コンクリの床にべらべら置かれたる紅ずわいその紅のあざやか
まひるまの競りに売らるる紅ずわい十杯ごとに並べられつつ
二階からわれら見おろす昼の競り声もろともに写真撮りたし
一年中いろりに火種入れている合掌造りの家のけむたさ
こきりこという竹の棒打ち鳴らしうたいはじめる老いの語り部
読み進む「北国新聞」に金沢の柔道女子の躍動ありぬ
べんがらの色の違える店ふたつひがし茶屋街奥にありける
きもの着てあるく女性の居りしかど語るを聞けば異国のことば
「あんころ」という名のままの菓子ありて二十個入りを購い帰る
雪吊りの名のみ借りたるYUKIZURIという菓子ありて買わず帰り来
_/_/_/ 未来3月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/