“神の子”実相が顕われてきさえすれば、 一見悪と見えるものは、 消えてしまうということである。

「縁は仏種によって起こる」
と道元禅師は説く。
これは「縁」は“神の子”によって起こる、
ということである。
これはつまり
“神の子”実相が顕われてきさえすれば、
一見悪と見えるものは、
消えてしまうということである。


（正法眼蔵を読む　諸悪莫作の巻 　谷口清超）

＜「莫作」の展開＞

 かくの如く実相が現れてきて、初期も中期も後期にも「諸悪莫作」が現成する。かかる現象は因果によって生じているようだが、実はそうではなく、「諸悪莫作」が展開しているだけなのである。従って諸悪は因縁で消えるというのではない、ただ実相が現成してなくなる。もともと“ない”から、消えるのだ。この諸悪がもし平等ならば、現象も亦平等だ。つまりナシである。しかるに諸悪は因縁によって生ずると思い込み、そんな因縁も、それに引っかかる自分もナイのだということを知らないのは、実に憐れな人々だといわなければならない。「仏種は縁によって起こる」というが、それは又言い換えれば「縁は仏種によって起こる」ということでもなる。