセミヌード露出とかわりありません。もはやこんなもんで視聴率とりにくるのか。そこまで落ちぶれたのか…。
それでも、そこは番宣マジックで、井伊があたかも松陰のお白洲に乱入するかのように錯覚させる釣りだろう、とふつうに歴史知ってる人は思うわけですけど、もう直球真っ向勝負、井伊様が堂々とお白洲に降臨しちゃったもんだから呆然ですよ。見たか!釣りとは言わせない!!ってその心意気はわかったから、こんなところでナニコレ珍百景はやめといてもらえませんか。
もうわたしこの場面の最後まで、とかなんとか言ってこれは松陰の妄想だろう、夢落ちだろう、きっとそうだ、と祈る気持ちで見守っちゃったもん。まあ、そう祈る程度には、まだ大河ドラマに正気を期待していたわけですけどもね。
そのほかのツッコミどころ
○小田村伊之助さまとはどういう御方なのですか…?
どうも、小田村さんに複数の登場するべき人物の設定をあずけて、こまわりの利く架空人物にしている感じがする。今週は、松陰の刑死後の後始末をし、「留魂録」を萩に持ち帰った飯田正伯と桂小五郎の仕事を請け負ってましたが、桂小五郎なんてちゃんとクレジットに出てんのに(笑)。
しかも、伊之助さんたら今週は、「お前の思うところを言ってみろ!悔いを残すな!!」とかいって松陰先生を唆し、マインドコントロールして、お白洲で老中襲撃未遂の件を自白させるという、本来は奉行所がやる仕事まで請け負っちゃってましたよ。もうスーパーキャラクターね。このままいったらこの人が御盾隊を作って周防大島の海戦を指揮したり、いやそれどころか長州の軍制改革を仕切って戊辰戦争に勝利する司令官になったりしそうで心配。
いちばん懸念されるのは、そこまで人の仕事を請け負って大車輪の活躍をしてしまったら、なんでそんな偉大な人が内閣総理大臣でも陸軍大元帥でもなく群馬県令で終わるのか、説明がつかなくなることでしょうね。もうこうなったらそこまで創作しちゃって、伊之助さんが陸軍元帥になってもいいけどさ。そんでヒロインの文ちゃんが、明治後、乱心した富永有隣先生に酒樽に漬けられんの。
というか桂小五郎さんどこに行ってしまったんや……。
○高杉晋作への贈る言葉。
なつかしい話になりますが、高杉晋作の妻・雅も大河ドラマでは38年ぶり2回目の登場だとおもいます。前回は、はなまるマーケットの岡江久美子さんが演じていました。
ということで、息子が巻き込まれるのを恐れた父の根回しで、江戸藩邸詰めから萩に呼び戻され、獄中の松陰先生と別れることになった高杉晋作に、松陰先生が贈る言葉を贈ります。これがなあ…(ため息)。
過去記事でも書いてますけど、わたし、吉田松陰が高杉晋作に残した書簡のさいごの言葉って、一番好きなんですよね。しつこいけど再掲します。
貴問うて曰く、丈夫の死す可き所如何と
死は好む可きに非ず、また悪(にく)む可きにも非ず、道尽き心安んずる、便ち是死に所
世に身生きて心死するものあり、身亡びて魂存する者あり。心死すれば生きるも益なく、魂存すれば亡ぶも損なきなり
死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし。生きて大業の見込みあらばいつでも生くべし。僕が所見にては生死は度外に借きて唯言うべきを言うのみ。
幕末維新の歴史のなかには、いくつか、個人から個人への魂の継承の記録というようなものがあって、そのもっとも美しいひとつだと思ってる。マジメな話、そういう幻想が無いと、維新ドラマにはそこまでの夢やトキメキは感じないです。
そこんとこを、まあこのドラマで期待したわけじゃないけど、すごく平凡な、子供に言い聞かせるような内容になっててがっかりでした。
「君ってワルぶってるけど、ほんとはすごく真面目で、殿さまへの忠義一途なんだよね」
「そんな君は仲間と力を合わせているときに輝く!がんばれ!」
みたいなことでしたけど、仲間と力合わせて云々は、結果から逆算して出てきた言葉みたいだし。殿さまへの忠義云々も、たしかに高杉晋作という人はそうなんだけど(毛利家旗本の出身という意識がすべての前提としてあった)、そのまえに松陰の有名な「僕は忠義をするつもり、諸友は功業を為すつもり」という、例の絶交宣言の時の言葉がスルーされているので、ここで唐突に「殿への忠義」っつっても何のことかわからないです。
肝心なところをスルーしておいて、こぎれいな一般論でまとめて感動的なBGMかぶせて一丁上がり、ってなんだかこのドラマのパターンみたいだけど、やっぱり、なんだかだんだん別物になっていくなあ…という感じです。もはやこれが吉田松陰と高杉晋作だなんて、「あ、そうだっけ?」って感じですもんね。
○あ、そういえばヒロインは…
忘れてました。
まあ、いてもいなくても、どうでもいいっちゃいいんですが。なんか久坂玄瑞と「お前は笑っててくれ、さみしい顔はしないでくれ」とか?そのへん恥ずかしくて見るに耐えず、目をそらしていたら出番が終わってしまいました。
○来週は坂本龍馬氏が
登場するようですけど、べつにここで龍馬ぶっこんでこなくても…と思います。しかも演じるのが伊原剛志。伊原さんはかっこいい俳優さんですが、50過ぎてる役者の龍馬はまずいですよね。桂小五郎も年いきすぎだと思いましたが、とりあえず50近くまでは存命する役なのでいいとして。でも33歳で亡くなる人の役に中の人が50過ぎでは…。
なんか、初登場いきなり「ふみ~、グッドモ~ニング♪」とか言って出てきそうで本気で心配。あっそうだ!!せっかくなので三池崇史版映画「愛と誠」の蔵王権太の設定を適用し、「ワイはオッサンに見える病とちゃう?…それもかなり進んでる」ということにしてはどうでしょう。
また来週っ!
いやーすごい。駄作もきわめると、超常現象をひきよせるまでになるんですね。傑作が引き寄せる超常現象の(たとえば「独眼竜政宗」における渡辺謙と勝新太郎の邂逅)対極。これも大河ドラマが生むひとつの奇跡として、わたしたちは心して記憶にとどめるべきではないでしょうか。
今週世間を騒がせたのは、あれです、
官邸ドローン事件。
これが吉田松陰の刑死回と同じタイミングでおこるっていうのがすごいよね。不謹慎を承知でもうしますが、この「花燃ゆ」とかぶる内容の同じタイミングで、無差別テロや人質殺害などのおぞましい事件があいついでおこり、ドラマ内のあまりに軽薄な幕末志士を「この人たちって、結局はテロリストと同根なのでは…」という目で見てしまって、幕末史に深い興味がない人でも日本の近代史の常識を疑う、良いきっかけになりました。それだけでも手柄だとおもうのに、今週は「やっちまったなあ!!」って感じですね。。
吉田松陰という人は、近代史のある種の偶像として、いろいろと毀誉褒貶の激しい人ではあるのですが、その美化されたほうの松陰神話を跡形もなく崩壊させる意図としか思えない、徹底的に思想性のない吉田松陰を描いておいて、最後の最後に現実の珍事件を引き寄せてしまったのですね。このトンチンカンな吉田松陰を永遠に記憶に刻ませるかのように。いやあ、これもある意味「死して不朽」の松陰伝説といえるのではないでしょうか。
ということで、第17回。「松陰、最期の言葉」です。いやあすごかった。ツッコミどころ満載なんてもんじゃない。わたしは涙を流して笑いました。
「花神」の吉田松陰の死のくだり、今から見ればすごく素朴で直球な描写だったのですが、その純朴さにおもわずジワーンと涙したのとまったくの好対照でした。よもや吉田松陰の死に涙を流して爆笑することになるとは…。
のちに長州ファイブが留学してお世話になるエゲレスのトップアイドルの方に、ひとことで今回を総括していただくと

(写真提供 NTTdocomo)
梅田雲浜の容疑固めのための参考人として江戸によばれた吉田松陰は、伝馬町の獄に入れられて、取り調べをうけることになります。そこで、のちに松陰と松下村塾生の運命に浅からぬ縁を持つことになる(史実上は。このドラマでは知らん)、牢名主吉五郎こと沼崎吉五郎と出会います。この人物が大河ドラマに登場するのは38年ぶり2回め(たぶん)。前回は故・草野大悟さん、今回は佐藤二朗さんが演じます。佐藤さんだと、伝馬町の牢名主っていうより、経済犯罪とかIT犯罪で収監された人みたいにみえるけどね。(ちなみに沼崎吉五郎についてはこちらの過去記事でちょこっとかきました。)
野山獄のときみたいに、この吉五郎も懐柔した松陰先生は、「奉行があんたの意見や態度をほめたらそれは罠だ。喋りすぎないように気をつけろ」と有益な助言を得ます。
でも松陰先生はお白洲でべらべら喋っちゃう。伏見要駕策や間部詮勝暗殺計画まで。このへんは史実通りです。ようは、
井伊大老の暴政をストップさせる、というかそういう意見を社会にアピールしたい、そのために老中を攻撃する。やるったらやる!!…って言っても誰も耳を貸さないし、具体的にブログに書いてんのに誰も見もしない。頭にきた。おれはやる男だってとこをみせる! 官邸にドローン…じゃない江戸城に爆弾発言投下して!!
こういうことですね。
いや、じつは私が涙流して笑ったのは実はここじゃないんです。後半で、松陰の取り調べになんと桃太郎井伊直弼本人がみずから降臨するんですよ。マジかよ。もうのけぞって、ついで前のめりになって見つめてしまいましたが、桃太郎はマジックミラーの向こうで取り調べを見守っているだけでは飽き足らず、ついにブチ切れて取調室にみずから乱入しちゃうんですよ。
これってほとんど、ドローン投下男の取り調べに、官邸の主A様がみずから現れたようなもんですが、ええ、そんなことありえんです。
ありえんけど、ここで膝を打って爆笑したのには理由があります。A様はたぶん、花燃ゆの吉田松陰とか長州志士たちにご自身を重ねていらっしゃると思われるのだけど、結果としてはみごと完ぺきに井伊直弼のほうに重なっちゃったんですよね。それというのも、今週の官邸ドローンのおかげで。いやあ、なんつう壮大な皮肉でしょうか。
いや、壮大な皮肉なのはいいけど、
いくらなんでもこれはねえよっっっ!!
っと、こんなに笑かしてくれたのでなかったら、テレビにむかって座布団とか、手近なものを投げたくなったところでした。でも面白かったからいいや。まともに見るような世界じゃないもん。
だって、井伊直弼が吉田松陰の取り調べのお白洲に乱入すんだよ。そんで激論までしちゃうんだよ。その激論がぜんぜん平行線というか、お互い話がかみ合ってなく、噛みあってない理由は井伊の主張にも松陰の主張にも、史実上の本人の思想をちゃんととらえたバックアップがまったくなされていないことに尽きるんですけど。
そんで桃太郎井伊様は、とつぜん大見得を切って「ゆ・る・さ・ん」とか言って、もうこのあと、ひとーつひとの世の生き血をすすり、ぽぽん!(鼓の音)、ふたーつ不埒な悪行三昧、みっつ……と続いてもなんら不自然ではない空気でした。
いや、たぶん狙ったんだと思うよ。狙ってないわけない。井伊様を桃太郎化して、予告編とか番宣にだせば、ちょっと目にとめた視聴者が、なんかネタっぽい、ヒマだからみようかな、くらいは思うんじゃないですか? いつもより一人か二人くらいは多く。そういう出来心狙いで、それでわずかでも視聴率が上がれば…ということなら、予告編の大沢たかおや東出昌大のセミヌード露出とかわりありません。もはやこんなもんで視聴率とりにくるのか。そこまで落ちぶれたのか…。
それでも、そこは番宣マジックで、井伊があたかも松陰のお白洲に乱入するかのように錯覚させる釣りだろう、とふつうに歴史知ってる人は思うわけですけど、もう直球真っ向勝負、井伊様が堂々とお白洲に降臨しちゃったもんだから呆然ですよ。見たか!釣りとは言わせない!!ってその心意気はわかったから、こんなところでナニコレ珍百景はやめといてもらえませんか。
もうわたしこの場面の最後まで、とかなんとか言ってこれは松陰の妄想だろう、夢落ちだろう、きっとそうだ、と祈る気持ちで見守っちゃったもん。まあ、そう祈る程度には、まだ大河ドラマに正気を期待していたわけですけどもね。
そのほかのツッコミどころ
○小田村伊之助さまとはどういう御方なのですか…?
どうも、小田村さんに複数の登場するべき人物の設定をあずけて、こまわりの利く架空人物にしている感じがする。今週は、松陰の刑死後の後始末をし、「留魂録」を萩に持ち帰った飯田正伯と桂小五郎の仕事を請け負ってましたが、桂小五郎なんてちゃんとクレジットに出てんのに(笑)。
しかも、伊之助さんたら今週は、「お前の思うところを言ってみろ!悔いを残すな!!」とかいって松陰先生を唆し、マインドコントロールして、お白洲で老中襲撃未遂の件を自白させるという、本来は奉行所がやる仕事まで請け負っちゃってましたよ。もうスーパーキャラクターね。このままいったらこの人が御盾隊を作って周防大島の海戦を指揮したり、いやそれどころか長州の軍制改革を仕切って戊辰戦争に勝利する司令官になったりしそうで心配。
いちばん懸念されるのは、そこまで人の仕事を請け負って大車輪の活躍をしてしまったら、なんでそんな偉大な人が内閣総理大臣でも陸軍大元帥でもなく群馬県令で終わるのか、説明がつかなくなることでしょうね。もうこうなったらそこまで創作しちゃって、伊之助さんが陸軍元帥になってもいいけどさ。そんでヒロインの文ちゃんが、明治後、乱心した富永有隣先生に酒樽に漬けられんの。
というか桂小五郎さんどこに行ってしまったんや……。
○高杉晋作への贈る言葉。
なつかしい話になりますが、高杉晋作の妻・雅も大河ドラマでは38年ぶり2回目の登場だとおもいます。前回は、はなまるマーケットの岡江久美子さんが演じていました。
ということで、息子が巻き込まれるのを恐れた父の根回しで、江戸藩邸詰めから萩に呼び戻され、獄中の松陰先生と別れることになった高杉晋作に、松陰先生が贈る言葉を贈ります。これがなあ…(ため息)。
過去記事でも書いてますけど、わたし、吉田松陰が高杉晋作に残した書簡のさいごの言葉って、一番好きなんですよね。しつこいけど再掲します。
貴問うて曰く、丈夫の死す可き所如何と
死は好む可きに非ず、また悪(にく)む可きにも非ず、道尽き心安んずる、便ち是死に所
世に身生きて心死するものあり、身亡びて魂存する者あり。心死すれば生きるも益なく、魂存すれば亡ぶも損なきなり
死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし。生きて大業の見込みあらばいつでも生くべし。僕が所見にては生死は度外に借きて唯言うべきを言うのみ。
幕末維新の歴史のなかには、いくつか、個人から個人への魂の継承の記録というようなものがあって、そのもっとも美しいひとつだと思ってる。マジメな話、そういう幻想が無いと、維新ドラマにはそこまでの夢やトキメキは感じないです。
そこんとこを、まあこのドラマで期待したわけじゃないけど、すごく平凡な、子供に言い聞かせるような内容になっててがっかりでした。
「君ってワルぶってるけど、ほんとはすごく真面目で、殿さまへの忠義一途なんだよね」
「そんな君は仲間と力を合わせているときに輝く!がんばれ!」
みたいなことでしたけど、仲間と力合わせて云々は、結果から逆算して出てきた言葉みたいだし。殿さまへの忠義云々も、たしかに高杉晋作という人はそうなんだけど(毛利家旗本の出身という意識がすべての前提としてあった)、そのまえに松陰の有名な「僕は忠義をするつもり、諸友は功業を為すつもり」という、例の絶交宣言の時の言葉がスルーされているので、ここで唐突に「殿への忠義」っつっても何のことかわからないです。
肝心なところをスルーしておいて、こぎれいな一般論でまとめて感動的なBGMかぶせて一丁上がり、ってなんだかこのドラマのパターンみたいだけど、やっぱり、なんだかだんだん別物になっていくなあ…という感じです。もはやこれが吉田松陰と高杉晋作だなんて、「あ、そうだっけ?」って感じですもんね。
○あ、そういえばヒロインは…
忘れてました。
まあ、いてもいなくても、どうでもいいっちゃいいんですが。なんか久坂玄瑞と「お前は笑っててくれ、さみしい顔はしないでくれ」とか?そのへん恥ずかしくて見るに耐えず、目をそらしていたら出番が終わってしまいました。
○来週は坂本龍馬氏が
登場するようですけど、べつにここで龍馬ぶっこんでこなくても…と思います。しかも演じるのが伊原剛志。伊原さんはかっこいい俳優さんですが、50過ぎてる役者の龍馬はまずいですよね。桂小五郎も年いきすぎだと思いましたが、とりあえず50近くまでは存命する役なのでいいとして。でも33歳で亡くなる人の役に中の人が50過ぎでは…。
なんか、初登場いきなり「ふみ~、グッドモ~ニング♪」とか言って出てきそうで本気で心配。あっそうだ!!せっかくなので三池崇史版映画「愛と誠」の蔵王権太の設定を適用し、「ワイはオッサンに見える病とちゃう?…それもかなり進んでる」ということにしてはどうでしょう。
また来週っ!
庵主さま、こんにちは。
松陰先生のお取り調べに、よもや桃さんが参加するとは…!本人は気づいていなっかたのですが、家族によると、このシーンを見ている私はかなり挙動不審になっていたらしいです。「なんでここに井伊大老が?」と言ったあと「え?」と「はぁ?」を繰り返して落ち着きがなかったと…。そして「ゆる・さん!」のあとは般若の面ときらびやかな衣装が出ないことに脳内は大混乱。
う~ん、あの席で桜吹雪を見せなかっただけ良かったのか…?
ただこの「花燃ゆ」のおかげで、何度も自分の記憶違いかと思う場面に出くわし、もう一度確認のためいろいろ調べることになり、自分の記憶も捨てたもんじゃないと思えました。
あとは「翔ぶが如く」のDVDの購入を決心させたこと。
私の中ではこの二つに関して「花燃ゆ」の貢献度は高いです。
桃太郎効果か視聴率V字回復のようで・・。
ところで、本放送にさきがけて夕方5時から「高橋英樹特別講義・花モニュッ井伊直弼悪人にあらず!」という番組があったのです。ゲストは伊勢谷松陰。
桃太郎ってば、今年のNHK高校講座「日本史」のメインMCまでおやりだとか。
なんだよ「井伊は悪人にあらず」って。どー見ても、花モニュッの吉田松陰は過激思想の自爆DQNですけど・・。
シャアのナレーションだと、安政の大獄のメインターゲットが松陰だったかのようですが、実際は長州に「今こんな奴あずかってますけど、どーします?」と伺いをたて、「あ~もう、殺っちゃってください」みたいな展開だったそうなんですが。。
視聴者には、ぽぽん!という鼓の音が聞こえましたよ。
次回はどうなるんでしょう。駕籠から桃太郎が出てきて大立ち回り??
いっそ、刺客を全員ぶった斬って、吹雪の中「完」でいいです。もう。(投げやり)
今回は、子どもがなぜか勝手に見ていて、それを横でちょろとみていました。がはは、爆笑してしまいました。
昨年彦根に行ったとき、地元の方が「石田三成が今年の大河では悪人にかかれてるけど、本当はいい殿さまだったんですよ。来年の大河も吉田松陰との絡みで、井伊直弼がまた悪くかかれるんじゃないかと思ったら・・・」と心配しておられましたが、今年は、そんなことはなかったですね。私は御白洲に出て来たとき、片肌脱いで「この桜吹雪が」って言うんじゃないかと、期待してたんですが(笑)
安政の大獄が吉田松陰の死刑で収束っていうのは、私、飲んでたお茶を吹き出しそうになりました。いやいや、びっくりしましたね。いいんでしょうか??
来週のおとうの出現、ほんと、私も首に手拭い巻いて、「ぐっどもーにんぐ」って言いながら出てくるんじゃないかと思います。確かに、25年ぐらい前なら、伊原さんの龍馬は断然アリだと思います。正直、龍馬伝の方より、得体の知れない茫洋とした感があって、適役だなって思いますもの。アクセントも彼は大阪人ですからね、長崎の人より、土佐弁に近いですし。
なんか、朝ドラ人脈でこのドラマ出来てますね。そのうち、マッサンとエリーちゃんが出てくるかも知れませんよ~。
私は、よそ見しながら見ていて気がついたらもう処刑シーンになっていたので、桃太郎侍=大老の記憶がほとんどありませんでしたが(汗)
予告をみると次回、大夫山の埋葬シーンになるみたい。井伊直弼と吉田松陰の墓が、同じ世田谷区内にあることはよく話題になりますよね(といっても、歩いていくと30分くらいはかかりますが)。
「心」「三四郎」に続いて、朝日で「それから」を連載しはじめましたが、主人公の伯父が幕末時代に動乱の京都で落命していたとか、昔読んだ時は全く記憶していませんでした。漱石の頃の幕末はまさに「昨日のこと」だったわけですね~
お白洲に降臨する時、「ゴジラ」のBGM が・・。もう好きにしろや(笑)
伊勢谷松陰が、このシーンの英樹さんの存在感をゴジラみたいだったと評したからなのですが。
モニュッの視聴者は、ヒストリアや番宣で予備知識を入れとかないと、本番で「??」になりますね。
わかりますわかります…(笑)
どんだけ多くの人がテレビの前で挙動不審になったことか。わたしも含めて。
というか、一瞬BS朝日かなんかの遠山の金さん再放送を見ているのかと思ってしまいました。
なんで松陰が井伊直弼の顔を知ってるんでしょうね。
わたしも、刺激されて昔の名作を見たり、資料本を読んで史実を確認したりする元気があればいいのだけど、それもなかなか…。
今回だけは、確認のために「留魂録」読んだけど、ドラマへの怒りがわいてきて平常心を失うので、できるだけ確認はやめようなどと思ってしまいました。困ったものです。
「悪人に非ず」ってけっこう大河界隈で話題になってたみたいですけど(勘違いしたテコ入れという意味で)わたしはやってたことすら気づきませんでした…。
ていうか井伊大老が悪人なんて思ってないよ!!
せっかく篤姫の中村梅雀さんや、八重の桜の榎木孝明さんが、立派な人格者に描いてくれて、むしろ、こんなに気高い人格者の井伊ってのも何か違うんじゃない?と思ってたので、モニュで勝手に安っぽい悪人に描いておいて何を言う!!と。
鼓の音は聞こえましたよ。エアで。
そうですかゴジラのBGMですか…。いっそ「桃太郎数え歌」のほうが良かった気がします。
はい、わたしも伊原さんの龍馬は、せめて10年前なら最高の適役だったと思いました。
JINの内野聖陽さんの龍馬がとてもよかったので。玉木宏だの福山雅治より、同じ路線で正解だと思いましたよ。でも、いかんせん中の人の実年齢が……。
朝ドラ人脈なら堤真一さん出ないかな…と期待しますが、いやいやいや、こんなドラマに出てこなくていい!
そのうち花アンの鈴木亮平さんあたり、まだ空いてる役で出てきそうな感じがありますが、なんかそういう出オチのみで話を繋ぎ止めてるみたいで、複雑ではありますね。
そうですか、豪徳寺がにぎわっているのは結構なことだとおもいますが…18回を見ちゃってから申しますと、空振りに終わって残念でしたと申し上げたいです。
松陰先生の改葬エピソードなど完全スルーでしたもんね…。別に政治的に地雷に触れるエピソードとも思えないですが、なぜに? 東山君のスケジュール押さえられなかったのかなあ。
まあ、桜田門外の辺ですらスルーでしたが…。
そうなると、なにをやりたいドラマなのかもう全然わからないですよね。遺骸引き取りと改葬の話など、「紀行」のネタにもできるし、やらない理由はなにもないと思いますのに…。