como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

「独眼竜政宗」を見る!(2)

2009-02-12 22:21:23 | 往年の名作を見る夕べ
 ひきつづき独眼竜政宗です。
 第1,2話を見て、自分の記憶よりもっとシンプルだったのに驚いたのですが、シンプルななかにも役者さんの存在感とか、日本人らしいカッコよさが輝いてます。「政宗」の初期は梵天丸のワンマンショーだったように思ってましたが、あらためて見ると、やはり欣也さんの座長芝居ですねえ。

 聞くところによると、いま中高年の男性の間で韓国の時代劇が熱いとか。日本の大河ドラマでは見られなくなってしまった濃厚な男のロマンが支持されているそうで、やっぱり、需要はあるんですよね。
 しかもそれは日本の大河ドラマのお家芸だったはずなのに…。
 大河ドラマの長い歴史を眺めるに、女子供のウケを狙って路線変更すると、必ず迷走はじめるんですよ。せっかく「風林火山」で原点に返りかけたとのになー…と、このごろ日曜日のたびにグチっぽくなってしまうのですが(笑)、とにかく、ことしの大河があんまりなせいでこの名作「政宗」を見よう!と決心したのも収穫だとは思います。
では、「政宗」、今回は第3と4話を見てまいります。


第3話「親ごころ」

 このあたりの設定もことしの天地人と(いや、天地人が)似てるんですけど、お寺で虎哉和尚(大滝修治)の教育をうける梵天丸(藤間遼太)は、おとなしすぎてパッとしないわけです。いとこの1歳下の時宗丸のほうが利口そうなので、比べられると「梵天丸様はトロいのでは」という噂がたってしまい、アタマを抱えたお父様の輝宗様(北大路欣也)は、とりあえず時宗丸を側から離すことにします。時宗丸のお父さんは、一門の重臣・伊達実元(竜雷太)で、子供が若様より優秀だったりして、謀反とか疑われるのも迷惑なんですね。
 垂れ目でみそっ歯の梵天丸はかわいくて、いまだったら乳歯が抜けてる子役なんか使わないとおもうんですが、その絶妙なマヌケがお(ほめてます)と舌っ足らずな物言いがたまらない。しっかり大器の片鱗もみせているんですが、顔つきのせいであまりお利口にみえなさそうなとこも絶妙です(笑)。
 この回は、お東の方(岩下志麻)の実家の最上家のお家騒動と伊達家への影響がメインでした。あの乱暴者の最上義光(原田芳雄)がまたぞろ親子喧嘩で、父親の最上義守と家中分裂の内乱を起こしたんですね。で、伊達家としては、舅御の義守のほうに援軍をおくることにしたのですが、これにお東の方が抵抗します。兄がコテンパンに負けるようなことはしないでくれというわけです。この人、何気にブラザーコンプレックスの気があるみたいで。で、また実家にいって仲裁してくるとか言うんですが、輝宗様は、里帰りするなら二度と帰ってくるな、伊達の女になったなら実家がどうなろうが夫のすることにつべこべ言うんじゃない!と一喝します。欣也さんカッコイイー! こういうあからさまに男尊女卑のセリフも大河ドラマではひさしぶりに聞いた気がしてシビレました。時代劇はこうでなくっちゃ(笑)。
 で、最上家のお家騒動は、弟の義時を巻き込んだ三すくみに発展し、義時が切腹することで決着。実弟を処刑する義光の原田さんが、露骨にうれしそうに敗者を侮辱したりするのも凄いです。こういうシーンも近年見ないなあ(笑)。
 実家の骨肉の争いにくわえ、最上のスパイなんじゃないかとか言われたお東の方は、自害をはかったりし、すっかり虚脱状態になるのですが、そのおかげで梵天丸が母の側によれず、可哀想な子になってしまいます。夫婦生活もままならないため家族計画も暗礁に乗り上げ、お家安泰のためにと腹心の鬼庭佐月(いかりや長介)と遠藤基信(神山繁)が、梵天丸の守役の喜多(竹下景子)を殿の寝所に送り込んだりします。が、輝宗さまは「悪いけど」といって断り、ひそかに殿をしたっている喜多はそっと涙を拭うという、「風林火山」でも見たような展開になります。
 喜多が寝所に送られたことで、激しい嫉妬の炎を燃やしたお東の方は、薙刀の稽古相手を強要し、喜多をコテンパンにしようとします。…が、その稽古のさいちゅうに、ウッと吐き気をもよおした奥方様、あのセックスレス状態のなかいつ仕込んだのか、めでたく御懐妊!ということに。
…というわけで、最上のお家騒動はこれからの前座。最上どころでなく伊達家を混乱させる子が宿ったところで、次回に続く。 


第4話「元服」

 懐妊したお東の方(岩下志麻)は、月満ちて男の子を出産します。名前は竺丸。長男の梵天丸(藤間遼太)は、帝王学を仕込むために重臣たちや虎哉和尚にとられたので、うらみにおもっているお東の方、竺丸を溺愛して「手元を離さず自分の乳で育てたい」とかいいます。
 これを聞いて梵天丸は大ショックで、ショックのあまり小姓たちに無理をいってあたりちらしたりします。守役の喜多(竹下景子)が「人の上に立つものは慈悲の心が無くてはなりませぬ」と諫めますが、「無理を申して家臣を鍛えているのだ!」と屁理屈を言います。こんな場面で残念なのですが、ちび梵天丸の出番はここで終わりとなります。
 伊達家は、宿敵の隣国・相馬勢と交戦中。戦争は膠着状態になり、自分にもしものことがあったら…と案じた輝宗さま(北大路欣也)は、11歳の梵天丸を跡取りとして家臣にアピールしなければと考えます。そこで梵天丸を戦場につれだし、号令をかける体験をさせてみては、と家臣にそそのかされ、輝宗さまはさっそく虎哉和尚(大滝修治)に手紙を書きますが、「とんでもない、折角の若木を火にくべるおつもりか!」と一喝されます。
 そんなこんなで、梵天丸の戦場デビューは企画倒れ。戦場から帰宅した輝宗さまに、お東の方は、梵天丸は賢いけれど文弱なので武将向きではない、竺丸に嫡男をゆずって出家させたほうが良いのではと、とんでもないことを囁きます。「そのかわり、竺丸はわたしの手で立派な武将にそだてます」と。まだ赤ちゃんの将来を、青田刈りにもほどがあり、輝宗さまは一笑にふして相手にしません。さらに、「竺丸は大きくなったら仙台城主の養子にだすことに決めている」といって、お東の方に多大なショックをあたえます。
 この一件で、竺丸可愛やで凝り固まり、梵天丸を逆恨みするようになったお東の方は、だんだん偏愛がすぎて壊れていきます。
 梵天丸の元服式。小姓たちも大きくなり、片倉小十郎は、ここから西郷輝彦が演じます。鬼庭佐月(いかりや長介)の息子の鬼庭綱元は、村田雄浩(若いっ!)が演じてます。そして梵天丸、梵天丸はいきなり渡辺謙じゃなく、ティーン役にリレーされます。
 藤次郎政宗(嶋英二)は、元服式の日におかあさんに「本当に武将になりたいの?イヤならいいのよ」などと甘い言葉を弄されながらも、りっぱに武将になる決意をのべることができました。
 そうこうするうち、輝宗さまの父上、伊達晴宗(金子信雄)が亡くなります。その遺言は、お家騒動にあけくれた自分の轍をふまず、親子兄弟がゆめゆめ争うことのないように…というもの。なにか、このあとの悲劇にむかってちゃくちゃくと伏線が張られていますねえ。
 元服した藤次郎に縁談が持ち上がりました。相手は、三春城主・田村家のむすめ愛姫、10歳です。東北地方は群雄割拠してて、三春城は有力な敵に囲まれた状態、半臣従になってもよいから伊達家に守ってほしいというのがホンネなのですね。姫の生母が相馬の出身というのが引っかかるものの、将来、奥羽を出て中央へ押し出すプランも視野にいれ、戦略上の要所にあたる三春をおさえるメリットをとることになりました。
 こうして愛姫は藤次郎の嫁になってやってくることになりますが、藤次郎は暗い顔。「田村の姫はわたくしの目のことを知っているのであろうか…」。そう、実はいまでもすごいコンプレックスだったんですね、というところで、次回につづく。


(つづきます)


8 コメント

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待ってました!! (レビュ丸)
2009-02-14 16:16:36
庵主様こんにちは!! 過去の大河のレビュー、待っておりました。しかも当時驚異的な視聴率を誇った『独眼竜政宗』!! 実は'87年の本放送、裏番組を見ていてほとんど見逃してしまったので、庵主様のレビュー開始を良い機会と思い、ぜひ並行して見返してみようと思います!! とりあえず今からツタヤに行ってきます!! 第4話までなんとか追いつきたいと思います!! では!!
中毒。 (庵主)
2009-02-14 22:41:21
レビュ丸さんこんにちは。
そう、レビュ丸さんの「武田信玄」視聴マラソンに刺激され(笑)、おっぱじめました。プチレビューになりますが、お付き合いいただけるとうれしいです。
同時視聴なんかしてくださるとさらに嬉しい♪
「政宗」、わたしも放送当時、学生生活がいそがしく、見逃した回が多かったのです。当時は録画して見るという習慣があまりなかったですし…。悔いていたところ、いまでは有難い時代になりましたね、近所にあらたに開店したツタヤに完全版が揃ってて。うれし涙で借りてきました。
見始めたら面白くてとまらず、なにも手につかなくて困ってます。どうしましょう(笑)。
こんにちはです (ikasama4)
2009-02-15 02:01:59
こうして読むだけでも楽しいものですねぇ。

韓国の時代的も楽しいものではあるんですが
あの作品は大抵揃ったように死んでいくのと
ワンパターンのような演出は最近飽きてきました(; ̄∀ ̄)ゞ

>大河ドラマの長い歴史を眺めるに、女子供のウケを狙って路線変更すると、必ず迷走はじめるんですよ。せっかく「風林火山」で原点に返りかけたとのになー…
そうなんですよねぇ。
「風林火山」を見た時には「これは来た!」って思ったんですがねぇ。

どうも「篤姫」で今年のNHKスタッフは大きく勘違いしたみたいですね。

最近の大河は昔と比べると
まぁ最近の民放のドラマがそうですが
主人公にいいとこも悪いとこも全部責任を負わせるような感じに
大河もしてしまっているようですからね。

ちなみに大河がそうなってしまった先駆けとなってしまったのが
個人的にはこの「政宗」だったんじゃなかったかなぁって
気はしてしまうんですけどね(; ̄∀ ̄)ゞ


ちなみに晴宗の遺言に関してですが
かつて晴宗が晴宗の父・植宗と6年間も
親子同士で戦をしていたというのがあって。

伊達家は子孫を他家に送り込んで外交をしていく中で
ある他家との養子縁組で植宗が伊達家の有力な家臣も
その他家に送り込もうとした事で

それでは伊達家の力が弱まると晴宗が反対した事が
この戦が始まった原因と言われてるみたいです。

結局、すったもんだあって
その養子縁組はなくなったそうで。

ちなみにその他家というのが越後上杉家。
その時の当主は上杉定実。

そして、そこに養子に送られるはずだったのが伊達実元だったそうで。

彼の「実」の文字は上杉定実から一字もらったそうです。

で、伊達家の家紋に「竹の二羽雀」は
その上杉家との養子縁組の際にその上杉家からもらったものらしいです。

以上
今年の大河も絡んでるちょっとしたマメ知識でした(  ̄ノ∇ ̄)
第3話見ましたッ (レビュ丸)
2009-02-15 17:12:18
庵主様こんばんは。引き続き書き込ませて頂きます。

第3話の感想、全く庵主様と同感だったので笑ってしまいました。北大路さんの座長芝居、あからさまな男尊女卑のセリフ、露骨な敗者への侮辱・・・。うーん確かに、こういう大河のスタイルって、いろいろ意見はあるかと思うのですが、ホント最近見なくなりましたよね。今思えば『風林火山』って、近年の流れからすればアマノジャク的な作品だったことが良く分かったような気がしました。今回、第3話を見ていて、「これこれ!! こういう大河が見たかったんだよ!!」と、思わず膝を乗り出してしまいました。恐らく庵主様も同じように膝を乗り出されたのではないか・・・と(笑)。

ここまでの『独眼竜政宗』の背景を特色づけるのは、周辺国との複雑な縁戚関係と、繰り返される骨肉の争い―――といったところでしょうか。劇中、登場人物名の字幕が出ないこともあり、置いてゆかれぬよう毎回ノート片手にドラマを追っています。

この「骨肉の争い」については、おそらく今後もしばらく描かれることになるのでしょうが、政宗本人もこうした争いを避け得なかったことに、因縁めいたものを感じました。今回印象に残った場面は、「親子が争い、兄弟が殺し合う・・・。あさましきことよの・・・」との、お東の方を演じる岩下さんの言葉でした。彼女自身が今後「自らの骨肉の争い」を目の当たりにすることを思うと、これ以上ない伏線のように感じました。「―――仮に殿の御舎弟に謀反がございましたら、やはりお命をお召し上げになりますか?」と問うお東に、「言わずと知れたこと・・・。その場で斬る!!」とキッパリ返した輝宗。その傍らでウツラウツラと居眠りする梵天丸。やがて三者が目にする悲劇の前触れとして、自然かつ意味深な演出のようにも感じました。
バクチ人選 (庵主)
2009-02-15 23:26:41
ikasama4さん

>大河がそうなってしまった先駆けとなってしまったのが個人的にはこの「政宗」だったんじゃなかったかなぁって気はしてしまうんですけどね

ああ…
それ、深く頷きました!! それまでの大河ドラマは、視聴率がいいにしろ悪いにしろ(というか視聴率というものを特に気にしていたのかどうか…)、主演俳優におっかぶせるということはなかったと思います。
だから、中村梅之助さんとか滝田栄さんみたいな、実力は十分だけど地味目な俳優さんが主演したりしてる。たぶん「政宗」以後、主演俳優にちょっとバクチみたいな趣がでてきたんじゃないかと思います。
バクチ傾向は近年エスカレートする一方…ですが…。

>伊達家の家紋に「竹の二羽雀」はその上杉家との養子縁組の際にその上杉家からもらったものらしいです

これは知りませんでした!
というか、『政宗』を見てて、竹に雀の紋所、これは…?と反応してしまったワタシがいて、ちょっと調べてみようと思ってたところでした。ありがとうございます。
東北地方の勢力分布なんかは、よくわからないところですが、解らないなりにみていると解ったつもりになってしまうところも(笑)、ドラマの力ってもんですよねえ。
「風林火山」は凄かったかも…。 (庵主)
2009-02-15 23:34:43
レビュ丸さん

>今思えば『風林火山』って、近年の流れからすればアマノジャク的な作品だったことが良く分かった

同感です(笑)。男尊女卑も敗者罵倒もやりたい放題やってましたからね。
一部の(我々のような…笑)ファンには受けたものの、数字的には芳しくなく、「篤姫」みたいなのが圧倒的支持をうけるところに、時代の変遷というものを感じてしまうのですけど、あえてそこに棹差した「風林火山」は、何年たってもジワジワと支持され、語られる、カルト大河というような作品になるんじゃないかなあ…と思います。

実は、見てると去年の由布姫は、お東の方のような女性を原型にしてるようにも思えるんですが、さすがにイマドキのご時世には受け容れがたいものがあったのでしょうね(笑)。

たしかに登場人物の字幕が出ないのはビックリです。私自身も、字幕が出るのに完全になれてしまって、頭もなまっているんだなあと反省。昔の大河の配役表や、ウィキペディアなどをネットでチェックしながら視聴する日々です。
第4話見ましたッ (レビュ丸)
2009-02-16 20:50:38
庵主様こんばんは。ようやく4話まで追い着きました~。

今回、天正4年から6年まで推移したのですが、その間に主人公の弟・竺丸が生まれたり、主人公が元服したり、祖父・晴宗が没したり、早くも縁組みのお話があったり・・・と、なかなか盛りだくさんでした。三春の姫が政宗の正室となる背景として、伊達と相馬との関係、あるいはその背後の蘆名や佐竹との対立構造を頭に入れる必要があるため、少々難しいキライはありましたが、この“小難しさ”こそ、大河ドラマとともに歴史を勉強してゆく・・・という、当時感じていた醍醐味のようなものを、思い出させてくれました。

竺丸を溺愛するお東の方、庵主様が言われるようにだんだん偏愛がすぎて壊れてゆきますね・・・。その果ての悲劇はまだ置いておきますが、一つにはこの烈女たるお東の方の愛情の深さにも、その一因があるように思われてなりません。

ポカーン顔の子役は退場し、なかなか凛々しい兄チャンにバトンタッチされましたが、後ろ姿など、どことなく渡辺謙さんを彷彿とさせ、なかなか良い人選だと思いました。この兄チャン、現在は芸能活動をされていないようですが、調べてみたらレビュ丸と同じ年だったのでビックリ!! ・・・ってことは、この兄チャンも今やアラフォーのオッサン・・・。親近感は湧いたのですが、なんかショック・・・。歳をとった我が身を省みてさらにショック・・・。ハア。これだけ時間が経っているのですから、大河の質も変わってゆくのはむしろ当然ですよね・・・。
愛姫の実家は… (庵主)
2009-02-16 21:36:05
レビュ丸さん

ほんと、役名のクレジットが無いのは戸惑いますが、なんとなく、なじみのない地方の歴史でもわかったような気分になるのも大河の醍醐味ですよね。
愛姫の実家の田村家は坂上田村麻呂の末裔というのも、「オオー!」と新鮮な豆知識でした。

藤次郎役の子役くんと同い年…ってそうなんですか!
いや~、なんかそういうとこに時の流れを感じますよねえ。あの愛らしかった後藤久美子ちゃんも今や…(いや、今なお美しいですけど)

いさんでツタヤに走ったら、続きの第9話からのぶん(ディスク3~)が貸し出し中で、超ガッカリ、手ぶらで帰ってきました(泣)。
でも、「炎立つ」や「真田太平記」(!)「太平記」などもあるのが確認できたので。「政宗」を見終わったら、1,2回しか見てなかった「炎立つ」に挑戦してみようかなと考えています。

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