como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

「花燃ゆ」第1回

2015-01-08 22:28:06 | 過去作倉庫15~
 みなさまお久しぶりでございます。
 
 昨年は家族に不幸があって、いろいろ取り込んでおりました。8月くらいからブログどころではなくなり、ずいぶんながくご無沙汰をしてしまいました。
 とりあえず良くも悪くも落ち着いて、多少の余裕もでてきましたので、ボチボチと再開したいと思います…ということで、毎年恒例の1月第2週の日曜日。
 今年もはじまりました。

 っといっても、この「花燃ゆ」が発表になったときから、この作品に関してはほんっとに心底「バカじゃねえの」と思ってて、腹も立たないというか、もうどうでもいいや…という気分が濃厚でした。
 もう大河ドラマが朝ドラフォーマットになったのは既定路線のようなので、それ以上のことを期待しても無駄だ、というのもよくわかりました。となるとわたしは、大河ドラマのなにをどう見たらいいのか。

 あきらめて見る。
 ネタとして見る。
 ミーハーに徹して見る


 この辺に活路を見出すべきかとおもい、今年は脱力の境地ではじめてみたいと思います。
 幕末は好きな時代なので、ときどき余裕があったら調べものなどもしながら…。ちょっとでも勉強になれば、まあ無駄じゃないか。

 突然ですが、ミーハーって別に悪いことじゃないと思うんですよ。そもそもナチュラルボーンミーハーのワタシが、大河ドラマのイケメンにキャーキャーいうミーハー視聴者を貶す立場ではありませんし。
 司馬遼太郎さんの「街道をゆく」の甲州街道篇に、素晴らしいエピソードが出ております。八王子の履物屋の奥さんのお話なのですが、その奥さんは、実は徳川慶喜のマニアで、13、4歳の女学生のときからハマり、50年以上も趣味的な研究に捧げてきて、専門家も唸るほど。しかもそのきっかけというのが、戦前の女学校の学芸会で、憧れの上級生が「将軍江戸を去る」の徳川慶喜役を演じ、それがものすごく美しくて、思わず萌えてしまったことだというんですね。戦争中の空襲警報をかいくぐって、女の子ひとりで水戸の図書館まで慶喜の史料を読みにいったほどだと。
 これはわたしたちマニアの指針とするべきお話だと思います。機会があったらぜひお読みになって下さい。
 この「萌え」の魂は、ほんとに古今かわらないんですね。歴史にハマるきっかけというのは、ほんとに些細な偶然に誘発された「萌え」に尽きると思うんですよ。そして何十年も無償の愛の小さな炎を燃やし続ける。…美しい話ではありませんか。かくいうこのわたしも13歳のときに……ってこれは語りだすと長くなるので今はやめときますが。

 で、ながながと何が言いたいかというと、わたしが最初から「バカじゃねえの」と鼻で嘲笑ったこの大河ドラマ「花燃ゆ」も、イケメン目当てでみた若い少女の心に、なにかのきっかけである種の萌えを誘発し、それが消えない炎になって、彼女の中で30年、40年と燃え続ける……ということが、ないとも限らない。いや、あってほしい。それだけでも、大人の私たちからみてどんなにアホみたいな朝ドラフォーマットのヌルい大河ドラマでも、無駄じゃないかもしれない。
 そのために、大昔の私やあなたを思い出すようなどこかの少女のためにも、この一年できるだけ楽しめるドラマであってほしい、と願います。いやホントに、真面目な話。

 そんなことなので、もうこの際ストーリーとか主人公の成長物語とかにはなんの期待もしてませんし、期待するのは無駄だと思います。
じゃあ何をみたらいいのか…といっても、見当もつきません。なんとなく、第一回で目についたところ、気になったところなどを拾ってみますと、

○ 地雷

 長年大河ドラマを見てきて、とくにここ何作も続いた駄作(もう数えるのもむなしくなった…)の初回をつらつら顧みるに、大河ドラマを沈没させる地雷は第一回に埋設されているのではないか、と考えるに至りました。
 つまり、第一回でだいたい、それが良い大河かダメな大河かわかるんじゃないか、ということですね。
 ただし、初回でバッサリと判断するのは相当な見巧者でないとダメでしょう。わたしなんかとても…。もう、過去の駄作を第一回では「いいんじゃない」「期待できますわ」などとウキウキほめていた恥ずかしい記録が、隠しようもなく過去記事に晒されていては、審美眼の鈍さは誤魔化しようがありません。
 お正月だし、時間も長く、番宣もたくさんして、ご祝儀気分が濃厚な第一回で、冷静に「これはダメ」と判断するのは相当にシビアな眼力がないとできないことです。わたしはとても自信がありませんが、とりあえず個人的な事情をいうと、ことしはお正月は喪中であまり盛り上がってなかったし、番宣もみていなし、作品的にもまったく期待する要素が無かったなど、ふだんの年よりだいぶ冷静ではあるかもしれません。

 とりあえず、ここ近年の大河ドラマをダメにした地雷が第一回に埋まっていた事例としては

「命は大事」
「お前には天命がある」


 この2大フレーズが第一回でドンと大文字で前に出てきたことですね。もうこれ言っちゃうと最終回までダメだろう、ということは「篤姫」「龍馬伝」「江」「平清盛」「軍師官兵衛」など見てわかりましたから、その辺には最大級の警戒をしてました。
 とりあえず、この二大地雷は埋設されてる様子がなかった…かな。あ、いや、ヒロインの文(井上真央)に兄の寅次郎(伊勢谷友介)が
「お前には人を結びつける不思議な力があるかもしれん」
的なことを言ってたけどね。まあ、こうでもこじつけないとこの娘がヒロインである必要がまったく見いだせないので、多少(いや、かなり)無理があるけど、これはしょうがないと。

 それより、近年気になっているのは、大河ドラマは第1回とか早い段階で、天命がどうこうとか、命の使い方とか、おれはこの世をおもしろく生きてえっ、などといった、主人公の決意表明をを提示しないとダメなのか、ってことですね。
 ハッキリ言ってこの段階で文字化された主人公の決意表明がろくなものであったためしがなく、最終回までストーリーを支える重しになるどころか、むしろ逆、企画倒れのキャッチコピーをずるずる引きずって回収しないまま最終回、というケースの方が多かったです。
 平成一桁以前の大河ドラマは、決意表明といってもせいぜい「梵天丸もかくありたい」みたいな漠然としたものだったし、それでも最終回までなんの支障もなかったので、あの決意表明ってほんとに何のためのものなんでしょうねえ。
 このさいキャッチコピーなんかなくしてしまえばいいのに。昔のように、第一話の子役の段階では主人公がどう生きるつもりかまったくわからないほうが、自然に物語に入っていけると思いますけど。
 なのでこの段階で10歳くらいの娘に、あんまり「生きた学問を学べ」とか、「人を結びつける力がある」とか、無理じいしないほうがいいと思うよ。なんかそういうのがすごく重たく感じてしまった第一回でした。

 
 アバンタイトル学芸会

 第一回のアバンで、のちの松下村塾のメンバーが、日曜大工みたいなことをやりながら、秀吉とナポレオンが戦をしたらどっちが勝つだかなんだかの話をしている脱力シーンが挿入されました。
 このアバンタイトル学芸会。わざとか?とおもうような拙さ、漂う脱力感、こっ恥ずかしくさ、熱気というより逆に寒いこの感じ。
 すごく懐かしく思い出しました。これは2004年「新選組!」の第一回のアバンタイトルそっくりじゃないですか。いやー懐かしいなあ、あのときも、なにこの学芸会、まいったな、頼むよひとつ、みたいな、なんともいえない気持ちでモゾモゾしましたもんね。リアルに思い出しちゃったよ。
 で、あのとき、あまりの演技の下手さに驚いて、いやー困ったなこの人、どーすんだろこんな大根で、大丈夫か、と衝撃を受けたのが、今だからいいますけど斎藤一役のオダギリジョー氏だったんです。
 ことしの「花燃ゆ」のバージョンで、あのときとまったく同じインパクトを与えてくれたのが、久坂玄瑞を演じる東出昌大さんでした。
 なにしろ久坂玄瑞、というより前に時代劇に合っているいないという以前のレベル。素人のスポーツ選手でも引っ張って来たみたいで、他人事ながら恥ずかしくて正視できませんでした。衝撃的な下手さ。大丈夫なのか。どうすんだろうこんなんで。
 といっても「新選組!」も、第一回アバンの学芸会はどういう意図だったのかとその後首をかしげるくらいドラマ自体が良くなったし、オダギリ氏も独特の魅力を開花させて輝いていた(技術的な拙さまでは1年では克服できなかったけど)ので、「花燃ゆ」にも東出さんにも、その可能性が無い…とは……
 うーんどうだろそのへんは。別に期待もしてませんが、まあ生温かい好意はもって見守りたいとは思います。頑張ってください。

 自民党推薦ドラマ?

 長年大河ドラマを見ていますが、こんなにあからさまに政権与党に媚びたドラマというのも初めて見ました
 大河ドラマの企画が何年前から始まるのか、システムはよくわからんのですけど、ときの首相の選挙区を舞台にしたご当地大河ってはじめてなんじゃない? まあ、ときのNHK会長の地元をゴリ押しで舞台にした大河ドラマってのはありましたけど(「徳川慶喜」)。
 むしろイケイケモードの与党に反旗を翻した「八重の桜」(注・前半)のほうがドラマとしては迫力あったと思います。ただ、八重ちゃんは残念ながら途中で腰が砕け、反骨精神も中途半端のナアナアで終わってしまったので残念な限りです。あれをおもうと、最初から与党に媚びる気満々のご当地大河「花燃ゆ」が最初からすごく平和的。AKB48のステージでも見るような円満な媚び媚びムード満載で、なにか安泰感さえ漂ってます。
 こういう大河ドラマも珍しいよな…。
 今後どういう展開をするか、ちょっと注目していきたいと思いますよ。与党勢力をバックにして、幕末のイベントの数々をどういう視点で語るかは、まじめな話、見ものです。今週はとくに、吉田松陰が熱く語る「日本を守るためにっ!」というのが、集団的自衛権行使を必死で正当化しているように聞こえましたしね。

ブロマンスの時代

 はっきりいってヒロインの杉文と言う女性が、特になにをした人でもないし、どうやって大河ドラマのヒロインを務める気か現時点では皆目わからないため、どうしても視線は兄の松陰吉田寅次郎と、その友人の小田村伊之助(大沢たかお)に向かうしかありません。
 このふたりを主軸にしてブロマンスもの(爆)にして女性視聴者を釣り、前半を持たせるというのが、この面子で見た限り唯一の方法ではないかと思います。ほら、覚えてますでしょ?「八重の桜」前半をいろどった、あんな(半裸)シーンやこんな(入浴)シーンなど…
 でもブロマンスものって、あからさまに狙いを表にだすとターゲットの視聴者はドッと白けて離れるという、なかなかデリケートな素材でもありますので、ここは伊勢谷さんと大沢さんの演技力に期待です。頑張ってください。
 第一回をみたいかぎり、あんまりそういう気はないみたいで……。ただ最後のほうで「寅次郎って呼んでいい?」「うん、じゃあ、伊之助♪」みたいなこと言って、ふたりでキャッキャッと松林を走るという、ブロマンスというのも恥ずかしいようなベタベタなシーンが挿入され、あまりのことにフリーズしてしまいました。
 いや、何もこういうのやってくれって言うんじゃないんだけど……。


 久しぶりで思わずダラダラ長く、ドラマの内容とも関係のないことばかり書き散らかしてしまいました。
 ことしはちょっと忙しいこともあり、あまり手のかかることはできないと思いますけど、短くても遅くても、できるだけ絶やさずに、ドラマのなんとなく感想だけでも続けていきたいです。
 それでは、今年もよろしくお願いいたします。


2 コメント

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お帰りなさいませ (小紫)
2015-01-10 11:35:46
遊人庵さま

再開を一日千秋の思いでお待ちしておりました。
ご家族のこと、お悔やみ申し上げます。まだいろいろと大変かもしれませんが、どうか無理なさらずに、ゆっくり続けてくださいませね。
またよろしくお願いいたします。
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ありがとうございます。 (庵主)
2015-01-11 21:55:24
小紫さん、ありがとうございます。
年内はばたついておりましたが、なんとなく生活ペースも落ち着いてきました。
あまり手の込んだことは出来ないと思いますが、ずっとやってきたブログなので、ゆるゆるペースで続けていきたいと思ってます。
よろしくお願いいたします。
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