流れとは逆方向に波立って春が近いということだよね
所どころ乾いた土が見えている昨日の雪が残る庭には
踊り場のような河原に飛び乗って踊ることなきカルガモあまた
落ちてゆく太陽とてもまぶしいね川の景色をこころに映す
立ち止まり言葉を記しまた歩く革の手袋はずしてはめて
娘らの通いし太東中学校 裏手の堀とそれに沿う道
柑橘に隣り合えるは寒椿 樹木ふたつの葉のつややかさ
ケータイに電波を送る塔立ちて柵がなければ登ってみたい
不審者のこころわずかに持ちながら小公園のめぐりを歩く
吠えもせず噛みつきもせぬ犬たちの街はやさしさに包まれている
_/_/_/ 未来5月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/